- 【2次】漫画SS総合スレへようこそpart75【創作】
60 :永遠の扉[sage]:2014/03/27(木) 00:11:32.69 ID:P8jsybBo0 - 貴信に目隠しした状態で香美が体を洗っていると。
「ねーねー。香美先輩。シャンプー貸して」 河合沙織がひょっこり寄ってきた。ちなみに髪を洗うため、普段のツインテールは下ろしている。雰囲気は若干大人寄り である。いつもが小学5年生なら今は中学2年生ぐらいだ。 『!!?』 再びの接近に貴信は身を堅くした。それがいけなかった。 「おお。そういえば貴信せんぱいもいた。また何か豆知識聞かせて下さいね! 面白かったです!」 雰囲気に似合わず年上には敬語を使えるらしい。シャンプーを借りると沙織は隣に座った。 (隣!?) さらっと成された行為だが貴信は内心思わず二度見するほど面食らった。(実際の映像としては見ていない) 香美が体を洗うにあたり、貴信は極力ふたりの視界内に来ないよう女性陣に要請した。要請した上で、タオルで目隠しだ。 ──「あの、普通、そういうのって女子がするコトなんですが」 ──「ここまで見たがらないと却って失礼じゃなくて?」 千里と桜花はつくづく呆れた。呆れながらも信頼したのだろう。「しょうがない人だ」という笑みを浮かべた気配がした。 とにかく貴信は必死に女性陣を近づけまいと努力している。視界内にいるものといえば斗貴子ぐらいで、バスタオル1 枚でじっと睨みつけている。あとは知己たる小札や鐶でさえ距離を置いている。仲間だからこそ意を汲み見られないよう 配慮しているのだ。(でなけば後で総角や無銘と難儀なコトになる)。 (なのにこのコどうして隣に!?) 貴信とて男のコだ。入浴後唯一向こうから話しかけてきた沙織をちょっと特別視してしまうのは自然の摂理だ。しかも貴信 の存在と性質を知りながら平然と隣に座っている。これで恋愛感情を期待しない男はいない。たとえ真実が「移動すんのめん どいしココでいいや。貴信せんぱい絶対見ないし」なる適当な感情に基づいていたとしても、貴信自身どうせそういうオチだろう と薄々気づいているとしても、やはり、こう、「あるだろ」とか思ってしまう、ものなのだ。 「あ、そうだ。貴信せんぱい」 髪をわしゃわしゃしている音とともに沙織の声。目を閉じていてもシトラスミントのいい匂いだけは分かる。 『な、なんだ!!』 ここで告白きたらどうしようとか考えて使いもしない返答いくつも用意するのがぼっちの悲しい性である。 「さっき皆でお題に沿って色々書いたとき、貴信せんぱい、どんなお話考えてました?」 他愛もない会話。ホッとする反面ちょっとガッカリしつつ貴信は少し考えて、 『貴方と被ってた!』 「あ、香美せんぱい連れて避難するお話ですか?」 『そう!! でもネコ時代の香美だから厳密にいえば成立しなかった! と思う!』 お題は「大雨で洪水の時、大事な人を連れて避難する」である。 「あ、貴信せんぱい。私ですね、勿体ないなーって思ってるんですよ」 シャンプーを洗い流すと沙織は呟いた。口調には好意が滲んでいて、だから貴信は怖いのだ。会話がたくさん積っていく のが怖いのだ。言葉のやり取りさえ一定量を超えれば誰とだって自動的に絆が芽生える……そんな幻想を抱いているから。 会話の絶対量が少ないから、そこからの分岐を実感として知らないのだ。「話して関係を築ける人」「築けない人」は悲しいけれ ど確かに分かれていて、しかも前者と巡り合う機会ほど少ないのが人生なのだ。 なのに沙織は、何がどう勿体ないか、話してくる。女友達にする感覚で、平然と。 「だって貴信せんぱい、色々知ってるじゃないですか。だったら、体験談だけじゃなく、もっとこう。不思議なお話書けたんじ ゃないかなーって」 『……ゴビ砂漠が洪水になるって豆知識下敷きにして、とか!?』 「そーそー。そんな感じです。面白そうだと思う……あ、思いますよ!」 敬語には不慣れな様子だが、貴信を立ててくれているのは分かった。 いい子だと貴信は思う。自分が、自分の感情で手いっぱいの時、沙織はすでに他人の、貴信のコトを考えていた。 真摯な人間を見たとき、貴信はその人物に恥じない対応をしたいと強く願う。この時もそれは出た。 『あの! は、話が書けるかどうかは分からないけど! 調べ物ぐらいならできると思う!!』 「んー?」
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61 :永遠の扉[sage]:2014/03/27(木) 00:12:36.37 ID:P8jsybBo0 - 向き直る気配がした。
『話が前後したようだ! すまない! 台本の話だ!! さっきの一連の流れで若宮千里氏の方向性は固まった! と思う! でも時間はないし! 香美は速読が得意で、僕も記憶量はいい方だから! 調べたいコトがあるなら、その、使ってくれても 構わないのだけど! 迷惑じゃないだろうか!!』 言い終えてから貴信がしまったと思ったのは、直接千里に言うべき話題だと気付いたからだ。しかも大声だからとっくに本人 へ伝わっている。貴信にとっては、そういうコトは、非常に間の抜けた気恥ずかしい行為だ。 「分かった! あ、じゃなくて、分かりました、です。うぅ。敬語難しい……。えと。任せて下さい、ちゃんとちーちんに伝えます!」 (もう伝わってるんだけど) 湯船の中でツッコみながらも口には出さない千里である。彼女も貴信と同じで馴染み薄い人間とは話しづらい気質なのだ。 まして学年も性別も違うとなると、いきなり面と向かって「手伝わせて下さい」とは言いづらいのだろう。 「劇、一緒に頑張りましょうね! せんぱい!」 『あ、ああ! 僕も全力を尽くす!!』 笑った気配がした。ネコ時代の香美のように元気のいい、たんぽぽのような声だと思った。 (というか……嬉しいなあ。後輩ができたの…………初めてだ) 慣れない敬語にあたふたしている感じが、こう、グッときた。 一方。沙織は。 「ね、ね。さーちゃんさーちゃん」 まひろに手招きされたので合流。通常モードに。。 「どしたんまっぴー」 「香美先輩ってさ、貴信先輩と体共有してるよね」 「うん。そうだけど」 「ならさ……(ゴニョゴニョゴニョゴニョ)、どうだった?」 いろいろ刺激的な言葉が飛び出した。沙織はちょっと真白になったが、 「はっ! どうなんだろう!」 背後で稲妻を飛ばした。 「見よう!」 「うん!」 てな訳で2人してそーっと忍びよる。貴信は気配を感じているようだが、特に話しかけてはこない。 体を洗いに来たとでも思ったのだろう。 それを幸い、隣に座るやしなやかな香美の両足の間に目をやる沙織とまひろ。 「10分湯船に浸かり5分休み水を飲むと老廃物が沢山でるぞ! 気が向いたらやりなさい!」 男風呂では防人が呼び掛けた数秒後。 沙織とまひろは放心した様子で湯船に浸かっていた。 「普通だった」 「女の人だった」
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62 :永遠の扉[sage]:2014/03/27(木) 00:13:06.90 ID:P8jsybBo0 - 「こらこら勝手に見ないの。だいたい体つきが香美さんだから普通に決まってるでしょ」
隣で桜花が顔を洗った。そうだねと頷いてこの件は片付く筈だったのだが──… 「じゃあ貴信先輩に変わる最中ってどうなってるんだろ……」 千里の何気ない一言が事態を急展開させる。 ポカンとした桜花とまひろと沙織が、すぐさま揃って香美を見たのだ。叫んだのだ。 「確かめましょう!」 「賛成!!」 「どどどどどうしよう、スゴいもの見ちゃうかも!!」 「お前ら何でそんなノリノリなんだ!」 怒鳴る斗貴子は見た。隊列を組み歩き出した桜花小隊の背後で、頭を回転させつつ徐々に透明度を下げる鐶を。 「ステルス!? そこまでして見たいのか!?」 毒島はちょっと香美の方を見たが、湯船に顔を沈めあぶくを立てた。刺激が強すぎるらしい。 小札とヴィクトリアはすっかり温泉モード。肩まで浸かりほっぺに赤丸浮かべながら法悦の息を一吐きした。 ある意味彼女らは属する組織においてお母さんなのである。 気取った中間管理職やら我儘な蝶やらに覚える気苦労を、この時ばかりは忘れていた。 そして明日に向かってチャージである。 貴信を前に出すにはどうすればいいか? この命題の先鞭をつけたのはまひろである。 「あなたはだんだん眠くなーる。眠くなーる」 どこからか持ってきた糸と五円玉を香美の目の前でぷらぷらしてみる。 ぴしぴし。香美はじゃれつくだけで眠らない。 まひろ、落胆。 「ダメだね。眠らせば貴信先輩前に出てくると思ったけど」 「香美さんに強いショックを与えるほかなさそうね」 「といってもどうするの? 暴力は良くないよ?」 まひろの問いに桜花は笑う。笑って無言で斗貴子を見る。 「だから暴力はダメー!!!」 「なんでそれと私が直結する!?」 泣き叫ぶまひろに斗貴子仰天。そこまで悪く思われているのかと内心ちょっと傷ついた。
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63 :永遠の扉[sage]:2014/03/27(木) 00:13:47.79 ID:P8jsybBo0 - 「香美さん……頭殴って…………いいですか?」
「いきなりなにさ!?」 「ひかるんが行った!」 「おお。さすが優しい。斗貴子先輩なら無言で決着つけそうなのに」 「ええ。肺に貫手を一発! 崩れるや髪を掴み人中に膝蹴り!」 「ぼぼぼ暴力はダメだよ斗貴子さん!」 「さっきから黙って聞いていれば……お前らいくら何でも失礼だ!!」 怒鳴る斗貴子に千里は内心頷いた。 (そうね。みんな言いすぎよ。いくら津村先輩でもそんなひどいコト) 「やってないだろ! まだ!」 (まだ!?) 予定は、あるらしい。 鐶の交渉、続く。 「私は…………香美さんに……消えて欲しい、です……」 『も! 目的はだいたい分かったけど! その言い方やめてくれないかな光副長!!』 「大丈夫……です。痛みは一瞬……です。後は虚無に帰すだけ……です」 『虚無に帰す!?』 物騒な単語と貴信の態度だから悟るものがあったらしい。香美は腰に手を当て眉をいからせた。 「よーわからんけど、嫌! だいたいご主人なんか嫌がってるでしょーが」 「そうですね…………。無理を言ってすいません…………。引き下がり……ます」 のそりと踵を返し去っていく鐶。その口元から漏れた小さな声を貴信たちは聞き逃さなかった。 「……………………ちっ」 『貴方だんだんガラ悪くなってないか!?』 (桜花の影響だ。絶対) 斗貴子は呆れ顔で思った。 「むー。まっぴーもひかるんも桜花先輩も敗れた」 「残る頼みの綱は……さーちゃん……だけ…………です」 すっかり1年女子トリオに馴染んでいる鐶である。 沙織は、柏手を打って頭を垂れた。 「じゃあ貴信せんぱいお願いです! 変わる所、見せて!!」 『見せてって貴方!! すごい際どいコトいってるの分かってる!?』 「……あぅ」 痛いところを突かれたとみえ、沙織は戯画的な丸顔でえぐえぐと泣いた。 「実際どうなんだ総角」 「……いや秋水よ。確認するのは色々ヤバいだろ。香美のままにしろ、ムクムク貴信になりゆくにしろ」 「ムクムクか……」 剛太は想像したらしく「うげ」という顔をした。 「ムクムクはまずいなムクムクは」 同じく青くなる無銘の肩を秋水は叩いた。 「大丈夫だ。こっちには戦士長がいる」 「?」 呼ばれた当人含む総ての男性陣は首を傾げた。それが貴信とどう関係するのか。 「いざとなれば壁を壊してでも姉さんを救う。武藤さんも……」 「助けるつもりだ! こやつムクムクの魔手から姉達を助けるつもりだ!!」 「フ。というかそれやったら俺達社会的に死ぬからな」
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64 :永遠の扉[sage]:2014/03/27(木) 00:14:18.76 ID:P8jsybBo0 - とりあえず女性陣たちは貴信の有する神秘を諦めたようだ。
「落ち着け。戦士・秋水。コレぐらいの壁なら壊(や)れるが、そしたらガールズは俺達のムクムクまで見てしまうぞ」 「……はい」 「はいじゃねえよ。どっちも素手で壁壊せるって前提で話進めてんじゃねえよ。おかしいだろ。気付けよ」 「フ。というかまだムクムク引っ張るのか」 (引っ張る……ムクムクしてないとき引っ張ると伸びて面白いけど言わないでおこう) さすがに自重する無銘であった。 「というか戦士・秋水。君はムクムクするコトがあるのか?」 防人はニヤけた。やや下卑た話題だがスキンシップの一環という訳だ。 秋水の美貌に微かな波紋が広がるが、しかし剛太たちはむしろ「よく聞いた!」という顔だ。 (いかにもスカしてるけど性癖の1つぐらいあるだろ!) (フ。何しろ姉が桜花だからな。あのエロさを毎日見ていてアテられぬ筈がない!!) (クク! 暴露しろ! 弱みを握り次第からかってやる! 「やーいやーい○○早坂ー!」とからかってやる!) 秋水は答えた。 「ありません」 「いや、君だって健全な男子だろ」 「ありません」 「いや。こう……何かの弾みでとか」 「ありません」 「じゃ、じゃあ朝。朝は流石に──…」 「ありません」 どこまえも毅然とした表情で答える秋水に男性陣は黙りこくった。 ((((単にガードが固いのか本当にムクムクしないのか……一体どっちか分からない!!)))) 「というか丸聞こえだ! そういう話題はよそでしろ!!」 斗貴子の怒号と石鹸が飛んできて剛太のこめかみに突き刺さった。 「グハァ!!」 「!! 中村がやられた! 特に何ら下卑た話題をしていなかった中村がやられた!!」 「……遠まわしに秋水お前俺を責めていないか?」 湯船に顔面を沈めたまま動かない剛太のそばで防人は少し汗をかいた。 「大丈夫!! 斗貴子先輩の投げたものなら俺なんだって平気ですから!! 返しますね先輩! 受け取って下さい!」 ざばりと起き上がり声高らかに復活を宣言する剛太。彼の突き上げた投擲直前の石鹸を凝視したのは、無銘。 「……なぁ。コレ。奴が使いしものだったりは」 「ファ!?」 剛太は奇声をあげた。一瞬言葉の意味を掴みかねるほどの歓喜に支配されていたようで、表情ときたら戯画的なヒヨコ だった。 (石鹸! 斗貴子先輩の手に触れた石鹸! いやひょっとしたら肩とか膝とか足の裏を洗ったかも! それどころかあんな トコとかこんなトコとか洗ったり!!?) 「言っておくが剛太。それ未使用の新品だからな」 ポリエステルに包装されている石鹸を見た剛太の中で何かが切れた。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 石鹸、飛ぶ! 哀惜と慟哭の赴くまま轟然としなる剛太の手が生み出すかつてない爆発的加速! 振り抜かれた指先から解き放たれた瞬間音速に達し荒涼索漠たる男性浴場から飛び去った!
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65 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU [sage]:2014/03/27(木) 00:14:49.42 ID:P8jsybBo0 - 奇跡は、二度起こった。
剛太の無念に呼応するよう、総角、無銘、防人らはひたすらに願った。 (神よ! なぜ石鹸を包装された! せめて剥き出しであれば、彼女の手に直接触れた物なら彼は絶望しなかった!!) (我は認めん! いけ好かぬとはいえ、我が母上にするよう津村がため戦った奴が斯様な結末を迎えるなど……!) (直撃を受けるべきは俺……。裁かれるべきは俺!) 交錯する3つの強い願いはこの瞬間光速を超え、次元の壁さえ容易く突き破った。 そして虚数軸さえ通り過ぎ不確定性原理の粒子と化した結果、あらゆる時系列と平行世界を彷徨う力ある光子と巡り合い ……召された。神の御許へと。 絶対零度の宇宙背景放射によりこの世界の硫黄の因果を形成する、『三柱』が一つライザウィン=ゼーッ! なる神にも等 しき光子の具象、マレフィックたちが復活せんと画策する悪の大ボスは事情を理解すると「いいぜー」と頷いて、その絶対的 な権能──この世界に幾度とない開闢と終焉をもたらした──あらゆる因果を操作できる超弩級の武装錬金特性を、遠き 遠き隔絶宇宙に浮かぶ小さな星の日本の砂粒ほどしかない寄宿舎大浴場を音速で飛ぶ石鹸に寸分違わず照射した。 果たして誰も気付かぬ中、未曾有の奇跡が巻き起こる。 神は透明な包装の取っ手のギザギザに沿って袋を、斜めに開けて、石鹸を取り出さんとされた。 まさしく神の専横であり決断だった。5709億6381年283日9時間56分4秒に一度できるか否かの介入だった。 虹色のハレーションと共に、石鹸は、歪な開け方をされた包装に何度かつっかえながら、というか斜めに開けたせいで小さ すぎる切り口からはいくら頑張って傾けてみても出なかったので、反対側の取っ手のギザギザから切れ目を入れてスゥーっと 裂いてはみたものの、あの中心部にある何かビラビラのついてる妙に厚い方へとやってしまい、最初の切り口と上手く合流 できず開けられず、もどかしい思いをしながら結局ハサミを使って最初の取っ手側を開封して最初からそうしとけば良かっ たと後悔するという緻密極まる御業をわずか100億分の3秒でやってのけた神のお陰で、(石鹸は)ついに包装を脱出した。 (あ。最初の切り口ブッ裂いて横から出しゃあよかったぜ!) 神が悔い虚数軸が黄昏に包まれる中、第二の奇跡、きたる! 剥き出しになった石鹸が放物線を描く先で、湯船の縁に腰掛け一息ついていた、バスタオル姿の千里の胸元に、ぽよん と入り込んだのだ。 これは神ですら予想だにしなかった奇跡であった。大人しい眼鏡の少女は突如胸元に飛び込んできた石鹸にたじろいだ。 なぜならそれはぬめっていたからだ。剛太の絶望と、男たちの願いと、神素と、あと、換気の悪い浴場に立ちこめる湿気で 白いアルカリ性は独特かつ不愉快な摩擦係数の欠乏をきたしていた。千里が声にならぬ悲鳴を上げたのは、天井からナメ クジでも落ちてきたのではないかと一瞬錯覚したからだ。恐る恐るそこを見ると石鹸が、香美たちビッグ3に比べれば見劣り するが、確かに存し人柄を顕す、ささやかだが整った丘陵地帯の間に挟みこまれているではないか。 (〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!) 石鹸! 一体どうなるのか石鹸! 続く!! 以上ここまで。
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