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通常の名無しさんの3倍
歴代主人公が兄弟だったらPart100

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歴代主人公が兄弟だったらPart100
614 :通常の名無しさんの3倍[sage]:2023/01/24(火) 18:27:49.82 ID:gfyjxLGQ0
 ある週の日曜日、家族みんなで夕飯を食べ終えたアセムが
次の日に提出する宿題のプリントをやり始めようとしていると……、弟の刹那が話しかけてきた。
藤子F作品のドラえもんの事についての質問だ。

刹那「アセム兄さん、みんなに聞いてまわっているんだが、
   ドラえもんのひみつ道具で一番欲しいものは何だ?」
アセム「やっぱりタケコプターやどこでもドアかな」
刹那「……みんな超メジャーな道具の名前を答えるんだな。もっと他にないだろうか」

 少し残念な顔をする刹那。
するとそこでウッソが会話に参加した。

ウッソ「僕は『Yロウ』が欲しいな」
アセム「ワイロウ? それはどういうものなんだ?」
刹那「『Yロウ』、Y字型のロウソク状のもので
   ネーミングはロウソクだけでなくワイロのパロディーでもある。
   Yロウを渡された相手はワイロを渡されたような効果になり、渡した相手の要望が聞きやすくなる。
   こういう話ができる相手を俺は待っていた。さすがスペシャル」

ウッソ「ドラえもんの話もいいんだけどさ、MS戦闘の訓練相手お願いできない?」
刹那「了解だ。家族の要望にYロウはいらない」
ウッソ「本当!? ガンダムファイトでガンダムヘブンズソードを見て思いついた技があるんだ。
    『ハイパー光の翼スペシャル』っていうんだけど。一回試したい!」
刹那「エクシアで相手をしよう」

 ガレージに向かう刹那とウッソをアセムは見送った。

アセム(さて、宿題のプリントの束をやり始めるかな)

 次の日の月曜日の教室、学校の休み時間でアセムはロマリーやゼハートに昨夜のYロウの話をした。
それから宿題の話題をすると……。
歴代主人公が兄弟だったらPart100
615 :通常の名無しさんの3倍[sage]:2023/01/24(火) 18:30:08.72 ID:gfyjxLGQ0
ゼハート「えっ!? あの宿題の提出は今日までだったのか!?」
ロマリー「そうだけど?」
アセム「ゼハート、まさかやってないのか!?」

 イスに座っているアセムやロマリーに対し、その場に立ちつくしたゼハートは苦い表情をした。

ゼハート「うかつだった。次の授業までにあのプリントの山はとてもやれない」
ロマリー「この休みが終わって次の時間に提出だからね」
ゼハート「しかしここで絶望はしない。宿題をできなくて絶望したと叫ぶ気は無い。
     なぜなら俺はこの学校のあらゆる事には詳しいからだ。まるである種のスパイのように。
     こういう事もあろうかとこちらにはいい作戦がある。望みはある」
アセム「それっていったい……?」

 するとその時、この学校の先生の一人であるカラスがお気に入りの手袋を着けて教室に入ってきた。
教科書やノート等指導で使う道具を教卓に置いて先生の準備は万端だ。
授業の始まりを告げるチャイムが鳴る。
自席に戻ったゼハートは片手を上げ立ち上がると、カラスに話しかけた。

ゼハート「カラス先生! 私から先生に見せたいものがあります!」
カラス「ゼハートくん、どうしました?」

ゼハート「これです。私が描いたこのイラストを見てください」

 ゼハートは自分のカバンからキャラクターの絵が描かれたペーパーを取り出した。

カラス「こ、これは! セーラージュピターこと木野まことのイラスト!
    しかもこんなに美麗!」

 セーラージュピターとは美少女戦士セーラームーンに出てくる木星のセーラー戦士であり、
ゼハートが自作したカラーイラストはその正体『木野まこと』の学生服姿である。
歴代主人公が兄弟だったらPart100
616 :通常の名無しさんの3倍[sage]:2023/01/24(火) 18:32:29.23 ID:gfyjxLGQ0
アセム「(小声で)ゼハートがああいう上手い絵を描く才能があるとは知らなかった」
ロマリー「(小声で)まるでニュータイプといわれるティファ=アディールの絵画みたい」
アセム「(小声で)ゼハートはXラウンダーだから。ひょっとしたらXラウンダーはみんな絵が上手なのかもしれない。
    ウチのXラウンダーの弟も絵の才能があったりするし」

 カラスはイラストに感動したのか少しの時間無言で立っていたが、
やがてクラスの生徒全体に語りかけるように口を開いた。

カラス「セーラージュピターこそ真の素晴らしき木星の戦士、先生にとって女神のような存在です。
    セーラームーンにはムーンやマーキュリー、マーズ、ヴィーナス等色々なキャラがいますが、
    先生はジュピターが大好きです。
    木野まことは先生の心をかき乱す、いわば『木星の魔女』といっても過言ではない。
    ゼハートくん作のこのイラストはかわいく、そして愛らしい。可憐でけなげ。強さと美しさ。妖艶さと色気。
    先生が好きな女性像がここにあるといっても間違いないでしょう」

ゼハート「カラス先生にこの絵は差し上げます!」
カラス「おお、ゼハートくん、ありがとう!
    他の人はどうかわからないですが、これは先生にとってとても価値のあるものです」

 そこでアセムは見たのだ。紙をカラスに渡したゼハートがわずかながらニヤッと不敵に笑ったのを。
それはまるで罠にかかった獲物を仕留める猟師のように。

ゼハート「先生、お願いがあります。
     先日の授業で渡された宿題は無かったことにできないでしょうか?」

カラス「――――駄目です」

 宿題を出せなかったゼハート=ガレットはカラスに注意され、
課題は後日再提出ということになった。

 これがアセムが見たゼハートのワイロ作戦失敗の一部始終であった。


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