- 歴代主人公が兄弟だったらPart100
569 :ベルリとスレッタの仲直り[sage]:2023/01/12(木) 21:43:12.79 ID:3izfe7/40 - >>543
決闘の口上を書いてるということはスレッタの方も殺人を止めたい心理があるのかも…と考えて派生ネタ作った。吃音は家族になってまだ間もないからということで 『ベルリとスレッタの仲直り』 湿布を貼って家で寝転がるベルリ ベルリ「とほほ…。兄弟が増えてさらに影が薄くなりそうだと危惧していたら喧嘩を挑まれるなんて、新年早々なんて不幸なんだ…」 スレッタ「スレッタ、ベルリ見つけった! なーんt」 ベルリ「ぎゃあー!!!」 スレッタ「わああああ!?」 ベルリ「ひいぃ! 何!? 勝負はお互い力を出し尽くしての痛み分け、もうしないって約束したでしょ!?」 スレッタ「ちち違」 ベルリ「血? 血を見るまで戦いをやめないのが水星育ちの習い性なのかあー!畜生くるなら来てみなさいよ! 倒します!」 スレッタ「違いま!(↑)す(↓)。ごほっ。…声をかけたのは、多大なご迷惑をおかけしたお詫びがしたくて」 スレッタ「かつ丼が好きだって聞いたから、おいしいかつ丼さんのある店、行きましょう。ベルりっ」 ベルリ「え、遠慮します」 スレッタ「あう」 ベルリ「…自分の中でこの間の整理がついてないし。あと距離の詰め方が急すぎて怖い」 ベルリ(それにミオリネに誤解されたら面倒だという気持ちも少しある) スレッタ「ああー」膝を折りうずくまる スレッタ「そ、そうだよね…。怖い思いをさせられた人と仲良くなんかできないよね」指で地面をいじる スレッタ「それにわたし陰キャだし、と、トイレでご飯食べたことあるし」地面をいじる ベルリ(か、かわいそうだけど流されないぞ!) スレッタ「転校しても困ったらお母さんに甘えてばかりだし、陰キャだし、友達が出来ても自分だけ弁当が足りないのを言えないコミュ障だし」 スレッタ「さっきの冗談も滑ったし、こんなつまらない私なんかと仲良くしたくない、です、よね…」ため息をつく ベルリ「ああもう面倒くさい! 分かった! 一緒に出掛けるからいい加減で自虐は止めなさいよ。聞いてて辛い気持ちになる」 スレッタ「本当、ですか。ベルリ」 ベルリ「まだお腹も空いてないしご飯を食べるまでについでにあちこち見ていこうか。シャンクを準備するから待ってて」 ベルリ(はあ結局流されてしまった。でも何となく放っておく気になれないのはどうしてだろう)
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570 :ベルリとスレッタの仲直り たぶん2/5[sage]:2023/01/12(木) 21:49:02.38 ID:3izfe7/40 - 小さな定食屋で
スレッタ「ここ!ここはすごくご飯が美味しくて! お勧めで!本当に目玉が飛び出した人がいるんですよ! ぽーんって」 くわっと目を引ん剝くスレッタ ベルリ「なにそれ怖い!? 変なもの入ってる?本当に食べても大丈夫なやつなのっ」 湯気の立つかつ丼を前に ベルリ(うう、見た目はおいしそうだけど正直肩に力が入りすぎてる人間の前だと緊張する) スレッタが瞬きもせずこちらを凝視している。凝視している。沈黙 ベルリ「(多分これがスレッタなりの心遣いに違いない!)えーいままよ! う!? こ、これは…」 (この肉厚のカツ、柔らかく噛めばまるで涎のように肉汁が溢れてくる。濃厚な肉の旨味が口からこぼれそうででも噛むのを止められなくて口を強制的に動かされる。しかも衣は当然サクサクだから歯を立てて肉をかみ切るまでの感触が気持ちいい 口の中で軽やかな音が鳴って顎を動かすのが楽器を鳴らすみたいに楽しくて、まるで小さい子供になって遊んでいるようだ。 それから程よく甘みがあってとろりとした卵の感触を舌で味わって、全てを喉に流し込めば、僕は、僕は…これまでのごたごたなんて水に流せる!) ベルリ「これは美味い! 学生が行ける店でこんなものが食べられるなんて信じられない」 ごはんをかき込むベルリ スレッタ「喜んで貰えて嬉しい! おかわりもどんどんしてください! 今日はお姉さんが大盤振る舞いしてあげます!」 ベルリ「なんじゃとて!? じゃあかつ丼10杯ごちなりあす!」 スレッタ「じゅじゅ10!? そんなに食べたらお腹爆発しませんかっ」 ベルリ「と言うのはうっそー」 スレッタ「嘘ぉ!? おおお姉さんをからかうと罰が当たりますよ! 罰が!」 ベルリ「あはは」 ベルリ(打ち解けた雰囲気で食事ができそうだ) ベルリ「あー美味しかった」腹をさする スレッタ「ベルリのお口にあって本当に良かった。これでやりたいことリストをまた一つ叶えました!」 ベルリ「さっきの買い物中に端末をいじっていたのはそれが関係してたんだ?」 スレッタ「うん。兄弟がいると聞いてからこうして一緒に遊びに行くのが夢でした。シャンクにも乗ってみたくって。このお店もミオリネさんが――」 スレッタがうつむく ベルリ「いいよ続けて続けて」 スレッタ「引っ越してすぐミオリネさんが教えてくれたんです。ここ穴場らしいから連れてきたらって。私が皆と打ち解けられるように家族と街の事を調べてくれてたんですね」 スレッタ「……ほ、本当、は、自分でも仕返しが行き過ぎてるって分かってるんです…。だけど誰かの役に立たなきゃ、そして褒められたい、それがミオリネさんからであってほしい、ミオリネさんを守らなきゃって気持ちで、頭が一杯で。いつの間にかわーとなって」 スレッタ「そうして気づいたら……」 膝の上で手を固く握るスレッタ スレッタ「ベルリには本当にごめんなさい。他の皆にだって酷いこと、しました」 ベルリ(ああそうか。分かったぞ放っとけなかった理由が)
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571 :ベルリとスレッタの仲直り 3/5[sage]:2023/01/12(木) 21:55:22.92 ID:3izfe7/40 - ベルリ「やり方は過激だけど少し昔の僕と似ている気がする」
スレッタ「ベルリが? 私と?」 ベルリ「僕の育ての母―ウィルミットさんというんだけど―ある時その人が実の母親ではないのを知ったとき、勉強も運動ももっともっと頑張らなきゃって思ったんだ」 自分のコップの氷をいじる ベルリ「今にして思えば、だけど、小さいなりに成果を出して運行長官の息子であることとガンダム家の一員であることを一度に証明しようとしてたんだな」 スレッタ「そんなことがあったんだ…。でも今のベルリは自然体に見えます。どうして?」 スレッタが身を乗り出す ベルリ「一つは行き詰まりを感じてる時に家族に会ったから。テリトリィに偶然セレーネ姉さんが出張で滞在してたんだよね」 ベルリ「話をして自分が一族から厄介払いされたわけではなくて、義母も僕を預けられて困っているわけじゃないって分かって、それからは義母と兄弟の存在が僕の誇りになった」 ベルリ「あとの一つは、それからしばらくして海賊に攫われたことだなあ。金星の近くまで連れていかれて――」 スレッタ「えええ!? ニュースになってたあの事件、ベルリが人質だったんですか?」 ベルリ「順調にキャピタル・ガードになる道を外れてしまったけど、結果的に世界には色んな人がいて知らないことが沢山あると気づいて、もっと外に目が向くようになった」 ベルリ「素人考えだけど、多分スレッタは家族が増えて人間関係が変われば環境まで違ってしまって戸惑いと焦りが出ているんだと思う」 ベルリ「それが今ある大事なものを、ミオリネを守らければって必死にさせている。だけど過激な行動に出なくたって大丈夫だよきっと」 スレッタ「……私も、もっと余裕を持てるようになりたいと思ってます。でもどうすればいいんだろう」 ベルリ「うーん僕みたいに旅に出るとか兄弟みたいに体を鍛えるとか、方法は色々? でもその前に話し合うべき人がいるよね」 スレッタの傍らの小さな紙袋を指す ベルリ「さっき買い物したそのかわいい?マスコットだってミオリネに渡したいんでしょ」 スレッタ「でもミオリネさん私の事すごい怖がってて、私なんかときっと顔を合わせたくない」 ベルリが首を傾げる ベルリ「僕はそうは思わないけど何なら尋ねてみるといいんじゃないかな、後ろで僕らを見張ってる本人に」 スレッタ「えっ」
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572 :ベルリとスレッタの仲直り 4/5[sage]:2023/01/12(木) 22:00:57.62 ID:3izfe7/40 - 席を立ってやって来るミオリネと刹那
スレッタ「ミ、ミ、ミ、ミオリネさんんー??」 ミオリネ「……」 刹那「まさか尾行に気付かれるとはな」 ベルリ「刹那が変装して完璧な追跡をしても同行者が気取られまいと不自然な動きをすれば、それがヒントになる」 スレッタ「どどdど、ど、どうして」 刹那「気を悪くしないでほしいが、一連の『事案』で姉さんはCBをはじめ各組織・機関から警戒されていたんだ。それがつい先日私闘を行った兄弟とどこかに出たらしいと情報が入った」 ベルリ「そして僕らの行き先に心当たりがないか二人の共通の知人に尋ねた、というわけだ。きっと当たりでしょ!」 刹那「そうだ。ミオリネに一人で動く方がやりやすいと説明したがついてくると言って聞かず、案の定こうなった」 ミオリネ「悪かったわね。足手まといで」 スレッタが肩を落とす スレッタ「…そっか、そうだよね。学校でしたことを考えたら誰かに監視されてもおかしくない」 スレッタ「ミオリネさんも、驚きました、よね。また暴れるかもしれないって、不安になりました、よね。だから――ぐふっ」 ミオリネに手のひらで顔を挟まれるスレッタ ミオリネ「……違う、全然違う! あんたがベルリと出掛けていると聞いたとき、私はすぐにこの店のことを思い出した!」 ミオリネ「そしてここに続く通りであんた達を見つけたとき確信した! あんたが私の言ったとおりに兄弟と仲良くするつもりなんだって! 人を傷つけるなんて思わなかった!」 スレッタ「それならどうして…」 ミオリネ「あんたが何を考えててどんな気持ちを胸にしまっているのか知りたかったからじゃない! 私を後回しにして兄弟に打ち明けようとして、何で肝心な時に私から逃げようとするのよこのヘタレ!」 スレッタの胸を叩く ミオリネ「私はあんたの花嫁なのよ? どんな時でも私を優先しなさいよ!」 スレッタがミオリネの腕を掴んで スレッタ「私だって、私だってミオリネさんにはベルリより先に私と話をしてほしかった! 隠れないでほしかった! ずっと、ずっと怖かった!」 スレッタ「こんなにミオリネさんと一緒にいたいのに、守りたかったのに、認めて貰いたかったのに、私なんか側にいない方がいいのかもって怖かった!」 ミオリネ「ごめんねスレッタ、ごめん。わたし世界で最高の花婿に寂しい思いをさせた」 スレッタ「ごめんなさいミオリネさん。世界で一番の花嫁を置き去りにしてしまって…」 かたく抱擁する二人 呆気にとられる刹那 祝いの気配に沸くギャラリー 拍手と歓声が続いた
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573 :ベルリとスレッタの仲直り 5/5[sage]:2023/01/12(木) 22:08:38.43 ID:3izfe7/40 - ミオリネ「――たとえ何時か旅に出るつもりでも私を置いて行くなんて許さないんだから。一緒じゃなきゃ絶対だめ」
スレッタ「はい。素敵なハネムーンにしましょうね、ミオリネさん」 じゃれる二人を横目に 刹那「言い争いを始めたと思えば急に抱き合ったり。良く分からないが姉さんが抱える問題の大部分は解決に向かうということで良いのか」 ベルリ「きっとそうさ。それにしても刹那は優しい所あるなあ。ミオリネに食い下がられようが撒こうと思えば簡単にできたでしょ」 刹那「無意味だ。行き先に見当をつけられている以上、振り切ったところで結局ここに辿り着かれてしまう。同行させたのは単に彼女の存在が事態を好転させる可能性に賭けた方が良いと判断したまでだ」 ベルリ(それはミオリネの人間性に信頼と期待を置かないとできない賭けだし、そもそもそんな賭けをせずとも強引なやり方でついて来させない方法はあるよね…と言いたいが素直になれない弟の為にやめておこう) スレッタとミオリネはまだ甘えあっている ベルリ「…まったくガールフレンドがいない連中のことも考えてほしいよ。それにしてもこの二人、お互いが同じくらい"そう"だからこそ釣り合っているのかもしれないけれど、本当の本当に重くて面倒くさいなあ!」 エピローグ あれからスレッタは自らのしでかした暴力行為の数々を学園に報告し謹慎処分を受けた。地球寮のメンバーの分を含めるとミオリネ達が僕に話していたよりもずっと沢山の被害を長期に渡り受けていたこと。 スレッタに報復された側は力を重んじる学園にあって一方的に叩きのめされたという不名誉を拡散されたくなかったこと。学園の方では暴力のエスカレーションを放置した責任を追及されたくないこと。 そうした多様な思惑や都合で動く各陣営と内部の人間たちの間で力学が働いて、スレッタは退学にならずに済んだようだ スレッタは謹慎中ずっと寮に留め置かれていたが、調書を取られている合間、いつも傍らで彼女を励ましたり授業に追いつけるよう親身に勉強を教えてやった伴侶がいたことは言うまでもない ――ガールフレンドがいない連中のことも考えてやれ! 未だに一部の生徒からは恐怖と警戒の目で見られるようだけど、スレッタだってそのことはよくよく覚悟しているし、時間が経てば周囲も反省したことを分かってくれるだろう。何も心配していない そういえばあの時のご飯屋さんだけど、現場に居合わせた人が仲直りの様子をネットに投稿したのがバズってデートスポット的に繁盛しているらしい いつの間にかノレドと親しくなっていたスレッタが今度は僕と4人でそこにダブルデートをしましょう、なんて息巻いてる。女の人のこういう、知らない所であっという間に仲良くなるところは僕には不思議で良く分からない それにしてもあんまり勢い込まれるのは困るなあ。そりゃノレドは大事な友達だし、ずっと助けられているけれど外からこうして突っつかれるのは気恥ずかしい おかげで最近少し会話がぎこちないしこれじゃあまるでお互い意識してるみたいだ。そうこぼしたら、今更?とミオリネに鼻で笑われた。人を悩ませるのもいい加減でやめなさいよ!【終わり】
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574 :ベルリとスレッタの仲直り 補足[sage]:2023/01/12(木) 22:19:47.25 ID:3izfe7/40 - スレッタがお姉さんぶっているのは自分の奢りをベルリが遠慮しないようにしたいからでこのSSでも特に同い年の兄弟間での序列は決まってないです
やろうと思えば姉ぶることも妹ぶることもできるはず。ベルリの過去は捏造なので過去のエピソードと食い違っていたら申し訳ない。以上です。
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