- 外専ブログを晒すスレ31
510 :名無しさん[sage]:2011/03/30(水) 16:47:20.80 ID:sfsscdJN - 昔から外専っていたんだね。「オンリーさん」(横溝正史の小説より)
『姉の豊子というひとがもうひとつ性格にしんのないひとだということでございます。 姉はわたしよりゼイタクの味になれておりますし、姉は十目の見るところ十指の指さすところ美人でとおる背などもすらりと高くとても姿のよいひとなのです。このことが姉の生涯をあやまらせました。 昭和二十二年ごろ、姉はアメリカのシヴィル将校と恋愛におちて同棲しました。わたしとちがって大胆で、解放的で、無邪気な姉は将来そのシヴィル将校と結婚できるものとばかり思っていたようです。 いえ、現にもう奥さんになったつもりで、そのひとが帰国するときは、アメリカへつれて行ってもらえるものとばかり信じていたのです。 しかし、姉のその夢は無残に破れてしまいました。昭和二十四年そのひとが姉に無断で帰国するに及んで、姉ははじめて自分がいわゆるオンリーさんにすぎなかったことを知ったのです。 それ以来、オンリーとしての姉の生活がはじまりました。つぎからつぎへと姉はアメリカ人の手に渡っていきました。姉が愛人としているひとりのアメリカ人が帰国するとき、姉はいつもつぎのアメリカ人の手にゆだねられていったのです。 こうしてなんの反省もなく、つぎからつぎへとアメリカ人の手垢にまみれて、恬然とした生活を送ってきたのです。 姉はそういう生活から足を洗う決心をしたのには、オンリーとしての姉がもつアメリカ人の愛人の質が、年齢とともに落ちてきたということが、大いに姉の自尊心を傷つけたらしいのです。 閨房におけるアメリカ人の性愛生活が、なかには非常にえげつない、変態的要求のはげしい男もあったようです。しかも、それ以外に生きかたをしらぬ姉は、唯々諾々としてそれらの要求に応じなければならなくなったのでしょう。 こういう生活を数年つづけてきた姉は、衰えが容色にあらわれないはずはございません。 シヴィル将校と同棲していたころの姉は、オンリーとしても最高級に属していたらしいのですが、男から男へと譲渡されていくうちに、姉はしだいに格の下がっていく自分に気がつき、そのことが姉の自尊心を傷つけたようでした。
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