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269 :名無しさん@どっと混む[]:2021/02/14(日) 20:41:00.69 ID:UUZd5a3c0 - 妻がマルチ商法の製品を愛用していることに不安を覚えながらも、新築の家に引っ越した。新しい家に引っ越せば妻も良い方向に変わってくれるのではないか、X社もやめてくれるのではないかという期待があった。
だが現実は逆だった。製品がひっきりなしに届き、そのうち娘が宅配業者の人の物真似をするまでになった。 家のなかはX社製品で溢れかえった。僕と妻と娘と3人で布団を並べて寝ていたが、寝室に置かれた空気清浄機の音が我慢できず、僕は寝室を別にした。 つきあいはじめた頃に妻とふたりで選んで買ったフライパンは、僕の知らないあいだに捨てられていた。 「X社の鍋セットや調理器具があれば、他のものは必要ない。X社の鍋で魚も焼けるし、ご飯も炊ける。温めることもできる。 X社の鍋は他社製品と違って栄養も逃がさない」。 そう主張する妻は、電子レンジも電磁波が危ないからと捨てようとした。僕が使うからと懇願して捨てられずにすんだが、台所に電子レンジがあることが憎くてしょうがないようだった。 炊飯器も「ご飯はX社の鍋で炊けるからいらない」と捨てようとした。新築の家には魚を焼くグリルも備え付けられていたが、妻はX社の鍋で焼くことにこだわった。X社の鍋なら魚の栄養が逃げないからと。 しかしX社の鍋は魚を焼くのに適していなかった。いつも皮が鍋底にひっつき、身も崩れてしまう。僕はカリッときれいに焼いた魚が食べたかった。 もともと料理が苦手な妻に代わって、土日は僕が料理をしていた。フライパンを捨てられ、しかたなくX社の鍋で料理をしていたが、「X社の鍋は強火で使うと鍋が壊れるから」などと細かく使い方を言われるうちに僕は料理をしなくなってしまった。 娘が好きな餃子やハンバーグを作ってあげることもなくなった。
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