- 【池泉式】日本庭園【枯山水】
455 :列島縦断名無しさん[]:2018/12/10(月) 10:40:30.30 ID:7yphfQp8 - 春日大社には、現在楼門の左側に手水場がある。鹿の像が乗った手水であり
俗っぽい。石の組み方なども雑で、低俗そのものである。 その後ろに祓戸(はらえど)神社の社があり、ここで穢れを祓ってから 参拝するのだという。ここも安普請の神社である。 両方とも現代の参拝客用のものであること言うまでもない。 春日大社では境内を川が流れている。 石で作られた水路を流れているので側溝のような感じである。 https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=25166003418 この流れの先は楼門左側・回廊の西の外れにある榎本神社である。 神社の下に土管が通っているのだろう。 https://narakanko-enjoy.com/?p=15384 神社の下に滝となって流れ出ている。青龍の滝と名付けられている。 青龍の滝では禊の会などもやっているようである。 http://www.kasugataisha.or.jp/db_pdf/H21-07-11.pdf しかし禊ぎをするような雰囲気の場所ではない。 昔は、境内の御手洗川で手を洗い身を浄めることができたという。 その頃は、楼門と奥の中門の間は建物も少なく、もっと開かれた空間だった のだろう。そこに御手洗川が流れ、一部池のようになって禊ぎをする場所に なっていたのである。 丁度下鴨神社境内の御手洗川・御手洗池のような様子だったと思われる。 ところが、その後様々な建物が立ち並び、水場を置く余地もなくなった。 そこで真っ直ぐな水路にして土管で外に排水するようになったと思われる。 境内で身を浄めるための流れであった証拠に、境内を流れる水路には、 今も御手洗川という名前がついている。
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456 :列島縦断名無しさん[]:2018/12/10(月) 11:14:24.34 ID:7yphfQp8 - 榎本神社の下に青龍の滝として流れ出た水はどこへ行くのかというと、
再び土管に流れ込んで参道の下を通るのだ。 そしてまたもや滝になって参道脇に放水されるようになっている。 明治八年にこの工事がなされたそうである。 土管から放水される場所は白藤の滝という名前がつけられているが、 放水口がまるまる見えて、とても滝と呼べるようなものではない。 https://narakanko-enjoy.com/?p=20616 しかも、流れ出る水はごく僅か。境内を流れる御手洗川の水量に比べて 少なすぎる。これはどういうことかというと、流れ出た水の大半は万葉植物園に 流れ込むと言われているのである。 言われている、というのは、誰もその流れを見たことがないからである。 万葉植物園との間は暗渠になっていて、そこを通っていくらしい。 一方、白藤の滝として放水された水はどこに行くかというと、「ささやきの小道」 から湧き出た小川の水と一緒になって飛火野を流れる川に合流するという。 御手洗川は植物園内の池に源流があるといわれるのが普通である。 それは春日大社内の流れが御手洗川としての機能を失ったので、境内の流れ を御手洗川と呼ぶ人がいなくなったためである。 さらに、植物園へ流れ込む水を誰も見たことがないので、植物園内の湧水が 源流なのだと考えて当然である。 しかし、実際は暗渠を流れてきた水なのである。
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457 :列島縦断名無しさん[]:2018/12/10(月) 11:16:15.56 ID:7yphfQp8 - 万葉植物園から流れ出た水はどこへ行くかというと、荷茶屋(にないぢゃや)
という店の脇を通る。縁台に緋毛氈を敷いた藁葺きの茶店である。 茶店の横に橋がかかっており、その下の細い流れがそうである。 川は緑の谷を深く穿って流れてゆき、渓流の風情がある。 しかし、その流れを遡ってみると万葉植物園の脇からパイプが突き出しており、 そこから流れ出ているのだ。 荷茶屋の下を流れた水は、深い森を抜けて飛火野に入っていくというので あるが、それも誰も見たことがない。 この流れは途中で消滅し、その先は分からない。 飛火野は奈良公園西側の広大な園地。 別名は春日野である。今は大地も乾燥して芝生の園地になり、鹿がたくさんいる。 奈良公園の典型的な風景である。 一面の芝地であり、写真などでは平らに見えるが、実際はかなり起伏に富む。 公園化されたときにかなり平坦にされているのだろうが、それでも元々は 尾根筋と沢があったのが分かる。 ここを流れる川は、沢筋を流れる昔からの流れでなく人間の作った水路である。 平らな場所をほぼ一直線に掘り通した水路を水が流れていく。 一直線といっても、さすがに公園の中であるから、自然の流れを演出してゆるやかに カーブを連続させてある。ただ、そのカーブのさせ方が規則的である。 高いところを通している場所もあるので、ときに低地に伏流水が噴出することも あるそうだ。 この地が今のような芝地になったのは明治以降公園が出来てからで、江戸時代は 森だったという。 http://www5.kcn.ne.jp/~book-h/mm066.html 森だった感じはこのあたりから想像できるのでは。 ささやきの小道 こういう森が今の飛火野全体に広がっていた。 https://asunara.jp/magazine/scene/2017/01/sasayaki-komichi/
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458 :列島縦断名無しさん[]:2018/12/10(月) 11:42:49.55 ID:7yphfQp8 - 飛火野を抜けた御手洗川は、バス通りの下をくぐって浅茅ヶ原園地に流れ込む。
浅茅ヶ原園地は春日大社の一の鳥居の右手に広がる野原や疎林である。 中心部分は浮見堂で有名な鷺池である。 この池に御手洗川が流れ込むのであるが、御手洗川だけでこの池を満たすことは 無理と思える。案の定、他に奈良町エリアを暗渠として潜り抜ける「率川」水系の 流れも流入しているらしい。公園化されたのは大正七年。 それ以前は淺茅の生え茂る大湿原だったらしい。 無数の湧水と透き通った池があり、小川があちこちを流れていた。 春になると小川の周囲に花が咲き乱れ、万葉人の行楽地だった。 春日野の浅茅が上に思うどち 遊ぶ今日の日忘れえめやも (万葉集) という歌がある。 淺茅ヶ原ではなく、淺茅が上というのだから、湿原の周辺の野原で遊んだという ことだろう。 水辺で芹などを摘んだりもしたのだろうが、茅萱の花穂(ツバナ)は甘いのである。 菰なども昔は食用にしたという。 njun-ouhi-sinkokyu.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-ba5a.html 鷺池を出た水は荒池の方へ流れ行き、奈良ホテル前の西池を満たす。その後は 興福寺の方向へ流れ、猿沢の池に流入するのである。 淺茅ヶ原や飛火野をゆく川は途中名前も変わり、姿を消したり現れたりする。 奈良公園内の川は自然の流水ではない。 完全に管理されており、暗渠になっている場所が何カ所もある。 だから昔の形は分からないのである。 川のみならず池もまた昔からあったものとは限らない。 景観作りという思惑もかなり影響しているように思われる。 http://agua.jpn.org/tour/t2b.htm 飛火野の風景 https://narakanko-enjoy.com/?p=8721 昔は広大な森であったことや、背後に神奈備山を控えていること、池や川が多いこと など、上賀茂神社の上の(今はゴルフ場になった)森に似ている。
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459 :列島縦断名無しさん[]:2018/12/10(月) 11:55:17.49 ID:7yphfQp8 - では、そもそも春日大社境内の御手洗川の水はどこから来るのか。
水谷川という境内の端を通る川がある。 春日大社の境内に水谷道(みずやみち)という北に向かう道があり、その道を 三分ほど歩いて突き当たったところに水谷(みずや)神社がある。 社のすぐ脇に橋があり、その下を流れるのが水谷川である。 御手洗川は、実はこの水谷川の上流から分水した疎水なのである。 https://blog.goo.ne.jp/primeurs-4/e/0eccf7aa069720d774505c58183ef5ac まず水谷神社について。春日大社の摂社である。 この神社は、水谷川の上流にある上水谷神社の下社で、上水谷神社というのが 本来の水谷神社である。 本来の水谷神社は御笠山と隣の若草山の間の谷を登っていったところにある。 今は小さな祠があるだけである。 そこでは参拝客が誰も来ないので、出店のような形で今のところに社殿を作った ということだろう。 本来はこうした場所にあった。 https://ameblo.jp/uhk81507/entry-11712417215.html おそらくは川の守り神で、水神や龍神を祀る社だったのだろう。 (江戸時代は牛頭天王を祀り、病気を治す神として人気があったらしい。)。 昔は社が七つもあったという。それは江戸時代の牛頭天王社の頃の話だろう。 この水場は、昔は水量が多く、滝ももっと大きかったと思われる。 東大寺や興福寺の僧が修行する場所だったということである。 上水谷神社から水谷川をさらに遡ると春日山原始林の遊歩道とぶつかり、そこを 数百メートル登ったところに「月日の磐」という丸い岩がある。 このあたりに堰を作り、分水して流れてきたのが春日大社境内の御手洗川である。 https://blog.goo.ne.jp/primeurs-4/e/0eccf7aa069720d774505c58183ef5ac
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