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100 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2024/01/19(金) 15:16:44.32 ID:uyXKywIi - >>93にあるゲーム『モナーク』から、「クロムウェル」という人物と「憂鬱の悪魔」の話。
大昔、「クロムウェル」という謎の人物がいた。 クロムウェルは異界の研究者であり探索者でもあり、「憂鬱の悪魔」という悪魔を相棒にして異界を深く旅していたらしく、彼の書き遺した大量の研究データや手記や日記などの文献が異界のあちこちに散乱している。 それらを拾い集めて繋ぎ合わせていくと、彼の正体が垣間見えてくる。 「かつて神が降り立った」と言い伝えられる土地が存在していた。 その土地は異界へと繋がっており、異界には人間の願いを叶える怪異「悪魔」が存在しているらしい。 とある一族が「神を異界へと封印」し、そのままその土地を代々管理して守護してきており、神や悪魔や異界の存在を秘匿していた。 クロムウェルは謎の「組織」に所属するエージェントであり、異界から利益を得ることを企む組織から「神が降り立った地」の調査を命じられた。 件の地へ潜入したクロムウェルだったが、「運命の女性」に出会って恋に落ちてしまう。 「彼女」は異界を守る「一族」の末裔であり、組織に所属するクロムウェルとは対になる立場だった。 クロムウェルは全てを捨ててでも彼女と結ばれる決断をし、名を変え、姿を変え、別人に生まれ変わった。 「これからは、彼女と二人で、この地を守って生きていこう」 クロムウェルの手記はそう大団円で締め括られる、かに見えた。 しかし、次の手記は「彼女が死んだ」という一文から始まる。 何があったのかは不明だが、彼女は若くしてこの世を去ったのだ。 クロムウェルは「悪魔」に縋ってでも愛する彼女を生き返らせることを「願った」。 クロムウェルが異界で最初に出会って契約を交わしたのは「憂鬱の悪魔」という女性型の悪魔だった。 憂鬱の悪魔は「万物の存在の“有無”を操る」という強大な能力を待っており、無から有を創造し、その逆も可能だった。 憂鬱の悪魔はクロムウェルの願いに応じ、彼女の肉体を創造した。 それは確かに彼女の肉体だったが、そこに彼女の魂は宿っておらず、ただの肉の人形に過ぎなかった。 「万物の存在の“有無”を操る」程の悪魔の力をもってしても彼女を生き返らせることは叶わない。 ならば、悪魔よりも上位の存在、「神」の力ならどうだ? こうしてクロムウェルは言い伝えに有る「封印されし神」を探し求めて異界を彷徨い始めた。 気が遠くなるほどの研究と探索、数多の怪異や悪魔と戦い、そして果てしない旅の末に、ついにクロムウェルは封印されし「神」のもとへと辿り着いた。 クロムウェルは「神」と対話し、彼女を完璧に生き返らせることが可能であることを知る。 「神」も、その願いを叶えることを快く承諾してくれた。 だがクロムウェルは、悲願の成就を目前にして、 「諦めた」。 神に何も願わず、ただ絶望と悲しみに包まれながらその場を後にしたのだ。 手記はここで終わっており、その後は記されていない。
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