- 司法試験雑談スレ■02
889 :氏名黙秘[sage]:2020/06/29(月) 19:47:53.13 ID:U7A+X8Wp - 取消訴訟の提訴期間経過後も,公定力は消滅しない。
仮に消滅するとすれば,私人の提訴懈怠によって公定力が排除できることになるが, それは不当だろう。 公定力の定義を確認しておくと, 「行政処分の効力については,それが違法であっても当然に無効とはならず, 権限ある機関によって取り消されない限り,原則として有効として扱われる。 以上の効力のことを,公定力という。」 ※上記の定義は,「行政法 第6版」(櫻井,橋本 弘文堂)のP.320を参考にした。 したがって,争訟によらなくても,行政庁が職権取消しを行えば,公定力は消滅する。 この公定力の問題の他に,救済ルートとしての訴訟選択の問題がある。 周知のとおり,提訴期間の間は,訴訟によって処分の効力を消滅させるためには, 原則として取消訴訟を提起する必要がある(排他的管轄)。 しかし,そこで想定される行政処分の瑕疵とは, 「取り消されるまでは有効と扱って差し支えない程度の瑕疵」(取消事由たる瑕疵)である。 反面,取消訴訟を経由しないでも無効と扱うことができるような重い瑕疵(無効事由たる瑕疵)については, 無効な行政行為として取消訴訟の排他的管轄に服しない,すなわち公定力が及ばない, ということが言える。 ※以上の記載については,前記文献のP.90-91を参考にした。 なお,「取消訴訟の提訴期間内に無効確認訴訟を提起した場合」の裁判所の判断については, おそらくは議論が深まっていないと思う。 私見だが,この場合には取消訴訟の排他的管轄が優先し,「訴えの変更」をすべきということになるのではないか。
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