- 刑法の勉強法■58
264 :氏名黙秘[sage]:2019/07/17(水) 11:42:46.12 ID:hbc9wpAs - 行為意思ノート
山口厚 p43「行為意思自体は、故意・過失の要素ではなく、行為の要素と解することが適当であり、 行為から意思的要素を除外しては行為意思を認めることが困難になろう。」 p98「行使の目的は、行使という行為を行う意思(行為意思)として、行使による法益侵害の 危険を基礎付けている。」 p98「未遂犯における既遂結果惹起の意思(既遂行為意思)も、これと同じ意味で、未遂犯の 処罰根拠である既遂の危険を基礎付けるものとして、主観的違法要素である。」 p214−5「このような見解(認容説)に対しては、故意を認めるために意思的要素が必要だと しても、それは「行為にでる」意思である行為意思(これは行為の要素である)にすでに含まれ ており、その意思に担われた行為者の心理内容が故意といえるものか否かが問題なのだから そのような心理内容を確定する際に再び意思的要素を持ち出すことはできないという批判が 可能である。 p215「意思的要素は行為意思として考慮済みであり、故意の有無にとっては行為者の認識 内容が問題である以上、この見解(認識説)が基本的に妥当だと思われる。」 p215「構成要件の実現が行為者の意識ないし意思過程に取り込まれ、それにもかかわらず 行為意思が現実化したかを基準とすることが妥当ではないかと思われる。」 p285「このような現実的・客観的危険発生の判断に際しては、行為者の法益侵害惹起行為を 行おうとする行為意思が考慮され、この意味で、行為の要素である行為意思は主観的違法 要素である。たとえば、被害者に拳銃を向けて引き金に指をかけている場合、引き金を引く 意思があれば、拳銃が発射される現実的危険が生じ、殺人未遂の成立を肯定することが できる。」
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265 :氏名黙秘[sage]:2019/07/17(水) 11:47:52.49 ID:hbc9wpAs - 佐伯仁志
p109「この場合に、標的となっている人の生命に対する危険を左右しているのは、殺人の故意 ではなく、狙いをつけて引き金を引こうとする行為意思なのである。」 p239「認識説が要求する意思的要素とは、犯罪事実を認識しながら行為に出れば常に認めら れる行為意思にすぎない。」 p248「認識説・蓋然性説が要求する行為意思は、故意の要素ではなく、行為の要素に位置 づけられるべきものである。」 p385「人に向かってピストルの引き金を引こうとしていれば、その人を熊だと思っていても、 つまり殺人の故意がなくとも、人を殺害する危険は存在しているのであって、行為の危険性を 基礎づけているのは故意ではなく行為意思である。」 西田典之 p89「行使の目的と同様に、未遂犯における故意(正確には行為意思)も主観的超過要素・ 違法要素である。」 p213「甲の「引き金を引く意思」、厳密にいえば、次の行為をしようとする「行為意思」が主観的 違法要素である。」 井田良 p6「刑法の本質的機能は、このような形での(言語を手段とする)人の行為意思への働きかけ による行為統制である。」 p33「刑法は、人々の行為意思に働きかけ、違法行為を行う行為意思を捨てさせることにより 犯罪を防止するために存在する。」 p168「過失犯についても、規範による働きかけの対象がなければならない。それは過失行為 における行為意思にほかならない。規範による行為統制という観点からは、過失行為における 行為意思は決定的な法的重要性を有する。」 p252「意思決定という場合の「意思」は、故意犯においては故意であり、過失犯においては、 犯罪結果に向けられていない行為意思のことである。」 p468「中止行為に向けられた行為意思は、主観的違法(減少)要素である。」
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266 :氏名黙秘[sage]:2019/07/17(水) 11:55:09.81 ID:hbc9wpAs - 曽根威彦
p95「行為とは、一般には、何らかの社会的に意味のある人の態度による外界の変更をいい、 犯罪の概念要素としての行為は、そのうち意思による支配可能なもののみを指す。このように、 一般的な行為概念を限定する機能をもつ意思を「行為意思」と呼ぶ。」 p96「行為意思は、主観的構成要件に該当することによって(構成要件的)故意・過失と評価され、 さらに責任要件(責任能力・責任条件)を備えることによって最終的に犯罪意思との評価を受ける ことになるのである。」 p322「西田213頁は、故意ではなく、例えば、引き金を引こうとする「行為意思」が主観的違法要素 であるとする。たしかに、行為意思は行為の要素であって責任評価の対象とはなりうるが、違法要素 となるのはあくまでも引き金を引くという外部的行動自体であって、その意思ではないであろう。」 p471「法益侵害の危険性を基礎づけているのは、故意(または行為意思)に基づく「行為(ないし挙動)」 それ自体であって、故意(または行為意思)そのものではない。行為の危険性の程度という意味では、 故意の内容、行為意思の有無によって差は生じてこないのである。」 高橋則夫 p81「社会的行為論によれば、行為の社会的意味が中核的要素となるが、行為の社会的意味 内容を把握するためには、行為を社会的に発動するための行為意思を考慮することが必要となる。 行為意思は、故意とは異なり、行為を動かす動的な意思であり、その意思内容も行為そのもの (たとえば、ある方向に向けて銃を発射すること、ある物を盗ること)の範囲を超えないものである。」 p252「法は命令として作用する。命令は人の意思に働きかけるのであるから、「行為意思」が重要な 役割を果たすことになる。」 松原芳博 p104「未遂犯のうち「着手未遂」も、目的犯と同様の構造をもっている。たとえば、人に銃を向ける 行為に、人の生命に対する危険があるかどうかは、引金を引く意思があるかどうかに依存している。 それゆえ、引金を引くという「行為意思」は、「目的」と同じく以後の事態の推移を決定づける意義を もった主観的違法要素であり、違法構成要件に属する。」
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