- 刑法の勉強法■57
947 :元ヴェテ参上[sage]:2019/03/17(日) 08:55:22.24 ID:RM7kGtvd - オイラも浅田説は重要だと思うよ。
山中敬一は「むしろ、どのような刑事政策を志向するかによって、刑法理論の理念型を分類す るのが、その理解に役立つ」という観点から、今日のわが国の刑法理論を次の3つに大別する (山中47−9頁) (1) 謙抑的刑事政策志向刑法理論 これは、現在の国家権力を「悪」と捉える立場から、現在の国家社会への再社会化を目的とす る特別予防に対して警戒感をもち、むしろ、消極的な意味での応報主義的な刑事政策を志向 する立場である。 また、古典的自由主義的社会観にもとづき、刑罰を害悪とみて、それをなるべく謙抑的に行使 すべきだとする立場である(19世紀的市民社会モデル) この立場からは、犯罪論においても、犯罪の成立範囲を狭く限定しようとし、謙抑主義を強調し 刑法の人権保障機能を重視する。それを担保するため、客観主義的・結果無価値的犯罪論 体系が目指される。 佐伯(千)、中山、内藤、曽根、【浅田】がこれに属する。 (2) 行為規範的特別予防志向刑法理論 行為規範としての刑法の機能を刑法理論の中心に据え、行為無価値論を承認する刑法理論 を採用する。 小野、団藤、大塚、福田、大谷、川端、野村、佐久間がこれに属する。 (3) 経験的一般予防志向刑法理論 刑法を社会コントロールの手段と捉え、犯罪抑止を目的とするものであるということから出発す る。結果無価値を中心に、犯罪の成立要件も厳格に解され、一般予防の枠内で、機能的・合理 的に必要な限りで処罰する、という思想に裏打ちされている。 平野、町野、前田、林幹人、山口がこれに属する。 (2)は行為無価値論の系譜であり、(3)は所謂東大結果無価値である。この両者のグルーピング は周知のもので理解しやすいが、(1)について語られることは少ない。
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