- 刑法の勉強法■56 [無断転載禁止]©2ch.net
380 :元ヴェテ参上[sage]:2017/04/21(金) 19:47:36.49 ID:Hu8wr/V+ - 「生命保続可能性」メモ
学説には、母体外で独立して生命を保続する可能性のない段階で排出された 「胎児」は、まだ「人」でないとする見解がある(町野・前田・林・山口探究 木村光江)。その根拠は、母体保護法が適用可能な時期には、堕胎罪の保護の 対象であり、堕胎罪で評価し尽くされているのであり、一律に「人」であるこ とを否定するというのである。 これに対して、通説は、生育可能性のない嬰児も人であるとする(大塚・山中 など)。通説が妥当である。人の始期は、一部露出時であり、それ以降は、 胎児ではないのはもちろん、生育・生命保続可能性のいかんを問わず、「人」 であることに変わりはない。 「人」であることを前提にしても、医学的に生命保続可能性がなければ不作為犯 は成立しないと解すべきである。作為義務を認めることはおよそ困難だからである。 しかし、作為により積極的に攻撃した場合には、当初の危険が実現したわけ ではなく、生命保続可能性がない嬰児に対してであっても殺人罪が成立する (大谷・原田) これに対して、違法な堕胎の結果生まれてきた生育能力がない胎児は、結局 死亡せざるを得ないから、それを積極的に殺害する行為まで、「胎児殺の 概念中に含めうる」として、作為による殺害についても殺人罪は成立しない という見解があるが(金沢・堀内・西田)、不当である。
|
- 刑法の勉強法■56 [無断転載禁止]©2ch.net
383 :元ヴェテ参上[sage]:2017/04/21(金) 20:18:30.12 ID:Hu8wr/V+ - >>382
そう。 金沢文雄・広島法学10巻4号27頁 原田國男・最判解昭和63年度13頁 不親切ですまんかった。
|
- 刑法の勉強法■56 [無断転載禁止]©2ch.net
384 :元ヴェテ参上[sage]:2017/04/21(金) 21:08:43.50 ID:Hu8wr/V+ - 凶器準備集合罪ー保護法益とその解釈論的帰結
1 はじめに 各犯罪類型の保護法益をどのように捉えるかによって、個々の解釈論が大きく 左右される場合がある。凶器準備集合罪は、その典型であり、マイナーな論点 ながら、ここで取り上げる所以である。 2 保護法益 @本罪を騒乱罪の予備罪的なものと解し、公共的な社会生活の平穏という社会 的法益であるとする説(公共危険罪説=藤木・中) A殺人罪・傷害罪・器物損壊罪等の共同予備行為を処罰することによる個人の 生命・身体・財産の安全という個人的法益であるとする説(予備罪説=瀧川) B両者の性質を併有するとする二元説(通説。昭和58年6月23日=アド センター事件)。ただしB説の中でも、個人的法益を優先させる立場が多数説 である(大谷・曽根など) 3 加害の対象 A説によれば、殺人・傷害・器物損壊などの個人的法益に限ることになる (中山・内田・平川・大谷) @説によれば、放火罪のような社会的法益に対する罪、公務執行妨害罪の ような国家的法益に対する罪も含む(アドセンター事件、大塚・中森・西田) 4 犯罪の終了時期 A説をとれば、加害行為の実行行為に至れば、予備罪が成立する余地がなく、 犯罪は終了したと解することになる。 @説をとれば、集団が解散しない限り危険が存続しているから、その後も本罪 が継続することになる。 5 罪数関係 A説によれば、本罪から加害行為に発展した場合には、それらの犯罪と本罪 とは牽連関係に立つ。 @説によれば、公共危険罪であり、罪質が異なるので、併合罪となる。
|