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◆i1BeVxv./w
龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w
スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2

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スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2
504 : ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/09/09(火) 00:20:46 ID:t/ysGjtu0
ただいまより投下いたします。
スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2
505 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/09/09(火) 00:22:20 ID:t/ysGjtu0
ズシャン!!

 何かが砕ける音。何かが潰れる音。交じり合った二つの音は空気を震わせ、映士の鼓膜を震えさせた。
「ウメコ!!」
 映士は音の発生源となった女性の名前を叫び、彼女の元へと急ぎ駆け寄る。
 瞬く間にウメコの側へと移動する映士。だが、そのあまりにも無残な姿に助け起こそうとした映士の手は彼女に触れることなく止まる。
 倒れ伏すウメコの頭からは赤い鮮血が勢いよく噴き出し、大地を浸食していた。血の広がりは頭部を中心としたものだ。
 うつ伏せに倒れたウメコから彼女の表情をうかがい知ることはできないが、その顔が表情など作れないものであることは容易に想像ができる。
 映士は伸ばした手を肩口から首筋へと移動させ、脈を確認した。予想されたことだが、既に脈は途絶えている。
「ウメコ……」
 ボソリと死んでしまった仲間の名前を呟き、映士は呆然と佇む。
 思い出されるのはウメコの笑顔。極限状態でありながらも、恐怖に負けず、周りを元気にしてくれる強い笑顔。
 その笑顔を映士はおろか、彼女が語ったデカレンジャーの仲間たちも、もう二度と見ることができないと思うと、怒りと悲しみが心の底からこみ上げてくる。
「ちくしょ……ちくしょーーー!」
 映士はこみ上げる感情の赴くままに、空に向けて叫んでいた。



 映士はウメコから自分が貸していた銀色のジャケットを脱がす。
 そして、彼女の身を正すと、顔を隠すようそのジャケットを彼女へと掛けた。
 それが今、映士ができる精一杯の葬りだった。
「すまねぇな。この戦いが終わったら、必ず墓を造りに来る」
 手と手を合わし、黙祷を捧げる。
「……さて」
 やがて、ゆっくりと開かれた映士の眼。その眼は一刻前と比べ、鋭さが増していた。

――怪しいのはあの人形だ。――

 壬琴の言葉が頭によぎる。
 始めは壬琴に殴られたこともあり、冷静に考えられなかったが、今は違う。

スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2
506 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/09/09(火) 00:23:12 ID:t/ysGjtu0
(転送機能を持ったプレシャス。人形のような生命体。どちらもありうる話だぜ)
 映士はディパックから悪魔の姿を模した人形を取り出す。
(チマチマしたのは性に合わねぇ)
「おい、お前!お前がウメコを殺したのか!」
 人形に激しく詰問する映士。だが、人形は微動だにしない。
「答えろ!」
 声を張り上げるが、一切反応を返さない人形。だが、その程度のことは折込済みだ。
 映士は懐からスコープショットを取り出し、仕込まれたナイフを顕にする。
「いいか、今から3つ数える。それまでに動かないなら、お前をバラバラに切り裂いてやる!
 これは脅しじゃねぇ、お前が本当に人形であっても、それならそれで八つ当たりには丁度いいしな。
 いくぜ!……いーち!」
 映士はナイフをゆっくりと振り上げる。
「にーーー」
 左手は逃げられるようしっかりと人形の身体に食い込んでいる。
「さーーー」
 そして、映士は人形の額目掛け、ナイフを――
「ま、待つデビ。ビビデビが殺したわけじゃないデビ。ナ、ナイフを下ろすデビ〜」
「やっぱりテメェ動けやがるのか」
 映士は力の限り、人形――ビビデビを地面に叩きつけた。
「ぐぇ」
 続けざまに、逃げようとするビビデビを踏みつけ、その動きを封じる。
「さて、話してもらうぜ。お前の目的をな」
「い、言うから少し緩めて欲しいデビ。これじゃあ、苦しくて喋られないデビよ」
「心配しなくても、しっかりと俺様には聞こえてる。さっさと洗いざらい喋りやがれ」
 更に体重を加える映士に、ビビデビは蛙が潰れたような悲鳴を上げた。
「ぐぇぇぇっ〜、わ、わかったデビ〜」
 ポツリとポツリと喋り始めるビビデビ。
 自分がネジレジアという組織の一員だったこと。
 組織崩壊の折に死んだと思ったが、気づくとロンの元に居たこと。
 ロンに命令され、殺し合いを円滑に進ませることができれば、ネジレジアの復興を約束されたこと。

スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2
507 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/09/09(火) 00:24:14 ID:t/ysGjtu0
 そして、隙を見て、ウメコと菜摘を適当な場所へ移動させたこと。
「なるほどな」
「ビビィ〜、全部話したデビ。早く解放するデビ〜」
「ふざけるんじゃねぇ!直接手を下したわけじゃねぇが、それでもお前はウメコの仇には違いねぇ」
 益々、足に力を込める映士。ビビデビの身体が大地へとめり込みはじめる。
 その時、映士の脳内に声が鳴り響いた。

――皆さんおはようございます。この六時間いかがお過ごしだったでしょうか? ――

(これはロンの声か。あの野郎、こんな術まで使いやがる)
 それはロンが参加者全員へと語りかける定時の放送。
 語られるは死者の名前と禁止エリア。
「なっ!」
 死者として挙がった聞き覚えのある名前に、ビビデビを拘束する足の力が緩まった。
 それ幸いとビビデビは飛び上がり、何事かショックを受けているような映士の顔を見た。
「まさか真墨まで」
「知り合いが死んだデビか?」
「うるせっ!」
 ロンの放送はしっかりとビビデビの耳にも届いていた。
 誰が生きようと死のうと、ビビデビにはどうでもいいことだが、それを聞いたであろう映士の様子は非常に滑稽で笑えた。
「ビビィ〜!なら、お前が優勝すればいいデビ。優勝すれば、ロンが願い事を叶えてくれるデビ。どうしてもというなら、ビビデビが協力してやってもいいデビよ」
 ビビデビにとって、誰かを優勝させることが目的。それが映士でもビビデビには構わないのだ。
 しかし、それは映士にとって、魅力的な提案ではなく、火に油を注いだようなものだった。
「なら、お望み通り、ぶっ殺してやるぜ!」
 ナイフを手に、映士はビビデビへと襲いかかる。
「ちょ、ちょっと待つデビ。ビビデビは参加者に含まれていないデビ。ビビデビを殺しても仕方ないデビ」
「うるせぇ!」
 激昂しながらも映士の動きは洗練されていた。
 ビビデビの動きの先を読み、あっという間に彼の身体を、文字通り手中に収める。
「わ、わ、わ、わかった、わかったデビ。なら、お前らの脱出の手助けをしてやるデビ。だから、ビビデビを殺さないで欲しいデビ」

スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2
508 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/09/09(火) 00:25:57 ID:t/ysGjtu0
「脱出の手助けだ?お前に何ができる」
「ビビデビには女に使ったように転送能力があるデビ。それを使えば、お前たちを脱出させることができるデビ〜」
 ビビデビの言葉に自然と映士の顔が引き締まる。
 ここがどこかわからなかったが、映士は今までの経験からここが結界を張られたような特殊な空間ではないかと感じていた。
 ビビデビは何かを知っている。そう確信した映士は話を合わせることにする。
「おい、それは本当か?」
「本当デビ。ここはロンが作った特殊な空間デビ。この中では外との繋がりは完全に絶たれているデビ。
 だから、この中から外への移動は流石のビビデビ様でも出来ないデビ〜。けど……」
「けど?」
 言うべきかどうか迷うビビデビ。だが、今にも襲い掛かりそうな映士の怒りが込められた眼に、やがて意を決して言葉を紡いだ。
「けど、ひとつだけ、外界と繋がっている場所があるデビ。そこがお前達が最初にいたホールデビ。そこになら、ビビデビは飛ばすことができるデビ」
「つまり、お前の力を使えば、ここから脱出することは無理だが、高みの見物を決め込んでいるロンの野郎と戦うことは出来るってわけか。なるほどな。なら、さっさと俺様をホールまで転送しやがれ!」
「今は駄目デビ。転送には多大なエネルギーを消費するデビ。さっき、女を飛ばしたばかりだから、そうデビね……あと、2……いや、3時間は必要デビ」
 参加者たちと同様、首輪ならぬ足輪が付けられているビビデビには能力制限がある。
 今、転送能力を使うのは不可能だ。もっとも3時間というのは少しでも時間を稼ぎたいビビデビの嘘だが。
「テメェ、口から出任せ言ってるわけじゃねぇだろうな?」
「信じる信じないは勝手デビ。でも、ビビデビを殺したら、きっと後悔するデビ〜」
「……ちっ、今はお前を信じるしかねぇってことか」
(ふぅ〜、助かったデビ。隙を見て、逃げ出してやるデ……)
「ビビィーーーー!?」
 映士の放ったスコープショットのアンカーロープにより、ぐるぐる巻きに拘束されるビビデビ。
「何するデビか!?」
「まだ、完全に信じたわけじゃないからな。とりあえず、その状態でディパックの中に入ってな」
 映士は抗議の言葉を口にするビビデビを無視して、ディパックへと詰める。
スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2
509 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/09/09(火) 00:26:47 ID:t/ysGjtu0
「さて、あいつらと合流しねぇとな」
 壬琴と合流するため、東へと身体を向ける映士。
 ウメコと真墨のことで頭に血が昇り、思わずホールへと飛ばすよう言ってしまったが、考えてみれば、今の映士には首輪という枷がある。
 今のままで戦ってはホールで殺された男の二の舞だ。それにビビデビの言っていることが嘘ならば、そのまま逃げられてしまうところだった。
(冷静にならねぇとな。無駄死にじゃあ、死んでいった二人に申し訳が立たねぇ)
 映士は空を見上げ、そして、後ろを振り向き、横たわるウメコを見た。
 ここがロンの造った空間だというのなら、もうウメコには会えないかも知れない。
「……じゃあな」
 様々な想いを込めた別れの言葉を告げ、映士はその場から去っていった。



 映士のディパックの中、ビビデビは二重の意味で命拾いしたことにとりあえず胸を撫で下ろしていた。
 ビビデビは参加者に明らかにされていない首輪の機能の内、盗聴の機能についてはロンから聞かされていた。
 つまり、今までの会話はロンに筒抜けということは理解していたのだ。
(あいつは中々聡い奴デビ。本当に裏切るつもりなら、口に出して会話しないと分かってくれるはずデビ)
 強がりながらも、内心は冷や汗ものだ。ビビデビが映士に話した転送能力の詳細はロン自身がビビデビに話したものだ。
 その気になれば、ビビデビは脱出するための鍵になることができるとロンは言った。
 だが、ディパックに詰められる前にロンはこう付け加えた。

――好きに行動してもらって構いません。誰を贔屓しても、誰を陥れてもいいですよ。
  あなたは支給品として、参加者たちがよりよく殺し合いが出来るように手助けして上げてください。
  もし、頑として殺し合いに乗らない参加者がいたとしたら、その時は仕方ありませんがね。
  私は参加者の意志は最大限尊重するつもりですから。参加者の意志はね。――

 強調される参加者という言葉。ビビデビはロンが何が言いたいか理解していた。
 ビビデビは――参加者ではないということ。

スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2
510 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/09/09(火) 00:28:41 ID:t/ysGjtu0
【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-4海岸 1日目 朝
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:スコープショット、ボウケンチップ、ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー、知恵の実、不明(確認済) 、基本支給品一式(映士、小梅)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:壬琴たちと合流し、ビビデビの処遇を決める。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。

【名前】ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:星獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー後
[現在地]:映士のディパックの中
[状態]:健康。1時間強の間、能力発揮不可。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンに協力し、ネジレジアの復興。
第一行動方針:チャンスが来るまでおとなしくしておく。

スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2
511 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/09/09(火) 00:29:52 ID:t/ysGjtu0
投下終了。
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