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光の国の漂流者ウルトラマンクライン6

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ウルトラマンクライン6
347 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 00:22:58 ID:klVgm+jF0
クラインではない作品は別の板で流せとのご指摘でしたが

1、板の立て方が分かりません。例え立てても誰が見てくれるでしょうか。
2、ウルトラ創作を楽しむ板がここ以外見当たりません。
3、クラインは是非完結してもらいたい。書き手の皆さんにエールを。

という理由でエピソード2を流します。断っておきますが私は荒らしではありませんし、
どっかからネタをパクって流してるわけでもないです。
クラインの書き手の皆さんと同じくメビウスが盛り上がったので感化されて書いただけです。

ウルトラマンクライン6
348 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 00:29:20 ID:klVgm+jF0
 ウルトラマンイオ2−1『迷走』
 「撃ちたいなら撃てぇ!!」
 そう言い放つシンジの剣幕に硬直する男性隊員。その隊員の脇を抜け、立ち去ろうとするシンジ。
 「待ちなさい!本当に撃ちますよ!」
 女性隊員がシンジの背中に向かって照準を合わせる。その声に我に返った男性隊員があわてて制止する。
 「やめろ、一般人だったらどうするんだ!」
 「一般人なわけありません!」
 「いいからとにかく銃を降ろせ。」
 その言葉に渋々従う女性隊員。小さくうなずき、シンジに視線を戻す男性隊員。
 「きみ、お願いだ。ちょっと話を聞かせてくれないか?」
 ガイズ隊員のやり取りの中、無言のまま下山の道に向かうシンジ。そして朝もやに溶けるように姿を消した。
 「消えた?」
 「消えましたね。」
 顔を見合わせる両隊員。
               −−−−−<>−−−−−
 ガイズ・ジャパン総本部の司令室。シンジと遭遇した隊員二名が事例報告に訪れていた。
 「すると何かね、コンノ君。その男性は突然現れて、また突然消えたと、そういう解釈でいいのかね。」
 「はい・・・、まあ早い話そうなりますかね。」
 コンノと呼ばれた男性隊員の頼りない返事が返ってくる。
 「それで、その謎の男性が今回の事例に何か関係しているのではないか、とまあこういう訳だね。」
 「はい、そういう事になります。」
 コンノ隊員はにこやかに答える。
 「当たり前だ、ばか者!!」
 机を叩き一喝する司令。目をまるくするコンノ隊員、女性隊員は終始目線を床に向けている。
 「いいかね、宇宙船が墜落した現場が約三キロ四方に渡って焼け野原のようになっているんだぞ!」
 「そんな場所に偶然居あわせる人間がいると思うかね?例え宇宙人でなくとも重要参考人であるという事が、君には分からないのかね。」
ウルトラマンクライン6
349 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 00:32:49 ID:klVgm+jF0
 お目玉をもらい小さくなるコンノ隊員。その姿を見てクスクスと笑う女性隊員。
 「笑ってる場合ではないですよ、ミツウラくん。」
 「失礼しました。」
 顔をあげるミツウラ隊員。
 「で、どうなんだね君の見解は?」
 「発砲する時間はありましたので、威嚇射撃で様子を見る事は出来たと思います。」
 キッパリと言いきるミツウラ。うろたえるコンノ。
 「ほほう、では何故撃たなかったのだねコンノ君。」
 「え〜その〜何て言いますか、まさか消えていなくなるなんて思わなかったものですから・・・。」
 冷たい眼差しで見下ろす司令。
 「びびってました。」
 親指でコンノを指し、口をはさむミツウラ。
 「な、何て事言うんだよ、お前は!」
 とっさに反論するコンノ。
 「事実です。」
 「事実じゃありません、けっして事実じゃありません。」
 目くじらを立てて怒りだすコンノ。
 「れっきとした事実です。この、チキン野郎。」
 司令そっちのけで口喧嘩を始め出す二人。
 「君達いい加減にしろ!」
 司令の一喝で直立不動になる二人。
 「とにかく君達二人は実際に顔を目撃しているんだ、モンタージュを作成して必ず探し出せ。・・・わかったな!」
 「了解!」
 司令室を立ち去りながらも睨み会うコンノ、ミツウラの両名。その光景を遠目にため息をつく司令。
 「大丈夫か、あいつ等・・・。」
               −−−−−<>−−−−−
ウルトラマンクライン6
350 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 00:48:39 ID:klVgm+jF0
 市内の公立図書館。シンジは地球人の文化や歴史について学ぶべく、何十冊もの書籍を脇に置き、超速で読破していた。
 (これはヒドイ、ほとんど戦争の歴史じゃないか。)
 パラパラとめくり始めるシンジ、だんだんと険しくなる表情、そしてあるページで手が止まった。
 「か・・・核だって!」
 思わず大声を張り上げてしまったシンジ、周りの人間が一斉に振り向き、冷ややかな視線を浴びせる。
 (うっ・・・またあの嫌な目だ、やめろ、その目で見るのはよせ!)
 シンジはその場にいるのがいたたまれなくなり、書籍を片づけ出した。
 最後の一冊を戻しにきた棚で女性が棚の一番上の書籍に手を伸ばし必死に背伸びをしている。その微笑ましい姿がシンジの顔に笑みを戻していた。
 「どれを取ればいいですか?」
 「あっ、すみません。そこの、はい、それを、ありがとうございます。」
 「易学」と書かれた書籍を渡してあげるとシンジはその場を立ち去ろうとした。
 「あの、ちょっと待って下さい。」
 女性は心配そうな顔をしてシンジを呼び止めた。
 「えっ?」
 何事かと思い、振り返るシンジ。
 「あの、何かとても思いつめた顔をしています。私でよければ話を伺いますが・・・。」
 「えっ何故・・・。」
 シンジはこの不思議な女性に興味を持った。
 「私こう見えても占い師の仕事をしているんです。まだ未熟者なんですけど、大抵の事は分かるんですよ。例えばズバリあなた!」
ウルトラマンクライン6
351 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:01:27 ID:klVgm+jF0
 そう言って人さし指でシンジの顔を指す。
 (ま、まさか僕の正体を?)
 シンジはドギマギしながら次の言葉を待つ。
 「ズバリ道に迷ってますね、これから先どうすれば良いか。とても困ってます。」
 シンジはホッとして、安堵の表情を浮かべた。
 「びっくりさせないで下さいよ〜。」
 「あれ、違いました?」
 女性は予想に反した反応に苦笑いを浮かべた。
 「いえ、当たってます。すごい、どうして分かったんですか?」
 シンジは女性の両肩を掴み興奮した表情で問い正す。
 「オホンッ」
 どこからか聞こえる咳払い。
 「あ、あの〜ここでは何ですので私の仕事場に・・・。」
 恥ずかしそうにうつ向く占い師の女性。
               −−−−−<>−−−−−
 「全くコンドウさんも簡単に言ってくれるよなあ。」
 「誰かさんのとばっちりでこっちはいい迷惑です。」
 謎の男「シンジ」捜索の為、ガイズ特殊車輌に乗り事件現場から一番近い市内までやって来ていたコンノ、ミツウラの両隊員。
 「なに、また蒸し返そうって訳?」
 「いいえ、それよりもっと真剣に探して下さい。私は運転にも、集中しないといけませんので。」
 「探してるよ、たださぁ、そんな簡単に見つかる訳ないじゃない。その事を言ってんの。」
 「それはそうですけど、女の人のオシリばっか見てても見つかりませんよ。」
 「ああそうですかっと・・・。」
 コンノはカーステレオのリモコンを手にして含み笑いを浮かべる。
ウルトラマンクライン6
352 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:05:44 ID:klVgm+jF0
 ギャギャーン!!
 突如、大音量で鳴り響くカーステレオ。
 何するんですか、いい加減にして下さい。」
 しかめっ面をしてスイッチを切るミツウラ。
 「ふふふ。」
 笑いながら再度スイッチを入れる子供のようなコンノ。
 「やめて、もう、やめろって、この野郎!」
 右手でハンドルを操作しながら、左手でコンノをド突くミツウラ。
 「へへへ。」
 馬鹿になったふりをしてリモコンを離さないコンノ。
 「もう分かった。降参、降参です!」
 白旗をあげるミツウラ。ようやくスイッチを切るコンノ。
 「分かればいいんだよ、分かればさ。」
 小康状態の車内。
 「全く、いい年して恥ずかしくないんですか?」
 「あれ?今さ、降参って言わなかった?降参って。」
 「ん〜もう〜殺したい。」
 呆れ果てるミツウラ。
 「言ったでしょ、この口で!」
 ミツウラ隊員の唇をつまんで引っ張る大きな子供。
 「やめろ、事故るぞ!もう!」
 首を振りコンノの手から逃れるミツウラ。前を向き腕組みするコンノ。ようやく落ち着く車内。
 「たくぅ〜。」
 同時にぼやき、キッと睨みう両者。
 「フン!」
 同時にそっぽを向く二人。しばらくの間沈黙が続いていたがコンノが何か発見し、そわそわしはじめた。
ウルトラマンクライン6
353 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:10:45 ID:klVgm+jF0
 「あー!おー!」
 大声を出すコンノ、慌てて急ブレーキを踏むミツウラ。
 「もう一体何なの?事故るって言ってるでしょ。」
 うんざりした様子のミツウラ。
 「馬鹿、いたんだよ。アイツがいたんだって。」
 かなり慌てふためいた様子で前方を示すコンノ。
 「どこです、いないじゃないですか。」
 コンノが示す方向には確かに誰もいなかった。
 「そこの角、そこの角曲がって行った。女と一緒に・・・。」
 「女の人は綺麗でしたか?」
 「もうすんごい美人。オッパイなんかこんな大きくって、ってコラ!何を言わせるんだ。何を。」
 「なるほど。オッパイに見とれてて横に男がいたから、なんだ野郎連れか、どんな野郎だうらやましいな。」
 「・・・と思い男の顔を見たら、あの男に似ていた、という訳ですね。」
 「オい。」
 さりげなくつっこむコンノ。
 「綺麗な女の人が一緒にいた。という事で信憑性はかなり上がりましたが、八割方見間違いです。こんな簡単に見つかる訳がありません。」
 「それもそうだな、こんな簡単に見つかったら誰も苦労しないよな、って馬鹿ーーー!」
 今度はのりつっこみで激しくつっこむコンノ。
 「間違いないって、アイツだった。かなりインパクトあったからちゃんと覚えてたみたいだ。」
 「そうですか〜??まあそこまで言うなら行きましょうか。」
 「いや待て。サキは車で待機してコンドウさんの指示を仰いでくれ。俺はとりあえず尾行しながら連絡を取る。」
 「気をつけて下さい。女の方も何者かわからないですからね。」
 「おう。」
 男らしく相槌をうち、元気に飛び出して行くコンノ隊員であった。
               −−−−−<>−−−−−
ウルトラマンクライン6
354 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:13:39 ID:klVgm+jF0
 シンジと占い師の女性は、まるで仲のいいカップルのように、歩道を歩いていた。
 「あの、ミエコさん。ひとつ聞いてもいいですか?」
 「なにかしら?私に答えられる事なら何でも聞いていいわよ。」
 「えぇと、弱い者をイジメる人間ってどう思いますか?」
 「ん〜、いきなり難しい問題ね。シンジ君はどう思うの?」
 「僕は・・・僕は絶対、許せません!」
 シンジの返答に悪戯っぽい目を向けるミエコ。
 「そうね、シンジ君はそういうタイプよね。私は好きよ、そういう真っ直ぐな人って。」
 その笑顔に少し照れた様子のシンジ。
 「でも許せないからって、いじめる側をシンジ君がこらしめても果たして問題は解決するかしら?」
 「それは・・・。」
 返答に困るシンジ。
 「その場は収まるかもしれないけど、根本的には何も解決はしないわ。」
 「じゃあどうしたら・・・。」
 「いじめる側といじめられる側って実は本質は一緒なの。どちらも心が健全じゃないから問題が起きちゃうのよ。」
 「心、ですか・・・。」
 「ん〜、簡単に答えは出ないけど、表面だけに目を向けないって事が私は大事だと思うわ。」
 (本心はどこにあるのか見極める事が大事・・・。)
 シンジはイヤー星人に言われた言葉を思い出していた。
 「シンジ君、どうしたの?いきなり難しい顔して。」
 「いえ、すいません。その通りだと思います。」
 「怪しいな〜ちゃんと聞いてたの〜。」
 「聞いてます、ちゃんと聞いてましたよ。」
 クスクスと笑うミエコ。
               −−−−−<>−−−−−
ウルトラマンクライン6
355 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:15:38 ID:klVgm+jF0
 シンジとミエコを尾行するコンノは、二人が進む方向を見定めヘッドセットを装着した。
 「サキ、聞こえるか?二人は現在雑居ビルの密集しているセンター街へ向かってる。コンドウさんからの指示は?」
 「えー、司令の言葉です。でかした!コンノにしてはよくやった。そのまま尾行を続けて潜伏先まで突き止めるように、ポテチン。との事です。」
 「ポテチンってなんだよ・・・ん?コンドウさんがそんな事言う訳ないだろ、サキ、この野郎、お前。」
 「今野さん、静かに、気付かれますよ。」
 「ああ、そうだな。」
 「とにかくセンター街ですね、先回りしておきます。」
 「よし、頼む。」
 通信を終えて歩き出そうとしたコンノの前にサングラスをかけ、スーツ姿の大柄の男が立ちふさがった。不敵に笑っている。
 「ん?なんだ、お前。」
 コンノがそう言うと同時に、背後から同じ扮装の男が「ダブル・ハンマー」を今野の後頭部に打ち下ろした。
 「・・・!」
 そのまま前の男に寄りかかるようにして崩れ落ちるコンノ。
 (しまった、何者だ・・・。)
 コンノは薄れ行く意識の中、必死に大男の足を掴みにかかる。しかし、簡単に振り払われ足蹴にされて、そのまま気を失ってしまった。
 大男二人組は薄笑いを浮かべ、シンジ達の後をつけて行く・・・。
               −−−−−<>−−−−−
ウルトラマンクライン6
356 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:20:48 ID:klVgm+jF0
 2−2『分岐』
 シンジとミエコは、多くの若者が行き交うメインストリートの中の小さなビルに入って行く。
 いくつかのテナントが入っていて、その中に「熱田美恵子 占いの館」の文字が書かれている看板があった。
 「さあ、シンジ君。徹底的に占ってあげるわ。」
 シンジはなにやら占いの道具が置かれたテーブルの前に座らされた。
 「えーと、生年月日と名前は聞いたから、それじゃ手相を見せて。」
 ミエコは躊躇なくシンジの手を取り、手相を見始める。
 「運命線が大きく二つに分かれてるわね。」
 ミエコはそうつぶやくと、シンジの顔をジッと見つめる。照れて目線をそらすシンジ。
 「大体分かったわ。」
 ミエコは、テーブルの上に置かれた占い道具の中から水晶玉を手に取った。
 「これが良さそうね。」
 そして水晶玉をシンジの目の前に置き、両手をかざした。
               −−−−−<>−−−−−
 「コンノさん!コンノさん!しっかりして下さい。」
 連絡が途切れたコンノを捜し出し、必死に呼び掛けるミツウラ。
 「ん、サキ。あれ?どこだ、ここ?」
 「どこだ、じゃないって。」
 全身の力が抜け、安堵の表情を浮かべるミツウラ。
 「おぉ!そうか、俺、誰かに殴られて・・・!痛てぇ〜。あんにゃろ。」
 コンノは足蹴にされた顔に手をやった。その手をはたくミツウラ。
 「ん?」
 キョトンとした顔で再び顔を擦ろうとするコンノ、何も言わずその手をはたくミツウラ。
 「ちょっと、何すんの?怪我人だよ、俺。」
 「ばい菌が入ります。一応消毒してありますので。」
 「あ、そうなの。・・・ありがと。」
 赤くなって照れるコンノ。
ウルトラマンクライン6
357 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:23:27 ID:klVgm+jF0
 「たく〜、何やってんですか。少しでも期待した私の身にもなって下さいよ。」
 「何だ、そりゃ。お言葉ですけどね!俺だって、ただでやられた訳じゃないんです。」
 「期待はしませんが聞きましょうか。」
 その言葉にニヤリと笑うコンノ。
 「あいつ等ともみ合った時に発信機を取り付けてやった。モニターを見てみろ。」
 ミツウラは車の中から受信モニターを取り出し、電源を入れた。
 「おぉ〜、珍しく偉い!誉めてあげます。」
 「あたぼうよ。」
 得意満面のコンノ。
 「なるほど、そう遠くないですね。あれ?コンノさん、さっき誰かに殴られてって言いませんでした?」
 「ん、そうそう。サングラスかけた、こ〜んな大男がさあ、二人も。」
 「まさか発信機付けたのって・・・。」
 「ん?だからそいつ等に付けてやったんだよ。絶対追い込んで、とっちめてやるからな。」
 コンノの言葉に不機嫌モード全開になるミツウラ。
 「誰ですか、それ!」
 「いや、俺も知らない。いきなり殴られたし・・・。」
 「んも〜、結局あの男には逃げられた訳ですね!」
 「いや、そうとは限らないぞ。」
 「ん?どういう事ですか?」
 口をとんがらすミツウラ。
 「俺を襲った奴らも、あの男を追ってたみたいなんだ。」
 「へぇ〜。」
 全く気のない返事をするミツウラ。
 「おいっ、ちゃんと聞けよ。」
 コンノが食い下がろうとしたその時。
ウルトラマンクライン6
358 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:24:57 ID:klVgm+jF0
 「おーい、サキちゃーん。」
 コンノ達のいる場所へ、銃機で完全武装をした一団がやって来た。
 「あ、ゲンさんだ。ゲンさ〜ん、こっちだよ〜。」
 ミツウラはコンノには見せない満面の笑顔で、手を振った。
 「何がゲンさ〜んだ。猫なで声出しやがって。ん?サキ、お前、特機呼んだのか?」
 「当然でしょ、コンノさんブッ倒れてるし、私一人じゃ危ないじゃないですか。」
 「いや、だからって・・・。ん〜まあ正解だったかな。」
 「よう、コンノ。無事だったみたいだな。」
 ゲンさんと呼ばれたその男は「ガイズ」のユニフォームは着ておらず、後ろの完全武装の一団より少しラフな格好をしていた。
 「どうもゲンさん、お久しぶりです。」
 コンノは、ばつの悪そうな顔で頭を下げた。
 「最近これといった事件がなかったからな。お前、平和ボケしてたんじゃないか?」
 にこやかに笑うゲンさん。頭を掻くコンノ。
 「ゲンさん、聞いて下さいよ〜。こいつ、またヘマしたんですよ〜。」
 ミツウラがゲンさんに擦り寄る。
 「まあ、そう言うなって。こいつはちゃんと体張って頑張ってんだよ。そうだよな、コンノ。」
 「いや、そうなんですけどね、なかなか伝わんなくて。」
 「ん、まぁそんな事よりよ、犯人の目星はついてんのか?」
 「ええ、一応・・・。」
 一応と答えるコンノに冷たい視線を送るミツウラ。
 「なんだよ・・・。」
 全く信用されていないコンノだった。
               −−−−−<>−−−−−
ウルトラマンクライン6
359 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:28:38 ID:klVgm+jF0
 「見えたわ。」
 静かに落ち着いた口調で、ミエコは鑑定の結果を話し出した。
 「シンジ君は今、人生の岐路に立たされてるわ。一つは平坦で真っ直ぐな道。その先には小さな幸せも待ってる。」
 「・・・だけど機械の歯車のように、無味乾燥で同じ日々の繰り返し。」
 シンジは真剣な眼差しで聞いている。
 「それに何よりシンジ君自体は、その道を望んでいない。」
 シンジは小さくうなずく。
 「そしてもう一つの道は、いばらの道。突き進めば、突き進むほど苦しい修羅の道。」
 「・・・そこには幸せなんて待っていない。反逆者の烙印も押されるわ。けれども・・・。」
 シンジはゴクリと唾を飲みこんだ。
 「そこにはシンジ君が望んだ真実の未来が待っているの。」
 シンジを見つめるミエコ。しばしの沈黙。
 「そうですか、ありがとうございます。多分、ミエコさんの言うとおりだと思います。」
 険しい顔になるシンジ。
 「で、シンジ君はどっちの道を選ぶつもり?」
 その問いかけに再び訪れる沈黙。
 「分かりません。答えを出すには、まだ時間がかかると思います。」
 「そうね、簡単に答えは出せないわ。でも選択肢を誤るとシンジ君には死が待ってるわ。」
 「え・・・。」
 予想だにしないミエコの発言に、一瞬にして表情が凍りつくシンジ。
 「どういう事ですか、それは?」
 ミエコは黙ったままシンジを見つめている。
 「ねえシンジ君、ここに来る前にイジメの話をしたわよね。」
 「はい・・・。」
 「いじめられる側も、いじめる側も心が健全じゃないって言ったでしょ。」
 黙ってうなずくシンジ。
 「じゃあシンジ君から見て、この惑星の人間はどうかしら?健全と言える?」
 話の流れに不穏なものを感じ、硬直するシンジ。
ウルトラマンクライン6
360 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:31:42 ID:klVgm+jF0
 「核兵器なんて恐ろしい物を作る地球人が、とても健全な心を持っているとは言い難いわよね。」
 (なんだ。この違和感は・・・。目の前にいるのは誰だ・・・。)
 シンジは半分、夢を見せられている状態に陥った。
 「心を病んでいる地球人は、その内とんでもない兵器を作り出すわ。そしていじめられる側からいじめる側になったら・・・。」
 催眠術をかけられたような雰囲気に、シンジは目を大きく見開き必死に耐える。
 「平和に暮らしている他の星の人々を、あなた方は一体どれだけ守っていけるかしら・・・。」
 「それとも、一緒になって弱い者いじめをするつもりなのかしら。」
 「ミエコさん、あなたは一体・・・。」
 金縛りにかかったように思うように動けないシンジ。
 「鈍い男だね、アンタは・・・。」
 ミエコは悪女のような表情を浮かべ、立ち上がった。
 「こういう事さ。」
 ミエコの姿が陽炎のように、ぼんやりしながら形を変えてゆく。
 シンジがまばたきをした次の瞬間には、既に首筋に冷たいサーベルが突き立てられていた。
 「マ、マグマ星人・・・!」
 シンジは驚嘆した。ミエコの正体は残忍で凶悪、かつ悪名高いサーベル暴君「マグマ星人」だったのである。
 「赤井、黒田!」
 マグマ星人が誰かの名前を呼ぶ。すると入り口からコンノを襲った大男の二人組が入って来た。
 そしてシンジを挟みこむように陣取り、シンジの両腕を固め、身動きが取れないようにした。
 「何をする!」
 シンジはマグマ星人を睨みつける。
 「別に・・・。」
 マグマ星人はシンジの首筋からサーベルを離す。
 「ただ、あたし等はアンタにここで決断してもらいたいのさ。」
 「地球人を皆殺しにするか。それとも今までのように恩を売るか。アンタにはこの二択しか無いんだよ。」
 「そして、その答え次第ではここで死んでもらう事になるからね。」
 (地球人に恩を売る?マグマ星人の言い分だと僕らの一族は地球人の驚異から保身の為に、この星を守ってきた事になるが・・・。)
 (いや、そんな事がある訳がない!でも、しかし・・・。)
ウルトラマンクライン6
361 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:34:12 ID:klVgm+jF0
 「さあ、どうするんだい?平坦な道か?いばらの道か?」
 シンジに詰め寄るマグマ星人。
 「僕は力には屈さない!」
 シンジは猜疑心をふっ切るように力強く言い放つ。
 「あらまあ、随分と威勢のいい事。でもこの状況をわかってて言ってるのかしら?」
 大男二人が薄笑いを浮かべる。
 「戦闘経験の乏しいアンタ一人が、プロの戦争屋三人を相手にして万に一つでも勝てる見込みがあると思ってんのかい。」
 「それは関係ない!ただ僕はここで殺されたとしても、強要されて答えを出すような事はしない!」
 「ふぅ〜ん、たいした頑固者だねぇ。ならここで死ぬしかないね。赤井、黒田、離してやりな。こんな坊や私一人で充分だよ。」
 マグマ星人に促されシンジを解放する大男二人。
 「さあ、行くよ!」
 マグマ星人は右手のサーベルで、シンジの真正面から斬りかかる。素早く右に交わすシンジ。まっぷたつに寸断されるテーブル。
 「もう一つ!」
 振り下ろしたサーベルをすぐさま振り上げ、シンジの溝落ちめがけ突き刺しにくるマグマ星人。
 シンジは発光させた両腕を交差させ、間一髪サーベルを弾く。そして、がら空きになった脇腹へ素早く蹴り込んだ。
 しかしマグマ星人は体を回転させて蹴りをかわし、その反動を使って再びサーベルで攻撃。
 シンジは右足を空振りさせた状態で、側面からの攻撃を両腕で受け、思いきり壁に叩きつけられた。
 「坊やの割には、なかなかやるじゃないか。」
 マグマ星人は不敵な笑みを浮かべ、サーベルを舌舐めずりする。
 「ミエコさん・・・、一族同士が敵対しているけど僕にはあなたと戦う理由はない・・・。」
 「それでも僕を殺すというのなら!僕は振りかかる火の粉を払うまでだ!!!」
 強い意志を持った瞳でシンジが言う。
 「ほぅ、生意気だねぇ、アンタに払える火の粉だと思ってんのかい・・・?」
 「まあいいさ、アンタみたいな坊やには実力の差ってやつを見せてやらないとね。」
 マグマ星人の左手もサーベルに変化していく。そして両のサーベルが光を放ち出した。
               −−−−−<>−−−−−
ウルトラマンクライン6
362 :光の国の漂流者[]:2008/06/03(火) 01:36:42 ID:klVgm+jF0
 「ここだ、ここだ。このビルの中だ。」
 コンノ、ミツウラ、ゲンさん及び特殊機動歩兵部隊の一行はミエコの占いの館が入っているテナントビルの前までやって来ていた。
 「コンノ、なんか騒がしくないか?」
 一同が車から降りるやいなや、ゲンさんが聞き耳を立てる。
 「本当だ。何か争ってるぞ、ゲンさん踏み込みましょう!」
 「よし、お前ら!安全装置を外して隊列を整えろ。」
 ゲンさんは特殊機動歩兵部隊に指示を出す。
 「サキはコンドウさんに連絡、映像も出せるようにしてくれ。」
 「あいよ!」
 サキが威勢よくあいずちを打つ。その時・・・。
 ドガン!!!
 ガイズ一同の体勢が整わぬ内に突然テナントビルの壁が崩れ、中からシンジとマグマ星人が飛び出して来た。
 「・・・・・・!!!」
 驚く一同。
 「あいつだ・・・。」
 シンジの姿を確認したコンノがつぶやいた。
 「コンノさん、あの人、あの人。」
 ミツウラがコンノの肩を叩く。
 「ああ、わかってる、それより本部に回線を繋ぐのが先だ。」
 「コンノ、どうするんだ。男の方も普通じゃないぞ。」
 「ゲンさん、攻撃するのはちょっと待って下さい。敵性宇宙人かどうか本部に確認します。」
 「回線繋がりました。」
 ミツウラがコンノに無線を手渡す。
               −−−−−<>−−−−−
 「そんなものがいつまで持つと思ってんだい!」
 二本のサーベルで耐え間無い攻撃を繰り出すマグマ星人。シンジは腕を交差させ、必死に防御している。
 (くそ、もう持たない。)
 シンジは意を決して変身する。両腕から次第に「イオ」の姿に変貌していくシンジ。その光景を捉えるガイズのテレビカメラ。
 (あの姿はウルトラマン・・・あいつはウルトラマンなのか?)
 コンノは無線を片手に言葉を失っていた・・・。
               −−−−−<>−−−−−
 3−1へ続く


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