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◆i1BeVxv./w
オールド・ジェネレーションズ ◆i1BeVxv./w
スーパー戦隊 バトルロワイアル

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スーパー戦隊 バトルロワイアル
546 : ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/03/08(土) 23:51:27 ID:Pcc3aBGK0
>>541
まとめサイトのトップページにも追加いたしました。
それでは投下いたします。

スーパー戦隊 バトルロワイアル
547 :オールド・ジェネレーションズ ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/03/08(土) 23:51:55 ID:Pcc3aBGK0
 夜の暗がりの中を、髪を両端に束ねた少女が歩いていく。
「真墨!蒼太さん!チーフ!さくらさん!みんなぁー!!」
 少女の悲壮な声は空しくも夜の闇に吸い込まれていった。
 少女の名は間宮菜月。轟轟戦隊ボウケンジャーのボウケンイエローだ。
 だが、今の彼女は戦隊の一員とは思えぬほど弱々しかった。
 身体を小刻みに震わせながら、眼には今にも零れ落ちそうな程の涙が溜まっている。
 それも無理からぬことだろう。
 彼女は2年間トレジャーハンターとして世界を回っていたが、人の死というものに直接触れたのは今日が初めてだった。
 しかも、事故死や病死ではない。紛れもない殺人をその眼で目撃したのだ。
 菜月の思考はどうしようもないほど混乱していた。
 そのためか、彼女は広間から殺し合いの会場に飛ばされるや否や、支給品の確認もせず、仲間たちの捜索を始めた。
 ただがむしゃらに歩き、声を上げる。彼女の行動は無謀としか言いようがなかった。
 当然、彼女は発見されることになる。潜んでいた『彼』に。
「誰!?」
 不意に聞こえた物音に身を硬くする菜月。
「誰?真墨?蒼太さん?」
 自分の知り合いの名前を上げながら、物音のした方向へと近づいていく菜月。
 だが、夜の闇が彼女の足を止めさせる。そこに潜んでいる誰かが友好的な人物とは限らないことに今更ながら気付いたのだ。
「誰かそこにいるの!」
 震える声で相手を確認しようとする。だが、返事はない。
「気のせい……だよね」
スーパー戦隊 バトルロワイアル
548 :オールド・ジェネレーションズ ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/03/08(土) 23:52:27 ID:Pcc3aBGK0
 菜月は呟き、自分を無理矢理納得させると、その場から駆け足で逃げ去った。



「やれやれ、殺し合いには乗ってはおらぬようじゃが、あれでは頼りないのぉ〜」
 菜月が去って、数分後、『彼』は溜息と共に、そんな言葉を吐き出した。
 彼はブクラテス。宇宙を荒らしまわる海賊『バルバン』に籍を置く、樽学者である。
 たまたま菜月の近くへと飛ばされたブクラテスは、菜月の仲間を探す声に引き付けられ、様子を窺っていたのだ。 
 結局、ブクラテスは菜月と接触することを避けた。その理由はふたつ。
 まず、彼自身には戦闘能力はなく、戦闘に適した道具も支給されなかった。
 ブクラテスの支給品は首輪探知機と毒薬。場合によっては最強クラスの当たり支給品ではあるのだが、どちらも直接的な戦闘には使えない。
 そのため、菜月が無防備にも背中を向けたにも関わらず、襲撃という選択肢を選ぶことは出来なかった。
 そして、もうひとつの理由は、菜月と接触しても何の得にもならないと判断してのことだった。 
 ブクラテスの目的は生き延びること。
 最後のひとりになれば、何でも望みを叶えるというロンの申し出は魅力的ではあったが、戦闘能力のないブクラテスにとっては無理な相談だ。
 それに差し迫って叶えて欲しい願いもない。それよりも生き残ることが先決だ。
 ならば、どうすれば生き残ることができるか?殺し合いに乗っていない人物を見つけ出し、利用するしかない。
 だが、菜月のような人物では駄目だ。恐怖に震える女を味方に引き入れたところで足手まといにしかならない。
 探すべきは、お人好しで、冷静な判断力を持ち、ある程度の戦闘力を保有している人物。
 そんな人物がそう簡単に見つかるかは疑問だが、そこは賭けるしかない。
 ブクラテスは首輪探知機を利用して、条件に見合う参加者を探し続けるつもりだった。
 だが、転機は意外と早く訪れる。
スーパー戦隊 バトルロワイアル
549 :オールド・ジェネレーションズ ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/03/08(土) 23:53:01 ID:Pcc3aBGK0
 菜月の声をどこからか聞いたのだろうか。その男は程なくして、ブクラテスの前に現れた。
 その人物を視界に写したブクラテスは、迷わず男の名前を声を大にして言った。
「ブドー!」
 まるで日本の侍のような風貌をした怪人がそこにはいた。
「おおっ、ご老人」
 剣将ブドー。ブクラテスと同じく宇宙海賊バルバンの一員。
 手練揃いのブドー魔人衆を率い、数々の星を滅ぼしてきた名将。
 知り合いに会えた喜びにブクラテスは、ブドーへと駆け寄る。
「早速、お前に会えるとはついとるのぉ」
 ブドーはバルバンで剣将を名乗るだけあって、実力は折り紙つきだ。
 そして、お人好しとはいえないが、仲間を裏切ることは絶対にない人物。
 行動を共にするにはこれ以上ない好条件の相手といえた。

 だが、それは――

「なんじゃ?なぜ、刀を抜く?」

 ――ブクラテスが知っているブドーだったらの話だ。

「ぎぇぇぇぇぇっ!!」
 抜いた刀が閃くと同時にブクラテスの悲鳴が森へと轟く。
 ドサッと音を立て、腕が地面へと転がった。
「な、な、な、何をするぅ!?」
「ご老人。拙者はこの殺し合いに乗るつもりでござる」
「なんじゃと!」
 ブクラテスにとっては寝耳に水のことだった。
 ブドーはバルバンに忠誠を誓い、信義に厚い人物。
 ブドーならば、最後の二人になったとしても、舌先三寸で切腹させることも不可能ではないとさえ考えていたほどだ。
スーパー戦隊 バトルロワイアル
550 :オールド・ジェネレーションズ ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/03/08(土) 23:53:34 ID:Pcc3aBGK0
「馬鹿な、ワシを、仲間を犠牲にすると言うのか!」
「仲間?ふっ、既に拙者に仲間など存在せぬ。
 魔人衆を失い、ギンガマンに敗れ、バルバンからも追われた拙者の為すべきことは、もはや、ただひとつ。
 初心に立ち返り、己の腕を最強にまで磨くこと。この場は腕試しには申し分のなき環境。戦って、戦って、戦い貫くのみ」
(一体何を言ってるのじゃ、こいつは?)
 ブクラテスにはブドーの言っていることが理解できなかった。
 ブクラテスの認識では、魔人衆は健在。
 ギンガマンとの戦闘も復活した直度の一回切りで撤退こそしたものの敗北とは言い難い。
 何より、バルバンから追われてなどいない。
(もしやこの状況で狂ったとでもいうのか?)
 それはブクラテスとブドーがロンに連れて来られた時間軸のずれによって生じた誤解だった。
 ブクラテスの居た時間軸はサンバッシュが敗北した直後。ブドーが行動隊長になる前のことだ。
 対して、ブドーはギンガマンと戦い、命を落とした後から連れて来られている。
 両者が生きてきた時間を考えると、数ヶ月のわずかなずれでしかないが、そのわずかなずれが二人に致命的な誤解を与えていた。
「心配せずとも、拙者が優勝した暁には、拙者の願いはダイタニクスの復活。後のことは拙者に任せ、安心して眠るがよい」
 ブドーが愛刀ギラサメを振り上げる。
 抵抗しようにも、右腕は切断され、ディパックは木陰に置いたままだ。
 ブクラテスは迫るギラサメを前に思わず、眼を閉じた。
(イリエス、ワシが死んでも泣くではないぞ)
 愛しい姪のことを心に思い描くと、ブクラテスは死を覚悟する。

――カキン!

 何かを弾いたような音がした。
(なんじゃ?)

スーパー戦隊 バトルロワイアル
551 :オールド・ジェネレーションズ ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/03/08(土) 23:55:45 ID:Pcc3aBGK0
 思わず、一度は閉じた眼をブクラテスは見開く。
 すると、ブドーはブクラテスに背中を向け、刀を構えていた。
 ブクラテスはブドーが何を見ているのかと、身を移動させ、ブドーの視線の先を見やる。
「お主、何者!」
「宇宙警察地球署、江成仙一。強要されたからといって、殺人はよくないね」
 銃を右手に、ライセンスを左手に、江成仙一、通称センがそこには立っていた。
「江成仙一。面白い、拙者の相手、果たしてもらうぞ」
 ブドーはその佇まいから、センが只者ではないことを見抜く。
 少なくとも、ブクラテスのような非戦闘員を斬るよりは余程面白い相手。
 ブドーは攻撃目標をセンに変えた。
 佇まいから、自分が標的になったことを嗅ぎ取ったのだろう。センは身を翻すと、一目散に逃げ出す。
(……なるほど、ブクラテスから拙者を引き離すつもりか。よかろう)
「逃がさん」
 ブドーは逃げたセンを追って、走り出した。



「なんとか助かったようじゃのぉ」
 自分の命が助かったことを知り、ブクラテスは胸を撫で下ろす。
 だが、ゆっくりしてはいられない。ブドーの腕は充分に承知している。
 何時、ブドーが戻ってくるかわからないのだ。
「早いところ、ここから逃げるとするか」
 ブクラテスは痛みに顔をしかめつつも、いそいそと逃げる準備を始めた。 
 左手で切り落とされた右腕を拾う。鋭い刃物でバッサリ切られたのだ。もしかするとくっつくかも知れない。
 木陰に置いておいたディパックを開き、右腕をその中に入れようとするが、中々上手くいかない。
「やれやれ、片腕では手間じゃわい」
「手伝いましょう」
「おおっ、頼むわい……って、誰じゃ?」
 誰かの声に思わず相槌を打った後、ブクラテスは大急ぎで顔を上げる。
スーパー戦隊 バトルロワイアル
552 :オールド・ジェネレーションズ ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/03/08(土) 23:56:38 ID:Pcc3aBGK0
 そこには先程、逃げたはずのセンの顔があった。



 ブドーはセンを追う。
 二人の距離はある一定の距離を保たれており、まだブドーはセンを捉えられずにいた。
 森という地形を活かし、ブドーが近づこうとする度に木陰から牽制のビームが放たれる。
 このまま逃げ切るつもりなのだろうか。だが、それは叶わない。何故なら――
「もう時間稼ぎは充分であろう」
 ブドーは仙一の目的がブクラテスを逃がすことであろうと見越して、時間稼ぎに付き合っていたに過ぎない。
 普通の人間にしては速いが、ブドーにとって、意に介する速度ではない。
「そろそろ相手をしてもらうぞ」
 ブドーは一気に速度を上げ、距離を詰める。
 ビームが放たれるが、ブドーはその全てを速度を落とすことなく切り払った。
 そして――
「はっ!」
 ブドーのギラサメが、木陰に隠れるセンを叩き落した。
 センは呆気なく地面へと落下する。
「まだ、殺しはせん。峰打ちだ」
 折角、切り結べそうな相手というのに直ぐに殺してはもったいない。
「さあ、立つがよい」
 ブドーは改めて、ギラサメを構える。
 もう逃がさない。
 言葉にしなくとも、これで通じるはずだ。
 ブドーはセンの思考を確認しようと、未だ立ち上がらないセンの顔を見た。
 だが、その頭部はブドーが先程見た顔と異なった顔になっていた。
 服装こそセンのものだったが、その顔は黒く丸い面に覆われ、青い×があしらわれている。
「仮面?いや、カラクリ人形か!」
 ブドーの推察どおり、それはバーツロイドと呼ばれるメカ人間。
 所有者の様々な命令をこなせる高性能アンドロイドだ。
 センは逃げてなどいなかった。
スーパー戦隊 バトルロワイアル
553 :オールド・ジェネレーションズ ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/03/08(土) 23:57:22 ID:Pcc3aBGK0
 ブドーから身を隠すと、自らの支給品であるバーツロイドに自分の服を着せ、逃走するように命じた。
 戦うことで頭がいっぱいだったブドーは、そんな単純なトリックに引っかかり、ずっとバーツロイドを追っていたのだ。
「ぬぅ、拙者としたことが、このような小細工に引っかかるとは」
 激昂するブドー。その後ろでバーツロイドが立ち上がり、ブドーに照準を合わせた。
「ビビーー!」
「……ふん!」
 ブドーは振り向き様にギラサメを一閃させる。
「ビーーーーー!」
 一際大きな機械音を上げ、バーツロイドは爆発する。
 その爆発で燃える木々を見ながら、ブドーはギラサメを鞘に納めた。
 そして、ゆっくりと眼を閉じると、心を落ち着かせる。
「よかろう、今回は拙者の未熟さが招いたこと。潔く敗北を認めよう。
 だが、次に会ったときは必ずこのギラサメの錆にしてくれる」
 ブドーの懐から取り出される筆と紙。ブドーはさらさらと筆を走らせた。
「復讐の 刃がセンを 叩き斬る」



 わずかに聞こえた爆音にセンは自分の作戦が成功したことを確信した。
 音の大きさから判断して、かなりの距離を稼げたようだ。

スーパー戦隊 バトルロワイアル
554 :オールド・ジェネレーションズ ◆i1BeVxv./w [sage]:2008/03/08(土) 23:57:52 ID:Pcc3aBGK0
「お主、中々やりおるのぉ」
 ブクラテスはセンに賞賛の声を送る。
「いや、本当は戦えればよかったんですが。あの場はああするしか」
 そうセンは、今は戦えない。
 センはこの場へと飛ばされてから、様々なことを確認した。
 自分の持ち物、場所、通信の可否などなど。
 そして、どことも知れないこの場所で、デカメタルの転送が果たして可能なのか、センは確認を行った。
 結果は可能。デカグリーンへの変身は問題なく行えることが確認できた。
 ところが、変身は突如として強制的に解除され、再変身することもできなかった。
(たぶん、一時的なものだと思うけど、こういう制限があるってことを知っていると知らないとでは大きく差がある。
 急いでみんなに知らせないと)
 センは走る。ドギー、ウメコ、スワンたちと合流するために。



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