- 平井和正★14
118 :名無しは無慈悲な夜の女王 (ワッチョイ 7663-/O5Z)[sage]:2019/08/11(日) 22:47:58.47 ID:wevuRPxt0 - 新幻魔大戦の連載終了の理由とはなんだろう。
月刊誌で終了した翌月には同じ雑誌で、狼のレクイエムの連載が始まっている。 当然だが、プロの作家が勝手に連載を止めて、勝手に別作品の連載を始められるものではない。 新連載はいつから予定されていたのか。 新幻魔大戦連載中、中編の女狼リツコを同じ雑誌に掲載している。漫画ウルフガイを見事な小説に転生させた約1年後のことだ。(やっぱり天才じゃねえか!) その中編の評判が良かったために、雑誌側から新幻魔大戦中断の申し入れがあり、変わりにウルフガイ第三弾の依頼……という事情だろうか。このあたりは完全に想像になってしまう。 手掛かりは「狼より若き友への手紙」くらい。P191、P201、P204。
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119 :名無しは無慈悲な夜の女王 (ワッチョイ 7663-/O5Z)[sage]:2019/08/11(日) 22:48:31.78 ID:wevuRPxt0 - 年表にしてみる。
1971年9月 新幻魔大戦、連載開始。 1971年11月 狼の紋章、発刊。 1972年1月 狼の怨歌、発刊。 1972年5月 平井和正、34才。 1972年12月 女狼リツコ、雑誌掲載。同号、新幻魔大戦、第三章 超能力者の血(7)、掲載。 1973年5月 平井和正、35才。 1973年11月 新幻魔大戦、第四章 魔人・正雪(9)、雑誌掲載。1月号 1973年12月 狼のレクイエム第一回、雑誌掲載。2月号 1974年1月 狼のレクイエム第二回、雑誌掲載。3月号 1974年2月 狼のレクイエム第三回、雑誌掲載。4月号 1974年3月 SFマガジンの5月号から編集長が変わる。狼のレクイエム第四回の掲載なし。 : 1978年7月 新幻魔大戦、発刊。
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120 :名無しは無慈悲な夜の女王 (ワッチョイ 7663-/O5Z)[sage]:2019/08/11(日) 22:49:41.18 ID:wevuRPxt0 - 雑誌連載中断のあと、新幻魔大戦はハヤカワから単行本化されなかった。
ハヤカワと縁切りしたのは1974年のこと、「悪徳学園」「人狼地獄篇」「超革命的中学生集団」発刊で終了。森優退社とはあんまり関係なさそうな気がする。 で、1978年、ようやくのこと徳間書店から発刊された。1973年の中断から約5年弱、ずいぶん間が空いた。 例えば、別冊新潮の「平井和正年譜」には、死霊狩りを脱稿したけれど、担当編集者がルーズで「九ヶ月たっても本にならなかった」とある。だから「第二部執筆の意欲を」そがれたのだそうだ。 このような、新幻魔大戦単行本化遅延に言及する一文をみたことがない。彼は先述のような他者への文句や非難、批判は積極的だった作家だと思うのだが。 なぜこんなにも長いこと新幻魔大戦が発刊されなかったのか。 作者が失敗作だと考えていたから、単行本化されなかったのではないか。
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121 :名無しは無慈悲な夜の女王 (ワッチョイ 7663-/O5Z)[sage]:2019/08/11(日) 22:51:12.79 ID:wevuRPxt0 - 発刊されたそれには「第一部・完」と記されているが、平井和正はこれに対して相当の迷い、もしくは葛藤を覚えていたのではなかろうかと思うのだ。
78年には真幻魔大戦執筆への下準備をしていただろうから、新幻魔大戦をその前章として位値付ける新たな構想に踏み切ったと考えられる。 「第一部・完」の付記は、そのことから、「新幻魔大戦の続きを書くに書けないもどかしさ」と、目前の真幻魔のためにも「新をなかったことにできないもどかしさ」を簡潔に現した記号なのかもしれない。 発刊されなかった不可解さ。第一部・完の不自然さ。 そこには平井和正の「当初の新幻魔大戦の構想」を捨て切れなかった迷いや苦悩が現れていやしないか。 彼が長いこと発刊しなかった事情に一度も触れていないことも、これを裏付けていやしないか。
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