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313 :人間七七四年[sage]:2017/10/13(金) 09:16:20.71 ID:HheWmS3P - ある夜、林羅山が徳川家康に侍講する折り、列座の者達、羅山の博識がどれほどのものかを試みようとした。
先ず、岡田淡州が問うた 「蓬莱島という能狂言の中に、『鬼の持ちたる宝は隠れ笠、隠れ蓑、打ち出の小槌、ジヨジヨ、ムジヨムジヨ』 と言う所がある。この『ジヨジヨ、ムジヨムジヨ』とは何なのか?」 羅山答える 「鬼の宝として出た品々は、宝物の中でも上々であり、またこの上に上々無し、という意味で、 『上々、無上無上』と言っているのです。」 次に内田信州が問うた 「鎌倉に『ノツケン』堂という場所がある。昔金岡納言(巨勢金岡:平安期の宮廷画家)がここに来て、この 勝景を写さんとしたが、筆に尽くし難く、筆を捨てノッケに成りたる故に、この堂を『ノッケン堂』と云い、 また『筆捨松』と呼ばれる松も今に存在すると云うが、これは本当であろうか」 羅山これに 「金岡が筆を捨ててノッケになったのではありません。あの堂は金澤より出る山越への坂の右の、高い場所に あり、坂から仰ぎ見ることから『仰見堂』、これが訛って『ノッケン堂』となったのです。」 堀田加州問うた 「子供の遊びに、左右の手を寄せて『鬼の皿』という事をする。その詞に曰く 『タイドノタイドノ、一モタイドノ、二モタイドノ、タイガ嬢、梶原、アノウン、メクラガ杖ヲ、 ツイテ通ルトコロヲ、サラバ、ヨツテ、ツイノケ』 と歌っているが、これは何を意味しているのか。」 羅山、これも 「これは鎌倉時代の、源頼朝の意にかなう、威勢強き人々を数え並べた歌です。 先ず『タイドノタイドノ』とは、”御台殿”すなわち北条政子の事で、『一もタイドノ二もタイドノ』とは 続けて並べる人が居ない、と云っているのです。 『タイガ嬢』とは”大の嬢”、すなわち頼朝の娘、大姫君という、清水冠者の夫人を指します。 次の『梶原』は平三景時で、これも当時の寵臣です。 『アノウン』とは安明寺といって、北条時政の妻である牧の方の一族で、盲人でしたが、彼は特別に 殿中において杖をついて歩くことを許され、この人に行き合う者達はみな彼を避けて通していました。 故に『サラバ、ヨツテ、ツイノケ』と云うのです。」 その後も様々な問答があったが、羅山はすべて滞りなく答え、皆、彼が細事にまで通じることに 感嘆したという。 (今古雅談) さすが人間ウィキペディア
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