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8 :人間七七四年[sage]:2017/06/09(金) 18:36:19.82 ID:ezl2clO7 - 竹中半兵衛には、若くして弓矢巧者の評判があった。
織田信長の時代、柴田滝川といった人たちは寄り合いで 「若輩者に何ほどのことがあるだろうか。いつか竹中に出会った時、弓矢の詮索だてを致せば、 一句も言えずに理に詰まるだろう」 などと彼を評していた。 そのような折、羽柴秀吉は中国より竹中を使者として、信長に仔細を言上するため京に上らせた。 柴田たちはそんな寄り合い話をしていただけに、内々に竹中と参会したいと望み、「ならば招き入れて 一献を勧め、そして詮議をも致そうではないか。」と、竹中を柴田の所へと招待した。 その場において一礼の後、柴田がまず言った 「この度、中国において毛利家との対陣の様子、筑前(秀吉)の思惑などを話してみよ。」 竹中聞いて 「私は筑前殿よりその思惑を承ってはおりません。何事を申せるでしょうか?」 そういって、それを語ることを辞退した。 すると柴田は重ねて 「ならば筑前の思惑は差し置き、そなた自身の考えもあるだろう。御辺の思惑、如何様に この戦をすべきか、それを語られよ。」 竹中、止むを得ずして、毛利家弓矢の風情、此の方のあしらい方、双方の考えといったことを 一々に説明し 「未だ上様(信長)に、筑前殿よりの使いの趣を言上いたしておりません。先ず御前を済ませたいと思います。」 そう挨拶して出ていった。 その場に居た、柴田、滝川、丹羽、佐久間といった歴々は竹中の言ったことを聞いて 「彼は前々に聞いていたより、なお勝っていた。 今日の物語、毛利家のあしらい、弓矢の勘弁、一つとして難ずるべき所はなかった。 ならば、弓矢の才というものは、合戦の経験の多い少ないによるものでは無いのだろう。」 そう感じ入ったという。 (士談)
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