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964 :人間七七四年[sage]:2017/05/29(月) 01:32:19.40 ID:N9Ip1c+w - 天下は御前に参るでしょう
萬治四年の二月三日、備前において(池田光政が)焚き火をされているとき 五郎八様(池田政種)、信濃殿、八之丞殿、猪右衛門殿に御咄された。 「関ヶ原御陣に大坂の諸大名衆が人質を出したときのこと 話に出る津田左京は大坂での留守居を首尾よく務めたので 輝政様は殊の外御機嫌であった」 「その左京は左源太にとってはなんだったか……父か祖父か」 と言って重次郎(左源太の息子)を召され御問いになると 「祖父です」 と(重次郎は)申し上げた。 「父は何と云ったか」 と(光政が)仰せられたので 「彌次右衛門と申します」 と申し上げた。 そこにいて聞くようにとの御意だったので(重次郎は)御前に伺候した。 (光政の)仰せに曰く その左京は粗忽者だったので輝政様へ 「斯様に御前が御全盛であれば、追付天下は御前に参るでしょう」 と申し上げると、輝政様は殊の外御機嫌を損ねられ 「常の者(無役)ではないので、成敗を申し付けるところだが 左京は若く子細があるので免じる。 再び免じることはないので、つつしむように」 と仰せられた。 「子細と仰せられたのは大坂の留守居のことだろう」 「このことについてよく覚えていたので咄したが、その時分は 輝政様は御威勢が夥しく、姫路はもちろん備前にも諸大名が 上り下りに寄られた。また輝政様が駿河に御越しのときには 尾張様(義直)、紀州様(頼宣)などが阿部川まで御出迎えになられたという」 ――『有斐録』
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