- 戦国ちょっといい話44 [無断転載禁止]©2ch.net
14 :2/2[sage]:2016/07/30(土) 06:18:12.16 ID:n3UleyDq - その後のことである。流された先の島では畑の瓜・西瓜を盗み食う曲者がおり、
捕らえようと島中の者が集まっていた。 しかし、盗人は大勢に手を負わせ、瓜小屋に籠り、小屋の周りに西瓜・瓜の皮を並べて、 捕り手の者が込み入っても瓜の皮を踏んでしまい身体が自由にならず、 多人数が死傷を負ってしまった。 次郎右衛門の元へ島の者どもが来て、 「なにとぞ捕らえてください」 と嘆くので、次郎右衛門は粗忽にも軽々しく脇差をおっ取り駆け行った。 「瓜の皮で足場がよろしくありません。」 と傍らから申してきたが、耳にもかけず駆け行き、やはり瓜の皮を踏んで仰向けに倒れてしまった。 待ち受けていた曲者は拝み打ちで打ちかけたが、 小野派の神妙といわれる太刀筋で、滑りながら脇差を抜き払って、上へ払うと 曲者の両腕ははたと落ち、すぐに召し捕らえられたという。 この趣が江戸にも伝わり、召し帰され、即時に元の禄を下されたという。 さて、次郎右衛門が召し出された時、、 「彼は遠流でしばらく剣術の修行を怠っているだろう。 我は日夜修行してきたので、立ち合って成果をみせてやろう」 と、大猷院様の思し召し、毛氈を敷いて、木刀を組み合わせて 「いざ、次郎右衛門、立ち合え」 との上意をされた。 次郎右衛門は謹んで毛氈の端に手をついて居た。 ただ一打ちにしてやろうと御振り上げ御声をかけられた時、 毛氈の端を取り、後ろへ引いたので、後ろへ御転びになられたという。 よって、大猷院様は御信仰なされ、一刀流を御修行なされたという。 (耳袋)
|