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508 :人間七七四年[sage]:2016/04/08(金) 02:53:27.66 ID:DcYidf8p - 井伊兵部(直政)家中の木俣土佐の家来・何右衛門は九戸陣で首をひとつ取ったのだが、
その首を朝比奈左大夫が頻りに奪い取ろうとした。何右衛門は為す術なく奪い取られる 時に、その首の右耳の外れから左へ一刀を突き通した。 後に首実検の時、朝比奈はその首を持って出た。そこへ何右衛門はつるつると走り寄り、 「重いものをここまで御持参してもらいかたじけない」と、言うと、羽織を首へ被せて、 「この首をそれがしが取ったことは疑いない、 あの男が奪ったのだ! 証拠がある!」 と、言った。朝比奈は、「下がれ! 推参をぬかしおる!」と言うも、何右衛門は少しも 屈さずに、首の耳下の証拠を告げた。 朝比奈は終いに男(武士)をやめて法体となり、道無と名を改めて駿河様のもとへ出て、 その後に三河守殿に仕えた。 大須賀五郎左衛門(康高か)の家来・福岡太郎八は前述の朝比奈の甥である。太郎八の 取った首を朝比奈が奪ったことがあったが、太郎八は敵陣へ駆け込んで、別の首をまた ひとつ取った。末頼もしき武辺であるというのに、太郎八は前述のことを最後まで一言も 人に語らなかったという。太郎八は加藤喜八の別腹の兄である。 ――『武功雑記』
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