- 戦国ちょっといい話41
788 :人間七七四年[sage]:2015/03/26(木) 19:18:35.35 ID:abYXOBT2 - 曽呂利新左衛門の「まつくれ丸」
ある時、伏見城山里の茶屋に太閤秀吉がいる所に、曽呂利新左衛門が伺候した。 この時曽呂利は秀吉に向かい、「為して成らぬということは一切無いものです。」と言った。 しかし秀吉 「左様はいくまいよ。その方の智慧にて、予がこのように座敷のうちに座しているのを、何となしに 庭に下ろす事が出来るか?もし出来たならこの刀を遣わそう。」 これを聞いて曽呂利は暫く考えていたが 「これは叶いがたき事です。しかし、御庭より御座敷に上げ奉る事はいと容易く出来ます。」 秀吉は曽呂利の答えに笑い出し、「されば、予を庭より何となく座敷へ上げてみよ」と、笑いながら 立って庭に降りた。と、ここで曽呂利は腹を抱えて笑い出し 「さあ、早く御刀を下さるべし!」 と言い出した。秀吉戸惑い「何故か?」と尋ねると、曽呂利 「さればでございます。殿下は今、何となく庭に下りられました。ですからお約束の如く賜りたい。」 そうしきりに笑いながら答えたので、秀吉も 「なるほど、確かに予は何となく庭に下りた。ではこの刀を取らそう。」 そういって刀を与えた。 この時曽呂利は「この御刀は何という御太刀にて作者は何と申すのでしょうか?」と尋ねた。 すると秀吉 「これは汝に『まつくれ丸』(これは汝に「ともかくもくれてやった丸」)という刀だ。作銘は左文字よ。」 そう答えたそうである。 (刀剣談)
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