- 戦国ちょっと悪い話27
914 :1/2[sage]:2011/09/15(木) 18:22:27.53 ID:9TW0y1e0 - 黒田家の村田出羽守吉次といえば、大人として立派な所は少しもなく(人がましき儀は少しもなく)が、
覚悟というものをよく知っていて心任せの働きをする人物であり、友人の中で似た人間といえば、母里但馬(太兵衛) くらいのものだったという。 こんな村田出羽だが、重臣筆頭とも言うべき栗山備前利安の事だけは恐れていた。 ある時のこと。普請場で栗山が見回っていると、村田出羽が例によって高言をしているのが聞こえてきた。曰く 「わしが当家において恐ろしいのは殿様だけだ!年寄衆なんて、ヘチマの皮とも思わねえよ!」 これが耳に入った栗山、静かに村田へ歩み寄り、静かに言う 「おい出羽よ、わしが居る所でそんな事は言わさせねえぞ? 殿が許しているからって誰にも彼にも慮外を働きやがって。お前は御家の邪魔者だ!(御家の邪魔になる奴なり) 以後、よくその事を心得ろ!」 そうみっちりと叱りつけた。 これには村田も苦々しく思い反論した 「これは備州殿の御言葉とも思えぬことを。わたしは誰にも慮外なことをしたことなんでありません。 第一、御家の邪魔になった事なんて絶対にありえない! 宿老筆頭に似合わぬ申しようです!」 が、栗山 「おのれがどう見られているか知らないから、そんな風に思うのだ。 いいか、お前ほど邪魔になっている者は、当家の事は言うに及ばず、他家にもありえないほどだ! 若い頃追いつき首の1つ2つ拾った事を鼻にかけ、でかいツラしやがって! 殿様はお許しになっているかも知れないが、この備後は許さぬぞ! さあ、家中に恐ろしい者があるのか無いのか、ほざいてみろ!(家中に恐ろしき者があるかなきか、一言吐いてみよ)」 そう言うと短刀を抜いて、変な動きでもするか、屁理屈でも言おうものなら一打に殺してやる!という覚悟。 これに村田出羽、頭をうなだれその場に座り込んでしまった。しかし栗山ここで手を緩めるような男ではない。 村田の頭の上から「推参至極な奴めが!いつもの人もなげな息を吐いてみろ!」と踏みつけんばかりの勢い。 この時居合わせた者たちは素早く集まってきたが『村田のやつあんなみっともない姿をしているが、油断のならない 悪戯者だ。ああやって栗山殿の前で恐れいった体で散々に叱られているが、そう油断させて栗山殿を斬りつける つもりに違いない!その時は我らが出羽に取り付いて簡単に目的を果たさせないぞ!』と一同心に誓った。 流石村田出羽。信頼感はゼロである。 と、栗山が叱るだけ叱りつけ、そろそろいいかな?という頃合いに村田はようやく声を上げた 「さてさて、道理至極にて御座候。当家に恐ろしき者など居ないといったのは、近頃不届至極、沙汰の限りの 発言でした。この事に関して、この出羽も謝罪します。どうかお許し下さい。」 そこで栗山「なら、さっさと引っ込め!」と言ったので、これを塩に村田、すごすごと立ち退いた。
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- 戦国ちょっと悪い話27
915 :2/2[sage]:2011/09/15(木) 18:23:04.68 ID:9TW0y1e0 - それから暫く後、
村田はこころやすい友人たちと語り合っていたとき、相変わらず高言をし、懲りもせず 「恐れながら殿より他には誰も恐ろしい者は居ない!」 とぶち上げていた。これにはさすがに友人たちも呆れて口々に 「おい出羽、あんまり大口を叩くなよ?この間備後殿に斬られかけた時が、流石にみっともなかったぞ? お前が殿様にあそこまで叱られた話は聞いたことがない。浅ましくて見苦しい姿だったぞ!」 と言ったがこれに村田出羽、笑って 「あれはお前らが言うように、見苦しかったなあ。俺もな、これは堪忍できないと思っていたのだが、 少しでも反論した斬ると言いかねぬ勢いだった。 ジジイめ、あのジジイのことは俺が子供の頃から能く知ってるが、とにかく動きがキビキビしていて、 太刀さばきも妙に早い奴なんだ。 で、うっかり俺が斬られたとしよう。殿様はこれを両成敗になんかしてくれないよ?逆に 『村田のやつは悪戯者だから首を切りたいと思っていたのだが、子供の頃から召使いあれほど 人がましく取り立ててやった以上、不憫に思って今まで助け置いていたのだ。それを斬るとは、さすが備後!』 なんて誉めるぜ!? その上あのジジイは『しかし村田の子供を助け置いては将来心もとない』なんて言って追放にして、 子供まで野垂れ死に。俺の一類共に死に果てる、というわけだ。 あの男に斬り殺されるなんてのは、犬に食い殺されるような不名誉なことだ! そう思って堪忍成りがたきを耐えていたのさ。 能く聞いておけ、いつ何時でも、あのジジイには叶わねえ。もし俺が又あのジジイの腹をたてるようなことを してしまったら、この出羽はどうにかしてその機嫌をとり、それでも機嫌が治らなければ、もう逃げるより他に 道は無い。 これは俺一人に限った話じゃないぞ!?今後一体誰があのジジイの機嫌を損ねるか知らんが、 とにかくあいつは喧嘩好きの恐ろしい奴だ(兎角喧嘩好きの恐ろしき奴めなり)。 お前たちも用心するんだぞ!」 こんな事もあり、村田出羽は栗山備後だけは恐れたが、その他に者には相変わらず無茶なことを ふっかけていたそうである。 栗山備前怖い。というお話。 (古郷物語)
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- 真田幸隆・昌幸・信繁・信幸を語るスレ 3
890 :人間七七四年[sage]:2011/09/15(木) 22:53:01.11 ID:9TW0y1e0 - >>889
> 荒れ果てた田畑に農民は離散してたらしいけど それつくり話だから
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