- 戦国ちょっといい話26
808 :1/2[sage]:2011/05/28(土) 02:03:52.73 ID:/pbA5iPc - 天正6年(1578)、織田信長に反旗を翻した荒木村重を説得するため有岡城に乗り込んだ黒田官兵衛孝高は
その場で捕らえられ有岡城に幽閉される。 さて、この報を聞いて喜んだのは、かねてから織田を離れ毛利に付きたいと考えれいたものの、 織田派の官兵衛の存在のためそれを果たせなかったその主君、小寺政職である。 政職はこの期に黒田家も取り込み毛利に寝返らんと、にわかに使者を姫路にある勘兵衛の父、 宗円に派遣した。ちなみにこの時の使者は、宗円と古くからの友人だったそうだ。 さて、使者は宗円に政職の言葉を伝える 『荒木が理不尽に官兵衛を捕らえた事は、議論の余地のない非道である! その行為への恨みは言葉にすらし難い。 しかしこの事から推し量るに、官兵衛はかねてからこの小寺家が、信長に付くべしと唱えていた。 この事を有岡城の荒木が知り、官兵衛を人質に取れば小寺家も毛利方に付くに違いないと考え、 そのため彼を捕らえたのであろう。 そこで、この上は信長への一味を取りやめ、毛利方に付いて官兵衛の身柄を救いたいと、今は一途に 決心している。 勿論その場合、信長のもとに人質に出している松千代(後の長政)は見捨てることになってしまう、これが何より 難しいことなのは、私も良く解っている。が、松千代は未だあくまで少年に過ぎず、ここはしっかりと判断すべき 事だが、官兵衛は黒田家の家長であり、我が小寺家の重臣であり、才知才覚は人に超えており、まさに 将来にわたって小寺の守りとなるべき人物である。その官兵衛を助けることこそ、我々としては先ず第一に 考えなければならない。 その方(黒田家)とっては柱石と頼み、私に取っては兄弟にも代えがたいと考えている官兵衛を失っては、 我々の滅亡は疑いない!』 このように真に迫った内容に、黒田家のものも尤もだ、その通りだと思わぬ者はいなかったと言う。 が、宗円がこの使者に言うには 「上意の旨、謹んで承りました。官兵衛のことは是非を申し上げるまでもありません。 この上は尚以て前以上に、信長方にひしとお付きなされるべきです! その事を殿が同意していただいたなら、私は老体であり不似合いでしょうが、力のかぎり御奉公を勤め、 小寺のお家が成り立つよう、あらゆる手立てを成すつもりです。 しかし中国方に付こうと思い召されるのなら、この愚老はお暇を頂くより他ございません!」 これを聞いて使者、宗円を説得する 「あなたのような功者に意見など似合わないことだろうが、言わないのもどうかと思うので、あえて言わせてもらう。 宗円老の御存念は間違っている。 信長方に付くというのは、官兵衛殿を殺すという事と同じだ。 官兵衛ほどの家臣を犬死させては、たとえそれが誤りのない判断であっても、たのもしからざる主君であると、 殿に悪名が付くだろう。 貴老も、人に超えた能力を持ち公私において活躍されている長男を捨てて、一体いつまでの齢を保つ つもりでいるのかと、諸人に笑われることだろう。 今まで世間に対し何の傷も付いていないあなたのご身体を、この事で捨てるのか!? たとえ官兵衛殿を捨てられ小寺の家が末永く栄えたとしても、それは不義の富貴である。 いや!官兵衛を捨てれば小寺の家の滅亡は疑いない!これらは全て、貴老の判断次第である! …しかし一大事の事柄であるから、早合点すべきことでもあるまい。繰り返し繰り返しご思案された上で、 ご返答を頂きたい。今日でなくてもかまわないのだ。」 この、使者の情理を尽くした言葉に宗円、重ねて
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809 :2/2[sage]:2011/05/28(土) 02:04:24.16 ID:/pbA5iPc - 「あなたのご助言には感謝する。心からの言葉、感じ入り申した。
確かに仰るとおり、殿様の御為には一体どうなるかわからぬ。今の小寺家が官兵衛を失うということは、 盲目の者が杖を無くし、闇夜で灯火の消えることよりも、なお心許なき事態であろう。 殿は官兵衛の成人してからの忠孝を高く評価していただき、小寺の御苗字も下され、それがしは姫路に在宅仕り 一方の押さえをいたし、官兵衛は、若年ではあるが万事功の入りたる者なればとて、五着へ召し置かれお家の押さえを 申し付けられた。そして、君臣共に神仏の冥加が強かったのであろう、小寺のお家は次第に強く、逞しく なった。そのお陰を以てこの老体も、一身の安楽この上あるまじと思うほどであった。それも偏に、官兵衛の 忠孝のおかげである。 私はそれを捨てろと言っているのだ!それにはこう云う仔細がある。 先ず、松千代を信長に人質に出したことは、殿様、私、官兵衛の3人で相談し、小寺家の証人として出したのだ。 そして今度官兵衛が有岡の城に幽閉されたのは、荒木の突然の狼藉に過ぎない。 どうして熟慮の末出した証人たる松千代を捨てて、突然の狼藉で捕らえられた者を救けねばならないのか!? 熟慮の人質を捨てないことは、順であり道であり義である。これを捨てるのは、逆であり無道であり不義である。 この道を弁えることが人倫、それを知らないことは、木石とも畜類とも言って、取るに足りないことだ。 弓箭をあえて逆に取ることは無い。松千代を殺すことは、逆だ。逆の行いが仮に成功したとしても、 それは長続きしないし。その上不義、非礼、表裏者の悪名を得るだろう。 順にして物事が成り立たないということも、世の中にはある。しかしそれは侍の本意には背かないし、もし成り立てば、 それは長久のものとなる。もし順義正しく守っても、成り行きが悪くなれば、それは夏に雪が降ったようなものだと 覚悟を定めれば後悔することは無い。大体において、大身小身、下郎に到るまで物事、大小にかかわらず 仮初のことにも、順逆・義不義の判断は事に応じて有るべきなのだ! 返す返すも残念なのは、私は若年の頃当家に仕えてより、これほどまでに取り立てられた大殿様の御恩を、 私のこの判断で捨ててしまうこと。そして私も御奉公し、殿と共に辛苦をしのぎ、小寺の領地を倍あまりにまで広げたものの 今回の信長方と毛利方との争いの渦中に入り、その光忠を虚しくし、頼み切った一子を失うこと。これが長生の 業というものなのだろう。 この上はこの法師首を引き抜かれ骨を磨り潰されるような事になろうと、殿が毛利に一味するという御覚悟ならば、 お暇を申し受ける所存である!」 そう、涙を流して訴えた。 使者はこれをおかしな事だと思い、再び意見をしようとした。が、それはしなかった。 一つには、理屈では宗円には勝てないと思ったこと。そしてもう一つは、この使者と宗円は、先にも言ったように 若い頃からの友人であり、宗円が普段は柔和で人の意見に流されるように見えるが、大事において決断すれば、 どんな意見であっても聞き入れない覚悟を持った人物であることを、よく知っていたからである。 そして立ち上がり 「あら恐しの行く末や 足元の明るきうちに帰りたるがまし(帰り道が怖いので、未だ日の明るいうちに帰りたいねえ)」 と、カラカラと笑った。これに宗円 「もはや何彼と気遣いすることはない。五着の殿にはこう語れ。宗円は『一寸の虫にも五分の魂がある』と言ったと。 隠し事は却ってよく知られるものだ、若い者たちよ、以後よく心得よ、そう伝言したまえ。」 すると使者 「いやいや、せっかくの麝香に糞をませたような、そんな伝言はしたくもないよ。」と立ち上がり 「大たわけめ!さらば!さらば!これも命令である!」 と叫んで帰っていった、という。 以上、黒田官兵衛幽閉事件直後の、官兵衛の父宗円と小寺家の使いとの話の内容である。 (古郷物語)
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810 :人間七七四年[sage]:2011/05/28(土) 02:13:34.08 ID:/pbA5iPc - ちょっと間違えました
下から5行目 ×せっかくの麝香に糞をませたような ◯せっかくの麝香に糞をまぜるような 申し訳ないm(_ _)m
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- 次々と通説を打ち砕く鈴木真哉・藤本正行について 4
808 :人間七七四年[sage]:2011/05/28(土) 02:26:51.17 ID:/pbA5iPc - >>807
と言うか、ホントに色々大丈夫か君?
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- で、戦国最強の忍者集団はどこなんだ?
215 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage]:2011/05/28(土) 02:27:41.82 ID:/pbA5iPc - て
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- 【疑問】スレ立てるまでもない質問 7【戦国時代】
487 :人間七七四年[sage]:2011/05/28(土) 22:17:26.00 ID:/pbA5iPc - >>486
いや、一隻ごとに臨検して荷物に応じて関銭(通行料)を徴収された
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