- 【妄想を】CCさくらSSスレ【垂れ流せ】
79 :無能物書き[]:2019/02/12(火) 00:19:52.73 ID:1kckDH8c0 - カードキャプターさくらSS「魔法の終わる日」
第6話 さくらと苺鈴とお友達 「ごめーん、みんなお待たせー。」 集合場所のバス停に向かって走るさくら、その先にはいつものメンバーが待っている。 知世、千春、山崎、奈緒子、秋穂、そして利佳。 今日は夏休みの『休部日』、全ての部活が練習休みの日。 結果重視の学生部活動において、スパルタ的な練習スケジュールによる熱中症等 生徒の負担が全国的に問題になる中、友枝中では月に2回、こういった休部日を設けている。 それに合わせて皆で遊びに行こう、と企画したのは意外なことに小狼だった。 唯一、部活動に参加していない彼のこの提案に皆は乗ったのではあるが・・・ 「あれ、小狼君まだ?」 さくらが見渡す。肝心の発案者が未だここにいない。時間は・・・もうすぐリミットなのだが。 と、向こうの角から小狼が姿を現し、こっちに歩いてくる、ゆっくりと。 全員が小狼の方に向き直る。 「あ、小狼君、こっちだよー。」 手を振るさくら。しかし何かその姿に違和感を感じる。なんで歩いてるの? 彼の性格からして、最後の一人になったのなら皆を待たせまいと小走りに駆けてくる イメージがある。しかし今の彼はのんびりとこっちに歩いてくる。 やがて皆の前まで到着する小狼。 「お待たせ。」 「あ、うん。」
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80 :無能物書き[sage]:2019/02/12(火) 00:20:24.87 ID:1kckDH8c0 - その瞬間だった、いきなり背後から知世とさくらと利佳にタックルするように
抱き着いてくる人物。 「やっほー、おまったせーっ!」 目を丸くして振り向く一同。小狼だけはやれやれ、と頬を掻いている。 「め、苺鈴ちゃん!?」 「あらまぁ」 「うわっ、久しぶり〜」 思わぬサプライズに抱き着かれた3人が思わず反応する、他の面々も突然の来訪に驚きを隠せない。 なるほど、小狼が走らず歩いてきたのは、背後から苺鈴がこっそり近づくための囮だったらしい。 「言ってたでしょ、夏休みには来るって!」 「あ、そっか。」 山崎がアゴに手を当て、ふんふんと納得して口を開く。 「今日の本当の提案は苺鈴さんの方だったんだね〜」 全員があっ!という顔をする。小狼にしてはらしくない提案だと思っていたが なるほど苺鈴なら納得だ。 と、その苺鈴はぴょん、と後方に飛び跳ね、居住まいを正す。 その後ろには二人の少女が並んで立っていた。 一人は長身の金髪、もう一人はやや背の低いショートヘアの娘。 「紹介するわね、私の香港での友達、ステラ・ブラウニーと王林杏(ワン・リンシン)よ。 なでしこ祭見たいって言うから連れてきたの!」 おおーっ、という表情で全員が2人を見る、見た目にも対照的な二人。 山崎以上の長身で金髪碧眼をポニーテールにまとめ、肩口をリボンで止める白い トップスTシャツのへそ出しルック、ホットパンツから伸びるすらりとした足、いかにも アメリカンなプロポーションはいわゆるモデル体型の見本のようなスタイルだ。 かたや髪型を男の子並みに短く刈り込んで、それでも一目で女子とわかる優しげな表情、 ソデの無い青い服装の中央はトグルで止まっており、いわゆる人民服系のファッションに 長めの紺色スカート、全身からえもいわれぬ気品が漂っている。
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81 :無能物書き[sage]:2019/02/12(火) 00:21:32.00 ID:1kckDH8c0 - と、山崎が臆することなく前に出る。両者の前に立って挨拶。
「山崎隆司です、小狼君と苺鈴ちゃんとは仲良くさせていただいてます。」 さすがに度胸と社交性あるなぁ、と皆が感心する、金髪の方に手を差し出して一言。 「ワン・リンシンさんでしたね、よろしく!」 山崎と金髪以外の全員がずっこける、逆でしょ普通、と千春がツッコミを入れようとしたその時、 金髪娘が絶叫する。 「NO!!!なんで私がリンシンだと分かったネ!?お前タダモノじゃないネ、さてはCIAの諜報員か?」 ふっふっふ、と得意げに笑い、ショートヘアに向き直る山崎。 「で、こちらがステラさんですね、山崎です、よろしく。」 「あ、あの、そうじゃなくて・・・」 困惑する表情を向けるショートヘアの女の子。 「「いいかげんにしなさーいっ!」」 千春が山崎に、苺鈴がボケ続ける金髪にツッコミを入れる、両者の頭をハタいた音が パシーン、と気持ち良くハモる。 どうやら金髪がステラ、黒髪がリンシンの見た目通りで間違いなさそうだ。 「イヤー、お前とはウマいリカーが飲めそうダ!」 すっかり意気投合した山崎にステラがばんばんと肩をたたきながら話す。 一方リンシンは知世や秋穂とにこやかに話している、出会ってものの数分で両者のキャラが 必要以上に掴めてしまった。 「ダケドこのグループ、ほとんどガールばっかりネ、ボーイは李とヤマザキだけ?」 ステラの質問に苺鈴か返す。 「しかも二人とも予約済みだからね、とっちゃダメよステラ。」 「OH!ソーなの?ザーンネン。」 「ええ、お二方、お付き合いしてる方がいるんですか?」 思いもかけず食いつく林杏、知世が横から解説を入れる。 「山崎君と千春ちゃんは、10年来の幼馴染ですのよ。」 「ナールホド、ドーリで、さっきのツッコミが胴に入ってたと思ったヨ。」 「ま、まぁ私がつっこまないと、山崎君ひたすらボケ続けるからねぇ・・・」 顔を赤らめた千春が照れ照れで返す。
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82 :無能物書き[sage]:2019/02/12(火) 00:22:47.25 ID:1kckDH8c0 - 「で、李さんの彼女、誰なんですか?」
林杏が目を潤ませながら周囲を見渡す。その一言と同時にさくらがぼふっ!と顔から煙を出し 耳まで真っ赤っかになり、俯く。 リアクションを起こさない小狼に、知世が横から軽く、苺鈴が後方から強めに肘鉄を入れる。 「あ、ああ。王、こちらが木ノ本さくら・・・で、俺の・・・」 言ってこちらも瞬間湯沸かし器のように赤面し、頭から煙を出す。 「変わらないわねー、二組とも。」 利佳が二人を見てにこやかに言う。さくらと千春の手を取り、ぐいっ、と引き寄せて耳打ち。 「もっと積極的にいかなきゃ、今時は草食系男子が多いんだから。」 「「え”・・・」」 積極的に、と言われてもかなり難しい。小狼も山崎も性格は違えど女子の方から距離を詰めるのは なかなかに難儀なキャラクターだから。いろいろ妄想しながらもじもじと両手の人差し指を 胸の前で合わせる二人。 「だ・か・ら、これからプールでしょ、健闘を祈るわ♪」 ウインクして離れる利佳、どうやら恋愛に関しては遥かに上級者のようだ。 残念ながらその目論見は外れた。更衣室から登場したステラのプロポーションたるや お前のような中学生がいるかと言いたくなる迫力だ。赤青のワイヤービキニに身を包み 早くも周囲の注目を集めている。 さくら、秋穂、千春、奈緒子、そして林杏の5人は、胸に手を当てて、はぁ、とため息。 苺鈴はステラをジト目で見ながら毒を吐く。 「ホンッとに、何食べたらこんな体になるのかしらねぇ・・・」 「でもさくらちゃんも、水着似合ってますわ♪」 知世だけは他には目もくれず、早速さくらにビデオを向けている。
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83 :無能物書き[sage]:2019/02/12(火) 00:24:07.50 ID:1kckDH8c0 - 「こっちこっちー」
山崎が女子連に声をかける。男子は着替えが早いので、もう二人ともプールサイドで待機中だ。 皆が二人の方に走る、集まったところで利佳がさくらの背中を押し、小狼の前に立たせる。 「あ・・・」 「ど、どうかな、似合ってる・・・?」 さくらの水着はひらひらのフリル付きバンドゥビキニ。赤を基調にピンクや白の桜の花が デザインされたフリルが胸と腰を覆っている。 「あ、ああ・・・似合ってる。」 直視できないといった表情でやや目をそらし、赤面して答える小狼。 隣では千春が山崎に水着を披露している、こちらはセパレートタイプながら、カラフルな ストライプが入ったデザイン。スクール水着に比べて若干ハイレッグになっており、色気もある。 「うーん、いいんじゃないかな。似合ってるよ。」 「ホント?よかったぁ。」 実は事前に山崎は利佳からメールを受けていた、内容はこうだ。 ”千春ちゃんの水着をホメること!ボケたら承知しませんよ!” しぶしぶ冗談にするのを諦める山崎、隣で嬉々としている千春を見て、まぁいいか、と納得する。 楽しい時間は過ぎるのも早い。競泳水着に身を包んだ苺鈴がさくらと競争したり、 リンシンが迷子と間違われたり、探しに行った秋穂が二重遭難したり、知世は終始さくらを撮影したり ステラがナンパ男に絡まれては年齢を告げて引かれたり、奈緒子と千春が利佳との話に花を咲かせたり 売店には案の定、桃矢と雪兎がいてさくらをずっこけさせたり、クリームソーダを注文してから さくらがやたら周囲を警戒してたり、その時すでに売店の中でケロが雪兎におごってもらった クリームソーダに舌鼓を打っていたりしているうちに、あっという間に夕方が来てしまった。
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84 :無能物書き[sage]:2019/02/12(火) 00:25:30.98 ID:1kckDH8c0 - 「それじゃみんな、またね。なでしこ祭、楽しみにしてるわ。」
苺鈴がステラと林杏を連れて一行と別れる。他のみんなも解散、という時、利佳がいきなり声を出す。 「そーれっ!」 その合図とともに奈緒子、知世、秋穂、そして利佳が一斉に駆け出す、別々の方向に。 「じゃあ、またー」 「またねー」 「お疲れ様でしたー」 「頑張ってねー」 何事が起ったのか理解できぬまま、その場に残されるさくら、小狼、千春、山崎の4人。 いち早く状況を悟ったのは山崎、ふぅ、とため息ひとつ。 「じゃあ帰ろうか、僕と千春ちゃんはこっちだから、またね。」 自然に千春の手を取り、歩き出す山崎。思わぬリアクションに驚く千春、無論悪い気はしない。 「うん、またねさくらちゃん、李君。」 満面の笑顔でひらひらと手を振って去っていく、夕焼けの街角に消えるのを見送って、小狼が さくらに話す。 「俺たちも・・・行こうか。」 「うん。」 歩き出そうとして、ふと止まる。 さくらから顔をそらしたまま、すっ、と手を出す小狼。 「あ・・・」 少しの間、そして次の瞬間、さくらはその手を掴む、両手で、ぎゅっ、と。 こぼれるような笑顔のさくら、目線を泳がせながらもさくらの手を握り返す小狼。 そのまま二人は歩き出す。泳ぎの疲れも忘れて。 マーチングのことも、さくらの魔力の事も、今この時だけは忘れて−
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85 :無能物書き[]:2019/02/12(火) 00:26:28.55 ID:1kckDH8c0 - 「フーン、アレがクロウ・カードの所有者ネぇ」
「とんでもない魔力でした、小狼さんが私たちを呼ぶのもうなずけますね。」 ホテルのロビーのテーブルで、少女3人と初老の男性が話している。 「さくら様はもう危険な状態だそうで、苺鈴様、ステラ様、林杏様、どうかよろしくお願いします。」 「任せてよ偉(ウェイ)、私がいるんだから何にも心配ないわよ!」 どんっ、と胸をたたく苺鈴。 「その意気ですよ、大事なのは『きっと上手くいく』という意志なのですから。」 4人は知らない。木ノ本さくらも、その考えを身上としていることに。 −絶対、だいじょうぶだよ−
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