- 社会福祉公社技術部さくら板支所 第3分室
754 :蘇芳 ◆EYkgEnmnSE [sage]:2012/06/05(火) 03:17:26.92 ID:C1NY9VAP0 - トリエラみたいに、担当官とパートナーのような関係にはなれない。
リコみたいに、何の疑いもなく従う事も出来ない。 ヘンリエッタみたいに、「好き」って感情だけにもなれない。 アンジェリカみたいに、忘れる事すら、できない。 どうしてなんだろう。 私だけ。 私だけが、「私」になることができない。 彼は私の全て。 だけど、私は彼にとっては、道具ですらないのかもしれない。 ただ、命令されるから隣に置いてあるだけのお荷物。 私はラウーロさんの義体です。 「愛」なんて甘いものは求めません。 ただ、側にいて、声を聴いて、姿を見つめて、あなたのために働いて、それだけでいいんです。 そのための努力は惜しみませんから…
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755 :蘇芳 ◆EYkgEnmnSE [sage]:2012/06/05(火) 03:18:37.98 ID:C1NY9VAP0 -
全ての時間を彼のために使うと決めた、あの日から。 エルザとして、私が生まれたあの日から。 私はずっとそうしてきた。 けれど。 私に出来る「努力」なんてたかがしれている現実。 その現実に打ちのめされる。 私の意思だけじゃ、何もできない。 演習場の使用は担当官が申請する、義体にはできない。 レンジに入るにも、担当官の同伴を求められる。 実弾は寮に勝手に持ち込めないから、ただ撃つだけの訓練すら私一人ではできない。 座学で私が何かを書けば、ラウーロさんはそれをチェックする事を求められる。 射撃以外の身体機能の訓練をしようにも、そのための道具を買うのは担当官の仕事。 私には、ラウーロさんしかいないのに。 私には、ラウーロさんのために努力する権利が与えられていない。 何をしようとしても、ラウーロさんの手を煩わせてしまう。 私は義体だから。 担当官の命令なしには、何もできない。 わかっているの、そんな事は。 けれど、私はラウーロさんのために何かしたい。 ラウーロさんに命令していただけなくても。 私一人で何ができるか、ずっとずっと考えていた。
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756 :蘇芳 ◆EYkgEnmnSE [sage]:2012/06/05(火) 03:20:30.50 ID:C1NY9VAP0 -
私にあるのは、名前と、写真と、銃と、私の体だけ。 全てラウーロさんがくれたもの。 だから、私は私にあるもので、ラウーロさんに尽くします。 銃を分解して、磨いて、また組み立てて。 もっと私に必要な訓練はあるけれど、私にはこれしかできないから。 私一人でできる訓練はこれだけ。 後はラウーロさんにいつ呼んでいただいてもいいように、待つだけ。 待っている間、私は丁寧に髪を編むの。 実用的でない長い髪。 これをラウーロさんが残したのには、きっと理由がある筈。 だから私はこの髪を大切にしなくては。 けれど、私はなぜ三つ編みなのか、もう覚えていない。 きっと、ラウーロさんに決めていただいた事なのに。 ラウーロさん、ごめんなさい。 これ以上、忘れないように、私、もっと努力します。 だから、ラウーロさんも忘れないでください。 私に全てを与えてくださったのは、ラウーロさんだって事。
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757 :蘇芳 ◆EYkgEnmnSE [sage]:2012/06/05(火) 03:31:40.03 ID:C1NY9VAP0 - >>753さん
そうですね、確かにビーチェやシルヴィア、キアーラのところをフェルミたちが訪問したかは謎です。 ただ、鐘楼の話のセリフと、二人が鐘楼の話まで出てこない辺りで勝手にシルヴィアとキアーラは出張が多いイメージで書いちゃいました… ビーチェについてはどうなんでしょうねえ。 祝日SS,キリスト昇天日やり損ねました… どれを選ぶか難しいです。
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