- 【 口実なら 】仁義なき戦い33戦目【おま】
346 :この子の名無しのお祝いに[]:2013/11/10(日) 00:14:34.77 ID:mFyb8Am7 - 月末になると ゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった
仲間はそんな彼をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと飲んだ勢いで嘲笑ってもゆうちゃんはニコニコ笑うばかり 僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけたった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ 配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影にブレーキが間にあわなかった 彼はその日とても疲れてた 人殺し あんたを許さないと 彼をののしった被害者の奥さんの涙の足元で 彼はひたすら大声で泣き乍らただ頭を床にこすりつけるだけだった それから彼は人が変わった 何もかも 忘れて 働いて 働いて償いきれるはずもないが せめてもと毎月あの人に仕送りをしている 今日ゆうちゃんが僕の部屋へ 泣き乍ら走り込んで来た しゃくりあげ乍ら 彼は一通の手紙を抱きしめていた それは事件から数えてようやく七年目に初めてあの奥さんから初めて彼宛に届いた便り 「ありがとう あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりましただから どうぞ送金はやめて下さい あなたの文字を見る度に主人を思い出して辛いのです あなたの気持ちはわかるけどそれよりどうかもう あなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」 手紙の中身はどうでもよかった それよりも償いきれるはずもない あの人から返事が来たのが ありがたくて ありがたくてありがたくて ありがたくて ありがたくて 神様って 思わず僕は叫んでいた彼は許されたと思っていいのですか 来月も郵便局へ通うはずのやさしい人を許してくれて ありがとう 人間って哀しいね だってみんなやさしいそれが傷つけあって かばいあって何だかもらい泣きの涙が とまらなくてとまらなくて とまらなくて とまらなくて
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