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ダンジョンマスター Lv.32 [転載禁止]©2ch.net

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ダンジョンマスター Lv.32 [転載禁止]©2ch.net
978 :dm6[]:2018/05/14(月) 06:20:18.10 ID:b2TJl7dA0
つぶやきのような、ため息のような声が、セロンの耳に入った。それは、ドラゴン の声のようでもあり、捕えられ縛り上げられた悪魔が発する恨みの声のようでもあった。
そしてようやく、グレイロードの声が聞えた。「ちゃんと聞いておる、セロン。とうしてお前はそう、気が短いんだ。答える間というものがあるだろうが」 「すみません。でも……」
戸が開き、セロンはそれに押されるように後ずさった。ファルクラムは、待っていたかのように開いた戸の隙間から実験室の中に飛んで入った。
セロンもこの禁断の部屋の中を見逃すまいと、このチャンスに目を凝らしたが、見えるのは影だけであった。いつになったら、この部屋で働くことができるのだろうかと、セロンは思った。
偉大なる大魔道士の秘密の力を学べるのは、いつのことなのだろうか。「いや、お前が謝ることはない。お前は何も悪くはないのだからな。謝るのはわしのほうだ。つい短気を起こしてしまった」
実験室の奥の暗闇から、グレイロードが姿を現わした。背の高い、灰色のローブを まとったその姿に、セロンは改めて敬愛と畏敬の気持ちで胸を熱くした。この人こそ、
多くの村の若者の中から自分を選び出し、弟子に迎え、魔法と物理の宇宙の神秘を教え、ゆくゆくはあらゆる術を使いこなす大魔道士に育て上げてくれると約束してくれた人なのだ。
「お邪魔する気はなかったんです。ただ、遅くなると……」「そう気にするなと言っただろうが。わしとて、若かりし頃の気の焦りは、まだ忘れちゃおらん。お前はその若い活力を、
私に仕えることでずいぶん犠牲にしてきておるしの。ビボルグへ急ぐ気持ちに水を差すようなことはせんよ。ベイラのような美しい娘がわしを待っているとしたら、わしとて落着いてはおられん」
そう言って、グレイロードは天井を見つめ、セロンがいつも見慣れた夢見るような 表情を満面に浮かべた。アナイアス山の地中深く、溶岩と水晶だけのこのダンジョンで、
誰とも会わずに研究に没頭する先生は、孤独を感じないのだろうか。そう思うことが、セロンにはよくあった。たとえ、ここが氷河を溶かし、その中から小人や妖精や人間やハイロードまでも
蘇らせた伝説のパワージェム(命の源)の在処だったとしてもだ。 「さてと、出発の時間じゃな。土産のヘナロープを楽しみにしているぞ。ささ、マントを着なさい」
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979 :dm7[]:2018/05/14(月) 06:28:54.36 ID:b2TJl7dA0
師は、一瞬己を取り巻いた妄想を払い除けるように声をあげると、セロンを促した。 グレイロードが手を振ると、鉄とエメラルドの細工で飾られた木の戸棚の扉が開き、 そのなかで、
セロンの液化銀のマントが輝いた。 マントはひとりでに浮び上がり、部屋を横切ってセロンの体を包むと、薄暗い部屋の中でぼんやりと光を放った。グレイロードは、親が子供にそうしてやるように、
マントの衿首を整え、セロンの頭にやさしくフードをかぶせてやった。セロンはその間、かすかに触れた師の手から伝わる、強いマナの刺激を体中に感じていた。
rわが友の旅に調和あれ、師は輝く手を振り上げ、セロンの幸運を祈った。「常に均衡を忘れません。ハイロード様」 セロンはひざまづき、師の送る言葉に答えた。「それはやめろと言ったろうが。わしはお前の師匠ではあっても、
『ハイロード様』などと呼ばれるような、大それた者ではないのだ」 師の言葉には、少々皮肉がまじっていた。「我々がお前たちよりも偉いなどということは、ひとつもない。なかには、自分は偉いのだと、
お前たちに信じ込ませているような輩もおるようじゃがな。我等はみな、他のあらゆる種類の人間たちとともに、同じ創造主の手によって氷河の中に置かれ、眠っていたではないか」「わかりました、先生」 素直にうなづいてみせたものの、
セロンはやはり、他のビボルグ人と同じくグレイ ロードは自分たちとはまったく次元の違う存在であるという考えは捨てることができなかった。ハイロードが神であることも、なかでもグレイロードは、最も偉大な力を持つことも、
ビボルグ人にとっては常識であった。 一度ならず、グレイロードは身を犠牲にしながらも、その近親者であるウィスデインによって引き起こされた戦争や不和から、人民を救っている。今彼は、他のハイロードたちのように天界での隠居生活も、
また、この世界の王になってくれとのすべての人民の熱望をも拒絶して、自らがこしらえたダンジョンの底で、生命の起源 と目的における様々な疑問に答えを出そうと研究を重ねている。それはすべて、人民のための調和と均衡のある理想の世界を築こうという、
崇高な夢のためなのである。
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980 :dm8[]:2018/05/14(月) 06:36:42.62 ID:b2TJl7dA0
2人は、ダンジョンとビボルグ程度の小旅行によく利用される水晶球のところまで歩いてきた。セロンは球の中に立ち、マントの下で腕を交差させた。「調和を忘れるな」「均衡を保ちます、先生」
セロンの前からダンジョンの石の壁が消え、水晶の輝きの向うに影が広がっていった。道具箱や本棚の上にも、また、セロンとグレイロードが盃を交わし、チェスを指し、古代の哲学を語ったテーブルの上にも影が降りていった。
グレイロードの上にも影は降りた。しかし、彼の目は光っていた。先生は泣いていらっしゃるのだろうか……。セロンは一瞬気になった。そのときだった。師は、堰を切ったように、両の手を振りあげて叫んだのである。
「見つけたのじゃよ!」 セロンは息を呑んだ。「パワージェムを、ですか」 「さよう。思っていたとおり、炎の山の中にあったのじゃよ」 水晶の輝きが増し、セロンの目をくらませた。目を閉じなければいけないところだが、彼は目を凝らしていた。
「やりましたね、先生」 グレイロードの顔が、セロンの目前を漂っていった。「そうとも。お前が帰ったときには、いままでに見たこともないような、すばらしい 夜明けを見せてやるぞ」 セロンが目を細めて水晶球の外を必死に眺めていると、
ファイアースタッフの入ったガラスケースがゆっくりと開き、グレイロードが大きな音とともに、ファイアースタッフを取り出すのが見えた。セロンが水晶球の内側を激し叩いた。「いけません、先生。私のいない間にパワージェムをお取りになるおつもりですか。
ひとりでおやりになるために、私を遣いに出したんですね。先生、私にも手伝わせてください。お願いです。無茶をなさってはいけません!」 いっそう輝きを増す水晶球の中で、セロンは泣き叫んだ。月が、太陽が、星が、何 度もセロンの周りをぐるぐると回りだした。
強い光のパルスは、セロンの目を突いた。それは金色、いや、銀色、違う、ただの白でもない、生き物の魂のように、ハイロードの心のように、それらすべての先祖を生み育てた氷河のように、純白の白 熱光であった。セロンはひざをつき、目を覆った。
すると(何かが、彼の休を包み込んだ。マナだ。これまでに経験したことのない強力なマナだ。セロンは、そのあまりのショックの強 さに水晶球の中に倒れ込んでしまった。
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981 :dm9[]:2018/05/14(月) 11:13:19.02 ID:b2TJl7dA0
魔法の樫の大木の裂け目の中で目を覚ましたセロンは、驚いて飛び起きた。旅の終点に無事たどり着いたのだ。
眉間にしわをよせて、彼はゆっくりと立ち上がった、何かひっかかるものを感じてならない。出発の直前、実験室で起きた何かよくない何かだ。セロンは天を仰いだが何も思い出せずそのきのことすら記憶にない。
困惑とともに空から出ると、まばゆいばかり光かった。 それは、セロンの婚約者ベイラの仕業だった 乗り出して、父親のりんご園から取ってきた 揺すっていたのだ。
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982 :dm10[]:2018/05/14(月) 11:20:58.68 ID:b2TJl7dA0
「調和はいかが、セロン-」 歌うように言うと、ベイラは枝を捨て、セロンにかわいらしい柔らかな手をさしのべた。「1日中待ってたんだから」 待つ。何かを待つ。師に自分の帰りを待てと頼んだ。でも、何のために。
セロンはアゴをかいた。だが、何も思い浮かばなかった。「セロン。降ろしてってば」 ベイラの声に、セロンはハッとして思い悩むのをやめた。いずれ思い出すだろう。 水晶球の中で夢を見ていたのかもしれない。
前にもそんなことがあったから。 セロンはベイラを見上げると、やさしく微笑んで言った。「今マントを脱ぐから、待ってくれ。これに触ると、火傷をするからね」 「じゃあ急いでね。まだキスもしてくれてないんだから」
彼はマントを脱いで近くの木の枝に掛けると、ベイラに手をさしのべた。彼女は本当に美しかった。抱きしめると、りんごとバラの香りがする。髪の毛は、うさぎの 綿毛のように柔らかい。
グレイロードの許可がおりるまで結婚を待たなければならないのは、セロンにはこの上もなく辛いことだった。大魔道土になるまでの辛抱だ。しかし、その道のりのなんと長いことか。「ああ、ベイラ」 セロンは、ベイラの髪を見つめてため息をもらした。
「一晩でいいから、君と一緒にいたいよ。でも、この旅は先生のお遣いだから」 それを聞いてベイラは、ちょっと眉をしかめた。 「あら、あなた、お父様の家に泊まるようにとグレイロード様がお言いつけになったって、言ってたじゃないの」
「そうだっけ」「そうよ。満月の晩に。忘れちゃったの」 やっぱり、何かがおかしい“。セロンは、こんな大切なことまで忘れてしまったのだろう、他にも忘れたことがあるはずだ。
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983 :dm11[]:2018/05/14(月) 11:41:47.46 ID:b2TJl7dA0
「本当だってば。お父様に聞いてごらんなさいよ。あなたは、うちに泊まることになっているのよ。ちゃんと用意もできているわ。あれをしまっておける、安全な場所も作ったわ- 咳みつかれるとでも思ったのか、
ベイラは、セロンのマントを指さすと、すぐに手を引っ込めた。ベイラが、このマントを怖がっていることをセロンは十分に承知していた。「君とお父上と一緒に過ごせるなんて、これ以上のことはないよ」 セロンは困惑を隠そうとして、
明かるくふるまった。ベイラは、この言葉のご褒美として、もう一度セロンにキスをした。「行きましょ」ベイラは両手で彼の手を握って引っ張った。「今晩はお父様のご招待よ。賢女様も、グレイロード様のヘナロープを
持ってきてくれているわ。それから、川のほとりで2人きりでお楽しみ 「そうまで言われちゃ、断れないね」 セロンはこのとき初めて、もう自分はただの男ではないということに気が付いた。自分は一人前の男であり、グレイロードの
名誉ある愛弟子であり、社会に貢献できる人間なのだと。よく自分の自慢をしていた母の言葉を思い出した。「まともな娘なら、放ってはおかない上玉さ」 しかし、今セロンが欲しいのは、ベイラただ一人だった。
その晩は、鹿肉とベイラの父親特製のビールという、豪華な食事を楽しんだ。そしてセロンは、ベッドの掛け金にマントを掛けて、深い眠りについた。その顔には、満ち足りた微笑みが浮かんでいた。 彼はその夜、すばらしい夢を見た。
ベイラとの結婚生活、グレイロードは山腹の小さな家を2人にプレゼントして、羊がたわむれ、美しい滝から水が流れ落ちる池まであった。グレイロードとって、これくらいのことは朝飯前だ。そしてに彼らの秘密を伝授する。
もちろん、伝授すると言っても遊び程度にすぎない。ハイロードの縁者と大魔道士の グレイロードだけが持つ秘密というものもあるからだ。
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985 :dm12[]:2018/05/14(月) 12:08:50.93 ID:b2TJl7dA0
秘密。セロンは眠りの中で自問した。ダンジョンを出発するときに、何があった。 何かの秘密だ。謎を解く鍵だ。そこで彼の夢は、輪郭を失い、突如として悪夢に転落した。全身を貫く、この世の ものとも思われぬ苦痛。
体が真ふたつに裂けるようだ。自分の悲鳴が耳の中で反響している。もだえ苦しむ肢体を、肉を、心臓を鋭い炎が貫いた。髪は燃え上がり、骨はけいれんした。これが死ぬということなのか。セロンは、まさに死を実感した。
気が付くと、セロンは焼けただれた雑木林の丘の上に立っていた。廻りの木々は、みなくすぶる炭になっていた。縮みあがり、だらりと垂れ下がった樹皮には、真っ赤なりんごや、みずみずしい、桃が実っていた頃の面影はない。
空は炎で真っ赤に染り、立ち込める煙はセロンの喉を刺した。村は廃虚と化していた。兵士が子供たちを追い掛け回している。村人の叫び声が、山々にこだましていた。そのとき、耳をつんざく雷のような音がとどろいた。
セロンは思わず目を固く閉じた。再び目を開けると、セロンの足はすでに地上を離れ、駆け抜ける軍隊を眼下に見下ろしていた。戦争、飢餓、疫病、どこを見渡しても悲劇と苦難に打ちのめされた人々 の姿が目に入った。
たまらなくなって、セロンは悪夢の中を駆け抜けようとした。焼けた木々の間を縫って、砲弾に掘り返された地面をかすめて、彼は飛び続けた。天が裂け、凍りつくような雨がセロンを打ちつけた。
強い風が、セロンを羽毛のようにもてあそんだ。マントの前を深く重ね合わせ、セロンは叫んだ。「先生、いけません。ひとりでなさってはいけません。やめてください、先生。私の帰りを待ってください」
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986 :dm13[]:2018/05/14(月) 12:22:30.81 ID:b2TJl7dA0
セロンはダンジョンの扉の前に立っていた。 「誰だ、私の夢に語りかけるのは」。セロンは振り返った。 『夢ではない』 「姿を見せろ」 『それはできぬ』 「見せろと言っているんだ」 マントの中から手を差し出し、
セロンは魔法の構えを見せた、そして、拳に魔力を集中させると視覚の呪文を唱えた。 すると一瞬、扉の前に光の球が現われたかと思うと、すっと小さくなった。セロンは視覚の呪文を繰り返すと、光の球は前よりも明るくなった。
これは、グレイロードの水晶球だ。見る間に、その球の中に白いぽんやりとした影が立ち上がった。 「セロン」 影はセロンの名を呼んだ。セロンは、3歩後ずさった。「先生、ですか」 「セロン」 再び声がすると球の光が増し、
その中にグレイロードの顔が現われた。セロンは思わず走り寄り、球に抱きついた。
ダンジョンマスター Lv.32 [転載禁止]©2ch.net
987 :dm14[]:2018/05/14(月) 12:53:35.61 ID:b2TJl7dA0
「先生、先生、いったい何が起こったのですか。これは夢なんでしょ。私はちょっと 前に眠りについて、そしたら……」 「そうじゃない」グレイロードはセロンを制した。おかしなことにグレイロードは、いつものグレイではなく、
白い着物をまとっていた。こころなしか顔が険しく見えるのは、そのためだろうか。それにしても、きつく結ばれた師の口許はまるで怒っているときのようだ。しかも、目は鉄のように無表情だ。「よく聞け。これは現実だ」
「夢じゃないって、なら、何だと、何だとおっしゃるんですか」 セロンはすっかり気が動転Lていた。 「落着け。ヒステリーを起こしている時間などないのだ」 グレイロードの声は厳しかった。 「すみません。先生」
セロンは透明な自分の体を見下ろした。「先生、これは何の魔法です。私たちはふたりとも、幽霊になってしまったのですか」 「パワージェムを取り戻そうとしたんじゃよ。愚かなことに、パワージェムを発見した喜びのあまり、
ビボルグの賢女のところヘヘナロープを取りに行くお前に、そのことを話してしまった」 「そうだ。思い出した。これだったんだ。これがどうしても……」 「シッ、黙って聞きなさい。そこでわしは、お前の記憶を消したのだ。
忠誠心のあまり、お前がわしと共に残ると言い張らないようにな。パワージェムの奪回は、命がけの作業だからな」「呪文を唱え始めたときだ。わしは唱え方を間違ってしまった、呪文のエネルギーを注いだとたんに、宇宙爆発し、
一年間、視力を失っていた」 「1年間」セロンは大声をあげた。 「私は1年間も眠っていたというのですか」
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988 :dm15[]:2018/05/14(月) 14:07:14.93 ID:b2TJl7dA0
眠ってなどおらん、私同様ふたつに分裂したのだ。だが、お前は直接爆発の現場にいなかった為、わしのように物質世界からはじき飛ばされはしなかった。わしは今天国とも地獄ともつかない異次元に存在している。私の体は、
この物質世界では半存在の状態とでも言おうか。お前のように世界を自由にうごけなってしまったのだ。そこで、お前の出番となる 「ヤツを阻止するのだ」「ヤツって?」 セロンは、流れ出しそ引こなった涙を抑えようと、
まばたきをした。自分が一人前の男だと感じたのはつい今朝のことだったのに、それが今では小さな子供のように泣きべそをかいている。なんということだ。「カオスだ、セロン」 師は拳を握りしめ、空を見上げた。
「爆発によって、わしから分裂したんじゃよ。言いにくいことだが、それは、わしの 悪心の部分なのだ。普段は気付かないが、狂暴で抑えられない自分というものを,誰でも持っているはずだ。しかし、わしの場合それが自由を勝ち得たのだ。
そして、今は悪事のやりたい放題じゃ。ヤツは、人類の文明を破滅させ、世界を我々人類が生まれる前の氷河の時代に戻すために、まずお前を支配しようと企んでいる」 グレイロードはダンジョンを指差した。「ヤツはダンジョンを占領して、
パワージェムを捜している。ファイアースタッフは ヤツの手中に落ちたが、パワージェムを解き放つ呪文は見つかってはおらん。その手がかりは実験室にあるんだが、ヤツにはわからないはずだ。爆発後に研究を見直した結果、
正しい呪文がわかったのだからな。それを知るのは、わしひとりなのだ」 「それで、私に何をしろとおっしゃるのですか、先生」 セロンは興奮してた。 師の影がビクリと震えた。 「まず、今からわしをグレイロードと思わぬこと。
すでに、その名前は捨ててしまった。リブラスルス。わしのことをこう呼べ」 セロンは、この名前に聞き覚えがあった。ハイロードが使用する古代の魔法用語で、”秩序を回復する者”という意味だったように思う。
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989 :dm15[]:2018/05/14(月) 14:07:42.26 ID:b2TJl7dA0
眠ってなどおらん、私同様ふたつに分裂したのだ。だが、お前は直接爆発の現場にいなかった為、わしのように物質世界からはじき飛ばされはしなかった。わしは今天国とも地獄ともつかない異次元に存在している。私の体は、
この物質世界では半存在の状態とでも言おうか。お前のように世界を自由にうごけなってしまったのだ。そこで、お前の出番となる 「ヤツを阻止するのだ」「ヤツって?」 セロンは、流れ出しそ引こなった涙を抑えようと、
まばたきをした。自分が一人前の男だと感じたのはつい今朝のことだったのに、それが今では小さな子供のように泣きべそをかいている。なんということだ。「カオスだ、セロン」 師は拳を握りしめ、空を見上げた。
「爆発によって、わしから分裂したんじゃよ。言いにくいことだが、それは、わしの 悪心の部分なのだ。普段は気付かないが、狂暴で抑えられない自分というものを,誰でも持っているはずだ。しかし、わしの場合それが自由を勝ち得たのだ。
そして、今は悪事のやりたい放題じゃ。ヤツは、人類の文明を破滅させ、世界を我々人類が生まれる前の氷河の時代に戻すために、まずお前を支配しようと企んでいる」 グレイロードはダンジョンを指差した。「ヤツはダンジョンを占領して、
パワージェムを捜している。ファイアースタッフは ヤツの手中に落ちたが、パワージェムを解き放つ呪文は見つかってはおらん。その手がかりは実験室にあるんだが、ヤツにはわからないはずだ。爆発後に研究を見直した結果、
正しい呪文がわかったのだからな。それを知るのは、わしひとりなのだ」 「それで、私に何をしろとおっしゃるのですか、先生」 セロンは興奮してた。 師の影がビクリと震えた。 「まず、今からわしをグレイロードと思わぬこと。
すでに、その名前は捨ててしまった。リブラスルス。わしのことをこう呼べ」 セロンは、この名前に聞き覚えがあった。ハイロードが使用する古代の魔法用語で、”秩序を回復する者”という意味だったように思う。
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990 :dm16[]:2018/05/14(月) 14:21:02.03 ID:b2TJl7dA0
「わかしました。リブラスルス様」 セロンは頭を深々とたれた。 「忠誠を誓います」 「よろしい。これで十人力だ。お前はわしの手となり足となって、また、目となり耳 となってわしを助けるのだ。とにかく、ファイアースタッフを
取り戻さない限りわしはダンジョンの中に入ることができない。あの爆発以来、わしはこの場所にしか現われることができないのだ。このダンジョンの扉の外にだ。反対に、カオスはダンジョンから外にでることはできん。ヤツとわしは
ここに存在していながら、存在しない。お前の使命は、この場所ヘファイアースタッフを持ってくることだ」 セロンは唇をなめた。 「しかし、どうやってダンジョンに入るのですか。私にも実体がないのですよ。半存在の身です」
リブラスルスはうなづいた。「それも道理だな、セロン。そこに気付くとは、さすがは我が弟子だ。だが、お前には、わしにはとれぬ行動をとることができる。 ロードカオス、ヤツは自分をこう呼んでおるんだが、それを倒すために、
どうしても必要な行動だ。今では、ヤツがこのダンジョンの主だ。お前は、わしのためにそれを取り戻すのだ」 「ダンジョンを、ですか」 揺らめく水晶球の中の師を、セロンは目を細めて見つめた。「ファイアースタッフだ。何度言わせるのだ。
それがあれば、わしが自らダンジョンに入り、パワージェムを取り返すことができる。そして、カオスを倒してこの世界は再び秩序を取り戻し、生まれ変わるのだ」「でも……」 「これ以上ここにはおれぬ。わかったな。
あの大惨事の後多くの勇者をダンジョンに送り込んだ。あわよくば、ファイアースタッフを取り戻すかと期待してな。しかし、残念なこと 「全員……」 「いや、数百人といったところだ。一人の勇者の命で数十万の命が助ければ
大した犠牲ではなかろう。修練が足りなかったのだ、 彼らは仲たがいをし、宝を見つけては足を止めた。だから命を落としたのだ」
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991 :dm17[]:2018/05/14(月) 14:33:25.00 ID:b2TJl7dA0
セロンの心は凍りついた。我が師とあろう方が、こんなに恐ろしい話を事もなげに語るとは。それにしても、その顔の疲れ切ったこと。どれほどの苦痛に堪えてこられたのだろうか。多分、先生は、あまりにも重い罪の意識に堪えて
生きるために、自らの感情を断ち切ってしまわれたのだろう。「それは当然の結果です」 セロンは師に同意した。「ロードカオスは、勇者の間と呼ばれる部屋に死んだ勇者のうちの24人を吊るしたのだ」 師の顔が一層険しくなった。
「つまり、ヤツのしとめた獲物というわけだ。カオスは、その勇者たちを魔法の鏡に閉じ込めた。彼らはその中で身動きもできず、生きているとも死んでいるともつかない状態で飾られているのだ。わしに代わって戦おうとする勇者に
向けたカオスの警告という意味もあるのだ」 リブラスルスは、水晶球の中で動き回っているように見えた。「お前の高度な知識と技をもってすれば勇者の間に入り、彼らを眠りから覚ますことができる。わしも、いくらか手助けができるはずだ。
ただし、4人までだ。お前は4 人の勇者を蘇らせることができる。彼らにはお前の存在はわからぬが、お前の力と 知識を使って彼らに正しい方向を暗示し、ファイアースタッフのある場所まで導くのだ」
「どの勇者に新しい生命を与えるかは私の判断だ責任重大だ」 セロンは、力なく師に問いかけた。「彼らの生命力を利用して、自分の好みの勇者に改造することも出来るぞ、 師の話し方は、まるで物でも扱うようだった
「何ですって」 セロンは目を見開いた。 「そう、その力をお前に授けようというのだ。 自分の分身として働かせるのに都合がいいと思かもしれない、また力よりも頭の切れる者を必要とするかもしれない
好きなように作り直せばいい


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