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死ぬ前に伝えておきたいことがある

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死ぬ前に伝えておきたいことがある
66 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 12:03:55 ID:ZGyK4rBb
昨日の夜、>>1の意識が無くなりました。
ご家族の方が言うには、もう時間の問題らしいです。
だからあいつが逝ってしまう前に、あいつが最期に僕にのこした仕事をさせてもらおうと思います。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
67 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 12:08:40 ID:ZGyK4rBb
今から書くことは、>>1が体調の良かった時に書き残していたことそのままです。
だから、何か質問があっても僕では答えられません。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
68 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 12:18:18 ID:ZGyK4rBb
では、>>1に代わって書かせていただきます。


こんにちは、みんな。
まずはお礼を言わせて欲しい。
みんなが背中を押してくれたから俺は最後の願いを叶えることができた。
その模様を今から、つらつらと書きつづらせてもらおうと思う。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
69 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 12:23:27 ID:ZGyK4rBb
昔の友達や幼稚園の園長先生の協力もあって、俺は何とか彼女の行方を知ることが出来た。

俺はすぐに彼女の両親と連絡をとってみた。
前に誰かが言ったように俺も、俺が死ぬのを彼女は知らないままの方がいいんじゃないかと思ってたから。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
70 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 12:31:09 ID:ZGyK4rBb
だからもし断られたら、俺は彼女に会うのをやめようと思っていたんだ。
俺はドキドキしながら電話をかけてみた。出たのは彼女の親父さん。
親父さんは俺の事を覚えていてくれたらしく、俺が名前を言ったらすぐに気付いてくれた。
懐かしい感傷に浸りつつも、俺は用件を伝えた。
近々死ぬことと、死ぬ前に彼女に会いたいこと、そして、もしも断られたら俺はおとなしくそれを諦めるということ。

死ぬ前に伝えておきたいことがある
71 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 12:35:13 ID:ZGyK4rBb
俺がしゃべってる間、親父さんは黙って聞いてくれていた。
そして俺がしゃべり終わると、こう言ったんだ。
「ぜひ娘に会ってやってくれ」って。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
72 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 12:48:20 ID:ZGyK4rBb
俺は親に彼女に会いに行きたい旨を伝えたけど、当然ながら親は猛反対した。
死にかけの病人に旅をさせること。
もし何かあれば彼女や向こうの親にも迷惑がかかること。
それに何より、自分達の子供の最期を看とることが出来ないかもしれないのは我慢できないこと
(彼女に会いに行くのにあたって、俺は親に付いてきて欲しくないと言った)。
それをこんこんと説いて反対した。
でも俺も折れなかった。
後悔しながら死ぬのだけは絶対に嫌だったから。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
73 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 12:54:46 ID:ZGyK4rBb
結局、俺の信頼する友達二人に付いてきてもらうことを条件に、親が折れた。
正直すまない気持ちで一杯だったけど、これだけはどうしても譲れなかったんだわ。
父さん母さん、本当にごめん。

そして俺は、高校の時の親友二人を連れて彼女に会いに行くことになった
(ちなみにその二人は即OKしてくれた。ありがたや)。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
74 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:01:00 ID:ZGyK4rBb
彼女の家までは車で半日かかった。朝早くに出てついたのは夜。
途中で俺と親友Aが車酔いして大変だったけど、他には特に問題も無く、順調な旅だったと思う。
(原因は親友Bが車内で食べてたケ○タッキーの匂い。お前マジ自重しろ)
死ぬ前に伝えておきたいことがある
75 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:06:52 ID:ZGyK4rBb
俺は車イスに乗っけられて彼女の家を訪れた。
緊張しながらインターホンを押すと、彼女の両親が出てきた。
記憶の中の顔はだいぶ薄れていたからあんまり歳をとった実感が沸かなかったせいもあるけど、
それでも二人とも歳のわりにはかなり若く見えた。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
77 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:17:35 ID:ZGyK4rBb
彼女の両親に俺を引き渡して、親友ABはホテルに向かった。
「何かあったらいつでも駆けつけるよ」
そう言って俺の肩を叩き、二人は去っていった。
そのあと俺は居間に通されて彼女の親と話をした。そこに彼女の姿は無かったけど、俺にはその方が都合が良かった。

もしも俺の姿を見て、彼女に会わせない方がいいと判断したなら俺は大人しく帰ります。
俺はそう言った。
だがしかし、彼女の両親はそんな俺にこう返したんだ。

「会わない方が幸せなのは君の方かもしれない」

死ぬ前に伝えておきたいことがある
79 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:23:49 ID:ZGyK4rBb
「あの子は望まない妊娠をしてしまったんだ。そのせいでかなり荒んでしまっていて…
だからもしかしたら、君の知っているあの子には今は会えないかもしれない。
それでもいいかい?」

死ぬ前に伝えておきたいことがある
81 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:26:31 ID:ZGyK4rBb
俺は正直言ってかなり迷った。今本当に彼女に会うべきなのか、会ってよいものか。

で、散々迷って決めたんだ。
「それでも会いたいです」
死ぬ前に伝えておきたいことがある
82 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:30:24 ID:ZGyK4rBb
俺は彼女の部屋に通された。彼女のお袋さんが部屋のドアをノックしようとしたが、俺はそれを止めて、
「ここでいいです」
と言って、部屋の前に座り込んだ。
そしてそのまま話しかけた。
「やあ、久しぶりだね」
死ぬ前に伝えておきたいことがある
84 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:34:32 ID:ZGyK4rBb
返事はなかった。でも部屋からは人の気配がした。だからそのまましゃべり続けた。

「幼稚園以来だね」とか、
「元気だった?」とか、まあとにかく、返事が来るまで話続けたんだ。

死ぬ前に伝えておきたいことがある
85 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:41:05 ID:ZGyK4rBb
でもどれだけ話しても返事がないから、俺しばらくして疲れて寝ちゃったんだ。
で、ふと目を開けたらこっそりと部屋から出てきて俺に毛布をかけようとしてる彼女と目があって。
一瞬固まったあと、俺は彼女に笑いかけて言った。
「やっと会えたね」って。
そしたら彼女は泣きそうな顔になって、また部屋に引っ込んでしまった。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
86 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:48:39 ID:ZGyK4rBb
あとは部屋から時折、すすり泣きが聞こえてくるだけだった。
俺は、彼女が話しかけてくるのをただただ待っていた。

だいぶ経ってから、部屋の中から彼女の声が聞こえた。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
87 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 13:56:00 ID:ZGyK4rBb
「死ぬって本当?」
かすれた涙声でそう言った。俺はそれにただ、うん、とだけ答えた。そしたら彼女は、
「あたしも死にたいなあ」
って言った。俺はものすごく悲しかった。それは俺の生きていて欲しい人たちに、絶対に言って欲しくない一言だったから。
だから俺はかろうじて、
「そのうちね」
とだけ返した。出来るだけ気楽そうな声を出して。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
88 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 14:01:25 ID:ZGyK4rBb
それに彼女は小さく笑って、
「相変わらず嘘つきだね」って言った。
俺も笑って、そうだねって返した。
どこか懐かしいやりとり。確かにあの頃とは少し違うかもしれないけど、きっとその中の大事な部分は変わっていない。
俺はそう思った。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
89 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 14:10:23 ID:ZGyK4rBb
俺たちはいろいろな話をした。
彼女に貰ったたくさんの思い出のことを。
引っ越した先で出来た友達のことを。
ずっと俺のことを覚えていてくれたことを。
ずっと彼女のことを忘れていたことを。
ずっとずっと、俺たちは話していて、
そしてそのうち、彼女の彼氏の話になった。

「この子の父親なの」
「今は?」
「逃げられちゃった」
そう言って彼女は乾いた声で笑った。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
90 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 14:19:53 ID:ZGyK4rBb
「だからね、もう、どうでもいいの」
「でもその子はどうなる?」
「さあ。でも父親がいないよりは死んだ方がマシじゃないかしら」
死んだ方がマシ。彼女の口からそんな言葉が出たことが寂しくて、俺は黙ってしまった。
「ごめんね、こんな話して。あたしのこと嫌いになったでしょ?」
「だからもう帰って」
「今聞いた事は忘れて、残された時間を頑張って生きて」
俺はもう、限界だった。
これ以上彼女の口からこんな悲しい言葉を聞きたく無かった。

だから俺は、最後のとんでもない嘘を吐くことに決めた。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
91 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 14:24:43 ID:ZGyK4rBb
「父親だったら、ここにいるよ」
俺は言った。
「俺がその子の父親になる」
「だからそんな悲しいこと言わないでくれ」
そう言って俺は彼女の部屋を離れた。
彼女が何か言ってたけど、俺は無視した。
もうやることは決まっていたから。

死ぬ前に伝えておきたいことがある
92 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 14:30:16 ID:ZGyK4rBb
俺はホテルにいる親友AB に電話をかけた。
時刻は夜の3時を回っていたけど、二回コール音が鳴る前に電話に出てくれた。
心配そうな声を寄越してくる二人。そんな彼らに俺は、あるものを持ってきてくれるように頼んだ。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
93 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 14:35:58 ID:ZGyK4rBb
親友たちはすぐに来てくれた。
「ビデオカメラなんか何に使うんだ?」
怪訝な顔をする二人をよそに、俺は一人、しゃべり始めた。
「初めまして、俺が君のお父さんです…」
俺は生まれて、決して許されないであろう最低の嘘をついた。
死ぬ前に伝えておきたいことがある
94 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 14:37:04 ID:ZGyK4rBb
>>93
生まれて×
生まれて初めて○
死ぬ前に伝えておきたいことがある
95 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 14:47:39 ID:ZGyK4rBb
俺はまた彼女の部屋に戻って、
「見て欲しいものがあるんだ」
そう言ってドアを少し開けてビデオカメラを差し入れた。
しばらくして、ビデオカメラが再生される音が聞こえてきた。きっとドアの向こうでは、俺が笑顔で彼女との思い出をいろいろとしゃべってるはずだった。
俺はそれが終わるのを、ただただ待っていた。

しばらくして、再生が止まった。
「確かに俺と血は繋がってないけど」
「誰がなんと言おうがその子は俺と君の子供だ」
「君がたとえ俺を嫌いになっても憎んでもいい」
「それでも俺にはこうすることしか出来ないから」
死ぬ前に伝えておきたいことがある
96 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 14:58:00 ID:ZGyK4rBb
そして俺はそのまま立ち去ろうとして、
「待って!」
部屋から飛び出してきた彼女に車いすのグリップを捕まれた。でもって、泣きながら怒られた。
「バカじゃないの?どれだけ人がいいのよ!どうせもうあたしの事なんか関係ないんだから、余計なことしないでとっとと忘れなさいよ!!」
それはものすごい剣幕だったけど、俺も負けずに怒鳴り返した。
「関係ないわけないだろうが!!」
彼女が怯んだ。その隙にさらに畳み掛けた。
「お人好し?ふざけるなよ!お前以外にこんなことするわけねえだろうが!!どれだけ俺がお前に惚れてると思ってんだ!!」
死ぬ前に伝えておきたいことがある
97 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 15:05:10 ID:ZGyK4rBb
言いながら俺も泣いてた。
自分が好きな女の子にこれ以上悲しいことを言わせたくなくて必死だった。
彼女が抱きついてきた。
俺も精一杯抱き返した。
あの日のように、俺たちは声をあげて泣いた。
彼女の両親が驚いて飛んできたけど、空気を読んだのかすぐに部屋に下がってくれた。

夜中に怒鳴ってすいません。本当にありがとうございました(汗)
死ぬ前に伝えておきたいことがある
98 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 15:18:37 ID:ZGyK4rBb
それで、俺たちは二人とも、互いが泣き止むまで抱き合っていた。
そして俺は、彼女が泣き止んだのを見計らって口を開いた。
「ずっと伝えたかったことがあるんだ」
俺は彼女に抱きしめられながら、そう言った。
「覚えてるかな、俺って昔は笑うのがすごく下手くそでさ、誰ともろくにコミュニケーションもとれなかったんだ」
「でも、君はそんな俺といつも一緒にいてくれたんだ。絵本読んでくれって言ってさ」
「それで、笑い方を知らない俺に笑い方を教えてくれて」
「君よりもずっと弱かった俺のために泣いてくれて」
「楽しい思い出をたくさんくれた」
「だから、本当にありがとう。俺は君に会えてよかった」
死ぬ前に伝えておきたいことがある
100 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 15:37:48 ID:ZGyK4rBb
これで俺と彼女の話はおしまい。
彼女は別れ際に、
「頑張ってみるね」
って言って笑ってた。
あのビデオは子供が産まれたら見せてあげるらしい。
どうやら俺は彼女の子供の父親になれるみたいだ。
彼女の両親も認めてくれたらしく、彼女がビデオの事を話したら、二人とも泣きながら俺の手を掴んで喜んでいた。彼女の旦那になれないのが本当に残念で仕方がない。
あと二年だけでも生きられたらよかったのになぁと思う。

今俺は、これを帰りの車の中で書いてる。出来れば自分でカキコしたいが、もしも俺に何かあったら今隣で車酔いしてる親友に代わりに報告してもらうように頼んでおくからきっと大丈夫。

最後に
俺のこんな自己満スレにレスしてくれた人たち、本当にありがとう。
みんなの幸せを雲の上から願ってるよ
死ぬ前に伝えておきたいことがある
104 :1の代理です[]:2011/02/15(火) 19:54:33 ID:ZGyK4rBb
無視しようかと思いましたが、やっぱり言わせてもらいます。

ここに書いてあることは全部本当のことです。
今あいつの意識が無いことも、彼女に会いに行くためにだいぶ無理をしたことも、あいつがこのスレッドを見てる人たちにすごく感謝してることも、全部本当のことなんです。
だからどうか、作り話だなんて言わないでやってください。
僕の親友を馬鹿にしないでやってください。


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