- 【餃子】セレス様とオセロ 2戦目【栃木】
24 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2011/04/04(月) 22:20:53.51 ID:eqE8MbNT - >>20
素晴らしい…でも悲しい…。ちょっと改変してSS1レスにまとめさせてくれ 今日も砂場にお城を作り、人形を並べて一人遊ぶ多恵子。 街灯の明かりに差した影にふと気づいて顔を上げると、見知らぬ少年が立っていた。 「きみ、ひとりであそんでるの?」 「……あなたには、かんけいないでしょう」 多恵子はそっぽを向いて答えた。どうせこの少年も自分を馬鹿にすると思ったから。 (この子、ちょっとさびしそうだな…)「ねえ、ボクもまぜてよ」 「えっ?」 「いっしょにあそぼうよ。ボク、きみのいうとおりにしてあげるから」 こんな優しい言葉をかけてくれたのは、彼が初めてだった。 「じゃ、じゃあ……わたくしはおひめさまで、あなたはナイトになって」 「うん。わかりました、おひめさま」 この日から二人は毎日、夕方の間だけ遊ぶようになった。 「うふふ。つぎは、おうまさんになりなさい」 「ええっ……また〜?」 「ナイトのくせに、おひめさまのいうことがきけませんの?」 「……わ、わかったよ」 地面に手をつく少年。その背中に腰掛ける多恵子。 「ほら、あのブランコのところにいって!」 「いたた、かみをひっぱらないでよ!」 楽しい日々はあっという間に過ぎ、少年の引越しの日。 「きょうで、おわかれだね」 「そうですわね……」 いつもの元気がない多恵子が、少年は心配になった。 「いつか、むかえにくるよ」 「ほ、ほんとうですの?」 「うん、やくそくする。きみがおおきくなってほんとうのおひめさまになったら、ボクもほんとうのナイトになる」 「やくそく……。では、キスをしてください。ちかいのキスを」 「ええっ!? ……ど、どこに?」 「てにきまっているでしょう!」 差し出された手の甲にキスをして、少年は帰っていった。 多恵子はまた一人ぼっちになってしまったが、もう寂しくはなかった。 名前も知らない少年と交わした約束が、多恵子の生きる糧になった。 月日が流れてもそれは変わらない。むしろ夢への憧れは強くなる一方だ。 「ほんとうのおひめさま」になるために、多恵子は手段を選ばなかった。 ***** 「苗木君、次はこの花瓶の水を換えてきて下さい」 「ええっ。…また食堂に戻るの?」 「ナイトのくせに、わたくしのいう事が聞けませんの?」 「わ、わかったよ」「……?」 訝しげに首を傾げる苗木。 「どうしましたの?」 「いや、ずっと昔にも、こんな事があったような……。まあ、いいか。行ってくるよ」 (……まさか、苗木君が? でも、あの予感……彼に感じたAランクへの『可能性』は……)
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