- 【源泉の感情】平岡公威・三島由紀夫の詩♭♯♪
340 :名無しさん@お腹いっぱい。[]:2011/12/10(土) 22:34:10.32 ID:2ZcaKGE0 - 「冬休のある日の家の附近の景色」
お日様がまるで春のやうに、 照つてゐる。 蟻もその他の虫も、 冬ごもりや冬眠をしてをり、 又は死んでゐる虫もある。 しかしその時羽根の やぶれた一匹の蠅が ぶーんと淋しさうに とんでいつた。 遠くの方で小鳥の声 がする。 箱庭も今は汚なくなつて ゐる。 上からおちる松葉のためだ。 日は、沢山照つてゐるが、 まはりの景色がなんだか 淋しい。 あゝ、さうだ。 忘れてゐた。 綴方(つづりかた)の題探しだ。 僕は急いで ランドをあけ、 はきとり帳を 出し、机の上におき、 温い手で鉛筆を握つた。 平岡公威(三島由紀夫)9歳の詩
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