トップページ > 詩文学 > 2011年02月18日 > 9pu07eFm

書き込み順位&時間帯一覧

1 位/4 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000000000020000000000002



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
名無しさん@お腹いっぱい。
【源泉の感情】平岡公威・三島由紀夫の詩♭♯♪

書き込みレス一覧

【源泉の感情】平岡公威・三島由紀夫の詩♭♯♪
178 :名無しさん@お腹いっぱい。[]:2011/02/18(金) 11:08:12 ID:9pu07eFm
しかし人間の死は、人間の死は何か別のものです。残された意志と云つたやうなもの。地球がもつ頽唐の感情を
奪去つたやうな一つの意志。最後の征服意志。時空の中絶をも奪はうとする一つの意志が、あるひは死への熱情となり、
あるひは不死への願望となるのでした。そして時にはそれが、人間に対して死自身がもつ不変の意志とも、全く
一致することさへあるのでした。そのみかけからの共謀も、戦慄に価する脆さをば、打破るわけにはゆかなかつた。
可能性の放棄といふ気高い英雄的行為。その高さが意志によつて脆くされるのであらうか。意志といふ白蟻が、
塔の高さを毀つのであらうか。否、むしろあの高さは意志様態であつた。意志の暗示のてだてであつた。たゞ
可能性の放棄は意志ではなかつた。可能性は意志の原形であつたから。ではそこにいかなる造形術が企てられたの
でしたか。僕らの原始のいかなるデフォルメーションがなされたのでしたか。それは言ひ難いことの限りでありませう。

平岡公威(三島由紀夫)19歳「廃墟の朝」より
【源泉の感情】平岡公威・三島由紀夫の詩♭♯♪
179 :名無しさん@お腹いっぱい。[]:2011/02/18(金) 11:10:21 ID:9pu07eFm
(中略)
「待つ」、それはどんなに贅沢な約束であり悔恨でさへありませう。待つといふ刹那を信ずるために、今までの
人類の歴史はひたすらにめぐりつゞけてきたのではないのか。その美しさは放心と等しく、その謐けさ寧らかさは
不屈な魂の距離であつた。このやうな距離にぬれながら、かつてなきさはやかな背信を不断に投げつゞけて
くれるのは、あなたではなかつたか。――僕らは畢竟かくして二人称へとかへるでありませう。僕らの本然の故郷、
その二人称の場所にこそ、僕らの勇気が、僕らの愚行が、甲斐なきことの純潔さを以て、乾き、また乾かされ、
たんぽゝの綿のやうに飛翔(といふより盈溢)を待つでありませう。その花蔭は、花々の密度にひしめき、海よりも
なほ色濃く、今や可能の微風の内に、最初の戦慄を伝へてくるであらう。場所の不易、場所の不朽が、今こそ僕らを
飛翔させるであらう。百万の王国の名にも値ひせぬ僕らの政治が、昼の間は、貝殻のやうに快晴の希臘を映し、
甘美な埃を夢みず、あらゆる立法の又とない出帆の契りのため、千代かけてサン・サルヴァドルたらんと念ずるで
ありませう。

平岡公威(三島由紀夫)19歳「廃墟の朝」より


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。