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161 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/08/30(水) 06:22:21.55 ID:vE1Hmc/r - こうした個性あるモノラル録音に囲まれて
オーディオ装置を調整するのに色々と難儀する。 例えば、デッカもEMIも、スタジオモニターはタンノイだったが デッカが音の柔らかく広がるコーナーカンタベリーなのに対し EMIはロックウッド製のタイトな音のする箱などの違いがあった。 金ピカのデッカと、ビロード地のEMIとの違いを相殺する感じがある。 ただ興味深いのは、HMVとデッカの高級電蓄で HMVは自社の楕円コーンにデッカ製のリボンツイーター デッカはタンノイにグッドマンのウーハーを付け足すという構成だ。 ステレオ時代のデコラは、EMI製のユニットで占められた。 ようするに、デッカとEMIは、互いに互恵関係にあったのである。 では、自分のモノラル・システムで、何を選択すべきか? これがなかなか難しいのだと思う。
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162 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/08/30(水) 06:38:18.03 ID:vE1Hmc/r - デッカの金ピカのサウンドと、EMIのビロードの光沢の特徴について考えてみたい。
どちらも高域に癖があるというのは相違ないが デッカが直接音をキッチリ収録するので、4〜8kHzのピーク成分を嫌う。 一方で、EMIのほうは、中域からの倍音成分を必要としており それが上品なビロードの光沢に繋がる。 色々試してみて判ったのは、イコライザーで高域の調整をしても デッカはほんの3dBも変われば激変するのと EMIに必要な高次倍音が増えるわけではない。 周波数特性だけでは、どうしても最適解が見つからない。 デジタルに移行した頃、真空管プリがデジタルと相性が良いと言い出したのは EMIの録音技師だったが、恣意的に倍音成分を累加するのが良いのだ。 倍音を増やす方法は、真空管、トランス、古い設計のスピーカーにみられ いずれも1950年代にピークを迎えた音響技術だったことが判る。
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163 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/08/30(水) 07:16:22.65 ID:vE1Hmc/r - 最近になってようやく理解できたのだが
EMIのスモーキーなサウンドは、戦前のHMV時代との連続性を考えて練られており 高次倍音を大量に出すシステムを構築すると、SP盤の再生を調子良くなる。 一番の違いはピアノの録音で、倍音で底光りするサウンドを獲得すると SP時代の録音でも、高音の鍵盤のピンと立つ音が引き立ってくる。 実は、蓄音機の金属製リプロデューサーにも、一種の共振が仕組まれている。 クレデンザも筐体の奥深さが強調されるが、WEが開発したリプロデューサーと 対になって本当の実力を発揮する。 リプロデューサーにも雲母製のものがあり、そちらはスクラッチノイズが目立たない 実に円やかな音が出るのだが、金属振動版のように朗々とは鳴らない。 電気録音とアコーステック録音の狭間を狙うときにひとつの選択肢になるだろう。 仏パテのように紙振動版の特殊なものがあるが パテのSP盤を直接電気変換すると、電話の声のような味気ないものになる。 総じて蓄音機自体は、一種の楽器のような要素を多分に残してたといえる。 Jensenのギターアンプ用ユニットは、それ自体は汎用PA用に開発されたが 最終的には楽器的な特徴をもった部分が評価され、現在に至っている。 JBL D130と同じ時代に開発された、SP盤時代の最後の覇者だと思う。 これ以降は、高次倍音は減っていく方向に、設計思想が変わるからだ。
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164 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/08/30(水) 07:46:24.93 ID:vE1Hmc/r - レーベルのサウンドに個性が薄れたのは
FMステレオ放送の影響が大きいと思う。 それ以前のレコードは、自宅のステレオ装置でしか聴かないもので 住めば都といわんばかりの一国一城の主のように居座ってた。 ところが日本でFM放送が開始された頃に話題になったのは 同じレコードなのに音が全く違うということで どうやら原因がカートリッジの違いにあるらしいことが判った。 これが、現在も製造されるデンオン DL-103のことで 業務用にしか考えていなかったサービス体制を整えて 一般に販売されたのが1970年のこと。 こうした例に漏れず、レコードがFM放送されることで サウンドの平準化が行われたように思う。 この均衡が崩れたのは1990年代に入って FM局間でラウドネス競争がはじまってからだと思う。
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