- 【やっちゃっ】IIDXランカースレpart98【TAKA.S】
534 :爆音で名前が聞こえません[sage]:2012/09/24(月) 00:43:06.26 ID:CDjndE1T0 - 海岸、カシオペア、地底より来たりし鍵徒 vol1(前編)
第八音楽藝術技能特別専門学校 通称 ― 第八音専 「みなさんこんにちは! 本日は当校学校説明会にこれほど多くの方々にお集まりいただき、まことに光栄です! それでは時間も押しておりますので、早速、当校の説明に入りたいと思います。 当校、第八音専として知られておりますが、その正式名称は第八音楽藝術技能特別専門学校と申します。 全国に10校ある音楽藝術技能特別専門学校のうち、8つ目に開校されたのがこの第八音専というわけなんですね。 音専は若く有望なビートマニアIIDXプレイヤーを集め、優れた指導と環境でプロランカーを育成することを目的として設立された専門学校です。 今では音専出身のランカーも多く、例えばあのTENMAN氏も音専出身のトップランカーとして注目を集めていますね。 この第八音専は全寮制で、生徒の個室にはもちろんCSやBMSを完備。 部屋は防音室になっているのでどんな時でも気兼ねなくIIDXに打ち込むことが出来る環境を整えています。 また当校自慢の演習室にはブラウン管、液晶台合わせて60台もの筐体が設置され、常時解放されています。 第八音専は音専の中でもトップクラスの練習環境で、今も未来のプロランカーたちを育てています。 我が校の夢のような環境の中で、お子さんやご自身の夢を叶えてみませんか?」
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535 :爆音で名前が聞こえません[sage]:2012/09/24(月) 00:44:22.55 ID:CDjndE1T0 - 海岸、カシオペア、地底より来たりし鍵徒 vol1(中編)
・・・ 久しぶりに昔の夢を見たな。 お前、どこから俺の部屋に入った? まぁいい、なんで俺のところに来たのかはなんとなく分かってる。 この学校はゴミ、いや、ゴミ以下だ。こんな所に入っちまったのが俺の運のツキさ。 俺は将来ランカーになるという夢を持ってこの学校に入った。しかしここは夢のような環境どころじゃない。悪夢そのものだった。 第八音専では生徒の名前は全部冥Anotherの点数で呼ばれるんだ。穴冥のスコアが2400点なら2400ってな。 隣の部屋のやつは1853。反対側のやつは3145だ。どうだ?分かりやすいだろ? 同じ点数同士で被るかもしれないからそれぞれの生徒にアルファベット3桁の識別子が付いてやがる。 俺の名前は・・・ 2928XBSって名前だ。とうに本名なんぞ忘れちまった。 全ての生徒はランク毎にクラス分けされる。俺ならAクラス。3112を超えればAAクラスって寸法だ。 ちなみに3556以上、つまりAAAクラスはほとんどがいわゆるランカークラスの生徒だ。 生徒はDJ NAMEを名乗ることさえ許されない。DJ NAMEを許されるのはAAAクラスからさ。 3600以上になればスポンサーも付き、プロランカーとして音専を卒業することになる。まぁこんなことは当然知ってるだろうがな。 この音専は歴史上3人しか達成したことのないという3800台のレジェンドランカーを育成するのが目的だ。 俺も入学当初は優秀な成績だった。だがよ、何年もここに居るうちに同級生にはどんどん置いていかれ、下級生でももうAAAクラスの奴が出てきてる。 自分に才能が無いことなんか嫌ってほど分かってんだ。俺はもう2年も2928から穴冥のスコアが変わってない。 普通なら、長い間同じ点数だったら退学勧告が出るもんだが・・・ 悲しいかなAクラス以上の生徒には退学勧告が出ない。 これが困ったもんで・・・ 両親には何度もここを辞めたいという手紙を出したんだが何の返事もない。 なにせ俺が第八音専に入ったとき親戚中に自慢してたからな。金だけ出して俺をお払い箱にするつもりらしい。 今さら「やっぱり、ダメでした」って帰って来られるとメンツが丸つぶれなんだろう。薄情な連中だよ。
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536 :爆音で名前が聞こえません[sage]:2012/09/24(月) 00:48:18.10 ID:CDjndE1T0 - 海岸、カシオペア、地底より来たりし鍵徒 vol1(後編)
そして俺はこのクソくだらねえ学校から強制的に退学させられるための策を考えた。 それは・・・学校の持つ情報の中でも最も重要なデータの改竄。そう、穴冥のスコアの改竄だ。 今日の放課後、俺は学校のサーバをハッキングし、俺のスコア2928を書き換えておいてやったのさ。 書き換えるスコアは何点でも良かったんだが―3800台を超える・・・3901点にしておいた。 そうそう、AAAプレイヤーは自分のDJ NAMEを持てるって話も思い出して適当にMTKってつけて置いた。 もちろん俺のデータだけ書き換えるんじゃすぐバレるから他の何人かのデータも無茶苦茶に改竄しといたぜ。 まっ、明日か明後日になれば犯人が俺だってバレるだろうがな。それまでの間、きっと学園中は大騒ぎになるだろうな。 ハハッ!騒動も退学も楽しみだぜ。 そんなわけで今日はいろいろあってな。もの凄く眠いんだ。もっかい寝かせて貰うぜ。じゃあな。 ――――翌日 理事長室にて 「おはようございます理事長!昨日のスコア改竄事件について二点、お伝えすることがあります。」 「二つ? 続けたまえ」 「一つ目は、犯人は本校所属の2928XBSだったということです」 「2928XBS・・・ フン、そんなスコアでよくも私の顔に泥を塗ってくれたものだ。 で、二つ目はなんだ」 「その・・・2928XBSが・・・ 昨夜、誘拐されたようなのです。 しかもそれがどうやらアングラランカーの仕業のようでして・・・」 「!」
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539 :爆音で名前が聞こえません[sage]:2012/09/24(月) 01:39:00.31 ID:CDjndE1T0 - 海岸、カシオペア、地底より来たりし鍵徒 vol2(前編)
俺は・・・俺は空を飛んでいた・・・ 『・・・・』 永遠の深い眠り 水の中で生まれ 空を飛び 『・・・い・・・ ・・起き・・・・』 純なる時代を訪れ 『おい、起きろ!』 俺を起こすのは誰だ 「アングラランカーだと!? そんなことがあってたまるか! 寮の警備は一体どうなっていたんだ!!」 「それが・・・ 当直の警備員がちょうど交代する隙を狙われたようでして・・・」 「何が綜合警備保障だ!後で担当者に怒鳴り付けてやるわ! しかしだ。奴らは2928XBSを・・・ 3900相当の覚醒者(モーフリング)と見込んで誘拐したというのか?」 「正直、その可能性はかなり低いかと思われます。さすがに奴らなら、纏うビーラを見れば覚醒者かどうか見分けられるかと」 「それでは奴らの狙いは・・・ ここの機密ということか! それは・・・! それはマズいぞ・・・! 2928の情報アクセス権はどうなっていた!?」 「いえ、2928のアクセス権は最低ランクのFです。これと言った機密を知っているとはとても思えないのです」 「なら良いが・・・ ではなおさら謎は深まるばかりということ・・・」 「理事長、この件は穏便に解決なさる方がよろしいかと」 「アングラランカーに生徒を誘拐されたとあっては私の進退、いや、第八音専の将来に関わるからな。穏便な解決を頼んだぞ」 「ははぁっ!」 「まだ息子の住宅ローンに新車のローンだって残っているんだ、退職金が無くなるわけには・・・」 「・・・・」 報告書 2928XBSスコア改竄事件 本校生徒2928XBSが、某日、スコアサーバをハッキングし、冥のスコアを3901に改竄した。 その後学校寮内から脱走後失踪し、行方を眩ませた。 処分 2928XBSを本人不在のまま除籍処分とし、本人の行方が判明し次第、学校委員会で法的措置を検討する。
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540 :爆音で名前が聞こえません[sage]:2012/09/24(月) 01:44:30.01 ID:CDjndE1T0 - 海岸、カシオペア、地底より来たりし鍵徒 vol2(後編)
『おい、起きろ!』 ・・・ 「ハーデス様、この男がMTKです。」 「ほう、ご苦労。この男が覚醒者(モーフリング)か。少しその様には見えぬが・・・」 おい、ちょっと待てよ ここはどこだ!? 「真偽のほどは今ここでビーティングをさせてみればわかりましょう」 「うむ、ビーティングを見てみれば全く別人の様かも分からぬからな。筐体を出しなさい」 「かしこまりました」 落ち着け、落ち着けよ 俺は昨日、学校のスコアを改竄して確か寮で寝ていたはず・・・ 何で一体こんな所に!? うッ! 頭が・・・ 頭が割れるように痛む! 「MTKよ!」 「貴様が真に覚醒者であるか否か、今ここで見せてもらおう!」 「ここに筐体がある。1曲、自分の好きな曲でビーティングするが良い」
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541 :爆音で名前が聞こえません[sage]:2012/09/24(月) 01:45:18.50 ID:CDjndE1T0 - 海岸、カシオペア、地底より来たりし鍵徒 vol3(前編)
「MTKよ!」 「貴様が真に覚醒者であるか否か、今ここで見せてもらおう!」 「ここに筐体がある。1曲、自分の好きな曲でビーティングするが良い」 は、はぁ???????? 「ここはどこだ!?!?俺の名前は2928XB・・」 「口を慎みなさい ハーデス様が始めろと仰っているのだ、早く始めたまえ!」 ピシャリと喝が飛び、少なくとも今プレイしないと身体が危険だということは分かった どうやら俺は寝ている間に妙な連中に連れてこられ、なぜかビーマニをプレイすることになっている。 しかもまずいことに、こいつら、俺のことをMTKだと思っているらしい。 まずい。これはまずいぞ。 でも、だ。俺がMTKじゃないと分かったら、 勘違いでした と帰してくれるかもしれない 帰る・・・ 帰るってどこに? どこに帰ればいいんだ?実家か? 恥を忍んで実家に帰ればいいのか? ここはどこで、何故つれてこられて、そして俺には帰る場所など既に無いということ、 いろいろなことが頭をぐるぐる回りはじめて妙な眩暈と頭痛が襲ってきた。 とにかく今ビーマニをプレイしないと俺の命が危ないということはわかった 「や・・・やります・・・」
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542 :爆音で名前が聞こえません[sage]:2012/09/24(月) 01:47:42.97 ID:CDjndE1T0 - 海岸、カシオペア、地底より来たりし鍵徒 vol3(中編)
俺はよろよろと筐体に向かった (好きな曲をとりあえず一曲やればいいのかな) と言っても今俺は寝起きで、しかも頭が半分壊死してるんじゃないかというほど頭痛が痛い。 ☆12なんかとても選べそうにないな とも思っていた (と、とりあえず何か選ばないと!) こういう時に普段自分がやっている曲を無意識に選ぶのだろう。朦朧とした意識のうちに選んでいたのは 『Fly Above Another』 「ほう・・・ Fly Aboveか」 「1曲目の選曲としては無難なところでしょうな」 「理論値は2032点。地上のビーマーにとっては2000点が一つの目安となる曲」 「もしもこの男が覚醒者なら2000点は容易いはずでしょう」
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543 :爆音で名前が聞こえません[sage]:2012/09/24(月) 01:48:14.34 ID:CDjndE1T0 - 海岸、カシオペア、地底より来たりし鍵徒 vol3(後編)
――無 筐体から発せられる音以外に音は無い 完全な静寂。 もしかすると俺は本当に穴冥3900点のゴッドランカーになってしまったのではないか? だから俺は誰かに命を狙われたりしてて・・・ きっと今の俺ならFly Above程度なら理論値とかバンバン出しちゃうかも! こんなことならMTKって名前じゃなくてもっとちゃんと考えればよかったなー 頭をよぎるそんな妄想 最初の皿 いきなりのBAD 挫折 打ち砕かれる妄想 駄目な奴は何をやっても駄目 そこから先は何も覚えていない 俺は曲の途中で激しい眩暈に襲われ ―――倒れた
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