- 後味の悪い話 その186
173 :本当にあった怖い名無し[sage]:2022/05/20(金) 12:54:14.41 ID:biWFGYzW0 - >>172
早速、モモンゴはクラゲに夜這いを仕掛ける。 だが、幼さ故に性行為の仕方を知らなかったので、うっかりクラゲを押し潰して死なせてしまう。 その際、どういう訳かモモンゴの肉体はクラゲと同化してしまい、まるで「クラゲ人間」とでも言うべき半透明の姿へと突然変異してしまった。 これにモモンゴの母親が「よくも私の娘を!」と逆ギレしてフライパン片手にクラゲ族に殴り込みをかけるが、返り討ちにあって死んでしまう。 母親を亡くしたモモンゴは、吸血鬼の女の子と相談して、水族館の水槽に入れてもらうことにした。 退屈ではあるものの、ただ水中を漂っていればいい生活は気楽ではあった。 時折、水族館の客が物珍しそうにモモンゴを見た。 だが、時が経つと水族館の客足も途絶え始める。 吸血鬼は定期的にモモンゴの様子を見に来てくれた。 「ずいぶん縮んだね」とモモンゴに語りかける吸血鬼だったが、そう言う彼女こそ頬が痩けて窶れていた。 吸血鬼によると、外の世界では食料危機はさが深刻化の一途を辿り、さらに変な疫病まで流行り始めたため、血を吸える生き物も減っているらしい。 するとそこへ、人間がフラフラとした足取りで迷い込んで来る。 吸血鬼は「久々の血だ!」と大喜びし、無我夢中で人間に食らい付く。 しかし人間の皮膚には怪しい斑模様が浮かんでいた。 「しまった、病気だ!」と気付いたが時既に遅く、吸血鬼は吐血して絶命してしまう。 唯一の親友の死に、モモンゴは水槽の中で涙を流すことしかできなかった。 長い時間が経過し、吸血鬼の亡骸は腐敗し、白骨と化していく。 亡骸が片付けられないということは、もうこの水族館は機能していないのだろう。 もしかしたら文明が滅んだのかもしれない。 モモンゴの身体もどんどん小さくなり、豆粒のようになってゆく。 吸血鬼の腕に付けられていた腕時計だけが時間の経過を示していたが、それもやがて壊れて動かなくなる。 意識が有るのか無いのか、微睡んでいるかのような虚ろげな表情で水中に漂う小さな小さなモモンゴ。 “彼女がいつまで生きるのか、誰も知らない”
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