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本当にあった怖い名無し
1
命の恩人が行方不明のままだった

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命の恩人が行方不明のままだった
1 :本当にあった怖い名無し[]:2020/05/23(土) 05:53:19.83 ID:7JBRIgNJ0
墓まで持って行こうと思ったが無理なので書かせて欲しい。
命の恩人が行方不明のままだった
4 :本当にあった怖い名無し[]:2020/05/23(土) 05:59:32.35 ID:7JBRIgNJ0
ある山で出会った人が遭難した俺を助けてくれた。
下山途中で助けた人とはぐれてしまい、俺だけが助かり、その人は行方不明になった。

このまま彼のことは知らず、存ぜぬで生きようと思った。
だが我慢できず行方不明者リストを見てみたら名前がまだ載っていた。

俺が助けてもらったこと、俺が彼の姿を見たおそらく最後の人であろうことは誰にも言っていない。
命の恩人が行方不明のままだった
5 :1[sage]:2020/05/23(土) 06:00:44.63 ID:7JBRIgNJ0
ゆうべいまだに行方不明だと知ってから寝られずに今に至る。
もうどうしたらいいのか…
命の恩人が行方不明のままだった
6 :1[sage]:2020/05/23(土) 06:11:15.57 ID:7JBRIgNJ0
見ている人は少ないと思うので勝手に書かせてもらう。

俺は登山が趣味。だが周りに登山仲間はいないので、山に入るときは常に一人。
登山者カードは必ず出しているし、どんな山であっても装備はしっかり揃えている。
身内や職場の人への連絡も必ずしている。

去年の秋。
これまで行ったことのない山に行ってみようと思い立った。
どうせなら今までで一番長く時間をかけてみようとも思い、三泊四日の予定で、ある山へ入った。

その山は全ての登山道がしっかりと整備されているわけでなく、道中には人一人が通るのがやっとという険しい道もある。
そんな山道も未経験ではなかったし、時間、距離的にもかなり余裕のある予定を立てていたのだが。
初日の宿泊予定の山小屋についた途端、動けなくなるほどに疲れがどっと出てしまった。
翌日に帰ろうかと思ったほどだった。
命の恩人が行方不明のままだった
8 :1[sage]:2020/05/23(土) 06:22:56.52 ID:7JBRIgNJ0
事故は二日目におきた。

二日目の早朝。空はまだ薄暗い時間。
予定より早く目覚めてしまったのだが、体は意外なほど軽くなっていた。
「昨日の疲れは何だったのか?」と自分でも不思議に思えたほどだった。
「今日も同じように疲れるようなら、次の宿泊予定地で帰ろう。」
そう心に決めて山小屋を後にした。

二日目はテント泊の予定だった。
少し頑張れば次の山小屋まで行けるはずだが、無理をしては危険だと思ったため。
テント泊での登山も数少ないが経験はある。最長の旅程とはいっても荷物は特に多いわけではない。
お昼前までは昨日の疲れなど感じず、順調に進んでいた。

しかし食事をした直後から体調に異変を感じ始めた。
スマホは通じないエリアだったので、電波の入るところまでとにかく移動しようと、休み休み移動していた。

連休の合間という時期のせいもあったろう。
それまでの道中、山小屋で会った人を除けば顔を見た人は数名と、極端に少なかった。
泊まった山小屋から俺と同じルートを行く人は一人もいなかった。
そしてこの日は誰ともすれ違うことなく、追い抜かれることもなかった。
命の恩人が行方不明のままだった
9 :1[sage]:2020/05/23(土) 06:25:48.86 ID:7JBRIgNJ0
>>7
今さらだと責められるのが怖い。
俺が悪いのはわかっているが。
命の恩人が行方不明のままだった
11 :1[sage]:2020/05/23(土) 06:38:01.26 ID:7JBRIgNJ0
高山病になるほど高度は高くなかったが、食事後に重くなった足はどんどん重さを増していった。

そんな中で危険な道に来てしまった。
スマホの電波もないため、そこがそのルートで最大の難所だと言われている。
そのまま留まり、誰かが通るのを待つか迷ったが、ゆっくり進むことにした。

途中、道が崩れているところがあり、両足をそろえて立つことが難しい箇所もいくつかあった。
そこを何とか乗り越え、少し開けていて人一人が座れるスペースがあるところまでたどり着き、休憩したときに事故が起きた。

少し座って休むつもりが、いつの間にか深く寝入ってしまった。
寝ぼけて体勢を直そうとしたとき、背もたれにしていたザックを崖下に落としてしまったのだ。
ペットボトルと保存食のクッキーを上着のポケットに入れていたため、それらはかろうじて難を逃れたものの、スマホや寒くなったら中に着るための衣類、そして肝心なテントまでを崖下に落としてしまった。

こうなったら動かないのが正しいと考え、少し先にある登山道が合流している地点まで進み、そこでビバークし人が来るのを待つことにした。
最悪、人が来なくても三泊目の山小屋には入山前に予約を取ってある。
俺から音沙汰がなければ何かしらの行動を取ってくれるであろうと期待して。
命の恩人が行方不明のままだった
12 :1[sage]:2020/05/23(土) 06:46:56.93 ID:7JBRIgNJ0
>>10
警察から登山者カードの情報を元に一度電話がかかってきているんだよ。
そのとき「知りません」って言ってしまったんだよ。
俺のいた登山ルート、エリアとは違っていたし。
彼も道に迷ったと言っていたが、なぜ俺のいた登山道にいたのかすらわからないんだよ。
彼のことは後で書くけれど。
命の恩人が行方不明のままだった
15 :1[sage]:2020/05/23(土) 07:41:41.75 ID:7JBRIgNJ0
登山道の合流点に行こうと思って歩いていたが、ふと地図を確認してみると、いつの間にか歩いていたはずの登山道からはずれてしまっていた。
もう動くことをやめ、近くにあった倒木と地面の隙間に体をねじ込ませ、そこでビバークすることにした。

このとき「ここで死ぬのかも」と半ば諦めていたので、すぐに彼の姿が視界に入ったときは一瞬自分を疑った。
「見えてはいけないものを見ているのでは?」と。

すぐに助けを求めて声をかけたが「俺も道に迷った」と即答され面食らった。
だが「このまま予定とは違うルートで先に進むつもりだった。遭難したわけじゃない。」と笑顔で返され、少々腹が立った。
彼には食糧と水が十分にあったので、それを少し分けてもらい、様子を見つつ二人で彼の予定していたルートを通り、スマホの電波の入るエリアまで移動しようということになった。
人と話すと元気がわいてきて、俺の足取りも少しは軽くなっていた。

彼のおかげでまだ陽の高いうちにスマホの電波の入るエリアまでたどり着けた。
俺は宿泊を予定していた山小屋に事情を伝え、その少し先にある別の山小屋で下山方法を考えることにした。
騒ぎになっては面倒だからと思い、荷物を落としたことと体調が悪かったことは伏せておいた。
彼にも「連絡した方がいいのでは?」と勧めたが「俺はいい。予定変更したときに連絡したから。」と言って何もしなかった。
このとき、無理にでも彼に連絡させるか、俺が遭難しかけたことを伝えておくべきだったと後悔している。

山小屋まであと少しのというところで、足を止めたときのこと。
俺が用を足しに行くと言って彼とほんの少しの間だけ離れて元の場所に戻ると、すでにそこに彼の姿はなかった。
「山小屋まですぐそこだし、助けを呼びに行ってくれたのかも?」と思い、俺は急いで山小屋まで行った。
彼からは苗字と、どこから来たのかくらいしか聞いていない。
山小屋で彼のことを聞いてみたが「そんな人は来てないねえ」と言われただけ。

そして助けのヘリを呼ぶかどうかを相談しているうちに、周りの人が気付くほど俺の顔が紅潮していった。
俺は一気に頭痛と悪寒に襲われ、様子を見て下山予定の人と一緒に下山するという話はなくなり、翌朝まで山小屋で待ってヘリで病院まで運んでもらうことになった。
命の恩人が行方不明のままだった
18 :1[sage]:2020/05/23(土) 08:07:45.14 ID:7JBRIgNJ0
翌朝ヘリで病院まで運んでもらったが、診断結果は過労。
その日は様子見で入院したが、翌朝には回復し、夕方までには帰路についた。

彼かもしれない人物の遭難を知ったのは帰宅して数日たってのこと。
俺の行った山の近くで行方不明者が出たというニュースサイトの記事を見てだった。
彼は自分自身のことはあまり話してくれず、また「もともと通っていたルート」についても聞いた記憶はなかった。
一緒に歩いていたとき、少々話をしたが俺の話など上の空という感じで「他人にはあまり興味がないのだろう」といった印象があり、
「そんな一人で生きられるようなタイプならあのまま下山できただろう」という思い込みがあり「彼でない同じ苗字の人だろう」と決めつけていた。
そして何より「なぜ何も言わずにいなくなくなるとは、たとえ助けてくれたとしても無責任な人だ」との少しの怒りもあったので、彼のその後のことはあまり気に留めていなかった。

だから警察から電話が来たとき、途端に彼の遭難が現実味を帯び、思わず「知りません」と言ってしまったのだった。
警察からの情報では、苗字だけでなく、俺の記憶にある彼の装備とも一致していた。
疑問点があるとすれば、彼が登山者カードを出していたエリアから、俺のいたエリアまで「道に迷ったくらいで来るか?」というところだけ。
命の恩人が行方不明のままだった
19 :1[sage]:2020/05/23(土) 08:13:13.57 ID:7JBRIgNJ0
やはり警察に連絡すべきか。
もし彼の身内に身バレして逆恨みされても引っ越せばいいか。
こんな薄情な人間だから社会人になっても頼れる友達が一人もいないんだろうな。
命の恩人が行方不明のままだった
20 :1[sage]:2020/05/23(土) 08:15:31.05 ID:7JBRIgNJ0
今さらだけど俺の中では
「すでにそのとき死んでいた彼が俺を助けてくれた」
「だから山小屋の手前で何も言わずに突如としていなくなった」
「ここで警察に俺が事情を話しても捜査を混乱させるだけ」
という都合のいいストーリーが出来上がっているんだな。
命の恩人が行方不明のままだった
21 :1[sage]:2020/05/23(土) 08:19:00.55 ID:7JBRIgNJ0
ここだから俺の考えを肯定してもらえる期待して書き込んだのだが。
そううまくいかんね。逆に現実を突きつけられた感じ。


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