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383 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 05:22:12.99 ID:z6l/JCw30 - 超長い創作で転載禁止なんて話、需要ある?
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431 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 06:44:37.82 ID:z6l/JCw30 - すげえ3回ひねったような考え方
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881 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 08:46:22.59 ID:z6l/JCw30 - 「に」は死んだのか?
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- ほんのりと怖い話スレ 138
524 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 12:41:07.19 ID:z6l/JCw30 - ここはチャットじゃなく掲示板だから
亀レスもふつうにありだよ
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- 海・山にまつわる怖い話・不思議な話 3
88 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 13:59:25.27 ID:z6l/JCw30 - ラスコーリニコフ
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388 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 22:27:29.93 ID:z6l/JCw30 - じゃあ貼っていくが、すげえ長えからな
長いのが嫌なら読まないでくれ あと、転載禁止
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389 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 22:29:30.10 ID:z6l/JCw30 - アルバイトの話なんだ。俺? 俺はフリーターってか、プー太郎だよ。
薬の臨床試験ってバイトがあるだろ、最初はあれに参加してたんだ。 うーん別に、不安を持ったとかはないよ。だって応募元は名前のしれた製薬会社だし、 毎日医師がついてて検査してくれるんだから、むしろ普段より健康なんかもしれない。 基本ただ寝てるだけで、飯もついて10泊11日で25万、これはこたえられねえだろ。 ああ、でもよ、今日するのはその話じゃねえんだ。その次にやったバイト。 この臨床試験で、同じ被験者の見田ってやつと知り合いになって紹介された。 年は俺より10は上だな。40歳以上に見えた。 うーん、筋者じゃねえと思う。臨床試験の被験者って刺青はダメなんだ。 それに、言葉遣いもていねいだったし、威圧するようなとこもなかった。 最終日、これで開放ってときに名詞を渡されたんだ。 その試験とは別の製薬会社のコンサルタントって、肩書きになってた。 まあな、不自然といえばそうだよ。 なんでそんなやつが他社の試験にいるのかわかんねえし。 でよ、こいつの紹介したバイトってのが、報酬がよかったんだ。 1日4時間の拘束で3万。ただし休みの日はないってことだったが、 要するに1ヶ月で90万になるわけだ。しかも違法なことは何一つないって 言われたから、こりゃ断る手はねえよな。で、承知したら次の日、 繁華街にある〇〇ビルってのを訪ねて来いって言われたんだ。 約束の時間は昼の2時、行ってみたら、飲み屋街の細長いビルなんだよ。 ほら、敷地面積のせまい土地に、階数だけのばして建てた雑居ビル。 ネオン看板を見るかぎり、全部がカラオケスナックかその類だった。 これはちょっと考えたね。水商売が悪いわけじゃないが、 それで日に3万って言ったら、ヤバイ仕事としか考えられねえだろ。
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390 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 22:30:57.68 ID:z6l/JCw30 - だから、話しだいでは断ろうと思いながら、中に入ったんだ。
地下へ行けという指示だったんで、せまい汚い階段を下りていたら、 ドアがひとつだけ、看板は外されてたが、どう見てもバーかなんかなんだよ。 ノックした、そしたらややあって「入れ」って野太い声がした。 中は予想どおりバーのつくりで、カウンターに大きな男が座ってた。120kgは あっただろうな。スーツ着てたが、ごつい体なのがその上からもわかった。 おそらく何かの格闘技の経験者だよ。ただし、そいつも筋者のにおいはしねえんだ。 そいつは見田って名乗り、臨床試験のときのやつの弟だって言った。顔は似てた。 俺はあいさつをし、それからすぐ仕事内容の説明をされたんだよ。 夕方6時にここへ来て、そうすると古ぼけたファックスに 連絡の紙がきてるから、それをまず読む。 内容は、なんと言えばいいんだ? 人5人くらいの名前と、その人の いいエピソードが書いてある。いいエピソードって何のことかわかんねえだろ。 「何年何月に晴れて部長に昇進した」とか「後輩をいつも食事に誘って 慕われていた」とか、「長年母親の介護を親身になってやりとげた」とか、 そういう内容。一人一人の名前の下に箇条書きで10個ほど書かれてた。 5人だと50個くらいになるな。まずそれを暗記しろと。 こんとき きつく言われたのが、エピソードを忘れて言わないのはしょうがねえが、 絶対に人を取り違えるなって。つまり別のやつのエピソードを読むなってこと。 それと必ず末尾を過去形にしろ、ってことだった。で、だいたい暗記したら、 最初に名前を言い、それを感情込めて語りかける練習をしろって。 本番のときは紙を見ちゃいけないんだよ。何が本番かって? それは今話す。
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391 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 22:32:04.80 ID:z6l/JCw30 - 「やってみろ」って言われたから、その場で一人分だけやってみせた。
どうやら見田弟は満足だった様子で、カウンター奥の調理場に案内させられた。 バーだからせまいキッチンだったが、そのどん突きにドアがあって、 それが冷凍貯蔵庫みたいな頑丈な鉄扉だったんだ。 で、見田が最初に入ってスイッチらしいのを押した。 それで明るくなったとこへ俺も入って、思わず息を呑んだんだ。 広いんだよ。体育館半分くらいもあった。ただしもちろん天井は低い。 そこに薄暗い感じで水銀灯がいくつか灯ってる。これだと, ビルの敷地だけじゃあ絶対足りない。裏手の道路の下にまで続いてるようだった。 それとさらに驚いたのは、下が3mほど土で、 その先が水・・・沼みたいになってたことだ。 地下だから太陽光が入らないんで、植物とかはなかったが、 それをのぞけば、平地にあるような沼だったんだ。水は澱んでて、 天井の色を映して青黒く光り、そこかしこからあぶくが立っていたな。 で、沼の手前に祭壇のようなものがあった。簡素なつくりで、 お盆のときの棚にも似てた。見田弟はその前に立ち、 「ここで9時になったらエピソードを一人ずつ、心を込めて語ってくれ。 仕事はそれだけだから、終わったら帰ってもいい」そう言ったんだ。いや、 どういう意味があるのかはまったくわからなかったよが、質問できる雰囲気じゃ なかった。その沼のある場所からは5分ほどで出て、厳重に鍵をかけた。で、さらに 注意事項をいくつか言われた。「沼の水には絶対に入るな。手を触れてもいけない」 「もし何か異常な事態が起きたら、店の中なら俺に携帯で連絡しろ。ただし沼の 部屋で起きたんなら、祭壇の上に無線機があるから、赤ボタンを押して指示を聞け」
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392 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 22:33:07.12 ID:z6l/JCw30 - 「沼の部屋の戸締りを忘れたてたらクビ、言い訳は聞かない」
「休みはねえが、体調がもし悪かったら必ず連絡しろ」こんなことだったな。 その日は交通費と言われて封筒を渡されて帰ったが、中には10万入ってた。 で、翌日6時に出勤した。やはり見田弟がいて、「2、3日はいっしょにいてやるが、 慣れたらお前一人だからな」そう言って、沼の部屋と店の入り口のキーを渡された。 ファッスの紙を取ると、その日名前が載ってたのは4人で、 いかにも立派な人生を送ったかのようなエピソードが連ねてあった。 俺は2時間かけて暗記し、見田弟の前で披露した。 「合格、なかなかいいじゃねえか」にやにや笑いながら見田は言ってた。 で、9時になって沼の部屋に入り、祭壇の前に立った。見田は俺の後ろ、 ドアのすぐ近くで見てたんで緊張したが、20分ほどかかって語り終えたよ。 まるで葬式で弔辞を読んでるような気分だった。 沼は相変わらず、ぼこぼこと泡立ち、饐えたような臭いがしてた。 4日目で見田弟は消え、俺一人になった。その4日で12万、 最初の10万と合わせて22万だよ。信じられねえ金額だろ。 この仕事にどういう意味があるのかは考えないことにした。 おそらく沼は建築法とかに違反してるんだろうが、 俺がやってることに違法性はない。けっこう頭も使うし、それ以上何を望む? ただ、日がたつにつれて沼の臭いがきつくなっていく気がした。 あと、どうしても圧迫感がある。言われてなかったから、 俺は常にドアを開け放したまま語りをしてたんだよ。 で、まあ何ごともなく10日ほどが過ぎた。
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393 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 22:34:13.71 ID:z6l/JCw30 - そうだな、変わった点といえば、仕事が6時から10時までなんで、
生活が規則正しくなったよ。普通なら、その時間は酒飲んでるからな。 あと、夜ぐっすり眠れるようになった。内容はなんてこともねえ仕事なんだが、 終わって帰ってくると疲労感がかなりあるんだ。 やっぱり精神的に緊張してるんだろうな。 これが紙を見てしゃべるんなら気が楽だったろうが、暗記しなくちゃならんし。 1回ヘマしたことがあるんだよ。祭壇の前で語りかけるときに、 うっかり「とても立派です」って言っちまってな。 ほら、全部を過去形にしなきゃいけないってのに反しちゃったわけだ。 口に出してすぐに気がついたよ。背筋がぞくっとした。 うーん、特に何も起こらなかった。だから気を取り直して続けたんだ。 いや、見田弟にはそのことは言わなかった。首になっちゃ困るし。 やつは3日か4日おきに、店に顔出して封筒に入れた給料を渡してよこした。 そうだ。あと、だんだん体が沼臭くなってきてな。 これにはちょっと困った。そんなヒドいドブみたいな臭いではないんだが、 薬品のような感じの饐えた臭いだよ。消毒薬とも違うし、工場の臭い っていうかなあ。おそらく沼に入ってるのは水じゃなかったんだろう、 何かの薬品。ま、できるだけ風呂に入るようにしてたから、人に会って 言われることはなかった。やがて1ヶ月になろうって頃に、見田弟から、 「あんた頑張るなあ。よくミスしないでやってる。沼がこんな一ヶ所で もってるなんて、記録じゃねえかな。もしよ、具合が悪くて休みたいとか あれば電話してこい。1日ぐらいなら俺が代わってやるから」 こんなふうに言われたりしたんだ。
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394 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 22:37:10.67 ID:z6l/JCw30 - その矢先、1ヶ月過ぎたとき、ヘマしちまったんだ。
その日の名簿は3人だけで、楽だと思って油断した。どうしてそうなったか わからねえが、1人目と2人目の内容を完全に取り違えたんだ。 いつものように沼の部屋に入って電気をつけ、祭壇の前に立って一息つき、 おもむろに語りかけを始めたんだが、一人目なのに二人目のを言っちまった。 しかもすぐに気がつかなかったんだ。半分目を閉じて、気持ちを込めて話してると、 ボッコンって音が聞こえた。沼のほうを見ると、風船くらいある大きなあぶくが、 10mほど先に出てたんだ。ここで気がつけばなあ・・・ しばらく待って何事もなかったんで続けた。そしたら、さっきのあぶくが割れ、 下から何かが出てきた。黒い、でかいもんだ。大きさは冷蔵庫くらいもあり、 丸い形をしてた。見た瞬間足がすくんだ。自分が間違えたことにも気がついた。 黒いのは髪の毛だと思った。それが沼の液体でへばりついたようになった 人の頭が・・・4つ、5つ、くっついたものだ。 並んでるんじゃなく、ひとかたまりに溶け合ってたんだ。 ずぶぶぶぶ、って音を立てながら、それはもう1mも出てきて・・・ 俺は祭壇の上にネジ止めされてる小型の機械の赤ボタンを押した。 すぐに「どうした!」という声が聞こえた。見田兄弟の声じゃなかった。 「沼から何か出てきた。人間の体のかたまりみたいのが!」 「チッ」舌打ちがスピーカーから大きく響いた。 それっきりいくら呼びかけても応答がなかった。沼から出てきたものは もう天井につかえ、ゼリーででもできてるみたいに広がってた。 くっつき合ってた顔も分かれて、天井のコンクリに貼りついたようになって・・・
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395 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 22:38:22.12 ID:z6l/JCw30 - 俺はそこまで見て逃げた。急いでドアを出て鍵をかけた。
そのまま店外まで駆け上って、夜の街へと逃げ出したんだよ。 ・・・まあ、こんな話なんだ。 で、翌日、店が火事になったってことが新聞に出てた。といっても小火程度で、 すぐに消し止められたようだった。さあねえ、沼がどうなったかはわからない。 こっちから連絡をとることはなかったし、向こうからも電話はかかってこなかった。 店のあったとこへも行ったんだよ。そしたら、燃えた跡が外からはわからなかった。 だから地下のバーの内部だけなんだろうと思った。 黄色いテープが張られてて、階段を下りることもできなかったよ。 で、あったことをつらつら考えると不安になってきた。 そりゃ仕事内容からして尋常じゃなかったからな。ましてあんなものを見ると・・・ それでアパートを引っ越したんだ。結局高くついたってことだ。 それから・・・また、薬の臨床試験があって。 これは有料で登録してあるから、優先的に知らせてくれる。 その試験をやった病院で、見田に会ったと思うんだよ。ああ、兄のほうだ。 俺が昼過ぎの診断を終えた後、特殊病棟のロビーのベンチで本読んでたら、 横脇のエレベーターが開いたんだよ。緊急時にベッドごと移送したりするやつだ。 そっから車椅子の人が出てきたが全身に包帯が巻いてある。 で、顔の部分は白いゴム製のマスクだったんだ。犬神家のスケキヨって知ってるか? あんなやつだ。しかもそいつは右足がほぼつけ根から、 それと左手が肘のあたりからないように見えた。 そこの実験病棟の階は一般の患者の姿は見かけなかったんで、あれっと思った。 むろんそんな状態じゃ自力では動けない。やっぱりその病棟では見たことのない、 赤いカーディガンを羽織った若い女の看護師が押してた。
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396 :本当にあった怖い名無し[sage]:2019/11/07(木) 22:39:23.30 ID:z6l/JCw30 - しずしずと俺の前を過ぎようとしたんで、投げ出してた足をよけた。
そしたら、看護師が乱暴な手つきで車椅子のやつのマスクをはがしたんだ。 焼け爛れた顔が出てきた。たぶん火じゃなく、何かの薬品で。 そいつは俺にその顔を向け、「うーうーうー」とうなったんだが、 崩れた顔だけど、面影に見覚えがある気がしたんだ。見田の兄だと思った。 「うーうー おろうろは しらら」そう言ってがっくり頭を落とした。 看護師があごを持ち上げてマスクをかぶせ、俺を見るともなく、 「こうなりたいですか? 沼のことは人に話してはいけませんよ」 そうつぶやいて、車椅子を押して検査室のほうへ去ってったんだよ。 うん、見田兄の言った内容は後で考えてわかったよ。 「弟は死んだ」これでまちがいないと思う。あれから3ヶ月が過ぎて、 俺の身のまわりに特におかしなことはない。ないが・・・ 終わり
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