トップページ > オカルト > 2011年07月21日 > K+F3ZuES0

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102
本当にあった怖い名無し
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧

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∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
183 :102[sage]:2011/07/21(木) 04:48:53.02 ID:K+F3ZuES0
102です。
みなさんこんばんは。

先日は中途半端に書き込んでしまってすみませんでした。

あれからレスを読んでみたのですが、途中で
止めるのはもっといけない事だという意見もみられたので
お叱り覚悟で続きをカキコしたいと思います。

この時間からだったら人も少ないと思うので、
連投しますがお許しを。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
184 :102[sage]:2011/07/21(木) 04:50:52.01 ID:K+F3ZuES0
この間どれだけの時間が経過したのかは判らない、しかし不思議に響く鈴の音色は
恐怖の呪縛から俺を少しだけ開放した。
固まった視界が少しだけ動かせる様になった俺はじっとしているのが耐えられなくなり、
凝視していた右のバックミラーから左のバックミラーにゆっくりと視線だけを移した。
この時二度目の衝撃が俺を襲う事になる。
ギシッ

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
185 :102[sage]:2011/07/21(木) 04:53:22.33 ID:K+F3ZuES0
さっきまで掛かっていた重量物がまるですっと退いた様にリアのサスペンションが
元の位置まで戻り、傾いでいたバイクの前後サスペンションが普段のクリアランスに
戻った。
しかし背中の粟立つ感覚はまだ静まらない、意識的に動かせられるのは左右に
ほんの少し視線を振る程度。
全身は瘧のように細かく震えるだけで依然として見えない背後から放たれる気のようなものが
それ以上の俺の行動を許さなかった。

バイクを放り出して逃げ出したい衝動と、振り返ってその「何か」の正体を見てみたい好奇心という
相反する二つの思いに苛まれて俺は激しい眩暈を感じ始めていた。
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
186 :102[sage]:2011/07/21(木) 04:56:09.11 ID:K+F3ZuES0
意思に反して体が左右にふらつく。
このままではバイクもろとも倒れてしまうのではないかと思った俺は
一度強くまぶたを閉じて眩暈が治まるのを待った。

と、その瞬間、背中の粟立つ感覚が少し薄らぎ、それと同時に両腕の感覚が
じわりと戻ってきた!
たまらず俺は持っていたヘルメットをそのまま地面に落とし、反射的に両手で
ハンドルを強く握った。
タイミングは微妙なところだったが大きく左に傾き出していた車体は寸でのところで
バランスを取り戻し、俺は辛くも転倒を免れる事ができた。

この時大きく左にハンドルが振られたため、左のバックミラーは後ろの背景から
大きく逸れて俺の腹の辺りを映しており、右のミラーに至っては真横を
向いてしまい、鏡面すら見えなくなってしまっていた。
全く後ろ側が見えなくなった格好になる。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
187 :102[sage]:2011/07/21(木) 04:59:36.50 ID:K+F3ZuES0
ふら付く両脚で何とか踏ん張り、俺はハンドルをまっすぐになるように戻すと、
ハンドルから手を離して急いで右バックミラーの位置を調整した。

未だふらつく両脚のまま上半身を捻って直接後ろ側を見るよりは、
バックミラーを後方に向けた方が安全にすばやく後ろ側を見ることができると
判断したからだ。

ちょうど俺の真後ろ、滝つぼ辺りにミラーを調節したとき、幽かに揺らめく
鬼火の、ほの暗い光の中に幽かではあるがそれが一瞬見えた…

先ほどまで俺の背後を支配していた「何か」の姿、
周囲の鬼火にゆらめくように淡く映し出されたその姿…

以外な物が映し出されたバックミラーを凝視し、俺は呼吸も忘れて呆然としてしまった。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
188 :102[sage]:2011/07/21(木) 05:02:40.05 ID:K+F3ZuES0
最初に映し出されていたものは神楽師のような衣装の袴のようなものだった。
しかし足袋のあたりはゆらゆらと揺らぐ鬼火の加減でうまく見る事ができない。

少し上に鏡面を向けようとしたがバックミラーは細かい角度調整が難しく、
裃のような衣装が見えたかと思った瞬間カクっと上方向に動きすぎて夜空を映し出してしまった。

微調整できないもどかしさを感じながら焦る気持ちを抑えつつ、もう少し下へ
鏡面を動かした時、ようやく俺はそれをうまく鏡の中に捉える事ができた。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
189 :102[sage]:2011/07/21(木) 05:04:23.73 ID:K+F3ZuES0
少しうつむいた様に視線を地面に向けた、暗い洞の様な、どこまでも暗く
生気を感じさせない両の眼。
眉は細く、表情の一切を封じ込めたかの様な白い頬。
額には深い皺が刻み込まれており、眼とは裏腹に唯一表情の様なものを表している
僅かに吊り上った口元が、言いようの無い違和感を覚えさせる。

俺が今見たこの特徴のすべてを持つもの。それを俺はひとつしか知らなかった…

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
192 :102[sage]:2011/07/21(木) 05:13:23.44 ID:K+F3ZuES0
それはまさしく翁の能面。
翁面を着けた小柄な老人のように見えた。

視線が捕らえたものを頭が認識し、それを理解するのにこれだけ労力を
使わなければならないのは不思議であった。
なぜここにこんな老人が…

その時、ため息とも嘆息ともつかない息が俺の口から吐き出された。
その刹那、それまでやや地面の方向の、おそらく俺が落としたヘルメットの辺りを
凝視していたであろうその翁の面をつけたものが、何の前触れも無く
鏡の中の俺に向き直った。

それと眼が合ったような気がした。
深く暗いその眼窩から放たれる圧力は暗く虚ろだからこそ
ひたすら圧倒的で凄まじかった。

この次の瞬間、この日一番の大きな衝撃が俺の体を文字通り貫いていた。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
193 :102[sage]:2011/07/21(木) 05:17:09.18 ID:K+F3ZuES0
バシッ

大きな音を立てて割れたのは俺の頭でもなく眼球でもなく、
翁面を映し出していた鏡・右バックミラーだった。

バイクのバックミラーは安全上ガラスではなくプラスティックでできており、
相当派手に転倒でもしない限り割れることはまずない。
そのプラスティックのミラーが下半分を残して大きく抉られたかの様にして
割れてしまっていた。

そしてこの衝撃に俺は明確な意思を感じる事ができた。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
194 :102[sage]:2011/07/21(木) 05:26:01.35 ID:K+F3ZuES0
それは怒り…
圧倒的な圧力には憤怒の波動が込められていた。
それがバックミラーに触れる事もなく上半分を抉るように破壊したと知れた。

ひょっとして先ほど林道でTが感じた不可解な転倒の原因も?…
Aがヘッドライトに受けた衝撃も?…

もう指一本動かす事もできなかった。
その時の俺の心の中は人智を超えたものに対する畏怖の念で塗り固められており、
この後俺はどうすればいいのかさえ判らなくなってしまっていた。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
195 :102[sage]:2011/07/21(木) 05:34:53.93 ID:K+F3ZuES0
こんな時間にも関わらずレスくれた
190さん
ありがとうございました。

小一時間も連投させてもらえましたが
さすがに疲れました。

一度落ちます。

皆さんの反応を見て、また書き込ませて
いただける雰囲気でしたらまたお邪魔したいと思います。
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
233 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:00:16.22 ID:K+F3ZuES0
102です。

恐縮ですが続きを書かせてもらいたいと
思います。

なるべく邪魔にならないように努力しますので
駄文ですが、良ければもう少しお付き合いください。
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
234 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:03:14.13 ID:K+F3ZuES0
憤怒の呪縛に絡め取られた俺は、割れたバックミラーを呆然と眺めるしかできない。
すると割れて下半分だけになったバックミラーに先ほどの翁面を着けた
小柄な老人を思わせるものがゆっくりと横切るのが
妙に歪んだ鏡像の中に見て取れた。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
235 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:08:58.32 ID:K+F3ZuES0
そしてそれはゆっくりと俺とバイクから離れて行き、凛とした清らかな鈴の音を残して
滝つぼの中へと消えて行った。

幻を見ていたかのように茫然自失している自分をようやく自覚したとき…
それが滝つぼに消えていった事がきっかけだったかの様に急に周囲の音が戻ってきた。
滝を流れる水の音・秋の虫たちの声・バイクのエンジンは止まったままだったが、
いつの間にか点灯していたヘッドライトが眩しすぎるほどに周囲を照らし出していた。

計器類のバックライトも正常に点燈している。全てが夢幻だったのかとも思えたが、
紛れもない現実である事を割れた右のバックミラーは雄弁に物語っていた。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
238 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:26:49.07 ID:K+F3ZuES0
「一体なにが起きたんだ?」現状を冷静に受け止めようとするあまり、俺は思わず
声に出してこう言ってみた。

ふたたびあの鈴の音と静かな祝詞が幽かに頭の中に響く…
「彼の地を乱すな…彼の地を清めよ…か…を…鎮めよ…」

その時、初めて俺は悟った気持ちになった。
たぶん人間が入り込んではいけない聖域のような場所に…
不浄の者は立ち入る事が許されない幽玄の神楽に…

秋の夕暮れが作り出した「逢う魔ヶ時」の不思議な力が
俺を禁断の場所へ入り込ませてしまったんだという事を。

しかし、とうとう幽かな鈴の音を最後にその祝詞も
遠く霞んで聞こえなくなってしまった。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
239 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:29:24.77 ID:K+F3ZuES0
この時ばかりは頼もしいはずのヘッドライトがやけ強すぎる様に感じた。
俺はごく自然にバイクのメインスィッチをOFFに回し、サイドスタンドで
バイクを立てると姿勢を正して滝に向かって一礼をした。
「ここが私より上位の方達の土地であるという事を、知らずとはいえ
不浄の者なる私が不用意に立ち入った事をお許しください」と心の中で唱えた。

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240 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:32:11.63 ID:K+F3ZuES0
その時幽かに鈴の音が聞こえた様な気がしたがあまりにも幽かだったため
本当に聞こえたかは自信がない。
が、ここは不浄の者が立ち入る事が許されざる土地であるという
事はなんとなく感じたので、すぐにエンジンはかけずに
ヘッドライトだけを点灯させた状態に戻すと
バイクを押して広場から出て行った。

広場の入り口には鳥居の様な、薄くくすんだ朱色の木造物が
半壊した状態で朽ち果てていた。
そこにも小さな石柱が建っており、側によって確認してみると
「……先…(読解不能)泉…ず…境」とだけ読めた。

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241 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:37:08.83 ID:K+F3ZuES0
多分ここから奥は遠い神代の昔から何かしらの聖域になっており、
それを知る誰かがかなりの昔、それも石柱の表面が風雨で侵食され、
刻まれた碑文が判別できない位の昔に建てたのだと思う。

それから十分に広場から離れた事を確認し、バイクのエンジンをかけてゆっくりと…
本当にゆっくりと下の方、TとAが待つ転倒地点まで降りていった。

林道の途中、コーナーを曲がる度に「ひとつの宮」・「ふたつの宮」・「みつの宮」・「よつの宮」と読める石柱が
等間隔で建っていた。

夢から覚めたような、まだ夢の中にまどろんでいるかの様な有様だったが、
ハンドルだけはしっかり握り、必ず2人の許に戻るんだと心強く思いながら俺は坂を下っていった。


暗闇のなかヘッドライトを頼りに林道を進んでいると
遠くから懐中電灯の光と懐かしい声が聞こえてきた。

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243 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:43:40.29 ID:K+F3ZuES0
「おーい!○○(俺の名前)、そこにいるのか!大丈夫か!」という声が聞こえる。

視線を向けると転倒現場である下の方からTとAが走ってこちらに来ているのが見えた。
ふと気づくとそこにも石柱があり、そこにあった石柱には「うつつの宮」と書いてあった。

今考えると2人が近づいて来るのが見えた辺りからあの広場にあった独特の
雰囲気はわずかに薄らいでいた様な気がする。
後でわかった事だが、「うつつ」とは「現」のようで、実際にある事・正気といった
意味があるらしい。

この辺りから少し違和感が薄らいだ気もするが、今となっては判らないというのが正
直なところだ。

俺は走ってこちらに来る二人にゆっくりとバイクにまたがったまま近づいて行った。

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244 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:50:39.83 ID:K+F3ZuES0
先ほどと違いボーっとしているを見取ったTが「大丈夫か?さっきからこの林道は
おかしな気配を感じてたんだけど…
俺の気のせいかもしれんがお前も判るか?…

お前が走り出してしばらくしたら、山間に響いていたエンジン音が
聞こえなくなっちまって…もしかして転落でもしたのかって心配になったんだ。
あんまりにも遅いから心配になって様子を見に来たんだが何かあったのか?」
と俺の肩に手を置きながらそう話しかけてきた。
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245 :102[sage]:2011/07/21(木) 19:55:00.48 ID:K+F3ZuES0
「あぁ、それが…うーん、俺もなんだか自信が無いんだが…実は…」と
言いかけた時、「おい○○、ミラーが割れてるんじゃないか。
スッ転んで気でも失ってたんだろ?。それにお前一人で沢渡りでもしたみたいに
バイクがびしょ濡れじゃないか!その背中も何か濡れた荷物でも背負ってたみたいに
染みができてるぞ!?」
と懐中電灯を背中に向けたAが素っ頓狂な声を上げてこう言った。

言われて気がついたのだが、その時俺のバイクのシートと着ていたジャケットの
背中一面はベタベタに濡れていて、まるで沢に入り込んで
背中から水を被ったみたいになっていたそうだ。

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247 :102[sage]:2011/07/21(木) 20:01:31.19 ID:K+F3ZuES0
すみませんでした。

途中ですが止めます。
みなさん、すみませんでした!!
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
253 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:10:28.28 ID:K+F3ZuES0
2chに慣れてないってのは確かです。
雰囲気とかに過剰になって妙に卑屈になってしまいました。

確かに「さるさん」ってやつで
途中書き込めなくなたのは正直ビックリしました。
248さんの言うとおりしれっと投下します。
250さん、251さんへ
2ch初心者なのでどうか許して下さい。
そして駄文ですがどうか最後まで
読んでやってください。どうかお願いします。

どれだけ連投になっても最後まで書かせてもらいます。

細かい描写を大切にしたい気持ちがあるので、
メモ帳にまとめて読み返してから書き込んではいますが
最後までこのスタイルで行かせてもらいます。


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254 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:11:59.63 ID:K+F3ZuES0
察しの良いTから「お前も何かトラぶったみたいだしこの暗さだ、とりあえず
この先は行かない方が良いみたいだな。それにお前(A)もライトがやられているから
これでコケられでもしたらもっと面倒だ、それに何だかこの山は変な空気というか
雰囲気が気になるんだ。
癪だけど今日のところはあそこで一泊して明日また明るくなってから散策しようや」
という提案が出た。

転倒を予言されたAはあまり面白い気分にはならなかった様だが、俺がかなり
疲弊している事を感じてくれたのか黙ってTに従ってくれた。

俺も正直またあそこに戻るのは怖いというか複雑な気分だったので
Tの提案が有難かったのは言うまでもなかった。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
255 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:13:05.80 ID:K+F3ZuES0
この後の俺の朝までの記憶は曖昧としか言えない。
転倒場所に程近い場所に2人が気を回して俺のテントも設営されていた。
俺はそこに潜り込むと飯も食べずにすぐに寝てしまったらしい。
その夜遅くまで起きて酒を飲んでいたというTとAは、時折山の中に
シャリン…という鈴のような音がしたり、鼓のような音がしたと
口をそろえて話していたが、俺はまるで泥のように翌朝まで眠っていたため、
何も感じはしなかった。

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256 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:15:10.83 ID:K+F3ZuES0
翌日明るくなってから、Aたっての希望でピストン林道最奥部まで
単独トライに出かけて行った。

Aが出発したのを見送って、俺は昨日の転倒で右手を痛め、俺同様に留守番を
買って出たTに昨夜の事をわかる範囲で話そうとしたのだが、
自分でもなぜか判らないが話すのは止めてしまった。

昨夜の単独走行を俺は5分〜10分程度に感じていたが、Tによると実際は
小1時間ほど経っていたらしい。
この間の全てを俺は不自然にならない程度で真実は伏せる形でTに話す事にした。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
257 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:17:37.54 ID:K+F3ZuES0
恐る恐る進んで行ったから余計な時間が掛かってしまった。
バイクと背中の水は途中の水溜りに気が付かないでもろに突っ込んだからこうなった。
バックミラーはぬかるんだ地面にバイクを立てて立小便していたら
スタンドがめり込んで割れてしまった
とこんな感じで話しておいた。

バイクの横に座り込み、最後まで黙って俺の話を聞いていたTは
「そうか、大変だったな。一人で行かせて本当にすまなかった。」と言うと、
テーピングしている痛めた右手首を庇いながら器用にパーコレーターでコーヒーを沸かすと、
熱い1杯を俺にご馳走してくれた。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
258 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:18:57.01 ID:K+F3ZuES0
もらったコーヒーを飲み終わった頃にAが浮かない表情で戻ってきた。
奥まで走ってきたAによると、あの林道は途中で消滅して獣道になっていたそうだ。
どこからか水の音はするが沢は確認できず、俺が見たという滝もとうとう
見つけられなかったと不思議がっていた。
獣道はもう少し奥に続いているようだったが、あまりにも細く険しすぎて
俺一人が夕闇のなか走破できる訳がないと思って引き返してきたとの事だった。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
260 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:23:20.86 ID:K+F3ZuES0
>>259
ありがとう!

このまま続けますね。

そして帰りの道すがらまるで俺を誘導するかのように一定間隔で建っていた
石柱も、いくら探しても見つける事はできなかったらしい。

ただ、獣道の入り口辺りに朽ち果てた鳥居のような木造物の残骸はあったが、
それに対してAは特段の興味を感じなかった様で、俺が見た滝と広場は
一人で走っている恐怖のあまり勝手に想像したもので構成したものだという
事になってしまった。

これに対して俺はわざと情けない声色で「やっぱりそうだよなぁ錯覚だよなぁ…」
とだけ言っておいたが、Aの話す内容には妙に納得できる自分を自覚していた。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
261 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:25:27.18 ID:K+F3ZuES0
俺が入り込めたのは日没間際「逢う魔ヶ時」の不思議な力と今となっては判らないが
何かしらの偶然が重なった事であの不思議な空間に入る事ができたのだと思えたからだ。

TもAの話を黙って聞いていたがあまり俺に意見を求める事はしてこなかった。
しかしニヤッと笑うと一つだけと前置きして俺にこう聞いてきた。
「なんでスタンドを立てたバイクがぬかるみで倒れたのに
割れたのは右のミラーなんだ?スタンドは左にあるから割れるなら
左じゃぁないのか?」と。

これには俺もシドロモドロになったが、コケたのが恥ずかしくってバイクが
倒れたのだとウソをついたと都合よく二人は勘違いをしてくれたようだった。
また林道突き当たりの場所についてはやはりTはAと同じように
ある種の緊張状態の時に俺が幻覚や錯覚を見たのだろうという事で
決着が付いた様だった。

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
262 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:28:57.57 ID:K+F3ZuES0
ピストン林道からメインのガレ場まで戻った俺たちは改めて地図をみてみたが、
正しく読み取った地図の場所はかなりN県に入り込んだ辺りの峡だったらしく
無数に支線がはしっているため持っていた地図の尺度からでは例の林道を
特定するのは困難だった。
またメインルートとピストン林道の分岐点に建っていた石柱も表面が侵食されてしまって
ただの路傍の石かもしれないという事になった。


俺が今回体験した不思議な事はこれが全てだ。
あれからはTとAと3人であの林道を攻めてはいないが定期的に軽く近場の
林道ツーリングを楽しんでいる。

しかし俺のは林道や山の楽しみ方に少しづつ変化がおきていると感じている。
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
263 :102[sage]:2011/07/21(木) 22:31:32.45 ID:K+F3ZuES0
それは山が伝えようとするメッセージに耳を傾けながら走るようになった事だ。
今までは誰が一番早くかっこよく走る事ができるかって事ばかり気にしていたのだが、
最近は山からの何かしらのメッセージを逃さないよう敏感に反応しようとしながら
走ったり休憩ポイントで休憩をしている。

それはたとえば古い石柱や祠があるところでは謙虚な気持ちで走る様にしているし、
本能的に違和感を感じた場所には深入りをしないようになった。
岩や沢が行き先を意図的に塞いでいる様な場所に出くわしたときは
どんなに綺麗な景色が広がっていようと面白そうな林道が続いていようと
無理に突破せず迂回路を探したり時にはUターンする事も覚えた。

「彼の地を乱すな…彼の地を清めよ…彼の地を鎮めよ…」確かに翁面は俺に
そう伝えようとしていた。
その「彼の地」というのは俺が迷い込んだあそこを限定していたのか、
それとも他にも「彼の」地はあるのかもしれない…

∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part56∧∧
266 :102[sage]:2011/07/21(木) 23:02:44.14 ID:K+F3ZuES0
おそらくこの板のみんなは俺よりたくさんの、そんな「彼の地」を知っていると思う。

だからむやみに荒らしたり無礼を働く人はここにはいないと思いますが、みなさんが
今度深く山に入ったときはぜひ謙虚に山のメッセージに心を開いてみて欲しい。
きっとこのスレッドの皆さんに山は答えてくれると思うし、そうすれば今回俺が感じた
畏怖の念に押しつぶされそうになるような怖い経験ではなく、
もっと素敵な経験ができると思うからです。

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267 :本当にあった怖い名無し[sage]:2011/07/21(木) 23:06:42.62 ID:K+F3ZuES0
この3人で過去も色々な山々を旅してきたから、俺たちは色々と不思議な経験を沢山している。

特にTは俺よりもうんと山のメッセージがわかる奴だというエピソードもある。

この板の常連さんである雷鳥さんや顔さんのようにすっきりとした
綺麗なショートではなくだらだらとした長文でしか表現できないが、
山から「メッセージを伝えよ」という意志をまた感じる時がきたら、
またみんなに紹介させてもらいます。

それまではまた名無しに戻ってROMる事にします。それではまたいつか…
本当に長文・連投で申し訳ありませんでした。
面白くも無いのに最後まで付き合ってくれた
すべてのみなさん、ありがとう。
102でした。




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