- 霊能力開発したい
263 :本当にあった怖い名無し[sage]:2011/01/19(水) 14:00:21 ID:qIrnPzx5P - アパートに帰り、荷物を下ろしている間にアルマジロのぬいぐるみの横にあの子が座っていました。
(気がつかなかった…。幽霊とはちょっと違うようです) 「さあ、冷蔵庫に買ってきた物入れないと悪くなっちゃうぞ」 そういうと、素直にレジ袋から食材を出して冷蔵庫に入れようとします。 メチャクチャに。 「ほら、それは違うよ。冷凍庫の方…。そうそう…」 こうして片付けを済ませ、買ってきた肉まんを二人で食べました。 『うまいようぅ〜』 「美味しいね…」 『オジちゃんに捨てられてたら食べられなかったよう…』 「ぇぇ!オホッ!ウォホッ!…」 肉まんが喉の奥の変な所に入り、噎せてしまいました。
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264 :本当にあった怖い名無し[sage]:2011/01/19(水) 14:57:13 ID:qIrnPzx5P - 「う〜ん、…お前は一体なんなのだ?」
『おしえたげない…』 「う〜ん、そうかあ〜…でもお母さんやお父さんはいるんだろう?」 『ちゃんはしらないよぅ、おっかちゃんは…』 「おっかちゃんは?…」 『しらないやつと、どこかにいったよう…』 「それからお前はどうしてここに来たの?」 『ひめさまといっしょに、おさとでくらしていたよう…』 「ふうん…」 これ以上はもう今は聞かない方がいいだろうと思いました。
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265 :本当にあった怖い名無し[sage]:2011/01/19(水) 21:23:05 ID:qIrnPzx5P - その夜は鍋にしました。
鱈鍋です。 鱈は予め、骨を抜かないと危ないのでちょっとした力仕事です。 化け物のようですけど、一応子供のような同居人もいますので、注意して調理しなければなりません。 その間、日高昆布を鍋に浸します。 鱈が終わったら白菜、糸こんにゃくは水で洗いザク切りに、豆腐を切り、生シイタケの石附を切り、春菊を洗い用意します。 土鍋に移した昆布の出汁を火にかけ、粉末のあごだしを加えます。 材料をぶち込み、灰汁が出ないか見張りながらガスレンジの前に立ちっぱになっていると、彼女が腰に張り付いて来ました。 「おやつ食べてな」 『……』 「……」 『オジちゃん、ヨメはいないのかよぅ〜』 「…いないって」 『じゃあ、こどもは〜?』 「…子供は〜…いないって事だ」 『ふうん…』 『…こどもなら、なってやってもぃぃょぅ…』 黙って彼女の頭を撫でてやりました。 こうしている奇妙な暮らしは、どうせ夢の様なものです。
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266 :本当にあった怖い名無し[sage]:2011/01/19(水) 23:12:36 ID:qIrnPzx5P - 鍋で夕食をすませ、片付けも終えると今度は風呂です。
この風呂が面倒で、彼女が入りたがらないのです。 それでも入れないことには匂います。 化け物のくせに、その辺は生活臭溢れる人間のこどもと一緒でした。 女の子を風呂に入れたことなどないので、特に大変でした。 襤褸(ぼろ)同然の綿入れと襦袢を脱がし、むずかるのをなだめながらユニットに入ります。 「今日は頭洗おうな!」 『ヤダ!』 「ヤダでもダメです!」 『なああんだよぉぉおおう! あたま洗わないっていったじゃないかよぉぉおおう!』 最初に裸にした時、身体中が不潔にしていたためか皮膚病のようになっていました。 それをまた、市販のステロイド含有の軟膏を塗るのに毎日手が掛かります…。 嫌がるのですが、最低限きちんとしないわけにはまいりません。 「ほら、そこにおねんねしろ。仰向けに寝た方が髪を洗いやすくていい…」 渋々横になる彼女の頭を膝にのせ、洗面器を近付けて洗い出しました。 「頭洗うと気持ちいいよ?」 『ヤダ!』 「そおかあ、でも痒くなくなるでしょ?」 『ヤァ〜ダーッ!』 「こら!」 髪を洗う間も、俺の顔にシャンプーの泡を掴んで投げ飛ばしてきます。 まったく…。
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