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作者 ◆gby2MQSCmY 【エロ】山形先生Part6【オカルト】

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【エロ】山形先生Part6【オカルト】
252 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 00:17:43 ID:CYqeu7PD0
ニコンに望遠レンズを着けて覗き込む。アリサも小型の双眼鏡で
現場となっているカフェの様子を伺った。アリサはまだ英語が理解
できない。事件の概要をリュウジは一通り説明してやった。

『…どう見る?』

『…人質は…十一。犯人は単独』

『人質の中に犯人の仲間がいる可能性は?』

『ハイジャックとかならあり得るけど…。あの人がここにたてこもったのは
不可抗力でしょ?それは考えなくていいんじゃないかな?』

『…だろうな』

『武器はサブマシンガンかな…?』

『イングラムだな』

イングラム。かなり小型の短機関銃、サブマシンガンである。直線的な
デザインで、様々な映画やコミックにもよく登場する。この犯人が持って
いるタイプはリュウジの持つベレッタ9ミリピストルと同じ弾薬を使用。
一秒間に二十発という凄まじい速度で弾丸を連射する。

『随分かわいいね』

『UZIを更に小型化したものだ』


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
253 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 00:26:22 ID:CYqeu7PD0
『…犯人は素人…?』

『自分の解釈に自信を持て。何故素人だと思う?』

『たてこもる場所はともかくとして…カーテンも閉めてない。
ガラス張りで中が丸見え』

『丸見えが問題か?』

『SWATに狙撃されたら一発じゃん』

『なるほど』

SWAT。アメリカのそれぞれの警察署が持つ特殊部隊である。
犯人との交渉や突入などを行い、狙撃の専門家も所属している。

話からすれば、リュウジがアリサのアドバイスを受けているかの
ように聞こえるかもしれないが、リュウジは全て状況を把握した
上でアリサに色々と訊ねている。これも訓練の一つだった。

『…あと…犯人、トリガーに指かけてる…』

トリガーとは銃の引き金のことだ。通常、撃つ直前まで指はかけない。
何かの勢いで発砲してしまう恐れがあるからだ。実際に兵士でも
引き金に指をかけて行軍中、自分の足の甲を打ち抜いてしまうという
笑えない事故も発生している。


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
254 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 00:32:15 ID:CYqeu7PD0
『…いい目だ…』

話しながらリュウジは激昂する犯人や、恐れ怯える人質の様子を
フィルムに収めている。

『突撃取材だ』

『え…?』

すたすたと、広い通りを歩いて行く。ジョンストンが止めた。

「スネーク!何をしてる!戻って来い!」

「取材だ」

「おい!スネーク!やめろ!犯人は興奮してるんだ!人質が死んだら
どうする!?」

「…いい記事になる。それだけだ」

「馬鹿野郎!くそったれ、戻って来い!おい!スネーク!」

『…おじさん怒ってるみたいだけど…』

『構わん』


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
255 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 00:39:34 ID:CYqeu7PD0
『…犯人、本当に素人だね…その上テンパってるし…。
全然こっちのこと気にしてないじゃん…』

『一人で立てこもりは得策ではない。人質と警察、両方を
一人で面倒見る必要があるからな。無謀と言っていい…』

『警察はどうして突入しないんだろ?』

『臆病なだけだ…』

『ドアも開きっぱなしだね』

『ノックする必要もない』

手を上げた状態で入店し、犯人に声を掛ける。

「…なんだ!貴様!」

「待て!撃つな!日本の新聞記者だ。取材させてほしい」

「なんでジャップがいるんだよ?」

「たまたま通りかかってね…落ち着いて話をしよう」

「ふざけるな!帰れ!」

「俺が要求を聞こう。警察には顔が利く。悪いようにはしない」


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
256 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 00:45:39 ID:CYqeu7PD0
「だからヘリと金だってさっきから言ってんだろ!」

「すまない。今現場に来たばかりでね…」

「逃走用のヘリと金だ!十万ドル!十万ドルよこせ!
話はそれだけだ!」

「…分かった。交渉してみよう。その前に写真を撮らせて
くれないか?」

「写真…?」

「そうだ。勇敢な強盗犯の写真で紙面を飾りたい」

「てめぇ!からかってんじゃねぇぞ!」

「からかってはいない。今日本では銀行強盗がブームなんだ。
英雄だ」

「銀行強盗がブーム?」

「そうだ。流行している。若い連中はみんな覆面をかぶって歩いている。
銀行強盗スタイルだ。もちろん実際にはしない。臆病者だからな。だが
実際にした奴はみんな英雄だ」

「ほ…本当かよ!?」


つづく

【エロ】山形先生Part6【オカルト】
257 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 00:51:01 ID:CYqeu7PD0
「本当だ。シンジュク、ハラジュク、アキハバラ。みんな銀行強盗
だらけだ。日本では拳銃の所持は認められていないが、みんな
モデルガンを持ち歩いている。ファッションの一つなんだ」

「…う…嘘だ!」

「本当だ。よし。見せよう。いいか。これはオモチャだ」

ゆっくりとジャケットの襟を開く。わきの下のホルスターにベレッタが
納まっていた。それを取り出す。

「俺も持っている。ベレッタのモデルガンだ」

「…へぇ…」

何の話をしているのか全く理解できないのでアリサは驚いている。
しかしこういった場合表情に出すなと常々言われていた。何故この
犯人はこちらが武器を出しているのに何の抵抗もせず、ただ感心
したような顔をしているのか?

『須藤。ゆっくり銃を出して笑え』

『え?どういうこと?』

『疑問を持つな。言われたことをしろ。後で説明する』


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
258 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 00:59:02 ID:CYqeu7PD0
須藤アリサは、コルトディテクティブスペシャルを
ホルスターから抜くと微笑んだ。

「…コルトか…すげぇ。本物みてぇだな…」

「だからあんたを日本で紹介したかったんだが…。いやなら
引き下がるしかなさそうだな…」

「…待て。いいだろう。取材を受けてやる」

「…感謝する…」


一方。待機中の警官隊。

「…スネークの野郎銃持ってますよ?」

「…何だ…妙だな…どうなっとるんだ?」


カフェ内ではリュウジが写真を撮りつつインタビューをしている。
ベレッタとコルトはそれぞれのホルスターに戻された。

「犯行の動機は?」

「…遊ぶ金欲しさってやつよ!」

「素晴らしい。最もクールな動機第一位だ」


つづく

【エロ】山形先生Part6【オカルト】
259 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 01:04:13 ID:CYqeu7PD0
「マ…マジかよ!?」

「本当だ。二位が『ムシャクシャしてやった』三位が『借金の返済』だ」

「…へへ…」

「名前を聞いていもいいか?」

「トラヴィス。ジャック、トラヴィス」

『須藤。相手が何かいったら適当にクールとかソークールとかグレイトとか
言え。相手をおだてろ』

『…?分かった…』

「ジャック。そうか。ジャックか…マシンガンジャックなんてどうだ?」

「マシンガンジャックか…」

「カッコイイ!偉大!グレイト!」

「よし。だったらマシンガンジャッキーにしよう。ジャッキーチェンのファン
なんだ」

「偉大!カッコイイ!」


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
260 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 01:12:53 ID:CYqeu7PD0
「マシンガンジャッキーか…採用しよう。白昼堂々、世紀の
銀行強盗マシンガンジャッキーなんて見出しはどうだ?」

「いいね。最高だ」

「偉大!偉大!」

「…ところで何だその女は。クールとグレイトしか言わねぇのか?」

「余り英語に詳しくないんだ」

「…まぁいいや。よし。そろそろ充分撮っただろ?そろそろ帰りな。
帰って警部さんに伝えろ。ヘリと金のことをな」

「待ってくれジャック前科はあるのか?」

「当たり前だ。ドラッグで2年。空き巣で2年。あとタクシー強盗で
指名手配中よ」

「指名手配中?指名手配された上に銀行強盗を?」

「そうだ」

「大した男だ」


つづく

【エロ】山形先生Part6【オカルト】
261 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 01:18:51 ID:CYqeu7PD0
「へへ…日本の連中は喜ぶかい?」

「大喜びだ。間違いない。そうだ。聞いてばかりでは悪いな。
警察は全くあんたの情報を知らないらしい」

「なに!?」

「名前も分からないと言っていた」

「指名手配犯の顔を忘れるとはマヌケな連中だぜ」

「全くだ。ではジャックトラヴィスという名前はオフレコにするか?」

「いや新聞には書いてくれ。ただこっちの警察には言うな。まぁ
いずれバレちまうとは思うが…」

「わかった。約束しよう。そうだ最後に一枚だけ写真を撮らせて
くれないか?注文つきなんだが…」

「どんな注文だ?」

「そのイングラムを、ウチのこの記者に向けている写真だ。記者も
人質に取られたという感じで。その方がセンセーショナルだ。日本の
読者も喜ぶ。何せ凶悪であればあるほどクールなんだ」

「…なるほど。いいぜ」


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
262 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 01:23:31 ID:CYqeu7PD0
『…今から奴の人質になれ』

『どういうこと?』

有無を言わさずアリサをリュウジはジャックに引き渡した。


「…警部!スネークの相棒が犯人に…!」

「何となくスネークから引き渡したように見えたが…」

「マズいですよ。包囲した後に人質が増えたとなると我々の
責任に…」

「…くそったれ…」


「こんな感じでいいか?」

ジャックは須藤アリサを床に座らせ、こめかみにイングラムの
銃口を押し当てた。

安全装置は既に外れ、だいぶリラックスしたとはいえ相変わらず
引き金に指はかかっている。

危険な状態といえた。


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
263 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 01:32:00 ID:CYqeu7PD0
アリサはわけが分からず緊張で固まっている。

『…そういう時こそリラックスだ…。身体を固くするな。
いつでも柔軟に対応できるようにしておけ…』

『…だ…だって…』

「おい、撮らねぇのか?」

「ああ。撮るよ。今、撮る。すぐにな…」

ジャックはカメラを向いて得意気に微笑んでいる。

『…須藤。押さえろ…』

リュウジの目が光った。

アリサはまず頭部を後退させ、こめかみと銃口をずらし、
左手で左に立っているジャックのイングラムを持った手の
手首を右へ引き込み、更にそれに右手を添えるとジャック
から見て、時計回り方向へジャックの手首を捻った。


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
264 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 01:40:55 ID:CYqeu7PD0
実際に銃を構えるようにして右手を右方向に伸ばし、まず
腕全体をねじられたように反時計方向に回してみてほしい。

まず最初、右手小指は下にあるはずだ。反時計方向に
ねじると、ぐるりと腕全体がねじれて、二七〇度ほど回転し
小指は左、身体の正面の方までねじれるはずだ。

しかし逆に時計回り方向へねじるとやはり小指は身体
正面に向くが、九〇度程度しかねじることができない。

ジャックも当然そうなった。更にねじり上げられイングラムを
落とす。更に座っている、低い位置にいるアリサに引っ張られ
ているので体勢は低くなり、バランスは崩れる。

当然ジャックはそれに耐え、なおかつ、ひねられた腕を元に
戻そうと反時計回り方向に力を入れる。

アリサはその力を感じると、左手はそのままに、右手の握りを
少し変えて、今度はジャックが力を入れている反時計回り
方向へ力を腕をひねった。

そして更に彼の身体を自身にひきつける。

呆気なくジャックはうつ伏せに倒れ、更に反時計方向にねじられた
手は、自分の力とアリサの力を合計した力でそのまま背後に
固められる。


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
265 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 01:46:39 ID:CYqeu7PD0
単純いえば、無理矢理ひねり、相手がそれを戻そうと
力を入れたら、今度はその力を利用するのだ。相手の
抵抗が強ければ強いほど、相手は強力にねじ伏せられる。
自分自身の力で。

『…いいだろう…』

ジャックはアリサの身体の下でもがいている。


「警部!取り押さえました!」

「…新聞記者に仕事を取られるとはな…仕方ない…突入!」


警官隊が道路を横断して突入してくる。それを見たリュウジは
ベレッタを抜いて、警官隊へ向け威嚇射撃をした。

「うわー撃ってきた!」

「何を考えてるスネーク!退避!退避ー!」

再び警官隊道路反対側へ。

「何だ何だ?」

「スネーク!何やっとるんだ!」


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
266 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 01:51:58 ID:CYqeu7PD0
リュウジはジャックを解放すると、侘びをいれて、
イングラムを返した。

「え…あ…」

「邪魔をしたな」

「あ…いや…」

『帰るぞ』

『え?何なの?』

『俺たちは新聞記者だ。警官じゃない。犯人を押さえるのは
警官の仕事だ。今回は訓練に利用させてもらっただけだ…』

道路の反対側へ渡る。

「おい貴様!何考えてる!チャンスだったんだぞ!」


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
268 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 02:00:15 ID:CYqeu7PD0
「…チャンス…?チャンスを作ったのは俺たちだ。別に
あんたらの為にやったわけじゃない…」

「…呆れた奴だ全く…普通なら逮捕だぞ!」

「普通なら、な…」

「警部、こいつは警官隊に向けて発砲したんですよ!?
何故逮捕しないんです!?」

「…馬鹿野郎!できるわけないだろう!こいつ…スネークは
特別だ。存在自体がイレギュラーなんだ!こいつを逮捕
するなら、百万ドルの保健に入ってからにするんだな」

「…ジョンストン警部。タクシー強盗で指名手配中の犯人を
洗え…」

セブンスターを咥えると、横からそっとアリサの手が伸びて
ジバンシーのライターで火を点けてやる。

リュウジは礼を言うでもなくただ満足そうに微笑んだ。

アリサはその横顔を見るのが堪らなく好きだった。


  終
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
269 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 02:01:55 ID:CYqeu7PD0
なんだこりゃ。全く中2って設定無視してるな…。。(笑)
完全に大人の世界だわw

合いの手ありがとうございました^^
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
270 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 02:18:49 ID:CYqeu7PD0
あ…今回150話目ですね…。

なんかわけのわからん話になってしまいましたが
いずれにせよここまできました。

ひとえに読者の皆さんのおかげと申しますか何と
申しますか…。

とにかく御礼申し上げます。ありがとうございました。
頑張って書きますので今後とも何卒ごひいきに
願います。m(__)m
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
272 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 23:22:08 ID:CYqeu7PD0
>>271
最初は気になったけど、最近気にならなくなってきた(笑)
>合いの手とか感想の数

タイミングの問題もあるかも…。最近ちょっと忙しくて
中途半端な時間に書いてるから…。大体夕食終わって
お風呂までの間が山形タイムなのね(笑)

あとさー、これこないだやっぱり読んでくれてる人間に
直接言われたんだけど、感想にいちいちレスをするの。
あれ考えた方がいいって。

逆に気を使う人だと、感想書きにくいんじゃないかと(笑)
いちいち反応するから。俺が。やめるつもりはないが。

ライブの後しばらく経ってから書きこまれた感想とかに
ついてはレスつけられないこと多いんだけど…。
今2ちゃんねるって山形関連にしか使ってないから、書く
直前に専ブラたちあげるんだけどその時は集中力も
緊張度も↑↑だからレスする余裕がなくて…申し訳ない
と思いつつ…。緊張感だけはなくならないなぁ。。

話が逸れた。まあそんな感じなんで。心配なさらないで
おくんなさい。ただやっぱり読んでくれてる人がいるなと
いう目安にはしているので、目星としては、3回連続合いの
手、感想なしという状況になったら引き際かなぁと。そんな
ふうに考えているですよ。はい。

気使わせて申し訳ないね。ありがとう。
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
273 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 23:38:24 ID:CYqeu7PD0
さてここらでおめでたい話でも書くか。

霧原トオルは一人、寒い夜道を歩いていた。どうも寝つきが悪く、
きっと家で一日ごろごろしていたせいだと思う。


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
274 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 23:47:23 ID:CYqeu7PD0
身体を少し疲れさせれば眠くもなるだろうとぶらりと外へ
出てきた。

普段そのような習慣はない。全くのたまたまである。

川へ出て、川沿いの遊歩道を歩く。じきに日付が変わると
いうのに、ジョギングをする人や、犬の散歩をする人など
割りとひと気があった。

トオルは何となく安心して、白い息をぽかぽかと出しながら
明るく照らされた道を行く。

恋人である木下サエとは初詣に出た。それきりだ。相手は
一応受験生で邪魔をするわけにもいかない。

好きなテレビゲームも余りめぼしいタイトルがなく、結局
新作を購入してもいなかった。

無闇やたらに無駄遣いするタイプでもない。両親がそうしつけ
たのか、通常の経済観念も持ち合わせている。確かに金は
ある。金はあるがそれはあくまで親が稼いだもので、更には
その金を稼ぎ出すために自分は寂しい思いをした。

食べる物、着る物、持ち物。贅沢な一面も否めないが、余り
金が好きではないというのもまた事実だった。


つづく
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
275 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/12/08(金) 23:55:28 ID:CYqeu7PD0
退屈な冬休みは過ぎて行く。両親は結局一日も帰っては
来なかった。

「あのぉ、すいません…」

「…?」

見れば遊歩道に一定間隔で設置された休憩用のベンチに
余り身なりがいいとはいえない老人が一人で腰かけていた。

「…はい…なんですか…?」

「…今は何日ですかな?」

「今日ですか?七日ですけど…」

老人に伝えながら、改めてもう七日かと思う。明後日にはもう
始業式だ。冬休みは短い。ただそろそろ何もしない休みにも
退屈していた。

老人は大きく溜息をついた。

「一月の、七日ですな…」

「…はい。一月七日です」

「また…間に合わなんだ…」


つづく


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