- 【エロ】山形先生Part6【オカルト】
34 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 17:33:28 ID:b5HfX89Q0 - どうもまとめサイトのページを増やす権限は管理人権限の
ようですので、自分で設定資料分を作ってしまいました。 見ても面白くないですが一応。膨大なテキスト量ですがよく 読むと裏設定などがたまに書いてあるです。 マニアな人はどぞ。 ttp://www21.atwiki.jp/karukozaka/pages/1.html 基本的に、私がシリーズを書く際に後で矛盾などが起きないように 書いているものなので、設定資料というより備忘録に近いです。よって どんどん書き足されていきます。 よって作っておいてなんですがまとめさん、>>14 にあるページは 削除して頂いて結構です。 現在あるページも元の状態に戻しておくです。
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35 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 21:03:45 ID:b5HfX89Q0 - だめだ…自由に書けるのはいいが、改めて読むと
全く面白くない…。 言い訳します。鬱期に入っています。今ドン底です(苦笑) しばらく面白くない話が続くかもしれないけど許して。 そのうち治りますので…。酒でも飲みに行きたいけど相手も金も ないのです。 文学賞の方は既にアラガキができているので、あとは色々と 引き伸ばす…というのも変ですが、それだけの作業なので楽なの ですが、新しい話を作る、というパワーが出ません。 ケロッグ食べてもトニーは力をくれません。結構ちゃんと書いた つもりだったので見返してつまらないと更に凹みます。 励まさないでね。頑張ってね、は禁句です…はぁ…。肌もかさかさ。
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36 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 21:35:13 ID:b5HfX89Q0 - さてここらで怖い話でもするか。
サヨリは一人退屈していた。薄汚れたレースのカーテンを開くと、 薄いガラス窓が冬の寒さに曇っている。 つづく
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37 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 21:46:09 ID:b5HfX89Q0 - 彼女は窓に指で絵を描いた。丸い何かだった。
そして彼女はその下に、 『ドラえもん』 と書いた。全くそうは見えない。窓のつゆが雫となって、 丸い何かはたちまちとろける。 手のひらで窓を拭いて、はあと息を吹きかけるが彼女の 冷たい息では窓は再び結露することがなかった。 バッハが流れている。彼女の部屋は通りに面しているので、 道行く人から丸見えである。 つゆが払われて、透けた窓からは、重だるい曇天が見えた。 今もし道を行く人がいれば幸いだろうか。彼女の裸体を見る ことができる。ただその裸体にはおびただしい無残な傷の跡が あるが。 そっとカーテンを閉めると、冷たい床に寝転がり天井を見る。 あくびさえ出なかった。 つづく
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38 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 21:51:34 ID:b5HfX89Q0 - 雪野カエデはまだ新しい携帯電話で木下サエに電話を
していた。 「もしもし。カエデですけど」 「あー雪野…。どしたの?」 「あの、霧原先輩に電話してもいいですか?」 「は?」 「霧原先輩に電話したいんです」 「…すれば?」 「い、いいんですか?」 「いいけど…」 「しちゃいますよ?」 「…いいけど…何であたしに電話すんの?」 「彼女さんに許可取らないと…」 散々笑われて、許可をもらった。 つづく
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39 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 21:56:58 ID:b5HfX89Q0 - 「もしもし、カエデです」
「…俺だけど…?」 「暇ですか?」 「…うん。特に…」 「夜空いてますか?」 「空いてるよ?」 「そうですか…」 「…何?」 「お化け見に行きませんか?」 「あ…うん…」 何となく会話がおかしいのは二人が電話慣れしていないせいだ。 いつもなら、カエデは立て板に水なのだが、電話は妙に緊張する。 トオルもトオルで電話は苦手だったし、カエデと電話で話をするのは 初めてのことだった。 とりあえず、夜、待ち合わせることにした。 つづく
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40 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 22:02:25 ID:b5HfX89Q0 - 夕方になって雨が降り始める。
カエデは家に来ると言っていたが来るだろうか。 雪にはならないそうだが、しとしとと冷たい雨が 静かに降っていた。 ドアのチャイムが鳴る。 カメラ付きなので、カエデだということは見れば 分かる。 やはり来たか…。少しトオルは面倒だった。ただで さえ寒いのにこの雨の中出かけるのは億劫だ。 そもそもどこに連れて行かれるのか、彼はまだ知らない。 余り待たせては悪いとトオルは急いでジャンパーを羽織ると 鍵と財布を持って表へ出た。 「お待たせ…。あれ…歩き?」 「はい。近所なんです」 「いやそれは知ってるけど…」 「知ってるんですか?」 「え、あ、ごめん。何が?」 つづく
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41 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 22:07:13 ID:b5HfX89Q0 - カエデが言った、近所、というのは心霊スポットのことだ。
それをトオルは彼女の自宅が自分の家と近所なのかと 聞き間違えた。 二人で話すといつもこの調子で、かみ合わない。 「…二人で行くの?」 「須藤先輩は田舎に行っちゃったみたいで。サヨリさんは 今から誘いに行きます」 「あ、そっか…」 サヨリは家に電話もなければ携帯電話も持っていない。 連絡をつけるには直接彼女のアパートに行かなくては ならないが彼女は大概いつもそこにいる。 まず出かけているということはなかった。 彼女のアパートにはチャイムがあるが、昔ながらの電池式の もので、電池は切れっぱなしで鳴らない。 遠慮がちにノックをすると、 「どちら?」 と中から声がした。 つづく
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42 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 22:12:47 ID:b5HfX89Q0 - 「あ…カエデですぅ」
「…」 返事がない。 「…雪野ですけど…」 木製のドアがほんの少し開いた。そこから大きく見開かれた 真紅の瞳が覗いている。 少し低い位置にそるがあったので、カエデは身体をかしげて 目を合わせた。 「…本物か…」 やっとドアが開いた。どうじにカエデが玄関に入ってくる。トオルも 続いた。 「ちょっと…入るの?」 「寒いんです。外」 「冬って寒いのよ?」 「知ってますよ」 つづく
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44 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 22:20:34 ID:b5HfX89Q0 - アパートの際に街路灯が立っていて、その光が差し込むので
サヨリの部屋は夜でも暗闇にはなることはない。 ラジカセとベッド。それだけの部屋。サヨリは毛布に身を包んでいた。 寒いからではない。裸を見られたくないからだ。 「学校の近所にコンビニあるじゃないですか」 「セブンイレブン?」 「そうです。その前に公園がありますよね?」 「あぁ。あるね…」 一度トオルは身震いした。この部屋は寒い。部屋に入ってもジャンパーを 脱げない。 「そこに出るんです。必ず。雨の晩に…」 「…だから今日なの?」 「そうです。雨が降ってないと、出ないんです」 「…そんな話聞いたことないけど…」 「最新情報ですよ」 つづく
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45 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 22:25:41 ID:b5HfX89Q0 - 「最新って…」
トオルは思った。確かに悲惨な事件な事故、とにかく人が亡くなれば そこに霊が現れるということは考えられる。人は日々亡くなっているの だから、ある日突然今まで何でもなかった場所が心霊スポットになる ことはあるだろう。 しかし逆に考えれば、原因となる人の死がなければそこに霊は 現れないのではないか。最新の、ということは最近そこで誰かが 死んだということだ。 しかし、学校近くのセブンイレブン向かいの公園。毎日のように通るし、 その付近に住んでいる友人もいる。 何かあればただちに情報が入るはずだ。 今のところ、あの公園で誰かが亡くなったとかいう話は聞かない。 「あの公園って何かあったの?」 「それが分からないんです」 「急に出るものなのかな…」 「実際見てる人がたくさんいるんですよ!」 つづく
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46 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 22:34:02 ID:b5HfX89Q0 - 条件は雨の晩だという。
その公園は砂場とベンチしかない。元は幼稚園だか保育園の跡地 だという話だ。 ただコンビニエンスストアの正面という立地から、よく軽子沢中学生徒が 帰りに立ち寄る。コンビニエンスストアで飲み物の一つでも買って、その 公園でたむろするわけだ。 ただ深夜になると今度はもう少し大人でもう少し物騒な連中の溜まり場と なる。 そんな公園に、コートの女が立つのだと言う。その公園の端には一本だけ 大きな桜の木があるのだが、その下に現れるらしい。 雨なのに傘も差さず、じっとうつむいて、雨に打たれるままになっている そうだ。 「ね、ね?不気味じゃないですか!?」 かなりカエデは興奮している。しかし実際にいれば不気味だろう。元々が 公園として整備されているわけではないので照明の一つもない。 暗くコンビニエンスストアの正面とはいえ、生垣があって、コンビニエンスストア からは公園は覗けない。 つづく
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47 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 22:40:47 ID:b5HfX89Q0 - この部屋と同じように、やはり町の灯りに妖しく浮かぶ
公園なのだ。 そこに雨の夜、一人で女が雨に打たれている。 生きている人間だとは考えられないか。例えば少し精神を 病んでいるような。 「…でも雨の日だけ、なんですよ…?」 女はいつの間にか現れて、夜が明ける頃にはいなくなっている。 不思議なのは誰もその女が公園に入って行くところも見なければ、 出て行くところも見ていないのだ。 「…へぇ…」 とにかく余り遅くならないうちに行ってみようということになった。 「…着替えるから、少し外で待っていて…」 玄関まで二人を送り出すとき、羽織っていた毛布の裾から白く長い 彼女の生足が覗いた。 トオルはあろうことか、その足に激しい興奮を覚え、しばらくまぶたに にゅうと伸びた青白い妖艶な足が焼きついていた。 つづく
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48 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 22:46:24 ID:b5HfX89Q0 - 「…霧原先輩大丈夫ですか…?」
「え!」 「わあ…急に大きい声出さないで下さいよ…」 「あ…ごめん…」 「お待たせ」 「…制服ですか…」 「持ってないもん。服」 彼女は制服か白い着物しか持っていない。その白い着物の 出所も不明だが、あれを着ているサヨリこそ雪女か何か、 日本のオールドタイプの幽霊に見える。 一度須藤アリサが見かねて服を上げようとしたが、どうもセンスが 合わないらしく断っていた。 サイズ的には岡崎リョウコの服も着れるのだが、何せあのゴージャスな 服はリョウコにしか似合わない。 影で一人パリコレと言われているが、あれはあれで美しかった。 つづく
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49 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 22:57:44 ID:b5HfX89Q0 - サエの服では大きすぎ、アヤかカエデの服ではやや小さい。
何より、実際に一番何が似合うかといえば、やはり白い着物 なのである。 しかし草壁アヤいわく、案外ゴスロリが似合うかもしれない そうだ。 いずれにしても、時代がかった服装が似合うということなのだろうか。 「傘、いらないんですか?」 「入れてよ」 「…」 普通、傘は自分の頭のすぐ上を覆うように差す。しかしカエデとサヨリの 身長差は約二十センチ。カエデは少し高めに傘を差さなければならなく なった。 サヨリは傘を持ってやった。それもかなりカエデに有利な持ち方で、カエデは 全く濡れなかったがサヨリの肩は雨に晒されていた。カエデはそのサヨリの 気遣いに気付くことはなく、むしろ何でこの人は傘を持ってこないのだと半ば 呆れていた。 何のことはない。サヨリは傘を持っていないのだ。雨の日、通学、帰宅する際は 適当に死角に潜り込みかってに人の傘から傘へ渡り歩いて帰っている。 それでもかなり濡れたが、彼女は濡れることは嫌いではなく、むしろ好きだった。 ただ濡れると次の日着て行く制服がなくなることが問題だった。 つづく
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51 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 23:05:22 ID:b5HfX89Q0 - だから今日のように長期休暇の際には別に濡れることなど
どうでもいいのだ。 何となく三人携帯電話の話で盛り上がる。 カエデの携帯電話は買ってもらったばかりで、さすが、トオルの それよりも新しい型だった。 二人、あれが使いづらいだのこれが使いづらいだの、色々と 言っているのをカエデは羨ましそうではあるがどこか二人の 保護者のような目で見ていた。 コンビニエンスストアについた。まずはということで、トオルが肉まんと 暖かいお茶を三人分買ってきた。 「これ…」 「くれるんですか?ありがとうございます!」 カエデは素直でいい。問題はもう一人だ。妙に気位が高い。くれとも 言わないし、食べるか、と聞いても恐らくいらないと答える。 余ったので食べて下さいぐらいの態度で臨まなければ、彼女は 受け取らない。そして受け取っても特に礼を言うわけでもない。 だからトオルは無言で渡し、サヨリも無言で受け取った。 つづく
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53 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 23:14:17 ID:b5HfX89Q0 - 見上げると、コンビニエンスストアの間口の幅だけある
看板がちょうどひさしのようにわずかばかり飛び出していて、 窓に張り付くようにしていれば濡れないようだ。 とりあえずサヨリは肉まんを頭の上に乗せた。 「熱い!」 二人は驚く。初めてサヨリの大声を聞いた。頭に肉まんを 乗せていたらだんだんと熱が頭皮に伝わり、耐えられない ほど熱くなったらしい。 何故頭皮と言うのは急に熱くなるのだろう。ドライヤーで頭を 乾かしている時もそうだ。ドライヤーを動かさずそこばかり しばらく当てていると突然神経のスイッチが入ったかのように 熱くなる。 それと同じだ。 サヨリは相当恥ずかしかったのだろう。端までとことこと歩いて いって、こちらに背を向けて肉まんを食べていた。 カエデは可愛いところもあるんだなと思った。サヨリのその姿を 見れただけも今日雨の日にわざわざ出かけてきた甲斐がある。 トオルは、先の生足も含めてそんなサヨリに少し萌えていた。 つづく
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54 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 23:21:29 ID:b5HfX89Q0 - 「あの…そろそろ公園、見に行きませんか?」
「ふん!行こうと言うなら行かんでもないわ!」 照れ隠しなのか様子がかなりおかしい。二人は敢えて さっきのことには触れないことにした。話し合ったわけ ではない。場の空気がそうさせた。 トオルは右手が使いたくて使いたくて仕方なかった。 しかし右手は直接相手の肌に触れなくてはならない。 服の上からでは駄目なのだ。 サヨリの露出している箇所は手首から先と顔だけ。触れる はずもなかった。 彼女も人なりに恥ずかしいとか思うことがあるのだろうか。 いつも好き勝手振舞っているようにみえるが。 トオルの興味は尽きなかった。 三人は道路を渡り向かいの公園へ。道路を渡るといっても そう広い道路ではない。 「…」 入り口からそっと覗くと、ほとんど暗闇で何も見えない。 つづく
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55 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 23:26:34 ID:b5HfX89Q0 - しばらくコンビニエンスストアの前にいたので明るさに
目が慣れてしまったようだ。 正面にあるベンチは見える。 ただ問題の桜の木は更に奥の反対側である。 公園に少し入った暗がりで三人は暗さに目をまず 慣れさせることにした。ただ人の気配はない。 誰の喋る音も聞こえなければ、誰かが歩く音もしない。 ただノイズのように、さあと細かい雨が降っていた。 「…誰もいない…視線も感じない」 サヨリの視線を感じる能力は闇の中でも、自分が目を つぶっていても有効だ。 「…幽霊に視線ってあるんですか…?」 「…さぁ…?」 大きな枝ばかりになった桜の木のシルエットが見えた。 そして、その下には確かに不自然な影があった。 つづく
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56 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 23:33:39 ID:b5HfX89Q0 - 『…え…なんか見えますよね…?』
『…いる…』 『うん…分からないけど…何か、ある…』 カエデは全身の肌がこわばり、ざらざらと総毛立つのを感じた。 寒いのか恐怖なのか、彼女は小さい手を握り締めると桜の木へ 向かう。傘はサヨリが持っていた。傘から外れて、細い雨に頬を 叩かれる。それは冷たく、痛かった。 『…おい…』 慌ててトオルが彼女の頭の上に傘を差しかけた。 何かに憑かれたようにカエデは桜の木へ歩いて行く。トオルは 何の覚悟もできていなかったが、ついていくしかない。 振り向くと、闇の中でサヨリの瞳だけが爛々と輝いていた。彼女は 動けないのか、動かないのか、そのまま固まっている。 『…おい、もう見たんだから…』 『…もっと近くで…』 つづく
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58 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 23:39:24 ID:b5HfX89Q0 - 完全に人だということはもう分かる。確かにコートを着た女だ。
うなだれているというより、じっと正面、桜の木を見ている感じだ。 微動だにしない。コートはすっかり濡れて、裾から水が垂れ落ちて いる様子まで見える。 『行こう…もう行こう…』 『…』 近い。もし今その女が突然こちらに向いて襲ってきたら逃げられ ないほどの距離だ。 長身だ。恐らく木下サエより大きいかも知れない。百七十五センチは ありそうだ。 しかし幽霊とはこれほどはっきり見えるものなのか、完全にそこに 存在している。透けているとか、そういった部分もない。 カエデがゆっくりと手を伸ばした。トオルももうなるようにしかならないと 諦めている。 女の肩にカエデの手がかかった。 つづく
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59 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 23:44:39 ID:b5HfX89Q0 - 反射的にカエデは手を引いた。
「硬い…!」 「…!」 しかし女は動かない。見えているし、触れられる。 幽霊なのか。 コートの袖から見える白い手を認めると、トオルは 手袋を取ってその手をつかんだ。カエデもその行動の 意味を知っている。 「…ぅわあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 硬い。そして冷たく何より、全く何も感じなかった。しりもちを つきそうになりながらトオルは何とかこらえた。 「どうしたんですか!?」 「わ…分からない…死んでる…死んでる…」 カエデは濡れるのも構わず女の正面へ回った。つまりは桜の木と 女のわずかな間に入り込んだのだ。 女の顔はつるんとしていて、目鼻がなかった。 「のっぺらぼー!!」 つづく
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60 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 23:49:57 ID:b5HfX89Q0 - 恐怖の余りだろうか、自分から入り込んでおいて、
カエデは女を突き飛ばした。 女はごろりと音を立てて倒れて、頭がもげた。 「バラバラ殺人!」 のっぺらぼうが殺害された。しかもバラバラ殺人。あり得ない。 逃げ出そうとするカエデの手をトオルの左手がつかんだ。 「キャーっ!離して下さい!もう限界ですぅっ!」 「待って!待って!見て!」 女は妙な形で倒れている。不自然だ。しかも倒れた際に相当な 音を立てた。 「…え?…え?」 「…人形だよこれ…。マネキン人形…」 「マネ…キン…」 「ほら、よく見てみなよ」 確かにそれはコートを着せたマネキン人形だった。目鼻がない、 つるりとした顔のものだ。 つづく
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61 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/28(火) 23:55:12 ID:b5HfX89Q0 - 「あ…は…あはは…本当だ…」
力が抜けて恐ろしいのだが馬鹿馬鹿しいのだか分からなくなった。 「何だよ…あー怖かった…」 「すごい怖かったです…」 しかし二人の中でほぼ同時にある疑問が浮かんだ。 「…霧原先輩…」 「うん…」 不思議なことが一つある。マネキンではあるが、昼間にあればたちまち それがマネキンであることはばれてしまう。つまり誰かが晩に置いて、 朝には回収しているのだ。 つづく
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