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Lady メリー ◆MERRY.VeEM
メリーさんを追う者
本当にあった怖い名無し
私メリーさん【五人目の犠牲者】
サイレントヒルのような世界6

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私メリーさん【五人目の犠牲者】
462 :Lady メリー ◆MERRY.VeEM [sage]:2006/11/06(月) 02:21:46 ID:t87cw/qF0
>>461 ・・・ハッ! ようやくレスが!
ありがとうございます、 反応ないんで、泣きながら少年とレッスルのやりとり作ってました。
そっちはまた次の日、うpするとして、
今日の分、遅くなりましたけど、投下します。

また、明日、読んでくださいねぇ。
私メリーさん【五人目の犠牲者】
463 :メリーさんを追う者[sage]:2006/11/06(月) 02:24:11 ID:t87cw/qF0
 その時、一瞬とはいえ、確実に体育館の時間は凍っていた。
誰もが、圧倒的な威圧感を持つ、そのアラベスク文様の鎌から目を離す事が出来なかった・・・!
 ・・・この鎌がここにあると言う事は、
 お人形になってしまったママがそこにいるということ・・・!?
 でもどうしてこの「死神の鎌」だけが・・・?
 やはり、現在のメリーでは戦うだけのエネルギーが溜まっていないと言うの?
 ・・・きっとあたし達を助けるための、出来うる限りの行動がコレ・・・?
 でもどうしてっ!?
 この「鎌」を誰に使わせるつもりなの、ママ!?
 あたし?
 絵美里ちゃん? 麻里ちゃん?
 確かにこの鎌の攻撃力なら、ヤギ声の男なんか一たまりもないよっ、
 リーチもその攻撃方法も、きっとコイツには対応できないよ。
 でも、あたしはすでにふらふらだよ!?
 せっかく人間に戻ろうとしている絵美里ちゃんたちに、今更これを見せてどうするの!?
 ・・・そして何よりも・・・
 この「死神の鎌」は・・・普通の人間には持てないんでしょ!?
その地にある負のエネルギーを吸収して力に変える「死神の鎌」の恐ろしい特性は、
感情や心のある人間の精神を破壊してしまう・・・!
 二人分の精神力を持つ絵美里ちゃんたちなら?
 感情がないはずのリーリトの力を持つあたしなら?
 ・・・ダメに決まってる! 
そんな事ぐらいで、この見ているだけで力を奪われそうになる鎌の魔力から逃れられる筈はない!
 ・・・リーリトにだって感情はある・・・、特にパパの子供でもあるあたしには・・・!
 でも・・・でも、もしリーリトになりきるなら!?
 人間の因子を捨て、感情を捨て、男の人を愛する事もなく、
 命を永らえ、禁じられた能力を手に入れようとするのなら?
 ママはあたしにそれを選べって言うの?
 あたしに・・・ママができなかったそれを選べって言うのっ!?
 お願い! 答えてよママっ!!
私メリーさん【五人目の犠牲者】
464 :メリーさんを追う者[sage]:2006/11/06(月) 02:25:29 ID:t87cw/qF0
 ・・・そして絵美里たちにも、この鎌の耐え難い誘惑から逃れられるはずもなかった・・・。
150年の長きに亘って使い続けてきた愛用の武具・・・。
それは彼女たちのカラダの一部とさえ言って差し支えない・・・。
・・・これさえあれば全て解決する!
肉体は昔のカラダでないものの、その重み・・・感触・・・敵を切り裂いた時の手ごたえ・・・、
全てが昨日の事の様に生々しく思い出される。
今や、絵美里は、
かつて熱い恋に落ちた恋人が帰ってきたかのように、
地面を這いつくばりながら必死にその手を伸ばそうとする。
 ・・・心が壊れる?
 それが何だというの?
 そんなものは昔もなかったじゃない!
 いま、あたしたちがすることは、麻衣ちゃんを守ること!
 あたしたちにぬくもりをくれた・・・
 あの・・・永遠に拡がる何もない白い世界から・・・
 何も変わらない・・・何も起きない無限の時間が流れる虚ろの世界から助けてくれたのは麻衣ちゃん・・・、
 それにパパさん・・・!
 百合子ママがいなくなって寂しいはずなのに、
 愛しい人のカラダを・・・あたしたちが占拠してしまったのに、
 二人は一度もあたしたちに、つらい言葉をかけなかった・・・!
 ・・・それどころか
 本当の家族のように・・・

 ”マリー! ・・・引き返せないかもしれないけど・・・”
 ”ええ、エミリー! その先は言わないで! あたしたちはどこまでも一緒よ!”

今や、絵美里と麻衣は、磁石に吸い寄せられたかのように、
自分こそ先にと競って「死神の鎌」を掴もうとその手を伸ばす!
そして片方の手がその柄を掴もうとした時・・・

   ・・・こぉーら、お嬢ちゃんたち? それに触れてはいかんぞぅ・・・
私メリーさん【五人目の犠牲者】
465 :メリーさんを追う者[sage]:2006/11/06(月) 02:26:56 ID:t87cw/qF0
 ・・・
 ・・・今の声は!?
それは彼女たちの頭に直接響く声だった・・・。
麻衣にとってはさして珍しい現象でもなかったが、
それができるのは、同じリーリトであるおばあちゃんと百合子ママだけ・・・。
それ以外の人間の声など、不意に聞こえるはずなどない・・・。
・・・だが、今の声は・・・聞き覚えのある・・・懐かしい・・・、
そう、麻里や絵美里にとっても、絶対に間違うはずもないあの温かいお爺さんの声・・・!
 レ ッ ス ル お 爺 ち ゃ ん !!
でもいったいどこから!?
彼女たちは、まるで憑き物が落ちたかのように、「死神の鎌」を掴む直前でその行動を止めていた。
だが、改めて現状を確認するに、絶体絶命の事態は何も変わっていない。
ヤギ声の男も再び行動を開始し始めた。すでに充血しきったこの男の眼球には絵美里しか映っていない。
 「ンエエエエエ! リジー・ボーデン トゥック アン アックス!
 斧を手にしてお父様を
 なんと40回も滅多打ち!
 自分の犯した恐ろしさに
 我に返ったリジー・ボーデン!
 今度はお母様を41回滅多打ち!!」
・・・男はマザーグースの一節を歌う、 ・・・まるでその詩をなぞらえるかのように!
もはや絵美里も麻衣も、その視界には凶悪な姿の男しか映っていない。
その為、男が腕を振り上げた時、床に突き刺さった鎌を掴む、太い腕に気づく者は誰もいなかった・・・。

・・・暗い体育館に黒い光が煌めいた・・・
 「ンエエエエエッ!?」
その光は麻衣にも絵美里にも見えたが、何が起きたか分らない、
突然、ネットグルグル巻きの男の腕から大量の血が噴出したのだ!?
 なんで!?
何が起きたか確かめるために、絵美里が顔を起こしたとき、
そこには長い四肢を持つ、身の丈二メートルもあるのでは? 
と、思えるほどの、粗く長い髪を有した大きな男が、「死神の鎌」を手にしてそこに立っていた・・・!
私メリーさん【五人目の犠牲者】
466 :メリーさんを追う者[sage]:2006/11/06(月) 02:30:36 ID:t87cw/qF0
 一方、ここは学校の屋上・・・、
屋上には二メートルのほどのフェンスがあるが、
そのフェンスの上に一人の少年が座って眼下の体育館を見下ろしていた・・・。

 「・・・フーン、あのメリーとかいう人形が来るかと思って、
 外からは誰でも入れるようにしといたけど・・・、
 まさか『アイツ』直々においでになるとはね?」

・・・そして、そのフェンスの下には、ワイシャツ姿の外人が立っている・・・。
スティーブ・・・。
 「あ、あの、天使サマ、エミリーさん、マリーさん? ・・・は無事なのでショウか?」
スティーブの質問に、少年は子供っぽく首を傾ける。
 「・・・ああ、安心していいんじゃないかな?
 まだ覚醒してないようだけど、あの『男』にまともにぶつかって勝てる人間なんかそうそういないよ、
 そろそろケリ着くんじゃない?」
 「オー、それは良かったです、私は使命を果たし、みんな助かる・・・、これで肩の荷が下りマシタ。」
 「はは、ご苦労さんだね、君には、彼女を誘い出してもらったり、
 お水の女の子に近づいてもらったり、いろいろやってもらったもんね?」
 「勿体ナイお言葉です・・・それで大いなる計画の方は・・・。」
 「ああ、支障はないよ、・・・もっとも僕は監視するのが役目だから?
 決定は上の方で決めるんだろうけどね・・・。」
 「おお、恐ろシイ・・・、
 果たして約束された地へ辿り着けるのはいったい、どれぐらいの人々なのでショウか?」
 「スティーブ・・・それは君たち次第だよ・・・、
 僕ら天使の側につくか・・・、それとも一万年前と同じように・・・『あの男』と同じ道を選ぶのか・・・。」
 「私、頑張りマース、一人でも多くの迷える子羊を救えるように・・・、エミリーさんもメリーさんも・・・!」
 「ああ、そうだね、今後もよろしく頼むよ・・・。」
そして少年は再び視線を体育館に向ける・・・。
 「さて、とりあえずは一件落着・・・かな? だが、メリーどうする?
 今後も同じことが起きないとは限らない・・・、相手は既に死んでるんだ、メリー、君は死人と戦えるかい?
 ・・・全く人間の心ってヤツは・・・ホント厄介な『贈り物』だよ、・・・ねぇ、ヴォーダン・・・。」
私メリーさん【五人目の犠牲者】
467 :Lady メリー ◆MERRY.VeEM []:2006/11/06(月) 02:36:58 ID:t87cw/qF0
☆ ではここまでで・・・。
ヤギ男はあと一日分でケリつくかと思うんですが、明日はレッスルを先にうpしますね。

あと、スティーブが人のオーラを見えたり、エミリーたちの携帯番号知ってたりしたのは、
こういったわけであるとご了解下さいね。

そしてさらに、今回、マザーグース関連調べてて、
どっかの人が書いた絵があったんでリンク貼っときます。
http://www8.ocn.ne.jp/~kaneyo/lizzie01.html
リジー・ボーデンだそうです。
サイレントヒルのような世界6
231 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/11/06(月) 20:40:59 ID:t87cw/qF0
ききききんぐだむ♪

・・・どっぎゃーん!!

オリジナルの方、主演男優さん死んじゃって製作中止になっちゃったんだよねぇ〜、
皿洗いのメガネのカップル好きだったのに・・・。

私メリーさん【五人目の犠牲者】
470 :Lady メリー ◆MERRY.VeEM [sage]:2006/11/06(月) 20:53:41 ID:t87cw/qF0
>>469 わーい、ここにも読者の方が。うれしい!!

でももうじき物語りは終わりですよー、
あと、いくつかのエピソードで・・・。
まずはフランスからぁ。

それにしても、また余計な伏線張っちまった・・・>>466
そんな余裕も予定もないのに・・・。

私メリーさん【五人目の犠牲者】
471 :Lady メリー ◆MERRY.VeEM [sage]:2006/11/06(月) 20:59:53 ID:t87cw/qF0
 さて、話は佳境ではあるけども、ここで時間を一年ほど過去に遡ってみたい・・・、
場所はフランスの貧民街・・・。
夢を持ってフランスに移民したはいいけれど、外国人に対する差別はこの国も例外ではなく、
とくにアフリカ出身者、イスラム教徒はなかなか職にもつけずに、
吹き溜まりのようなこの町で、その日限りの暮らしをしている者が殆どだ。
若者は犯罪や暴力を繰り返し、五体満足でないものや年寄りは、人目を避けるように、
ゴミ拾いをしたり、レストランの勝手口から残飯を漁る・・・。
どこの国でも大差はない。
ここにも一人・・・。
空は厚い雲に覆われたグレーの町並み・・・。
わずかなチーズと瓶底に残ったワインを手に入れた高齢の浮浪者は、道端のベンチで横になり、
ある意味、幸せそうに口を動かしていた。
服はボロボロだが、何枚も重ねてあまり寒そうには見えない。
ベンチの下には愛用の杖が転がっている・・・。
もともとこの辺りで商売してる者などほとんどなく、低所得者や無職のものが安アパートに住んでたり、
勝手に住み着いてたり・・・。
故に人通りなんて滅多にあるものではない、・・・歩いてたとしてもろくなヤツではない。
ちょうど、ベンチで横になってた片目の浮浪者は、ワインの瓶を逆さまにして、
口の中に滴り落ちる最後のワインを愉しんでいた。
すると彼は、通りの向こうから静かにやってくる、この街にはそぐわない格好の少年に気づいた・・・。
年のころは15、6・・・。
性別に関係なく着れるような、ダークグレーのロングカーデを白いシャツの上に羽織った小奇麗な少年。
よく見れば男性だと判断できるが、小柄な体格と端正な風貌は女性と見間違っても不思議はない。
・・・ここにくるまでよく無事でいられたものだ・・・いろんな意味で。
少年は首を傾けることもなく、真っ直ぐと老人の横たわっているベンチに近づいてくる・・・、無表情のまま。
すでに老人の顔と視線は、近づいてくる少年に固定されていた。
ピクリとも動かない・・・。
そして少年が眼前で足を止める頃には、その眼球だけを移動させ、少年をじっと見据えていたのである。
先に口を開いたのは老人だ・・・。
 「フン・・・お早い『お目覚め』じゃの・・・、もっとそのカラダでゆっくり眠っていればいいものを・・・。」
私メリーさん【五人目の犠牲者】
472 :メリーさんを追う者[sage]:2006/11/06(月) 21:01:26 ID:t87cw/qF0
 そこで初めて少年は涼しく笑った。
 「・・・できればそうしたかったんだけどね、
 ここのところ、君の周辺がにわかに慌ただしくなってるみたいだしね、
 それに・・・ようやく『誰が彼の新しい肉体なのか』判別がついたところさ・・・。」
少年の意味深なセリフにも老人は動ぜず、
掲げたワインの瓶を振って未練がましくワインを味わおうとする。
・・・もう落ちてこない。
ついに残念そうに諦めた老人は、瓶を地面に置いて、半身を起こしベンチの上に普通に座った。
 「そうかね? それでお前さんはその人間のカラダを使って何かするつもりなのかね?」
 「いいや、僕の使命は『地上の魔』を監視することだけ・・・、
 君や人間達が古の契約を犯さない限り、地上の人間達の間に溶け込んでるつもりさ。」
 「フン・・・! まさしく天地ほどの開きのある者達が結んだ一方的な契約か・・・、
 モノは言いようじゃの・・・?」
 「それも君が望んだことだろう? いや、君というより、君の本体すなわち『彼』がさ・・・、
 それに僕たちから見れば、君や人間達の方が余程脅威さ・・・。
 本来、一万年以上前に絶滅するはずだった人間がなぜ、これほど繁栄しているのか?
 大地の奥底に幽閉したはずの彼が、分身とは言え何故地上に出現できるのか?
 ・・・手玉に取られているのは、実は僕たちじゃないのかい?」
 「・・・天使と言うものはしばらく見ない間に随分殊勝になったもんじゃのう?
 それとも、人間のカラダに潜んでおるうちに、考えが変わっていくものかな?
 なぁーに、お前さんがたの天空での権勢は揺ぎ無いものじゃよ、
 わしの本体が何を考えてるが知らんが・・・、もう少し人間のカラダを楽しむといい。」
 「あいにく、僕は君や人間達を過小評価も過大評価もするつもりはない、
 人間に何が出来るのか、出来ないものはなんなのか、
 それを見極めるのも僕の仕事でね・・・。」
そると老人は高らかに笑い出した。
 「ハーハッハッハッハ! だからこそ、その人間のカラダを愉しめとゆーておるんじゃ、
 お前さん、たかだか15、6年で人間の何たるかを理解したと言うのかね?」
老人は指を曲げて少年の顔を突っつくふりをする。
 少年が答えないうちに老人は更に言葉を続ける・・・。
私メリーさん【五人目の犠牲者】
473 :メリーさんを追う者[sage]:2006/11/06(月) 21:03:12 ID:t87cw/qF0
 「お前さん、今までそのカラダで天使の精神を眠らせていたんじゃろう?
 それでも、人間としての人格は少なからず天使の影響を受けたはずじゃ、違うかね?」
 「・・・その通りだ、おかげで中学まではまともな人間関係を作れなかったな、
 作る必要もなかったけどね・・・。」
 「だから『目覚めが早い』とゆーたんじゃ、
 それにお前さんの使命は『魔を監視する』・・・?
 イヤイヤ、そうではあるまい、それだけなら天空の彼方からでも十分地上を監視できるじゃろう、ンン!?
 おまえさん達が一番恐れているのはワシやヴォーダンではあるまい・・・!
 お前さんたちに最も理解できないもの・・・『心』じゃろう!!
 かつて人間がエデンと呼ぶ場所において、
 ヴォーダンが人間に与えたもの・・・『心』、
 故にお前さんたちは、人間がどのように進化するのか全く予想することが出来なくなった、
 ならば、『心』すなわち『魔』を手に入れた人間達を滅ぼしてしまえと!
 ところが・・・それすらも叶わぬ・・・となれば・・・!」
 「フン、さすが神々をも欺く魔王の分身だね・・・、
 『彼』や人間を滅ぼすのは今でも容易い・・・だが我らにはそれが出来ない・・・。」
 「・・・言っとくが、その件ならわしゃ知らんよ、ヴォーダン本人がお前さんたちの秘密を握っておるからの、
 ま、『心』を理解するために、人間に転生するのは賢明じゃとわしも思うぞ、
 だが、お前さんはまだ人生の愉しみを何も知らん・・・!
 家族のぬくもりは? 苦楽を共にする親友はおるのか?
 人を愛したことなどあるまい? 子供を持つことは!?
 ・・・それらをせず、人間のカラダを借りた所で何の意味もない・・・!」
少年は老人の言葉を真剣に受け止めていた・・・。
老人の指摘は一々的を得ており、少年の今までの人生に思い当たる節が多すぎたのである。
・・・だがその言葉を素直に受け入れるわけにもいかない、
なにしろ、この男レッスルの本体は、
過去から現在にまで神々を騙し続ける、彼らにとって史上最大の詐欺師なのだから。
近い将来、ヴォーダンや人間が神々の最大の脅威にならないと言う保障はどこにもない。
だからこそ、人間の本当の姿を理解するために、少年は人間のカラダに送り込まれたのである。
私メリーさん【五人目の犠牲者】
474 :メリーさんを追う者[sage]:2006/11/06(月) 21:04:47 ID:t87cw/qF0
 一方的に老人に説教かまされたカタチの少年は、落ち込むことも悔しがることもなく、
冷静に老人の言葉を理解しようとする。
 「いや・・・、そういうことか、なるほど、いい勉強になるな、
 だが、君のことだ、話半分で聞かせてもらうよ。」
老人はこけそうになる・・・馬鹿馬鹿しくなったのか、片手で頭をボリボリ掻いた。
 「・・・仕方ないのぉ? ま、こんなこともあるだろうと思って既に手を打っといたわい。」
 「なんだって!?」
初めて少年に動揺が見えた。
老人、レッスルには予知能力は無いと分析していたのに・・・!?
 「おっと、誤解せんでくれ? おぬしの為じゃ、人間の心を知りたいんじゃろう?
 ある知り合いの女性に、お主のプロフィールを紹介したんじゃ、
 ・・・超心理学的な手段での。
 天使と恋仲に陥れると言うのなら、喜び勇んでおったぞ、ま、障害は多いじゃろうが・・・。」
少年はしばらく無言だったが、そのうち呆れたように口を開いた・・・。
 「・・・ちょっと待ってくれ、
 最近、人間として使ってるメアドにやたらと、メールを送ってくるマーガレットという女性は・・・。」
 「おほぉ、相変わらず積極的じゃの、派手な格好しとるが、気立てのいい女性じゃ、
 まさか天使様がつれない言葉は吐かんじゃろうな?」
少年は頭を抱えた・・・、一応こういうとき、どういうアクションをとるべきかは学習しているようだ。
 「・・・恐ろしい・・・本当に恐ろしい存在だよ、お前は。
 この世から消してしまいたいぐらいだ・・・。」
それを聞いてレッスルはニヤッと笑う。
 「本音かの? まぁ、安心するが良い、いずれにしろ、この時代では、もうわしの役目はない、
 かつてから胸につかえていた後悔もいまはない・・・。
 このカラダの寿命を待っとっても良いのじゃが・・・。」
 「フン、しらばっくれるのはよしたらどうだい・・・、ヴォーダン復活には多くのエネルギーがいる・・・、
 お前の命も例外では・・・あるまい。」
 「・・・ホホ、ご名答じゃよ、さて、それでは、いい機会じゃ、とっととこの世からおさらばするかの?」
 「待ってくれ・・・、一つ聞きたい。
 お前は・・・ヴォーダンは完全復活をするつもりなのか、この現代で!?」
私メリーさん【五人目の犠牲者】
475 :メリーさんを追う者[sage]:2006/11/06(月) 21:06:27 ID:t87cw/qF0
 ・・・老人は再びベンチに横たわる。
一度、少年の問いに、顔を横に向け、質問には真っ当には答えずはぐらかす・・・。
 「安心するがよい・・・、
 『彼』もまた、進化の途中じゃ・・・、
 悩み、苦しみ、怒り、悲しむ・・・。
 お前さんたちから見れば馬鹿馬鹿しく見えるかもしれんが、
 人は母の胎内で、過去の進化を繰り返す・・・。
 そうやって産声をあげるのじゃ・・・、
 そして、それは個人の話ではない・・・。
 人は何度も何度も間違え、愚かな行為を繰り返し、祖父母の代から父母、子供、そして孫へ、
 未来永劫繰り返していくのじゃ・・・、
 そして・・・ヴォーダンにも寿命はある・・・。
 わしにはわからんが、既に『彼』のヴィジョンには、自らの死の未来が写っている筈じゃ、
 そして、その後は人間がどう世界を作っていくかじゃ、
 老兵は去るのみ・・・、
 新しい世界は新しい世界に住むものが作っていくべき・・・お前さんたちはそうは思わんかね?」
 「・・・・・・。」
老人は顔を戻して、たった一つだけ開いていた目を閉じる・・・。
両手は胸の上に組まれていた・・・。
まるで眠るかのように・・・。
「少年」はその姿を見て、何故かいらつきを覚えていた・・・。
人間の感情など沸き起こるはずもないのに。
そのいらつきとは、自分で「心」をコントロールできないことによるものである。
ときどき・・・湧き上がるこの衝動・・・、いったいなんだと言うのだ!
 ・・・もうここには用はない、少年は反転し・・・もと来た道を帰ろうとする。
途中、たちの悪いごろつきの二人組みが、身なりのいい少年に絡んだ・・・。
 「はぁい、ぼっく〜! どこから来たのぉ? お兄さん達といいこといしないいぃぃ!?」
 「お財布があったらおいってってくれるだけでもいいよぉぉぉ!?」
だが、少年は彼らを一瞥すると、鼻を鳴らして無視して通り過ぎようとする。
 「ちょっとぉぉ、待ちなさいぃ? 人が話しかけてるのにその態度はなぁにィ?」
私メリーさん【五人目の犠牲者】
476 :メリーさんを追う者[sage]:2006/11/06(月) 21:08:52 ID:t87cw/qF0
 一人が小柄な少年の肩に手をかけた。
・・・その手をにらむ少年。
彼は、すぐに手をかけた男の顔に向かって口を開く。
 「・・・放せ、人間・・・。」
ごろつきたちは互いの顔を見つめて笑い出した。
 「あっはっはぁ!!『放せ人間』ですってぇぇ! こっわぁぁい!!」
 「きっと照れてんだよぉぉ、たっぷり可愛がってやろうぜぇ?」
少年はため息をついて、首を元に戻す。
 「放せ、と言ったはずだ・・・。」
ごろつきたちはさらに下品な行動に出ようとしたが、
突然、自分のパートナーのカラダに異常が起きるのを目撃した。
・・・互いのカラダが見る見る化け物の姿に変わっていくのだ!
少年はなんともないのに!?
二人の目には、今の今まで仲間だった者が、眼球が浮かび上がり、
口からは凶悪な牙が伸び始め、皮膚はボコボコと膨れ変色していく!
それぞれが悪魔の使いのような醜悪な姿に変貌していく姿を捉えていた・・・。
もはや仲間でも知り合いでもない!
自分の身に起きた変化より、目の前の正体不明の化け物から身を守らなくては!!
二人は刃物を取り出し、叫び声をあげながら互いのカラダを切り刻み始めた!
痛みは感じてないらしい・・・、
ただパニックを起こしたまま、互いの命が尽きるまで殺し合いを行っている・・・!

いつの間にか、少年はその場から姿を消していた・・・。
後に、地元警察は、
ベンチで死んでいるレッスルと、少し離れた道端でケンカがエスカレートしたのか、
二人のごろつきの流血死体を発見する・・・。
少年が老人と話している姿、また、
この少年が二人のごろつきに絡まれている姿を目撃した情報はあったが、
複数の証言の一致から、事件として扱われたのは、二人のごろつきの仲間割れだけとなった・・・。
これが・・・一年前、フランスの移民居住区で起きた出来事である・・・。
私メリーさん【五人目の犠牲者】
477 :Lady メリー ◆MERRY.VeEM [sage]:2006/11/06(月) 21:20:35 ID:t87cw/qF0
☆ 長くなっちゃってすいません。
次回はついにあの方が・・・!

・・・てなわけで、あと、三回ぐらいで終わる・・・?のかなー?

サイレントヒルのような世界6
235 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/11/06(月) 22:02:27 ID:t87cw/qF0
探してきたよ!

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