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作者 ◆gby2MQSCmY 【エロ】山形先生Part5【オカルト】

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【エロ】山形先生Part5【オカルト】
190 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 11:10:02 ID:xV5+naS70
>>189
いい読者さんだ…ありがとう。・゚・(ノД`)・゚・

哀しいお話ですが、一応怪談なので、やはりオチが重要です。
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
191 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 19:57:36 ID:xV5+naS70
さてここらで怖い話でもするか。

軽子沢中学は、二学期の期末テスト期間に入っていた。
いつもの朝と同じ朝ではあるが、どことなく緊張感が漂っている。


つづく
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
192 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 20:11:48 ID:xV5+naS70
もう全てやることを済ませ、これ以上は単なる悪あがきだと言わんばかりに
いつものように雑談をし合う者。

その悪あがきの為に必死でノートを見返す者。

記憶していることが正しいかどうか、一度天井を見上げて何やら口の中で
ぶつぶつ言ったかと思うと、視線を下げ、机の上の教科書を見て小さくガッツ
ポーズをとる者。

二年B組である。

テスト期間とはいえ、やってくる教師はいつもと変わりない。今日は金曜日で
あるから、普段の一時限目は歴史だが、テスト日程では、化学のテストに
なっている。しかしやってくる教師は普段通り、歴史担当の青木マサヤ
(第二十三話 『寄る辺無き者の罠』 参照)だ。

彼がテストの監視員を勤めるわけである。

チャイムが鳴ると同時に彼は教室に現れ、問題用紙と解答用紙を手早く配る。

プリントは前席の者から順に後ろへ送られる。よって公平をきす為、問題用紙は
裏返しで配布された。


つづく
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
193 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 20:21:50 ID:xV5+naS70
化学のテストは悪評が高い。化学教師、山口ミチオの意地が悪いのだ。

彼はおとなしい教師で、授業中も生徒を叱ることなど滅多にない。騒がしく
していても、私語をしていても、淡々と授業を進める。

しかしそれがテストになると牙を剥く。彼は授業中、生徒が騒がしかったり
授業を余り聞いていなかった時、何を教えていたか記憶している。

敢えてそこがテストに出るのだ。しかも、これはテストにでるかもしれないから
よく聞いておくように、といった部分に関しては、まず出ない。

テストに出る、と断言しているわけではなく、あくまで、かもしれないと言って
いるので文句は言えない。

しかしそう油断していると、今度はきちんとテストに出してきたりする。

基本的にテストは記号問題である。『穴埋め』というものだ。色々と長い文章が
あり、ところどころが虫食いのように空いている。下の欄には様々な単語に記号が
つけられ並んでいて、当てはまる単語の記号を解答用紙に書いていく。

一見、一から思い出すよりも簡単そうだが、その辺りも絶妙で、かえって記憶を混乱
させるような選択肢が並ぶ。しかも全ての単語がきれいに埋まるわけではない。

使用しない選択肢もあるのだ。

ついたあだ名は、『サドミチオ』。これを『佐渡ミチオ』という本名だと思っている生徒も
実は少なくない。サディストのサド、である。


つづく
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
194 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 20:30:30 ID:xV5+naS70
「よし、みんなに渡ったかぁ?はーい。問題用紙ひっくり返して。
はじめぇー」

がさがさと紙を裏返す騒がしさが教室を支配する。と、数名の生徒が
無言で手を上げた。

「ん?どうした?」

「問題が印刷されてません」

そんなこともあるだろうと余計に印刷してある。青木は慌ててきちんと
印刷された問題用紙を手に、生徒らの間を回った。何度かに一人程度
なら分かるが一度のテストで五枚のミスプリント。コピー機の故障だろうか。

いずれにせよ、青木は、生徒が印刷されていないといったプリントと、
新しいプリントを交換し、教卓に戻った。

しかし妙だった。その生徒がおかしいといった問題用紙がおかしいのだ。

印刷がかすれていたり、薄かったり、全くの白紙であったりするならば分かる。

しかし、それら五枚の問題用紙にはそれぞれ、

『ム』、『ナ』、『ラ』、『ウ』、『ミ』

と一字ずつ小さい文字ではあるがはっきりと、印字されているのだ。


つづく
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
195 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 20:37:44 ID:xV5+naS70
テストの監視。重要ながら退屈な仕事である。一時間近く、無言で
かつ生徒達には注意を向けていなければならない。

退屈しのぎに、教室の席の間を行ったり来たりする教師がいるが、
学生時代そういった教師の行動に随分と鬱陶しさを覚えた彼は、
自分が教師になった際にはそういうことはしないでおこうと決めていた。

生徒らに注意を向けつつ、先ほどのプリントをちらちらと見ている。

『ム』、『ナ』、『ラ』、『ウ』、『ミ』

彼は何となくそこに意味がある気がして、頭の中で文字を並べ替えて
いた。

『ウミナムラ…ムラナウミ…村な海?…なら…奈良?』

つい集中力がそちらにいってしまい、じっと教卓を見つめていると、突然
横から

『…マサやん…』

か細い女の声がした。驚いて声のした方を向くが誰もいない。急にびくんと
動いた青木に気付いた生徒の何人かが怪訝そうにこちらを見ていた。

彼は何でもないからテストに集中しなさいと言わんばかりに、咳払いをした。


つづく


【エロ】山形先生Part5【オカルト】
196 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 20:44:29 ID:xV5+naS70
そして彼は五枚のプリントの意味を知る。

『ム』、『ナ』、『ラ』、『ウ』、『ミ』

『ナ』、『ミ』、『ウ』、『ラ』、『ム』

『…ナミ怨む…!』

まさか、こんな所で、こんな形で、明らかな狼狽を見せ、その様子を
生徒に気取られはしないかと視線を上げるが、やはり難問の化学の
テストとあって、誰もがテストに集中している。

ほっとしていると、教室の後ろの席の女子がすうと手を上げた。

今度は何だろう。ペンか消しゴムでも落としたか。テスト中はカンニング
防止の為、何か拾う際には自分で取りに行かず、教師に取ってもらう
ことになっていた。

他の生徒の邪魔にならないよう、静かに無言で彼女に近づき、耳元で、

『どうした?』

と訊ねた。女子は言った。

『すいません。先生、さっきから女の人が覗いてて気になるんですけど…』


つづく
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
197 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 20:53:32 ID:xV5+naS70
女子は教室前方のドアを指差した。振り返ってみるが誰もいない。

『若い女の人なんです。小池栄子さんに似た感じの…』

『!…わかった。わかったからテストに集中しなさい』

声が震えていた。『ナミ怨む』、『教室を覗く小池栄子似の女』…。

心当たりがあり過ぎた。つい先日ふった恋人、関口ナミだ。
ちゃんと話し合ったつもりだが、少々強引に別れた気がしないでも
ない。

青木は教室をそっと出て、携帯電話を取り出し、まだアドレスに残っている
富山ナミに電話をかけた。

先生はいなくなったが、どうせすぐに戻ってくるだろうと皆、そのまま真面目に
テストを続けていた。

ただ一人、不真面目な者がいた。赤いくちびるを歪め、そっと立ち上がると、
化学の成績のよい男子生徒の背後に回り、彼の答案を堂々と見た。

誰も彼女に気付かない。

二年B組生徒。サヨリは人の死角に入ることができる。

答案に並んだ記号を丸覚えすると、彼女は視線の隙間をかいくぐり、次の
瞬間には、同級生、霧原トオルの机の下に潜り込んでいた。


つづく
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
198 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 21:01:49 ID:xV5+naS70
驚いたのはトオルである。話には聞いていたがまさか
いきなり机の下、股の間から現れるとは。

サヨリは悪戯に微笑むと長く白い、人差し指を一本立てて、
唇に当てた。

トオルが無言でうなずくと、彼女はそっと右腕を伸ばしてきた。
トオルは周囲を気にしながら、彼女の右手を素手で軽く握った。

テストの解答が流れ込んでくる。そして、最後に、つきあわせちゃって
ごめんね、という彼女の意思が飛び込んできた。

気付けば彼女はもうおらず、ややあって、ほっとした面持ちの青木が
クラスに戻ってくる頃には自分の席に戻っていた。


全てはサヨリの計画だった。彼女はテストの数日前、トオルに言った。
青木マサヤの記憶を探ってほしいと。時間割通りに教師が来るのだから、
化学のテストの際に監視員としてやってくる教師は既に青木だと分かっていた。

渋々トオルは引き受け、廊下ですれ違い様、青木の記憶を右手の力で
読み取ると、最近どうも女をふったらしいことが分かった。

関口ナミ。よく、小池栄子に似てるね、言われる女らしい。


つづく
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
199 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 21:09:42 ID:xV5+naS70
サヨリはそれだけ聞くと、

『ナ』、『ミ』、『ウ』、『ラ』、『ム』

のプリントを自ら作り、更にテスト直前、教室に向かおうとする青木の
机の上にのった化学のテストの問題用紙にそれらの紙を紛れ込ませた。
無論死角に入って。そっと。

テストの問題自体を前もって入手するのが手っ取り早いが彼女の能力は
消えることではなく、あくまで死角に入ることだ。探し物をするには適さない。

近づけないものには近づけない。第一、テストは直前まで化学なら化学の
山口ミチオが管理していて、教師の間でもどこに保管されているかの情報
交換はされない。

その後、テストが始まり頃合を見計らって、また死角に入って青木に近づき、
彼が元恋人、関口ナミから呼ばれていたように『マサやん』と声をかける。

更に慌てる彼の様子を楽しんだ後、手を上げて彼を呼び出し、窓の外に女が
いると告げた。


つづく
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
200 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/11/03(金) 21:18:53 ID:xV5+naS70
もしや関口ナミは別れを悲観して自殺してしたんではないだろうかと気が気で
ない青木はクラスをそっと出て、携帯電話で彼女の無事を確認する。

その間がアタックチャンスである。カンニングをし、更に情報提供の礼として
霧原トオルに解答を伝える。

トオルは断ったが、彼女は来てしまった。


テストの結果はまだ出ないが、どうも青木マサヤは、関口ナミと復縁したそうで
ある。例の電話がきっかけだった。ナミは仕事中なのに心配して電話をくれた
ことに感激し、青木自身も、何故そこまで心配したのかと考えた結果、単に
祟りが恐ろしいなどというものではなく、まだ彼女のことが好きだったらしいことに
気付いた。少しやきもち焼きの彼女が、煙たかっただけなのである。


霧原トオルは不思議だった。自分の能力を利用するならば、いっそテストを作った
張本人である山口先生の記憶を読めばそれで済んだのではないか。何でそんな
回りくどいことをするのか。

何となく二人きりになった時に聞いてみると彼女は、一瞬うぅんと困ったような顔を
して見せると、ぽつりと答えた。

「回りくどい方が楽しいでしょ?」


  終


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