- 【改変スレ】ジョージと愉快な仲間たち【別館】
21 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:41:16 ID:KfR/4l0P0 - 僕の名前はマコト。時々ジョージさんの手伝いをしている見習い探偵だ。
ジョージさんは僕の尊敬する凄腕の探偵、僕の目標だ。 でも、最近のジョージさんはちょっと変だ。 ジョージさんはもともとあまり食べ物にこだわる人じゃない。 賞味期限が過ぎた牛乳なんかも平気で飲んじゃうし、味はどうでもいいところあるし。 リンゴ1個と固ゆで卵なんて朝食を毎朝3年も続けていたっけ。 お腹が膨れればなんでもいい、どころか、 ─あの人、タバコとコーヒーだけで一週間くらいは生きてるときあるよな。 それが、ここのところよく食事に付き合わされる。 「なあ、奢ってやるから美味い店探してくれよ。」 ……そんなこと言う人じゃないんだけど。 どうしたんですか?と聞くと、 なんだかわからないが、朝起きると無性に腹が減っている。だそうだ。 おとといはお刺身の美味しい店。 ちょっと値段は張ったけどヒラメの活け作りは絶品だった。 昨日はカブト煮の美味しい店を探した。 そう言えばジョージさん目玉まで食べてたなぁ…… 今日はなんだろう…と、思っていたらジョージさんが扉を開けて入ってきた。 今日はハンバーグに決めたそうだ。 もう、いくら仕事のお金が入ったからって贅沢しすぎですよ。
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22 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:41:49 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
あの事件のことはあまり思いだしたくない。嫌な事件だった。 変死した男、失踪した女。その真相を追って、俺はある辺鄙な山奥の村に辿り着いた。 場所は言えないが、東北のどこか、とだけ言っておく。閉鎖的な村だった。 よそ者の俺の言葉なんかには耳を貸そうとしない。 調べてゆくうちに、俺はまた不思議な事実を見つけた。 こんな老人ばかりの村でここ1年で子供が二人も行方不明になっている。 俺は、何かを隠し続けている村人達に、軽い苛立ちを覚えていた。 「あまり根を詰めてはいけませんよ。」 背後から声がかかった。 考え込んでいるうちにいつの間にか夜も更けてしまっていたらしい。 長い黒髪の女性の笑顔とコーヒーの香りが、振り向いた俺を包み込んだ。 この閉鎖的な村で、俺の唯一の協力者だ。 敷き詰められた赤い天使たちと燃えるような山々。 橙のロングスカートに白いトップ、出逢った時の彼女はまるで… まるで… 調査は順調ですか?の問いに、俺はああ、と曖昧な返事を返した。 変な慣わしが多い村だ。田舎のせいかいやに家と家との上下関係がはっりしている。 それに、庭にある置石を妙に崇めている、いや、恐れているのか? そのあたりに、俺は事件を解決する鍵が隠れていると睨んでいた。 「あなたは…もうすぐ都会へ帰ってしまうんですね……。」 いきなり、俺の手に彼女の白魚のような手が添えられた。 何もかもかき消してしまうほどの虫の音。猫も鳴いていたが、もう耳に入らなかった。 彼女の長い睫毛が、そっと、俺に、近づいて…来…た………
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23 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:43:48 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、
虎舞龍のボーカル… ゴメンナサイ…orz
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24 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:44:26 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
その夜、ひなびた裏通りのバーには今夜も客は俺独りしか居なかった。 バーボンのグラスを傾ける俺の携帯が鳴った。 「もしもし、私リカちゃん。今アナタの後ろに居るわ・・・。」 理香…か、ここのところ頻繁に電話があった、来ると思っていた。 ─だが、お前とはもう終わったんだ 俺は振り向くことすらしなかった。携帯をポケットに捻じ込み、グラスを煽る。 俺に、今更何の用があるって言うんだ。 肩にそっと置かれた手は驚くほど小さかった。 そして俺は今更ながら理香の事を何も知らなかった自分を知る。 こっちを向いてよ……そう言われも俺は振り向かなかった。 ひどい事をしているのはわかっている……だが…もう、終わったんだ。 「……しつこい女は…嫌いだ。」 やっとそれだけを搾り出した俺の背に、走り去る靴音が叩き付けられた。 泣いていた─。そんなことはわかっていたことだ。 「…ジョージさん……いいんですか?」 マスターがグラスを拭く手を休めて歩み寄ってきた。 ─いいのさ 俺はグラスを置くと、もう一杯、今度はマティーニを注文した。 ここの店のマティーニはとびきり辛い。俺はそれを知っていた。
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25 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:44:56 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
見たら一週間後に死ぬ、そんな呪いのビデオを見て今夜でちょうど一週間。 もちろん俺は呪いなんて信用しちゃいない。 だが、確実にガイシャは増えている。確実に、だ。 ビデオの内容も意味の無いものだった……するとこの事件は…… 突然、風が吹き抜けた。立て付けの悪い窓が勝手に開き、呼び込んだらしい。 続いて事務所の電気が落ちる。 逆にテレビの電源が勝手に入り、あのビデオに映っていた井戸が映し出された。 ─凝った演出だな 俺はテレビを見つめていた。井戸から一人の女が這い出てきて、そして出てきた。 黒髪の間から俺を睨みつける眼光……こいつはプロだ。 俺の読んだとおりだった。一週間後に、殺し屋が来る。 まさかこんな手品師のような女だとは思わなかったけどな。 俺はタバコに火をつけた… 「単刀直入に聞こうか。何処の組のモンだ、何故俺を狙う?」 「??……少しは私の事を調べてくれているものと思っていたわ。」 「まさか。」 俺は肩を竦めて見せた。待ってれば来るものをわざわざ追いかける趣味は無いぜ。 不敵な笑みを浮かべる俺は、さぞ忌々しい奴に見えた事だろう、だがお互い様だ。 「噂どおりの男ね……。」 これが、俺と彼女との始めての出会いだった。 to be continued...
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26 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:45:27 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、探偵とは名ばかりで、実際には何でも屋さ。
今、俺は相棒のマコトを連れて岩手のある寺まで来ている。 なんでも近くの寺が解体された時に出てきた即身仏を運んで欲しいそうだ。 思ったより小さな箱だった。これなら車をレンタルしなくてもよかったな。 「この箱は絶対に開けちゃいかんぞ。」 そう言い終わった住職と、箱の蓋を持ち上げた俺の目が合った。 そういうことは早く言えよ。 箱の中身は首が二つついている奇妙なミイラだった。 蓋に確か「リョウメンスクナ」と書いてあったか…… 「…干物……買って帰るか。」 そう呟いた俺をマコトが睨みつける。洒落の通じない奴だな。 住職は白目を剥いて固まってしまったが、まあいい、問題はそんなことじゃない。 依頼の品、確かに預かったぜ。 そもそもおかしな依頼だ。 依頼料がべらぼうに高い、それに文化財専門の運送屋だってある。 それをわざわざゴロツキに頼んでくるんだ。ヤバい臭いがぷんぷん漂ってやがる。 ─ったく、あいつの持ってくる依頼はこんなのばかりだな。 山門をくぐった所でもうお出ましかよ。3人…いや、4人か。 振り向くなよ、こんなこともあるかと思ってわざわざ二人で来たんだ。 駐車場まで、あと100m……50m… 楽しもうぜ、面白くなってきたじゃねぇか。
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27 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:46:04 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、今夜は最低の酔っ払いだ。
とにかく早く酔ってすべて忘れてしまいたい、だが、酔えない。 昼間、調査報告をした帰り道、俺は人気の無い並木道を歩いていた。 今日は突き抜けるような秋晴れの空だ。 こんなに空が遠いと、…あいつのことをつい思い出しちまう。 俺が追憶に浸っていると、またあの女が現れた。 最近、妙に俺に付きまとってくる女の殺し屋だ。名前は貞子とか言ったか。 証拠が無いので手が出せないが、連続殺人鬼だと俺は睨んでいる。 最初は俺の命を狙っているのかとも思った。だがそうでもないらしい。 ここのところの奴の目的は、自分が幽霊だと俺に信じてもらうことのようだ。 馬鹿馬鹿しい。 自分は幽霊だとか、超能力があるとか、念じただけで人が殺せるとか。 その主張のすべてを俺は無視して歩いた。 ─本当に馬鹿馬鹿しい。 散々無視していたが、奴が「私は自由に生まれ変わることもできるのよ。」 と自慢気に喋った時、とうとう俺は自分を抑えることができなくなった。 お替りを注文した俺に、マスターは黙ってバーボンのグラスをくれた。 ねぇ、もし私が死んだらさ─ …あいつの口癖… 最低だ。早く酔ってしまいたかった。 生まれて初めて女を殴った。それはきっと… 空はあんなにも高く、遠い… 奴は何もわかっちゃいなかった…幽霊でもいいのさ…たとえ幽霊でもいいから… もう一度、会いたいひとがいるなんてことを、さ。
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28 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:46:35 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、時に超法規的な手段をとる俺に周囲は辛辣な言葉を浴びせやがる。
俺はいつものように、事務所のいすに腰掛けて仕事のない退屈さを満喫していた。 そんなときだ、テーブルの上の電話が鳴ったのは。 仕事か…それとも……俺は受話器を取った。 「……理香…か?」 「もしもし、私メリーさん。今あなたの後ろにいるの。」 俺はポケットから煙草を取り出して火をつけた。 ……メリー…最近頻繁に電話をかけてくるストーカーまがいの女だ。 いや、事務所内にいるってことはすでにストーカーだろう。 俺は振り返りもせず、ただ指をパチンと鳴らした。 次の瞬間、メリーと名乗った女の体は粉々に吹き飛んだ。 さすがは劣化ウラン弾、破壊力が違う。 それに放射性物質を使用しているにもかかわらず、人体に影響がないのも魅力だ。 俺の名前はジョージ、今はしがない合衆国大統領をしている。 ジョージ好きのひとゴメンナサイ
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29 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:47:08 ID:KfR/4l0P0 - 「じいさん、じいさん…」 壁の中から婆さんの呼ぶ声がする
俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。 最近近所のガキどもは俺のことを「心霊探偵」とか呼びやがる。笑えない冗談だ。 婆さんの姿が見えないことに心配した娘が、今回の依頼人だ。 婆さんは爺さんと長年二人暮し、近所でも評判のおしどり夫婦だったらしい。 どこかに出かけた様子も無い、まだ死亡届も出されていない。 爺さんに聞いてもお茶を濁される。 そこで俺に依頼が回ってきたってわけだ。 楽な事件だ。当然だが人が一人、そう簡単に消えてしまうわけは無い。 俺は爺さんの話を聞くふりをして家に上がりこみ、チャンスを待った。 しばらくして、爺さんは用があるとか言って俺に留守番を頼んで出て行った。 案の定、そのうちに婆さんの声が聞こえてきた、というわけだ。 俺は最近塗り直されたばかりの壁を見つけた。 恐らくここに隠し部屋への入り口があるんだろう。 「じいさん、じいさん…」 壁の中からはまだ婆さんの声がする。目的は保険金だろうか…嫌な事件だ。 俺は声に何も答えず、気配を殺してその部屋から立ち去った。 別人が居ると気付かれたらヤバい。 俺の依頼も完了だ。あとは婆さんの無事を娘さんに報告するだけだ。 元気そうだった、と言っておくか。
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30 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:47:37 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
雨に濡れるのは嫌いじゃない。 雨は…すべてを洗い流してくれる気がする。 俺の過去も…悲しみも…そして罪さえも…… 俺は傘も差さずに川沿いの土手を歩いていた。 濡れて重くなった服を引き摺る感覚はまるで枷のようだ。 夏の終わりの雨はもうすでに細く、しかし火照った肌をやさしく冷やしてくれる。 心地よかった。 ふと、前から白い服を着た女が走ってくるのが見えた。 背の高い女だ。長い髪を振り乱し一心不乱に走ってくる。 ─傘も差さずにこんな雨の中を… 俺は声を掛けようとした、つくづく俺は女に甘い。 だが、俺は女の様子がおかしいことに気付いた。服がボロボロだ。 何かをつかんで引っ張っている。しかもそのせいか蟹走りだ。 俺はすべてを悟り、声を掛けるのをやめた。 どこかの運動部が特訓でもしているのだろう。 すれ違う前に俺は目を伏せ、頑張れよ、と心の中で小さく呟いた。 女はただ走り去る。 雨の日は嫌いじゃない。 そうさ、雨は…すべてを洗い流してくれる気がする。
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31 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:48:10 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
「じゃあ頼んだわよ、ジョージ。」 蜜のようなキスと仕事を置き去りにして、女は俺の事務所を出て行った。 とびきり綺麗な薔薇にはとびきり鋭い棘がある、そんな女だ。 中学生4人が死亡した。グループのうち残る1人も錯乱状態。 幽霊だ呪いだと騒ぐ奴もいたが、これはそんな単純な事件じゃない。 俺は人目を避けるように、事件の発端となった屋敷へと忍び込んだ。 問題の部屋。俺はなんなく隠し扉を見つけて中へ入る。 噂の黒く塗りつぶされた写真も、御札に包まれた髪の毛もそのままだった。 壁紙を剥がし、さらに一面に貼られた御札をも剥がす。 その下にあったものは、防音材などではなくビニール袋に詰められた粉だった。 ─幽霊話で誤魔化すとは…古い手だな。 壁に隠されていた何百キロもの白い粉がこの事件をすべて説明してくれた。 血液検査で引っかからなかったところを見ると恐らくは新種のドラッグ。 この部屋で最初に錯乱した少年の様子から、強い幻覚作用があることがわかる。 恐らくは好奇心で舐めたか吸うかしたのだろう。 俺はこの事件の裏に巨大な組織の蠢く気配を感じていた。 不意に隠し扉が閉められた。もう押しても引いても動きはしないだろう。 俺はタバコに火をつけた。 どうやら絶体絶命ってやつが近づいてるようだ。面白くなってきやがった。
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32 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:48:48 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
銀座、白い大きなデパートを過ぎて少し歩くと、美を競い合う二つのビルがある。 その脇道をほんの少し入り込んだ先、裏通りの空気と独特の匂い。 そこは俺に仕事を世話してくれる女弁護士の事務所だ。 手を触れたら火傷じゃあ済まない……そんな女。 食事の誘いを丁重にお断りして、俺はポケットに仕事を詰めて帰る。 タバコを取り出して思い留まり、俺は代わりに空を見上げた。 鱗雲の隙間が灰色に塗り直されていた。忙しそうに、とても忙しそうに。 日比谷線の駅を越えたところで、灯されたばかりの赤提灯を見つける。 わざわざこの屋台に来るのも久しぶりだな。 背中しか見せない店主の話を聞き流し、ラーメンを啜っていると男が駆け込んできた。 年の頃四十代のサラリーマンがこの世の終わりのような顔をしてやがる。 何を言ってるんだかわからない男に、俺はコップの水を渡した。 「女を見たんだ!、お、女!!そ、そしたら、その…か、顔…。顔が!!」 慌てふためく男に店主はゆっくりと振り返り 「ふーん、お前さんが見たのは…こんな顔ですかい?」 風が乾いた音を立てた。 …まだやってるのか…と尋ねる俺に、店主は何も無い顔で意地悪く笑った。 可哀想に、鞄も眼鏡も落として逃げちまったじゃねぇか。 ちゃんと交番に届けておけよ、と釘を刺して俺は屋台の暖簾を跳ね上げた。 悪い癖を持ってはいるが腕のいい店主だ、今度行ってみるといい。
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33 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:49:48 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
トイレの花子さん?ああ、聞いたことはある。 だが小学校の女子トイレに、俺は何の用も無いな。 さあ、この話はもう終わりだ。
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34 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:50:22 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前は悟、用務員なんて時代遅れな仕事をしている。
ったくジョージの野郎、昔一緒に仕事をした中だからとか言ってこんなもん押し付けてきやがって。 しかもなんだこりゃ?「トイレの花子さん」かよ、時代錯誤も・・・あ、俺もか。 ま、下のほうに「礼は弾む」って書いてあるからな、じゃあやってみますか。 さて、学校のガキ共にも聞いたんだがどうやらただ問題の場所に行くだけではだめならしい。 どうやら、ある女子トイレのドアの前に立って、あることをしなければならないようだ。 まあ、得られた情報はそれだけだが、まあいいだろう、後は勝手にやれってか。よし、始めるか。 そして2時間後。
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35 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:52:45 ID:KfR/4l0P0 - 俺は「花子さんが出る」と言われているトイレの前に立っていた。
なるほどこいつはぎゅんぎゅん来る、だが依頼は早く済ませないと、お礼をもらわんと。 そして俺はガキ共に教えてもらった「ある事」をした。すると・・・ 花子さんは現れた、しかしそれは、子なんて名前のつくようなものではなかった。 大人、大人の女なのだ、しかし俺は、動じずに・・ 「俺は大人の女なんかには興味がわかねえ、むしろ萎える。じゃあな、今度会うときは、子供の姿で頼むぜ」 どうやら年月がたつにつれて、花子さんも年をとり、花さんとでも言うようになってしまった。 後ろから啜り泣きが聞こえるが気にしない、もし襲ってきても撃退する自身はある、俺のロリロリコレクションを見せればいいだけだ。 そして俺は用務員室に戻った、ったく、あの野郎下調べはしとけよ。 今度あったら金ふんだくってやる。
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36 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:53:47 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
行きつけのバーには今夜も邪魔な客は居ない。俺と、連れの女二人だけだった。 「あたしが馬鹿だったの……。」 女が言った。 「あの人の心を試すなんて…馬鹿よね…。」 古いレコードの掠れた音と、バーボンに氷が身体を許す官能的な音。 女は静かなジャズの音色に酔いながら、俺に昔の出来事を語った。 「一度はカレも許してくれたの…、嬉しかった…。 あんな大事なものを壊して許されるなんて思っていなかったから…。 でもね、結局フラれちゃった。 馬鹿よね…、カレの悔しい気持ち、今ならわかる気がする… あたしは自分が許せなくて… でも、カレの事も許せなかった… 若かったわね、あたしも。」 そう言って笑う女の目は、涙こそ無かったが、確かに泣いていた。 俺は黙って女の肩を抱き寄せた。 タバコ臭いわ、と言いながらも女は俺の肩に身を預けた。 この間の事件で姫路城まで行ったときに知り合った女だ。 まだ、お互い名前も知らない。いや少なくとも今夜は名乗ることは無いだろう。 「やさしいのね…」 そう言って見上げる女の目が、揺れるタバコの煙の中で静かに閉じた。 井戸の上で何か数えていた、ちょっと変わった女だが、いい女だ。
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37 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:54:27 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前は悟、用務員なんて時代錯誤な仕事をしている。
ちなみに花子さん、もとい、花さんの方はすでに片付けた。あの女、ケリくれたら逃げていきやがった。 プルルルルルル・・・プルルルルルルルル・・・ おっと電話だ、こんな夜遅くに誰だよ、間違いだったら怒るぞ俺は、 「私メリーさん、今学校の前にいるの。」ツーツーツー・・・。 どうやら間違いではないらしい、しかもメリーさんときた。やつの名前はジョージから聞いたことがある。 覚えているのは名前だけだが・・・。まあいい、次の連絡を待つか。 プルル・・・ガチャ。 次の連絡か。 「私メリーさん、今学校の一階にいるの、もうすぐ着くから待っててね」 まあいい、用務員室は一階だ、もうすぐ来るってこった。まったく長い夜になりそうだ。 「私メリーさん、今お部屋の前にいるの、入るよ?いいよね?」ちょっと萌えた、妹みたいだ。 しかしいつまでたっても入ってこない、俺はとうとう部屋の扉、(引き戸)を開けた。
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38 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:54:58 ID:KfR/4l0P0 - メリーなんて女の子の姿はどこにもいない、不思議に思って、次の連絡を待つ。
すると・・・・ プルルル・・・ガチャ 「私メリーさん、今あなたの部屋にいるはずなんだけど・・・」 「俺の部屋は用務員室だぜ、早く来いよ、ジュースでもおごっちゃる」 「うん、でも・・場所間違えたのかなあ、第一小学校だよね?」 「第一?違う違う、第二小学校だ、間違えちゃったのか、まあ早く来い」 「うん・・もうちょっと待っててね」 数十分後・・・・・・・・・・ ガララララララララララ・・俺の部屋の引き戸が開き、メリーさんが入ってきた。 こんなキャラだったか?と思ったものの、冷蔵庫にあるジュースをコップに注いだ。 「まあ飲め、疲れてるんだろう?」 「それはいいんだけど・・・もう一人入れて良い?」メリーと言う少女は小首をかしげて尋ねた。 「ああ、いいよ、夜は長いし、三人の方がいいだろ」 「いいの?やったあ?じゃあ入ってきて、花さん」 「花さん」と言う言葉に少し動揺しながらも、俺は酒の準備をした。 全く、長い夜になりそうだ、三人で世通し飲むなんて、しかもこいつらドンだけ飲むんだよ。 ああメリーが酒に手を出した。未成年だろが・・・ 撃退もとい、飲み会は続く・・・・。
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39 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 21:55:53 ID:KfR/4l0P0 - デートのあとカレに送ってもらっていたときのことです。
その夜は遅くなったので、いつもは避けている近道を通る事にしました。 その道は50mほどですが、小さな祠やお地蔵さまが計7つも密集しているんです。 少し進むとY字路になっていて、私の家に帰るには左の方の道です。 左側の道に足を踏み入れた瞬間、何か急にあたりの雰囲気が変わりました。 物音が一切しなくなって、心もち明かりが暗くなりました。 足が寒いところにずっと立っていたあとのように痺れて引きつり、上手く歩けません。 力も入らないのでその場に座り込んでいてもおかしくなかったのですが、 なぜかその引きつった足が体を支えていて、私はその場に立ち尽くしました。 いきなり前方からゴッと突風のようなものがきました。 感覚としては、すぐ横を電車や大型車が通過したときのあの感じです。そしてその瞬間 「サリョ(鎖虜?左路?)じゃ!サリョじゃ!」 という大小の声があたりに鳴り響きました。近いものは私のすぐ耳元で聞こえました。 突風のようなものが過ぎ去ったあと、私は呆然と立ったままでした。 その時、カレが言いました。 「小夜?…人違いか…。」 私は、そうね、と言ってドサクサ紛れに腕に抱きつきました。 少し驚いたようでしたが、カレ=J君はそのまま腕を貸してくれました。 J君とはまだ特別な関係ではないけれど、時々私を甘えさせてくれます。 私の主人がまだ生きていた頃には、よく3人でお酒を飲みに行きました。 私の管理しているアパートで探偵事務所を開いているJ君。 ちょっとだらしない所もあるけれど、頼りになります。
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41 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:06:51 ID:KfR/4l0P0 - ─ジョージ対くねくねに挑戦してみた。
「ジョージさん、コーヒー買って来ましたよ。」 「お、サンキュー。」 「…で、その横の白いのは…何なんです?」 くねくねくねくねくねくねくね 「知らねぇ、なんかなつかれちまったんだよ。」 「ヤバい奴じゃないんですかぁ?なんか田んぼで働いていた人たち、みんな逃げるように帰っちゃいましたよ。」 「そうか?愛嬌ある奴だとおもうけどな。」 くねくねくねくねくねくねくね 「なぁマコト。踊りたくなってこないか?」 「…別に。」 「よし、踊り行くか、こいつ連れて。」 「嫌ですよっ、何でこいつも連れていかなきゃいけないんですか。」 「だって、いい腰の振りしてるぜ。ほら。」 くねくねくねくねくねくね 「なっ。」 「まぁ確かに…なんか踊りたくなってきましたね。」 「だろ?なんかカラダを動かしたい気分なんだよな。くねくね。」 「じゃあ、行きますか。くねくね。」 くねくねくねくねくねくねくねくねくね その後、二人の姿を見たものはいない─
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42 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:07:41 ID:KfR/4l0P0 - 「ジョージさん。あれ見えますか?」
「・・・ん?」 俺はマコトの言葉で二日酔いのせいでガンガン痛む頭を上げた。 しかし見えるのは一面の田んぼだけ。 吸いたくもないタバコに火をつけると軽くマコトをにらみつけながら煙を吐いた。 「いや!あれですよ!あの遠くでくねくねしてる白いの!」 俺は黙ってマコトが指差すほうへ視線を戻した。 確かに白いものが動いているように見える。くねくね、くねくね、と。 「理香・・・」 あの透き通るような白い肌、腰使い。間違いない、理香だ。 昨晩、俺の行きつけのバーにまで押しかけてきた。 「……しつこい女は…嫌いだ。」 そうつぶやくと俺は理香のほうを見ないように歩き出した。 「ちょ、ちょっと!どこ行くんですか!」 「どこでもいいさ・・・。自分の過去さえ清算できればな・・・」 今日はとびきり辛いマティーニでも飲みたい気分だ。
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43 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:08:40 ID:KfR/4l0P0 - 大家「ねぇジョージさん、昨日理香って人から変な電話が掛かってきたんだけど。
…余計なお世話かもしれないけど、けじめはちゃんとつけなきゃ駄目よ。」
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44 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:13:43 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名は近藤、刑事やってウン十年になる。
仕事を終えた俺は、その日も行きつけのバーへ向かっていた。 秋の日は何とやら、すっかり日の暮れた通りに冷たい風が吹いている。 俺は、裏通りへと続く細い路地へと歩を進めた。 路地の奥から甲高い悲鳴が響く。 駆けつけてみると、派手な格好の女が倒れていた。 口元のマスクでよく見えないが、かなりの美人のようだ。 そしてその女の前では、全裸で白目を剥いた男が発狂したように何度も飛び上がっていた。 「びっくりするほどユートピア!びっくりするほどユートピア!びっくr」 「貴様ァッ、公然わいせつ罪違反で現行犯するッ!」 俺はその男を組み伏せた。男は取り押さえた後も抵抗するように暴れていたが、 手錠をかけた途端、大人しくなった。 「お嬢さん、大丈夫ですか?」 「ア、ア、……ハ、ハイ」 完全に動揺しきっている。俺は女性に同情した。 純粋な女ほど、このような事で心に受ける傷は大きい。 救急車を呼ぶかと尋ねたが、女を首を横に振って立ち上がった。 「……強く、生きなさい」 こんな言葉が慰めにならない事ぐらい分かっている。だが、声をかけずにはいられなかった。 女はありがとうございます、と呟くと俺に背を向けその場を去った。 女の小さくなる背を見つめた後、俺は全裸の男を半ば引き摺る様にして今来た道を戻った。 ふと、バーで待たせている探偵の事が頭に浮かんだが― ―まあ、あの男はいくら待たせても退屈はしないだろう。
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45 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:14:18 ID:KfR/4l0P0 - × 〜現行犯するッ!」
○ 〜現行犯逮捕するッ!」 スマソ
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46 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:16:59 ID:KfR/4l0P0 - ジョージのコテの人ではないけど投下します!(`∀´)ゝ
僕はマコト。時々ジョージさんの手伝いをしている見習い探偵だ。 最近寒くなってきたのでジョージさんの提案で鍋パーティーをする事になった。せっかくなので大家さんや近藤さん、小学校で用務員の悟さんにもすでに声をかけてみたらしく、頼まれた買い出し(土鍋とコタツ含む)の量はハンパではない。 やっぱり大きなリュックを持って来て正解だった。 しかし背中が重くて歩く速度が思うように上がらない。 マズい。このままじゃパーティーの時間に間に合わないかもしれないな・・・。僕は近道をするために路地裏へ足を進めた。 しばらく細い道を通っていると不自然に広い道に出た。 ん?あんなところに誰かいるぞ。 小さな女の子が何やら楽しそうにマンホールの上を飛び跳ねている。 『9、9、9、.....。』 キュウ・・・?数字の9かな。 何してるんだろう?
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- 【改変スレ】ジョージと愉快な仲間たち【別館】
47 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:17:33 ID:KfR/4l0P0 - 「ねぇ君、何してるの?」
しかし女の子は僕を無視して飛び跳ね続ける。 『9、9、9....。』 僕は無視されたことに少し腹が立ったがそのうち段々、もしかしたら数字を言いながらマンホールの上を飛び跳ねるのは凄く楽しいことなんじゃないかと思えてきた。 だから女の子は夢中で僕に気付いてないのかも・・・。 「ねぇ、僕にもやらせて!」 僕は女の子を押し退けるようにマンホールの上に立った。 「せーのっ・・・!」 僕は思いっきりジャンプした。 その時だった。 女の子がマンホールの蓋をサッと退け・・・ーーー 「だからっ、女の子がマンホールの蓋をどけようとしたみたいなんですけど荷物が重くてあんまりジャンプ出来なかったから途中で蓋の上に降りちゃったんですよ。 そのせいで女の子の指、蓋で詰めちゃったみたいで・・・ちょっ、ジョージさん! だからっ、わざとじゃないですよ! あ、はい。え?いや、大丈夫だって言うんですけど念の為病院に連れて行くんでちょっと帰るの遅れ・・・あ! 君、どこ行くんだよ! ちょっと待っ・・・とにかくっ、また後で連絡入れます! はい、じゃあ電話切りますね。」 その後、逃走した女の子を追跡して病院に連れて行ったせいで結局鍋パーティーは翌日の夜に持ち越されたのだった。
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48 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:19:48 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、今夜はガス欠の探偵さ。
こんな峠道で身動き取れなくなるとはな、また誰か通るまで待つとするか。 愛車のメイフェアとも長い付き合いだ。 故障も多いがなんとかやっていっている。 時々フロントガラスの内側に手の跡を付けていく奴が居る。 まぁ、それも近所の糞餓鬼どもの悪戯だろう。 そう言えば、昔も似たようなことがあったな。 あれは…俺がまだ駆け出しの頃だった。 俺はその頃毎晩黒いメットで首を隠したバイカーを追っていた。 青臭い正義感に突き動かされた、そんな頃もあったな。 バイクは圧倒的に早い。俺は必死でメイフェアを駆った。 これ以上、あの首なし野郎に犯罪を犯させるわけにはいかなかった。 峠に差し掛かると道から少しそれた茂みの中にテールランプが光るのを見た。 事故車かと思ったがそうじゃないみたいだ。 そして、車の横を通過した時、「ベタベタベタベタベタッ」 ガラスに人の手がいくつも張り付いた。 器用な奴等だと思ったがそれどころじゃない。 俺はアクセルを吹かしてバイクを追った。 その夜も、もうテールランプが見えなくなりかかっていた。 木の葉を揺らす風が揺らいでいたタバコの煙と俺の追憶をかき消した。 粋な悪戯に笑みがこぼれる。見ろよ相棒、星が綺麗だぜ。
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49 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:21:16 ID:KfR/4l0P0 - 僕の名前はマコト。ジョージさんの右腕だ。 …自称だけど…
ジョージさんと一緒に仕事をしていると本当に危険な目にあう。 命を狙われた事も何度もあるし、人質にされた事だってある。 ジョージさんは危ないものを呼び寄せる。 しかも、それを本人が楽しんでるのだからたちが悪い。 けどそれ以上に深刻な問題は女運が悪いことだ。 ジョージさんと一緒に居るせいか、最近では僕までフラれ続けてばかりだ。 今日解決したばかりの仕事も何かどろどろした愛憎劇だった。 逃げた男に追いかけた女、辿り着いたのは長野の山奥。僕の目の上のあざは修羅場の証拠だ。 愚痴ったら、探偵の仕事なんてそんなもんだ、とか言われそうだな。 帰り道を急いでいると不意にジョージさんが立ち止まった。 先日の台風で木が倒れていた、下敷きになった道祖神も倒れていた。 剥きだしになった地面が何処か気になるらしい。僕の目にはわからないけど… 僕はポケットからツールナイフを取り出して地面に突き立てた。 その下に埋まっていたものは4cm四方くらいのボロボロの木の箱。 箱を開けてみると黒いビロード?の腕輪が入っていた。 艶々しているのは綺麗だけど、あまり価値があるもののようじゃない。 手にはめてみたらちょうどぴったりのサイズだった。 ジョージさんはもう興味を無くしたようだ。 彼女にでもやれよ、そう言って歩き出してしまった。 そうしようかな、これで僕の女運も少しは上がってくれるといいんだけど…
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50 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:23:19 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
「へへへ、旦那、いつもどうも。」 男は下卑た、それでいて人懐っこい笑いをすると懐に俺が渡した金を捻じ込んだ。 俺はその間周囲を警戒する。 俺とこの男が親しくしていることはあまり知られないほうがいい。 見るからにホームレスのこの男、実は新宿一の物知りだ。 表のことから裏のことまで新宿のことなら何でも知っている。 それにどんなルートを持っているのか、……俺に計るすべは無いが…… 俺が受け取った大きな茶封筒、こんなものまで手に入れてきやがる。凄い奴だ。 この大きな茶封筒の中身、古ぼけた写真こそ今度の失踪事件の証拠になる筈だ。 俺はまるで人の目を盗むように、一人っきりの事務所で封筒を開いた。 どこかの湖を車の中から写した連続写真が数枚入っていた。 一枚めくるごとに黒い服の男が近づいてくる。だんだん近づいてくる。 俺は最後の一枚をめくり落胆した。そこには何も写っていなかったのだ。 俺は無言でまた写真を戻した。一枚づつめくる、男が近づいてくる。 そして最後の一枚、やはり何も写されていない、風景だけだ。 俺は懲りずに写真を元に戻した。 え?とどこからか声が聞こえたが空耳だろう。 俺はあきらめなかった。本来探偵の仕事なんて地味なものさ。 たまには立ち回りを演ずることもあるが、こうして細かい作業をするのも仕事だ。 こうなったら何か掴むまで何度だって見てやる。隅々までな。
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51 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:24:08 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、売れない探偵だ。
俺が暇なことを皆知っている。もちろん近所のガキも。 ことあるごとに俺に悪戯を仕掛けてくる小生意気な外国人のガキだ。 だがつい苦笑してしまう。寝顔も笑顔もまるで天使のようだ。 普段は無愛想なガキなのだが、それも仕方ないことだろう。 聞いた話では小さな頃に乳母の自殺を目撃してしまったらしい。 こんな小さな目で…こんな小さな手で…すべて抱えているのだから… だから今日は、子守の探偵だ。 今日は神父さんごっこをしようと言い出した。 何のことだかよくわからないが、外に出ると急に避雷針が落ちてきた。 危なかった。俺じゃなかったら串刺しにされていたところだ。 しっかり取り付けろと文句を言いに行こうとしたがやめた。子供の前だ。 怖くなかったか?と聞くと小さく頷いた。 だが急に今度はカメラマンごっこにしようと言い出した。 まったく気まぐれなガキだ。 俺は苦笑しながらガキの髪の毛をくしゃくしゃにしてやった。 本人は知っているのか知らないのか、髪の毛を掻き分けると刺青が見える。 親にでもやられたのだろうか、酷いもんだ。 俺はカメラを構えるポーズを取りながら勤めて明るく振舞うように気をつけた。 トラックが近づいているぞ。飛び出すなよ、気をつけろよ。
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52 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:24:39 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
今度という今度は俺も年貢の納め時かも知れないな。 そんなことを考えて、俺はタバコの火をつけた。 俺に向けられた外しようの無い3つの銃口。 いろいろと危ない橋を渡ってきた、そのツケを支払う時が来た様だ。 逃げ場は…無い。後ろは荒れ狂う断崖絶壁だ。 騒ぎ立てる無粋な風たちが、俺の最後のタバコの煙すらなびかせない。 俺は覚悟を決めた。 あばよ、そう言い残して、俺は崖から飛び降りた。 身体はまっすぐ、白く打ち付ける波の中へ吸い込まれてゆく。 気を失いそうな風と音の中、水面から無数の白い手が一斉に上がるのが見えた。 シンクロの練習か?こんなときに!なんて命知らずな奴らだ! 俺は夢中で、危ないからどけ、と叫んでいた。 そこから先の記憶は無い。 気がついた時、俺の身体はベッドの上だ。 近藤刑事の顔が見えた。 マコトの顔も見えた。 俺は……まだ、生きているのか。 後から聞いた話だが、俺は近くの海岸に漂着していたそうだ。 あのシンクロの選手たちが助けてくれた。俺は今でもそう信じている。
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53 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:26:44 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
期待して取った事務所の電話は、また仕事の依頼じゃなかった。 「あなたキュルキュルでしょ?」 「いや、別に。」 我ながら取り付く島も無く、俺は受話器を置いた。 肝心な所が聞こえなかったがどうでもよかった。セールスの電話に答える気は無い。 また、電話が鳴った。 黒電話の音は嫌いじゃないのだが、同じ相手かも知れないと思うと気が重い。 こういうとき古い電話機は不便だ。 しつこい、と怒鳴り返すこともできる。 何か説教じみた事を言うことも出来る。 だが、相手も仕事でやっているのだろう。 同じ相手のところに2度もかけて来るなんて根性は立派じゃないか。 俺は苛苛した気持ちを落ち着けてから、受話器を取った。 「あなた…キュルキュルでしょ…?」 ──控えめな声がした。 「いえ、結構です。」 俺は丁寧に答えてから受話器を置いた。 また肝心の内容が聞き取れなかった。かなり悪質なやり方だったな。 そんなマニュアルがある…とは聞いたことがないが… 次に電話がきたら聞いて見るか… そう考えていたのだが、それきり電話がかかってくることは無かった。
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54 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:27:15 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
俺は寝返りをうち、またむせ返るような匂いの中に顔を埋めた。 すべてを溶かし、包み込む。女の肌は常に魔物だ。 再び眠りに落ちそうになったとき、俺は激しい違和感を感じて起き上がった。 そう、無いのだ。女の首が。 俺は散らかった上着から携帯を取り出した。 俺が電話をしてから5分少々で、管轄の警官がホテルに到着。 その十数分後には数名の警官により出入り口が封鎖され、宿泊客のチェックが始まった。 一時間もしないうちに鑑識の奴らが作業を始める。日本の警察は優秀だ。 もちろん俺は第一発見者であり容疑者の一人だ。 だが、最初の警官が到着するまでの数分、俺もただ手をこまねいていた訳じゃない。 必要な情報はすべて手に入れた。 俺が寝ているうちに、俺の真横で、つい数分前におこなわれた殺人。 どうやったのか、血も一滴も出ていないし切り口もつるんとしていた。 あの女、身元がわかるようなもは何一つ持っていなかった。 警察がどこまで調べてくれるか…いや、それを俺にどこまで流してくれるか… 「ジョージ、もういいぞ。ご苦労だったな。」 近藤刑事は俺への型通りの質問をすると、すぐに帰っていいと言ってくれた。 署へ連行する様子すらない。流石よく俺のことを解っているぜ。 みてろ、犯人は絶対に俺の手で捕まえてやる。絶対に、だ。
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55 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:27:46 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名は近藤、刑事やってウン十年になる。
長いことこの職業をやっているせいで、いろんなツテや知り合いも出来た。 まぁ、それが年の功ってやつなのかも知れないな。 「ジョージ、もういいぞ。ご苦労だったな。」 俺がそう言うと、ジョージは軽く会釈をして部屋を出て行った。 相変わらずな奴だ。やんちゃなところは子供の頃から少しも変わっていない。 恐らく本気で犯人を追うつもりだろう。 一見無愛想で冷たい奴と思われがちだが、あいつの熱い心は俺が一番良く知っている。 ……だんだんあいつの親父に似てくる。 俺は子供に恵まれなかった。あいつは親父を失った。 親友の子だから、じゃない。 俺はまるで自分の子を見るように目を細めてその背中を見送った。 さて…と…… 俺はそれから急いで鑑識を中断させ、警官隊もすべて引き上げさせた。 もう捜査も必要ない。調書を取る必要も無い。 ゴネる警部補を部屋から追い出して、俺は女の遺体と二人っきりになった。 本当に焦って司法解剖にまわさなくて良かった。 俺は頭をボリボリと掻きながら窓を開けにいく。 ああ、ああ、泣くんじゃないよ。もう大丈夫だからな。 さ、入んな。
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56 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:29:24 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名は悟、用務員なんて時代遅れなしごとをしている、が、最近は用務員が減ってきて、機械に頼っているそうだ。
そろそろ俺も引き際かな・・・? ガキ共がみんな帰って先生もほとんど帰ったころ、俺は見回りをしていた。 異常なんてない・・、そう思っていたが、甘かった。異変が起こったのだ。 それは倉庫の前で起こった、扉の周りに「赤いテープ」が貼ってあったのだ。 「ガキが、まーたこんな悪戯をしやがって、後で絞めたろか?」ベリベリベリ・・・。 テープも回収したし、後は屋上を回るだけだ、後何回この仕事ができるやら・・。 そう思って階段を一段一段上っていく、倉庫の方から人が出てきたようだが気にしない、大方閉じ込められてたガキが出られただけだろ。 気をつけて帰れよ。ガキ。
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57 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:30:22 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ。流行らない探偵だ。
探偵が自由業だなんて、役人の世間知らずにも程がある。 仕事の九割はクライアントの都合と事件のなりゆきで決まる。 こっちはそれに合わせて対応するだけ。つまり、不自由業ってことだ。 メイフェアの助手席に座ってるこの女も、不自由の象徴さ。 大富豪の家出娘とくれば、高慢、自暴自棄、ひねくれ者が通り相場。 おまけにこの女、足が速い上に機転も利いて、なかなか捕まらない。 すんでの所で痴漢と叫ばれ、鉄格子のついたホテルで食い逃げ犯と同宿までさせられた。 家路についた今でも、助手席でむくれて口もききやしない。美人が台無しだ。 プライベートなら放り出すところだが、報酬を思い浮かべてハンドルを握る。 割増料金を貰わないと、今回の家出人捜索は割に合わな……危ないっ。 ぎりぎりでブレーキを掛けつつ、ハンドルを切る。なんとか白い影に衝突せずにすんだ。 停車したすぐ目の前に崖。ガードレールはない。危なかった。おい、無事か。怪我は。 返事は――死ねば良かったのに、だとさ。久しぶりに声を聞いたと思ったらこれだ。 俺はため息をつき、煙草に火をつける。視線を前に向けたまま、口を開く。 自分一人が悲劇のヒロインかよ。ぜんぶ滅茶苦茶にしてやりたいってのは勝手さ。 でも、そんなことをこの先ずっと続けるつもりか? やめにしようぜ、そろそろ……。 彼女はバックミラーを見つめて硬い表情のまま。身動きもしない。無駄だな、こりゃ。 ――ごめんなさい。あなたの言う通りね。もうしないわ。 生暖かい風と共に、そんな声。拍子抜けして助手席を見る。家出娘と目が合う。 ――かっこいいのね、あなた。信じられない。 ようやく気付いたか。メイフェアをスタートさせる。楽しい帰路になりそうだ。 もう一つ教えてやろう。おどろおどろしい作り声は君に似合わないぜ。
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58 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:30:53 ID:KfR/4l0P0 - 僕の名前はマコト。ジョージさんの一番弟子さ。……多分、一番弟子だと思う。
色々へまはするけど、実は、僕にも一つだけ得意なものがある。 パズルだ。 ぷよぷよが何連鎖かなんて一目見れば充分さ。 ルービックキューブなら、30秒あれば六面を揃えられる。 バラバラの状態から6面きれいに揃え、机の上に置くときの快感は何物にも変えがたい。 そんな僕でも、今回見つけたパズルには興奮した。なにせ、手ごわいんだ。 しかも、驚くほど精巧な作りなんだ。段階ごとに色々な動物に変わってゆくみたい。 ソフトボールくらいの大きさなのに、この世のものとは思えないほどうまくできている。 あとちょっとで完成なんだけど……。 このパズルにはまってちょうど7時間。ここまで長くかかるパズルは初めてだ。 もう二段階はクリアした。僕の勘だと、今が最終局面ってところかな。 電話の音だ。もしもし。 「ヤメテ……」 大勢のざわめきからかすかに聞き取れる声。電話を叩き切る。 だれだか知らないが、今日えらく頻繁にかかるいたずら電話だ。ダシテだの何だの。 まったく。いいところで邪魔しないで欲しいな。本当に、あと、少し、なんだ、から。 ……できた! 均整のとれた正二十面体を、そっと机の上に置く。7時間と2分と3秒。 ゴミとして捨ててあったのもうなづける。普通の人じゃ歯が立たないだろう。 ダンゴの状態から、鷲、熊ときて最後は正二十面体だ。大げさに言えば、美の極致、かな。 あ、悪いけど、これからパズルについちゃマコト「様」と呼んで欲しいな。
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59 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:31:24 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前は悟、用務員なんて時代遅れな仕事をしている。
最近では「お悩み相談室」のようになってしまっているがまあ、いいだろう。 そんな俺が生徒の悩みを終え、まったりしていると、最近感じるのだ。 視線を。こちらをじっと見ている視線を。 (おなやみか・・・・、)そう思って視線の方に目を傾ける。もちろん目を合わせる。 見つめあう二人………ぽっ……ぽっ。 「ば、馬鹿野郎、子供は帰って宿題でもしろ!!」 あぶねえ、思わずこそばゆい感情が湧き上がってきちまった・・・、不覚だぜ。 と、視線のした方から、消え入る声で何かしゃべっているのが聞こえた。 「………いくじなし………バカ」 それ以来「視線」は感じない、せっかく仲間が増えると思ったのに、そんな俺は一人酒。
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60 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:31:55 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、タキシードに蝶ネクタイなんぞしているが、一応探偵だ。
今夜はミキに連れられて、ある有名な政治家のパーティに呼ばれている。 ミキは女だが一流の弁護士だ。大胆なドレス姿に今夜はまわりの女が霞む。 パーティは東京湾を一周する船の上で行われていた。 どうも俺はこういう場が苦手だ。俺は一人で甲板に逃げた。 ──生暖かい風が流れた。すると海の中から大きな黒い人影が現れた。 「ひしゃくをよこせ。ひしゃくをよこせぇ。」 確か鏡割りをした筈だ。俺はスタッフに頼んで柄杓を一本持ってきてもらった。 渡すと、黒づくめの男は底を確認して、にやりと笑った。 黒づくめの男は柄杓で海の水をすくっては甲板に投げ入れる。 何度も何度も投げ入れて、甲板がびしょぬれになってきた。 …こいつは何がしたいのだろう… 俺も酔っていた。 こいつが何の目的でこんなことをしているのか、俺にはまだ理解できなかった。 まさか、この船を沈めようとしているのか? いや、そんな筈は無い。全長80m、2,000トンを越える客船だ。 柄杓一本でどうこう出来る代物ではない。 パーティが終わりに近づいていた。男の水を入れる速度が早くなった。 必死に海水をすくっては甲板に投げ入れる。だが、水は空しく排水溝に流れるのみだ。 間に合わないのだろうか。手伝おうか、と言ったが断られた。根性はあるらしい。 船が港に戻る少し前に、男は俺に柄杓を返して泣きながら海へと沈んでいった。 本当にあいつは何がしたかったんだ。
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61 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:32:26 ID:KfR/4l0P0 - 俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。
人が居付かない部屋というものがある。今回の依頼はその原因の究明だ。 その部屋というのはあるアパートの2階の端、7段ある階段を上ったすぐの所。 聞いた話によると毎晩、子供の声で階段を1段づつ上る声がするらしい。 初日は「かいだんひーとつのーぼった」 2日目「かいだんふーたつのーぼった」 いままでの住民は全員、7日目、つまり子供が上りきる前に逃げ出していた。 気味が悪い、という理由だ。 だが、ついに7日間耐え切った男が現れ、そしてその男は7日目に変死した。 死因は心臓麻痺。“何か”を見てショック死した説が濃厚で事故扱いとなった。 その“何か”は不明。何が起こったのか、それを知るのは死んだ男だけだ。 ここまでは警察の捜査で判明したことだ。 だが事故では困る保険会社から俺に依頼がきたというわけだ。 まったく、…せちがらい世の中だぜ。 俺は客に成りすましてその部屋の賃貸契約を済ませた。 もちろん、一週間だけそこに住んでみるつもりだ。 俺が住み始めてから確かに毎晩子供の声がした。 毎晩一段づつ上ってくる。律儀に毎晩、同じ時刻に。……そして7日。 特殊なメイクをし、鉈を持って登ってきた大家は俺に簡単に取り押さえられた。 事前に連絡を入れて警官を配置してもらっていたから話は早かった。 俺の調査で大家には随分と借金があったことがわかっている。 ふん……、まったく、せちがらい世の中だぜ。
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62 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/27(金) 22:32:56 ID:KfR/4l0P0 - 私の名前はミキ。弁護士よ。
自分で言うのもなんだけど、まだ一度も負けたことは無いわ。 この間、5月に仕事の打ち合わせに行ったら不思議な出来事にあったわ。 降りてくるエレベーターの中から子供のはしゃぐ声が聞こえてきたのよ。 私は1階で待っていたのだけれど、ドアが開いても誰も出てこなかったのよね。 打ち合わせの相手は私が困ったときに手を貸してくれる探偵。ちょっといい男。 それからしばらくして彼に電話して報告を聞くと、そのあとで彼がこんな話を始めた。 「最近ガキが夜中に廊下で騒ぐんだが、叱ろうと思っても誰も居ないんだよな…」 私は5月の出来事を思い出して、何か言おうとしたその時。 「おい、来てるぞ。…しかも入ってきやがった。」 受話器の向こうで子供の笑い声がしたと思うと、電話はそれきりプツッと切れたの。 私は急に怖くなったわ。こんな話をどこかで聞いたことがあるのよ。 確かその話の中で、男は殺されたとか、行方不明になったとか…… 冗談じゃない、私はすぐに彼の仕事仲間に連絡を取ったわ。 五分…十分…連絡は来ない…もう、何してるのかしら。 私は爪を噛みながら自分でもおかしいくらいに事務所の中を歩き回った。 どんどん嫌な予感が膨らんでゆく。私がこんなにも取り乱すなんて、ふふっ、変よね。 電話が鳴った。相手はすぐに「マコトです。」と名乗った。 「いやぁ、連絡していただいて助かりました。 ジョージさん、子供相手にお説教始めちゃってて。 何しろもうこんな時間ですからね、……もしもし?聞いてます?」 私は無言で受話器を置いた。そうね、そういう奴だったわ。
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