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作者 ◆gby2MQSCmY : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
【エロ】山形先生Part5【オカルト】

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: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
679 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 00:04:04 ID:ySwx5u+q0
『もしもし、的場ですが…』

「私です。鬼塚です」

『あぁ先日はどうも…楽しかったです。温泉』

「あーいえいえ。こちらこそ…。ところで…」

用件は、二人が出会うきっかけとなった『しじんの村』という自殺系サイトの
ことである。彼らはゴドウィンと名乗る人物の誘いに乗り、自殺することを
決め、都内の待ち合わせ場所へ向かった。

しかしクルマのトラブルでゴドウィンは結局現れず、偶然の形で、ケンシロウと
ケイコは出会ったのだ。そして恋に落ち、熱海に二人、旅行に行くほどの関係に
発展した。

しかし、ケンシロウのパソコンには毎夜毎夜、ゴドウィンからのメールが届くので
ある。一度は約束したのだから、とにかく一緒に死んでくれなくては困る、という
内容で、いくら断ってもしつこくメールは届いた。

脅迫めいた内容にケンシロウは畏怖を感じ、また、同じく彼とコンタクトを取ったで
あろうケイコのことが心配で連絡をしてきたのだ。

しかしケイコはパソコンをしばらく立ち上げていないのでメールのことは分からないと
言い、ならば見てみますと、一度電話を切った。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
680 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 00:12:32 ID:ySwx5u+q0
しばらくすると、『男はつらいよ』のメロディがケンシロウの携帯電話
から流れた。的場家からの電話に割り当てられた着信メロディだ。

「もしもし」

『あ、ケンシロウさん?見てみたんですけど…毎日毎日すごい数の
メールが来ていて…。無視するなとか、一緒に死んでくれなければ
困るとか…怖いですね…』

「やっぱり…!」

『やっぱり警察に言ってみましょうか…?』

そこでケンシロウは自分の社会的地位が気になった。不祥事も色々と
続いている。その上自殺サイトで自殺仲間を探したなどとなれば下手を
すればテレビニュースに流れてもおかしくはない不祥事になるやもしれ
ない。

生徒の自殺は連日報道されている。そこへきて今度は教師、しかも校長と
なればマスコミが飛びつくだろう。

ケンシロウは素直にその不安を打ち明けた。

『…そうですよね…。どうしましょう…』

その後もしばらく話は続いたが、直接何か被害にあっているわけでもないし、
もう少し様子を見ようという話になった。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
681 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 00:18:18 ID:ySwx5u+q0
珍しく家にいたリュウジはリビングのパソコンの前で不安そうに
している母の様子が気になった。

「どうした?」

「あぁリュウジ…。実はね…」

自分が自殺を試みようとしていたことなど言いにくいことではあったが、
彼女は正直に打ち明けた。そしてついでにそこでケンシロウと出合った
ことも告げた。

ケンシロウとは学校の集まりでたまたま出会ったということになっている。

それがどうもリュウジを騙しているようで気にはなっていたのだ。

「…なるほど…。確かに物騒なメールだな…。相手の素性は分からんのか?」

「…ゴドウィンって名前ぐらいしか…。あと乗ってるクルマは分かるわ…どの
メールだったか…あぁ、これこれ。ホンダの…CR−V?それで待ち合わせの
場所に来ることになっていたの」

「…CR−V…?」

リュウジは思い立って、少し前の新聞を漁り出した。

「何かあったの?」


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
683 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 00:26:13 ID:ySwx5u+q0
これだこれだと出してきた社会面の比較的大きい記事。そこには、

『他殺?自殺?山中に謎の遺体三名』

とあり、ある山の中で、密閉した車内で練炭自殺を図ったと見られる
男性の遺体が見つかったという記事が出ていた。しかし不思議なことに、
その車内には男の一酸化中毒死の自殺体以外に、二つの遺体があり、
それらは刺殺体だったという。

警察は、自殺した男が二人を殺した上、自分は自殺した可能性が高いと
して捜査しているが、身分を示すものが何もなく、誰が誰やら分からない
というところで記事は終わっていた。

「…CR−Vだ…」

記事に直接車名が出ていたわけではないが、現場で撮影された写真には
確かに黒のホンダ、CR−Vが映し出されている。

「どういうこと…?」

「いや、やめよう。ありえない。そもそも人気車種だ。偶然だろう」

リュウジはちょっと泣きそうだった。相変わらずお化け、幽霊は駄目だ。まさか
その記事にある自殺した男がゴドウィンで、彼の怨念がメールを送り続けている
など考えただけでも胃が痛くなった。

つづく

: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
684 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 00:34:36 ID:ySwx5u+q0
リュウジは早速、軽子沢新聞、国内担当、志賀マサトを呼び出した。彼らに
休日はない。

「何か事件らしいな…」

「マサト。この事件を知ってるか?」

新聞を眺めるなりマサトはその後の警察の捜査状況をぺらぺらと話始めた。
やはりこの二人、異常である。どういうコネクションを持っているのか。

「…まだ地元警察は遺体の正体を割り出せないでいる。捜査本部が立っている
から県警も動いているはずだがまだ何も情報は得られてないはずだ。何なら
聞いてみるか…」

静岡県警の刑事に電話し、聞いてはみたがやはり有益な情報はないらしい。

そこで、リュウジは母、ケイコの元に届いているメールについて話した。

「…CR−V…車種は共通しているようだな…。やはりフリーメールか…追跡は
まず不可能だ…」

志賀マサト、委員会は新聞委員会だが、部活動は電算機同好会。パソコンに
詳しい。特にハッキング、クラッキングの類には明るかった。

「…しかしもしこのゴドウィンって野郎がが静岡の自殺体だったとしたら…?」

リュウジは泣いてしまった。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
685 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 00:41:30 ID:ySwx5u+q0
「…餅は餅屋…軽子沢調査隊に協力要請…」

「そうだ!それがいい!」

的場リュウジ、意外と薄情だ。例の心霊写真についてもそうだが、
自分の手に余ることについては人任せな部分もある。
(第九十六話 『倨居(うつい)』 参照)


「…と、いうわけだ」

「…何か怖いですね…」

雪野カエデは興味を示した。霧原トオルとサヨリは話を聞いているのか
いないのかよく分からない。

「是非、君たちに調査してもらいたい!期待しているヨ!」

もうかなり人格が変化しているが的場リュウジの発言である。とにかく
幽霊は駄目なのだ。

いそいそと二年A組の教室をリュウジは出て行き、調査隊だけが残った。

「…どうするの?」

「どうしよっか」

「…ゴーストさま…(第四話 『天体観測』 参照)」


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
686 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 00:46:02 ID:ySwx5u+q0
「ゴドウィンを呼び出してみるんですか?」

「そういうこと」

「本名分からなくてもできるのかな…?」

「ネオ・ゴーストさまで試してみましょう…」

「ネオ!」

聞いたことがない。『ゴーストさま』は、いわゆるコックリさんや、
エンジェル様の一種であるが、特定の故人を呼び出せる特徴が
ある。例えば徳川家康を呼び出すことすら可能なのだ。

その進化系である『ネオ・ゴーストさま』をサヨリは知ると言う。トオルも
カエデも初耳だった。

「ど…どうやるんですか…?」

「ゴーストさまは紙を使う。しかしネオ・ゴーストさまは肉体を使うの」

「肉体!」

「そう…。身体に霊を、降ろすのよ!」

教室の窓ガラスを木枯らしが叩いていた。


つつづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
687 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 00:50:03 ID:ySwx5u+q0
マジックで、サヨリの額に『ゴドウィン』と書く。

それだけ。

『ネオ・ゴーストさま』は呆気ないほど簡単だった。

「コンニチワ。ボク、ゴドウィンデース」

「え?」

「ゴドウィン。何デ呼ンダ?忙シイ。早ク帰リタイデース」

「…サヨリさん…ですよね…?」

「ボク、ゴドウィン」

「何でカタコトなの…?」

「外人。ボク外人。トム、ゴドウィン」

「…お帰り下さい…」

「グッドラック」

ばったりとサヨリは倒れた。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
688 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 00:55:30 ID:ySwx5u+q0
「はっ!あたしどうしてたの!記憶がない!」

「嘘くせぇ…」

「…手に負えないですね…」

結局事件は振り出しに戻り、的場リュウジの手元に戻された。

「使えねぇ…」

「しょうがないよ…相手がメールじゃ俺の右手も使えないし…」

「『調査隊』だろうが貴様ら!『調査』しろ!」

「あんたも新聞委員でしょ…」

「…怖いんだね…要するに…。お化け…」

またリュウジは泣いた。

「あの、とりあえず、ゴドウィンさんからの誘いを受けて、待ち伏せて
みるのはどうですか…?」

意外なカエデの提案に凍りつく。そうだ何故それをしなかったのか。
一応のるだけのってみる価値はある。もし祟りや呪いの類であれば、
とっくに何らかの被害を受けていていいはずだ。


つづく

: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
689 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 01:01:54 ID:ySwx5u+q0
相手がせいぜいメールを出してくる程度の能力しかなければ、
そのまま迷惑メールとして処理すればいい。

待ち合わせにこなければ単なるこけ脅し、やって来たら来たで
それこそ的場リュウジの出番である。


「大丈夫かしら…」

提案に、的場ケイコは不安な顔色を見せた。

「俺に任せろ。マサトもついている」

「…頼むよ!リュウジ君!」

「貴様にリュウジ呼ばわりされる覚えはない!」

まだ、校長を未来の父親と認められないリュウジである。

「…ま、的場君…」

「それでよし!」


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
690 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 01:09:57 ID:ySwx5u+q0
『分かりましたそんなに言うなら約束ですから一緒に
死にましょう、待ち合わせの時間と場所をお願いします』

というメールを出すと、ただちに丁寧な返事がゴドウィンからあった。

待ち合わせ場所は以前と同じ。ケンシロウとケイコが出会った、都内の
ある小さい駅である。

駅前はロータリーになっていて、クルマの流れは一方向だった。南側から
やってきて、駅前のロータリーをぐるりと回ってまた南に向かっていく。

これは好都合だった。駅前に向かう道はその一本の一方通行。狙撃には
もってこいだ。駅から五百メートルほど離れた雑居ビルの屋上にリュウジは
待機。ゾブロジェブカベスティン・ファルコン・スナイパーライフルを構える。
アンチマテリアルライフル。相手が戦車ならともかく、ホンダCR−Vなど
一発で貫通する。貫通どころか、車体は木の葉のように舞い上がり、確実に
破壊できるだろう。

駅前には緊張の面持ちのケンシロウとケイコ。そのすぐ側にはさり気なく
マサトを配置。そして更に遠巻きにして、軽子沢調査隊メンバーが様子を
伺う。何故かサヨリは白い着物姿で雪女のようだった。余りに目立つので
死角に入るためちょこまかと動いていて鬱陶しい。

「なんでそんなの着てきたんですか?」

「寒くないの…」

「…ファッション…都内だし…」


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
691 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 01:14:21 ID:ySwx5u+q0
「ファッションって普通人に見られる為にするんじゃないの?」

「…真のファッションは自己満足よ…トオル…」

「…へぇ…」

「ところでCR−Vってどんな形なんですかね?」

「…俺は知らないよ…」

「あたしも存じ上げないわ」

「…」

だめだめである。

やがて、南に、一台の怪しげな車影が見えた。ゆっくりとこちらに近づいてくる。
マサトが無線でリュウジに言う。

「CR−Vだ!見えてるか!」

慌ててスコープを覗くが確認できない。

「…確認できない!」

「今、ファーストキッチン前を通過!こちらに向かっている!」


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
692 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 01:19:22 ID:ySwx5u+q0
「落ち着けリュウジ!今サンクスの前だ!前にタクシーがいる!」

やっとスコープで捉えることができた。

「確認!」

「構わん!射殺しろ!」

「指揮権はこちらにある。俺の判断で決める」

「了解!」

スコープがCR−Vの運転席を覗いた。そこは、無人だった。

「…ジーザス…!!」

的場リュウジ、失神。

「…リュウジ…どうした!撃たないのか!目標、更に接近!」

リュウジからの返答はない。CR−Vは駅舎に近づき、ケンシロウたちの前で
止まると助手席のドアが開いた。中には誰も、何者も乗っていなかった。

『…お待たせしましたゴドウィンです…どうぞ乗って下さい…』

「!」


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
693 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 01:29:57 ID:ySwx5u+q0
マサトは無人の車内にM67手榴弾のピンを抜いて投げ入れた。

パイナップルと通称で呼ばれる確かにパイナップルに似た手榴弾、
MK2に比べ重量は半分。しかし威力は同等の炸裂破片型手榴弾。

単に爆風、爆圧によるダメージだけではなく、その容器の破片そのもの
が爆発で四散し、特に狭い空間においては有効な兵器だ。

こんなものが車内で爆発すれば乗っている人間は粉々になった手榴弾の
破片を雨あられと浴び、致命傷を負う。

投げ入れると同時にクルマのドアを閉め、両肩にケンシロウとケイコを抱いて、
倒れ込むように伏せる。

CR−Vは爆発し、吹き飛んだ。

「状況終了。速やかに退避!」

近くに交番もある。とにかく早く逃げる必要があった。ケンシロウとケイコを
連れて駅へと消えるマサト。離れて見ていた軽子沢調査隊の面々は、ただ
新聞委員会の手際の良さに感心するばかりである。

リュウジは雑居ビルの屋上で、対物ライフルを抱えたまま失神していた。

以来、ゴドウィンからのメールは来ない。


  終
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
699 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 15:37:25 ID:ySwx5u+q0
サヨリの制御が全くできない…こんなキャラクター初めてだ…。
怖い…怖いよ…(;´д⊂ヽ

このまま『あぶない刑事』の、浅野温子さんみたいな『単に変な女』
ってキャラクターにならなきゃいいけど…。俺が描きたいのは人の
明と暗だ。(全作共通)

あと一話入りきるかな…今日分は短めでいくか。
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
701 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 22:18:59 ID:ySwx5u+q0
さてここらで怖い話でもするか。

その日、岡崎リョウコの姿は図書館にあった。帰宅して、受験勉強をしようと
思っていたが、近所で道路工事が行われていて、騒音が気になった。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
702 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 22:27:44 ID:ySwx5u+q0
耳がいいというわけでもないが、リョウコは道路工事や自動車の騒音、
また隣近所から漏れ聞こえてくるテレビの音や音楽などが苦手だった。

集中力を奪われるのだ。普段の小さな邪魔な音ならば、自分の好きな音楽
でもかけて、かき消してしまうのだが、その道路工事の音は近く、騒がしく、
そう簡単にかき消えてくれそうにない。

夜になれば終わるだろうと、とりあえず図書館の自習室を使わせてもらおうと
思い立った。

しかし、自習室は既にいっぱいで、彼女は仕方なし、書架を眺めていた。

高い位置に『西洋 魔女狩りの歴史』という本を見つけて興味を持ったが、
手を伸ばしても微妙に届かない。

すると、横からにゅうと手が伸びてきて、その背表紙をつかむと、

「これ?」

という声が聞こえた。横を見ると、高校生か大学生か、とにかく自分より少し
年上の青年がいた。顔立ちが美しかった。

「…あ…はい…」

身長が高い彼は、その本を引きずり出すと、リョウコに手渡し、微笑んだ。

図書館でナンパか…リョウコは思ったが、美しい彼に多少の魅力を感じない
ではなかった。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
703 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 22:36:25 ID:ySwx5u+q0
面食い、というわけではない。今まで何人か付き合った男子はいたが、
いずれも周囲から、何で彼を選んだのか、と聞かれることもしばしばで、
見た目よりも、内面を彼女は重視する。

しかし、彼の美しさは単純に芸術的に評価できた。恋愛感情とはまた
違う。人間に対して失礼だとは思ったが、鑑賞に堪えうる容姿を彼は
していた。

「ありがとうございます」

頭を下げると、彼は言った。

「日本の文化を勉強したいのだけど…」

彼が言うには、日本の文化、特に日本人の特色について色々と学びたくて、
図書館に来たのはいいが、漢字が難しくてよく分からないので、話を聞かせ
て欲しいらしい。

しかし口に出す言葉は流暢な日本語で、顔立ちも美しくはあるが、日本人的で
あった。韓国か、中国の人だろうか。でもそれなら漢字が読めないというのは
おかしくないか。やはりナンパか、とも思ったが、二人は図書館の外のちょっと
した庭のベンチに腰かけて話をすることになった。

彼は基本的な日本文化については知っているようだったが、決定的に間違った
部分もあり、相変わらず日本人は主に下駄や草履を履いているなどと思っていた
らしい。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
704 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 22:49:34 ID:ySwx5u+q0
会話は流暢だった。全く日本人と変わりはない。話が進んで、つい
リョウコは彼に何人か訊ねた。

「宇宙人…って言ったら信じてもらえる?」

しばらく考えていたが、彼の目は人を馬鹿にしたような目をしていなかった。

「…うん、信じる」

実際に宇宙人は見たことがある。(第四十二話 『不惑知らず』 参照)実際に
見たのだから、信じろと言われれば信じられる。

「…笑いもしないですぐに信じてくれる人は始めてだ…」

驚いているのはむしろ彼の方だった。今まで何人かと接触はしたらしいが、
彼が真剣に宇宙人だということをアピールすればする程、呆れてしまうか
怒ってしまうかして、逃げられてしまうと言う。確かに無理からぬことだろう。

「じゃあ、あたしが日本のこと教えたら、そっちの星のこと、教えてくれますか?」

「いいよ。もちろん」

彼は優しく笑った。ある程度のことを聞き取ると、彼はサブカルチャー的なこと、
流行っている小説や、映画、遊びなどのことも色々と知りたがった。

じゃあ駅前に出ようと二人歩き出すと、並んでいる街路樹に辛うじて残っている
枯れた葉や、木枯らしにも負けず青く茂る常緑樹の葉、雑草などを集めては
何かバッグに詰めていた。いかにも私は宇宙人ですと言わんばかりの行動だが、
彼は真剣な様子である。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
705 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 22:56:05 ID:ySwx5u+q0
駅前で、彼はリョウコに勧められて何冊かのファッション雑誌や
漫画を購入した。他に興味をもったアダルト雑誌も恥ずかしげも
なく彼はリョウコの見る前で手にし、レジに向かった。

「…お金は偽物のお金なんだ。余り使うと迷惑…」

「あぁ…そうなんだ…」

「あれはゲームセンターというの?」

「そう。余り行かないけど…」

「あの前で余っている人は何をしてるの?」

「プリクラ。写真。分かる?みんなで写真撮ってるの」

「分かるよ。カメラで撮るやつ。撮ってどうするの?記念?」

「うーん…そうだね。記念っていうか、友達の証し…?」

「…友達…。一緒に撮ってくれる?」

何か、急に告白されたように、心臓が高鳴ったがリョウコは応じて、
二人でプリクラを撮った。どうしていいのか分からないらしい彼は、
真面目な顔でレンズを覗き込んでいた。

「撮ったら、落書きするの」

「写真に?」


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
708 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 23:06:35 ID:ySwx5u+q0
プリクラの写真に落書きする。リョウコはせっかくだから、彼の
星の文字を書いて、とねだった。彼は彼の名前を書いた。

不思議な文字だった。

「なんて読むの?」

「日本人には発音が難しいよ。リャウドヌゥスルヴィェットラゥトゥル。僕の名前」

「…難しいね…ベトラって呼んでもいい?」

とりあえず聞き取れた部分はベトラと聞こえた。

「うん。ベトラ。中途半端だけどね」

「中途半端って?」

「君の名前は?」

「岡崎リョウコ」

「だとしたら…、ザキリって呼ばれるのと一緒。中途半端」

「おか…ザキリ…ようこ…?ほんとだ。中途半端だね」

二人は笑って、夜になった。いいものを見せてあげると彼は彼女を
駅からだいぶ離れた公園に連れて行った。第二子供広場。閑散とした
その公園は、二人、知る由はないが、山形アカネが幼い頃、『薮睨みの
老人』と出会った、その公園である。(第七十一話 『幸御魂』 参照)


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
709 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 23:16:11 ID:ySwx5u+q0
ベトラは、流線型でスタイリッシュな携帯電話かリモコンのような物を
取り出すと何か操作した。すると、公園の中央に光り輝く、美しい
メリーゴーラウンドのようなものが空間に浮かび上がった。

「…すごい…きれい…」

「UFOって呼んでるやつだよ。乗り物。これに乗って帰る。今日は
いい勉強ができたよ。ありがとう。後一つ、頼みたい」

「何?」

「日本人の食文化が知りたい。歳を取ると食べるものの好みがどんな
ふうに変わるか。若い人と、歳を取った人と食べる好みが違うと、聞いた」

「…そうだね。でも何て説明すれば…」

二人はキスをしていた。優しく腰を抱かれ、引き寄せられて、くちびるを合わ
せて。リョウコはわけがわからず、しかし抵抗もしなかった。何かが口の中に
入ってくるのを構わず、飲み込んだ。

「それでいい。それで分かる」

彼は口移しで、リョウコにある小さな小さな機械を飲み込ませた。それは胃に
留まり、リョウコが口にする食べ物の成分などの情報を絶えず彼の元へ送り
続ける機械らしい。人体には無害だという。

地球上でキスと呼ばれる行為は彼の星ではごく当たり前で、握手のようなもの
らしい。リョウコは日本では特別な意味があることを教えた。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
710 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 23:21:24 ID:ySwx5u+q0
ベトラはひどく困惑して、謝罪したが、リョウコは許した。そして、ベトラは、
日本人のキスの意味としても今のキスは正しかったと言い残すと、輝く
円盤に乗り込んだ。

リョウコは今になって少し寂しい気分になったが、自分の体内にあるこの
不思議な機械があるだけで、ずっとベトラが見守ってくれているような気が
して、何となく幸せだった。

円盤は更に輝いて、音もなく空に浮いた。高く高く。

その時何か、がんと金属同士が強くぶつかるような音がして、円盤は光を
失って、ふわふわと舞い落ちる木の葉のように落ちてきた。

「?」

ベトラは降りてきて、不思議そうな顔をして言った。

「故障かな…すごい音がした…直るまで飛べない…」

「じゃあもうちょっとここにいるの?」

「いるしかない」

何だか、リョウコは嬉しくて、思わず彼に抱きついた。


つづく
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
711 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 23:28:30 ID:ySwx5u+q0
その頃、第二子供広場から、三百メートルほど離れた
高層マンションの屋上にいた、的場リュウジは泣いていた。

「やっと…やっと…」

母親を半ばレイプしていた鬼塚ケンシロウを撃ちもらし、更に
ゴドウィンのCR−V狙撃の際には失敗し、とにかく狙撃したい
一心で何かないかと毎夜毎夜待機していた甲斐があった。

怪しく光る円盤をゾブロジェブカベスティン・ファルコン・スナイパー
ライフルの12.7ミリの弾丸が撃ち抜いたのだ。

そして謎の光る円盤は光を失った。狙撃は成功した。

リュウジは、セブンスターに満足気に火を着ける。格別であった。


  終
: 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
713 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 23:32:38 ID:ySwx5u+q0
>>706
えーリョウコタン…綺麗なお名前ですよねー。女なら俺もリョウコが
いい…。合いの手サンクスです!

>>707
そんなこと言うから面白いオチになっちゃったじゃん(笑) いやはじめ
から怖くするつもりはなかったよ^^

今回の作品は、筋肉少女帯の『くるくる少女』という曲にインスパイア
されて書いております。新スレにUFOの話を希望された方がおられた
ので一応リクとして受け付けました。ありがとうです^^
【エロ】山形先生Part5【オカルト】
15 :作者 ◆gby2MQSCmY [sage]:2006/10/25(水) 23:36:34 ID:ySwx5u+q0
完璧!ぴったり収めた!俺天才!>>1おつです!

まとめ人さんありがとです!!早速活用します!

あとUFOのリクくれた人感謝!


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