- 私メリーさん【五人目の犠牲者】
396 :Lady メリー ◆MERRY.VeEM [sage]:2006/10/22(日) 13:21:44 ID:JjRXNPqv0 - とりあえず二話だけ投下します。
夜には続きを出せると思いますが・・・。 えー、絵美里達が「少年」と遭遇したシーンからです。 では!
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- 私メリーさん【五人目の犠牲者】
397 :メリーさんを追う者[sage]:2006/10/22(日) 13:25:53 ID:JjRXNPqv0 - ついに絵美里達の前に姿を現わした「少年」・・・、
だが、もちろん、彼女たちはその「少年」の正体を知らない。 懐中電灯の光を浴びせられても、「少年」は眩しがるそぶりすら見せない。 ジーンズと白いフード付きトレーナーを着て、興味深そうに絵美里を見ているだけである・・・。 「あなた誰っ!?」 当然のことながら、絵美里は「少年」を警戒する。 こんな時間にたった一人で、暗闇の教室へ・・・。 しかも見た感じは高校生ぐらいだ、中学生という雰囲気ではない・・・。 この男の子が例の連続殺人犯・・・? そう、思って片手で定規を構えると、ようやく「少年」は席を立ち上がって口を開いた。 「ハハ、おどかしてゴメンよ? キミに害意は持ってないから安心していいよ?」 ホッ・・・、安心できそう、かな? この柔らかい声は、あの甲高いヤギ声ではない。 少なくとも変質者ではないようだ・・・。 改めて少年の顔を見つめているうち、麻里が絵美里を呼びかけた。 ”エミリー、エミリー、そろそろいいでしょ? あたしと換わって!” ”・・・えっ、別にいいけど何で今・・・?” その問いに答える間もなく、百合子のカラダは麻里が主人格となった。 麻里は定規をおろしてから、一度、服の胸元を正して少年に笑いかける。 ・・・何かマリーの様子が変・・・。 「あ、あの、あなたは? ここの学校の人?」 ・・・少年はすぐには答えず、教室の扉までゆっくり移動すると、入り口にある電気のスィッチをつけた。 あっ、そんなことをしたら、「アイツ」にすぐ・・・! 「・・・大丈夫だよ、今、この部屋はアイツに認識できちゃいないから。」 麻里も絵美里も、その少年の言葉の意味をすぐには理解できない、 だが、この少年がどうやら、この校舎の中の異常事態を理解している事だけは間違いないようだ。 麻里の近くまでやってきた少年、 緊張し気味の麻里に気を遣ったのか、かすかな笑みが爽やかだ・・・。 彼は思い出したかのように・・・、 「・・・ああ、僕かい? ・・・うんまあ・・・、この学校のモンじゃない、 じゃあ、なんでここにいるかと言うと・・・、キミ達とは別の理由で『ヤツ』を追っている・・・。」
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- 私メリーさん【五人目の犠牲者】
398 :メリーさんを追う者[sage]:2006/10/22(日) 13:28:01 ID:JjRXNPqv0 - 麻里は改めて、まるで西洋絵画から抜け出てきたような、少年の優雅な顔つきに心を奪われる。
”・・・うわぁ・・・!” ”・・・ちょっと? マリー? マリーってば!?” ”ねぇねぇ? すっごぃかっこ良くない? エミリー、どう思う?” ”か、かっこいいかもしんないけど、マリー、い、いま、そんな事!?” 絵美里の指摘でようやくマリーは我に返った。 やっぱり・・・女の子だからねぇ・・・。 「あ、あの、それで、あなたは今、ここで何が起こっているのかご存知なのです?」 「うん、ま、大体は・・・ね。」 「では、教えてください! 一体、あの気持ち悪い声の男は何者なのですか!?」 少年は少し間をとってから、とぼけた表情を顔に浮かべた。 「・・・んー、身も蓋もない言い方すると、ただの頭のおかしくなった異常者だよ。 そうなった原因は・・・興味をそそられるかもしれないけど、 君たちはそこまで気をまわす必要はないと思うよ?」 ここで麻里は、少年の言い回しの奇妙さに気づいた・・・、「君たち」・・・? まさか絵美里とカラダを共有してるなんて、初対面の人間がわかるはずも・・・、 あっ スティーブのことかしら!? 「えーと・・・、もしかしてそこの廊下で、外人の男の人を見ませんでした? 暴漢に襲われたかもしれないんですけど・・・。」 「ああ、彼なら助けたよ、今は一階の保健室にいるはずだ、 ただ、僕がそこを出てからは、彼が無事かどうかは保障しかねるけどね。」 「そうですかぁ、ありがとうございます、・・・とりあえずは良かったぁ・・・。」 ・・・じゃあ、あとは、彼からいくつか情報を聞きだして、と・・・いろいろな情報を・・・ふふっ? ”もしもしぃ、まぁりぃ〜・・・” ”わかってるわよ、エミリー!” 「あのー、あなたはどういった方なんですか(できればまずお名前からぁ)?」 少年がその問いに口を開きかけた瞬間、麻里たちの耳に、早足で近づいてくる足音が聞こえ始めた。 タッタッタッタッタ・・・! この足音は小柄な・・・女性? ガララッ!! 教室の扉を開けて現われたのは、制服姿の麻衣だ! 麻衣は息つくヒマもなく、麻里に向かって大声で叫ぶ。 「麻里ちゃん! その人から離れてっ!! その人・・・、人間じゃないっ!!」
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- サイレントヒルのような世界6
147 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/22(日) 16:43:51 ID:JjRXNPqv0 - 穴に入れたいんですが・・・
とりあえずアンジェラでいいや。
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- 私メリーさん【五人目の犠牲者】
399 :Lady メリー ◆MERRY.VeEM [sage]:2006/10/22(日) 23:45:15 ID:JjRXNPqv0 - なんか、このスレの上に
「本 当 に 人 間 か !?」 なんてタイトルがあるなぁ・・・なんか気になるなぁ・・・まぁいいや、 残り、行きます!
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- 私メリーさん【五人目の犠牲者】
400 :メリーさんを追う者[sage]:2006/10/22(日) 23:46:58 ID:JjRXNPqv0 - !?
麻里も絵美里も最初、麻衣が何を言ってるのか理解できなかった。 「その人が危険」とでも言われれば、素直に少年の近くから離れただろうが、 「人間じゃない」と言われても、目の前のその姿は・・・。 麻衣がここにやってこれたことには不思議はない。 聞こえていたのかどうか自信はなかったが、さっきの電話で伝えていたし、 緊急事態なら、麻衣の透視能力でこの場所も認知できるだろう、 それにいま、この教室だけ明かりがついている。 麻里はそこまでは判断できた。 だが、麻衣は何を感知してこんなことを言い出したのか? 彼が、「リーリト」のような人間の亜種だとでも言うのだろうか? 麻里は少年と麻衣の顔をキョロキョロと見比べる。 真剣な表情の麻衣とは対照的に、少年の顔は柔らかい笑顔のままだ・・・。 「麻里ちゃん、信じて! その人には・・・魂がない! カラダは人間なのかもしれないけど、魂がない人間なんて存在できるはずがないの! 正体はわからないけど・・・とにかく危険なのよ!!」 ようやく麻里は麻衣の言いたいことがわかった。 確かに、こんなことを言われて、少年の表情に変化がないのはおかしい。 普通なら、否定するか、 さもなくば「何を言ってるかわからない」、とでもいうような対応をとるのではないだろうか? ・・・ようやく、麻里は事態を深刻に受け止め始めた・・・。 懐中電灯はもう必要ない・・・。 麻里は机の上にゆっくりそれを置き・・・、 一、二歩下がりながら、再び定規を両手で握りなおして、戦闘態勢をとる。 ”マリー、大丈夫!?” 絵美里が心配するが、麻里はもう心を切り替えてる。 ”大丈夫よ、エミリー、・・・勿体無い気もするけど・・・。” ”(・・・ほんとにだいじょーぶ・・・?)” 不安を隠せない絵美里を他所に、麻里は、先ほどとはうって変わった態度で少年に詰問した。 「・・・改めて聞きなおしますわ・・・、あなたは何者なんです!?」
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- 私メリーさん【五人目の犠牲者】
401 :メリーさんを追う者[sage]:2006/10/22(日) 23:50:44 ID:JjRXNPqv0 - 少年はしばらく彼女たちのやり取りを興味深く見守っているだけだったが、
戦意を以って自分に対峙する麻里を今一度見つめると、 突然朗らかに笑い始めた。 「何がおかしいのですか!?」 「・・・アハハ、ごめんごめん、笑うのは失礼だよね? ただ、リーリトとやらの力もそこまでか・・・と思ってね、 それに・・・麻衣ちゃんだっけ? 『人間じゃない』ってセリフは、この僕の目の前にいる女性が人形だった時に、 まさに今、彼女たちが間借りしているカラダの持ち主に向かって言ったセリフじゃなかったっけ?」 麻里と麻衣に衝撃が走る・・・! どうしてそんなことまで・・・? 「・・・できれば私たちの最初の質問に答えては貰えないかしら・・・!?」 麻里は凄みを増した。 この目の前にいる少年は只者ではない、 それこそ、この学校の教師やスティーブを襲った男よりも、危険な存在かもしれないと思い始めたのだ。 「オーケー、わかったよ、だが、僕が何者かは、まだ言えない。 別にもったいぶってる訳じゃないよ、 君たちに理解させるのは時間が掛かるだろうと思うだけなんだ。 ただ、誤解は解いておきたいな? まず、僕は君たちの敵じゃない・・・さっきも言ったよね? それから、麻衣ちゃんは僕のことを『魂』がないなんて言ったけど、 それも間違いだ。 君たちが『魂』と定義するもの・・・それは僕にもちゃんと存在する。 君が言ったように、『魂』がない知的生命体など確かに存在しないだろうからね、 ただ、麻衣ちゃん・・・君の能力では僕の『魂』を確認する事が出来ない・・・ それだけの事なんだ・・・。」 超常感覚を有していない人間には、どう理解すべき説明なのか全く見等もつかないだろう。 話の次元は異なるが、 光のあるところで影のない人間など存在しない、 という話と同じぐらいあり得ない問題だと思ってくれればいいのかもしれない。
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- 私メリーさん【五人目の犠牲者】
402 :メリーさんを追う者[sage]:2006/10/22(日) 23:54:01 ID:JjRXNPqv0 - 一方、ここまで自分の能力を見くびられた麻衣は心中ただ事ではない。
別に誰に自慢する気もなかったが、 かつてレッスルお爺ちゃんにも絶賛されたリーリトの能力が、 ここにきて不調なばかりか、こんなどこの誰とも知らない男に、一蹴されてしまったからだ。 「・・・何よ! 黙って聞いてれば言いたい放題! なんで初対面のあなたにそんなこと、言われなきゃならないの!!」 麻衣が怒るのも珍しい、 だが、先ほどの自宅での不思議な体験や、今度の事で、 身体的にも精神的にも疲労が重なっているのだ。 感情の起伏が激しくなるのも仕方のないことである。 ここで、例のヤギ声の男に乱入されれば、一歩も動けずにその凶刃の餌食になるかもしれない。 今は、少年の「この教室はヤツに認知できない」というセリフを信じるしかないだろう・・・。 「ん〜、確かに君が怒るのも判るけど・・・、 君が入ってくるなり言った『人間じゃない』発言よりかは失礼じゃないと思うけどなぁ・・・。」 ・・・そう言えばそうだ。 はたからでも分るように麻衣の顔は紅くなっていく。 「そ・・・それは、あの・・・ごめんなさい! で、でもどういうことなの! あなたはあたしの力を上回る能力者だとでもいうの!?」 興奮する麻衣を抑えようと、麻里がゆっくり後ろに下がる。 こういうときは、やはり彼女が、一番お姉さん役としてピッタリなのかもしれない。 少年はそんなことはどうでもいいようだが、麻衣をなだめるように話しかける。 「いやいや、能力の優劣の問題じゃないんだ。 ・・・次元が違う、とでも言うのかな? 君もここのところ、自分の能力が完全でないことは気づいているんだろう?」 「あなた・・・まさか?」 「一応、これでも、君の友人を助けたりとか、友好的な態度を示したつもりなんだけどねぇ?」 「・・・じゃあ、なつきちゃんの言ってた高校生ぐらいの人って・・・、あなた!?」 「そういうことになるかな?」
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- 私メリーさん【五人目の犠牲者】
403 :メリーさんを追う者[sage]:2006/10/22(日) 23:57:34 ID:JjRXNPqv0 - そうなると、全て合点がいく。
あの時も、そして自宅から学校を覗こうとした時も、 そして今、このときも、麻衣の透視能力にはこの少年の姿が全く映らないのである。 しかも、彼本人だけに留まらず、その不覚視領域は、時として、触れた人間相手から、 彼が存在する建物一帯にまで拡大できるみたいなのである。 その反結界とでも言えばいいのか、その中に立ち入った今では、 再び透視能力は発揮できるようだが、相変わらず少年本人は探知できない。 ・・・つまり「魂」を確認できないのである。 「もっと分りやすく言おうかな? 一般的に人間が認知できるものは、ほんの狭い領域だけだ。 例えるなら地を這うナメクジが前方だけしか見ることが出来ないように・・・。 ところがリーリトみたいな特殊な能力を持っている君みたいな子は・・・、 そうだな? その首を動かし、前後左右360度認識できるとしよう。 ・・・でも、ここまでなんだ。 空高く飛んでいる鳥の姿を捉える事が出来ない、例え、その目に影を映すことが出来たとしても・・・。」 「あなたが・・・その鳥だとでもいうの? そんな・・・リーリトを上回る能力なんて・・・。」 少年は「やっぱり」とでもいうように首を振る。 「だからね、能力の優劣の問題じゃないんだ・・・、『存在する次元』が違うんだよ・・・。 あと、そうそう、僕は君たちと同じ人間だよ、少なくともこのカラダはね・・・。 だから君たちにも僕の姿が見えるわけなんだけどね?」 麻衣は余計に混乱してきた。 そこで、二人のやり取りを聞いていた麻里が、会話に参入する。 「では・・・あなたが何者かは知らないけど・・・、 その高校生ぐらいの男の子に取り憑いている・・・ということなのかしら?」 顔を麻里の方に向けた少年は言う。 「ハハ、自分の境遇と重ね合わせたかい? でもね、僕は人間の母親から生まれたときからこのカラダに住み着いている。 取り憑いている、なんて表現はされたくないな、 ・・・そうだ、僕に似た境遇の人を知ってるよ、君たちもよぉく、ご存知の人だ。 こないだ、フランスの貧民街で、その生命活動を終了させたみたいだけど・・・、 名は・・・ブレーリー・レッスル・・・だったね?」
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