- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
209 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 00:03:05 ID:HuNc5Pck0 - 村人らの剣幕たるや凄まじく、遠く森の奥からでもやりとりがよく聞こえた。
更にそのまま村長宅の裏手へ回ると、村長は自分の信用がなくなったのは お前のせいだと娘を責め立てていた。犯され、ぼろぼろになった娘をである。 リュウジはそのまま、村長宅の背後に広がる森で朝を待った。眠らないつもり だったがついうとうととしていると、突然背後で気配がした。 眠気のせいで反応が遅れた気配は近い。 「…誰かいるのか…?」 『…しくじった…見られたか…!』 M16の安全装置を外し、ゆっくりと振り返った。森の中、男が立っている。 向こうもこちらを警戒しているようだ。 「…おいよ、誰かいるのか?」 「…ああ。いる」 人間かと安心したのか男は近づいてきた。しかしこんな夜更けに明かりも 持たず、森を抜けてくるとは。 つづく
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210 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 00:11:15 ID:HuNc5Pck0 - 男は昼間見た男だった。村長の娘と会っていた男である。
「おめぇこんな夜中になにしてんだ?」 その異様ないでたちにかなりの警戒心を持っているようだ。 「…おまえ外人か?」 「いや…日本人だ。何しに来た?」 「おめぇには関係ねぇ」 男がそのまま村長宅へ近づこうとするので、リュウジはそれをつい 止めてしまった。 「行くな。見張りがいる」 「…見張り…?」 「いいからちょっとこっちへ来い。ここじゃ気付かれる」 森奥深くへ男を連れ込み話を聞くと、やはり村長の娘に会いに来たらしい。 夜に会おうと約束したが待てど暮らせど来ず、一度は自分の家に帰ったが 心配なのと恋しくてどうしようもなくなり、来てしまったと言う。 つづく
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211 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 00:25:06 ID:HuNc5Pck0 - リュウジはこの村で起きていることを伝えた。娘が犯されたことはさすがに
伝えられず、そんな状況で、一人反乱に反対している娘が村人から信用されず、 見張りを立てられ出るに出れない状況なのだと言った。 「…霧原さまの家をつぶす話は聞いてたけど…まさか本気でやるなんて…」 やはりこそこそと会うだけあって、村長の娘との恋は密かなものであるらしい。 実際ここにやってきたのはいいが、堂々と玄関から入れる間柄ではなく、 とにかくいても立ってもいられなくなってここへ来たのだそうだ。 彼はクーデターを心配しているようでもあり、また何処か期待しているようでも あった。恐らく、クーデターは失敗に終わると思っているのだ。成功したとしても 首謀者である村長は確実に逮捕される。そうすれば娘と付き合えるようになると でも思っているのだろう。 しかし今度は反逆者の娘と付き合うことになるのだ。そちらのリスクを分かって いるのだろうか。 「…今年は何年だったかな…?」 「何言ってんだしっかりしろ。四十三年だ」 『…明治四十三年か…』 霧原トオルは、『事件は明治の初頭に起こった』と語ったが多少ずれがあるらしい。 とにかく、娘は無事で、家にいることを告げると青年を帰した。最後まで青年は リュウジが何者かを気にしていたが、適当に答えた。 つづく
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212 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 00:38:47 ID:HuNc5Pck0 - リュウジが青年から話を聞いている間、村長の家の戸がそっと開いた。
見張りの男は眠りこけている。彼のかたわらには槍があった。 槍といっても、木の棒に包丁を紐で結わいつけただけのものだ。霧原家 襲撃の為に作られた武器である。 娘はそれを手に取ると、自分の腹をかっさばいて果てた。 恋仲の男との関係は許されず、また父親は反逆を企て、何とか阻止しようと 思えば犯されて、それも全て父を、村を守りたいが為であるのに、村人からも 父からも理解されず責められ、絶望した彼女は死を選んだ。 自らを人身御供として反逆を阻止しようとしたのだ。自分を犯した男衆や、 村人、父親に少しでも善意があるのであれば、自分の死によって、今から 自分たちが犯そうとしている罪を思い知らせることができるのではないかとも 思った。 しかし自分の身をもってしても反乱が止められないならば、この村の全てを 呪おうとも思った。 声も立てず、血を流し、彼女は死んだ。なるべく壮絶な死に方をする必要が あった。その惨さで、村人の気持ちを下げなくてはならなかった。 今の言葉で言えば、盛り上がって上がりまくった村人のテンションを、徹底的に おとしめる必要があったのだ。それには自分の死が無残であればあるほどいいと 彼女は考えた。 つづく
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213 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 00:48:42 ID:HuNc5Pck0 - 「ひ…ひぃぃ!」
その声にリュウジは立ち上がり、村の全てが見渡せる位置まで移動した。 『…なんてことだ…!』 腹からはみでた腸がずるずると何メートルも伸びていた。血の池に村長の 娘は横たわっていた。 「大変だ!」 どんどんと村長の家の戸を見張りの男は叩いた。慌てて寝巻きのまま出てきた 村長は娘の凄惨な死に様を見て怒り狂った。 「お…俺じゃねぇ!」 村長は完全に見張りの男のせいにしていた。当然といえば当然である。彼の 槍が娘のかたわらにある。 何故彼女は自宅の包丁でも使わなかったのか。簡単な話である。とにかく 霧原家攻略にあたり、武器になりそうなものは全て武器にすべく利用されて いたのだ。村長の家の包丁も槍となり、その彼が持っていた槍の先について いた。 つづく
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214 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 00:59:11 ID:HuNc5Pck0 - 村長は家に戻ると、鉄砲を持ち出し、腰を抜かしている彼を撃った。
銃声がこだまし、その音で一斉に家々から村人が飛び出してくる。 死んでいる村長の娘。銃を持つ村長。死んでいる見張りの男。 「…む…村長が…!」 七世帯。三十七人の村で一度に二人が死んだ。死んだ見張りの 男にも五人の家族がいた。長男であった。息子の名前を叫びながら、 村長に襲い掛かる父親をも村長は撃った。 裏切り者疑惑が出ていた村長が、である。 霧原家襲撃の日。反乱が成功すれば自分たちが霧原家にとって代わり、 夏の暑さにも、冬の寒さにも、泥の汚れにも悩むことなく、裕福な暮らしが できるようになると夢見た、その夢が手に届こうという時に起きた惨劇。 村長の娘の思惑は大きく外れ、恨みが怨みを呼び、怒りが殺意を呼んだ。 狭い村社会の中で鬱屈したそれぞれの感情と思惑もあった。 三十七人の人がいるとは言え世帯数ではたったの七である。家族の一人でも 殺されればその一家全員の怒りに火がついた。 生憎なことに武器は揃っていた。 つづく
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216 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 01:11:10 ID:HuNc5Pck0 - 逃げ惑い、怒り狂い、銃声が響き、流れ弾に当たり、斧が振り下ろされ、
殴り合い、刺され、斬られ、叩きつけられる。 それでも血気盛んな若者数名が力尽きると混乱は収まりつつあった。 しかしそこへ怒号を上げて飛び込んでいく若者の姿があった。昨夜あった彼である。 村の真ん中で横たわる、愛する人の姿を見たのだ。彼は彼女のかたわらに 落ちていた槍をつかむと、次々と生き残っている村人を刺し、槍が折れれば斧を 拾い逃げ惑う老婆の頭を叩き、銃を拾えば村の出口辺りまで逃げてきた少年に 狙いを定め撃った。 最後に残った青年は、そのまま村を出て行った。 そして、誰もいなくなった。 村を訪れる者もなく、そのまま血生臭い夜を迎えた。 的場リュウジは森の中、さてこれからどうしたものかと思いつつ、深く昏々と眠った。 つづく
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218 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 01:26:14 ID:HuNc5Pck0 - 起きれば村はなく、ただ深い森であった。
朝もやに、朝日が差して、妙に神秘的で、しかし枯れた木がうら寂しい。 山を下る。道はない。全く記憶と違っている。全て夢だったのか。 やっと道らしい道へ出た。そう。山形ユウジロウと別れた場所だ。ここで クルマを降ろされた。 はっきりと時間の感覚がつかめないままとにかくその道を進んだ。 Y字路へ出る。音がした。クルマの音である。しばらく待っていると、山の下から スズキのジムニーがあがってきた。 さすがにM16を見られるのもまずい。モデルガンです、といっても不審がられる ことは確実だ。彼はためらうことなくライフルを茂みに捨てた。 つづく
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219 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 01:31:23 ID:HuNc5Pck0 - ジムニーが止まり窓が開いた。
「あんたこんなところで何しとるね?」 「すいません。道に迷ってしまって」 「…そうかい。まぁいいや。乗りなさい。近くの駅まで連れて行こう」 霧原の屋敷に忍びこんだ時にあったクルマだ…。だとするとこの男が館の 管理人か…。 悪路に揺られながら、慣れたハンドルさばきでジムニーを駆るその老人の顔が、 あの青年の面影を残しているような気がして仕方なかった。 またカメラを持っていて、あれだけの事件に遭遇しながら、何故一枚も撮影 する気にならなかったのか。それも不思議だった。 終
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- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
221 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 01:34:39 ID:HuNc5Pck0 - …どうだろう…これから読み返すけど感想お待ちしています…。
ちょっと伝奇風というか、横溝先生風にしたかったんだけど。。 あと、ちょっと長野とか信州方面は縁遠いので方言とか、そういう 部分全く分からずなんか変な感じかもしれんです。 その辺りは御容赦下さい。
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- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
224 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/02(月) 01:50:50 ID:HuNc5Pck0 - >>222
うん。なんか、『お化け嫌い』って核心になかなか迫らせてくれない…。 ブッツケで勢いだけで書いてると自分でコントロールできないんだよ。 不思議なもんで。勝手に書きあがってく。今回はリュウジの幽霊嫌い 克服の話書くぞーと勢いこんでも書き終わってみると全くそこに触れて ない。 途中でいかんと思うんだけどその時には調整できなくなってるんだな…。 でも少しずつ慣れてはいるんじゃないかと。多分。 >>223 そうですね…。自分でも何とも言えない話が書いてみたくて。最終的に 感情が中和されてしまうような。途中では怖いとか、悲しいとか切ないとか あるんだけど、読み終わる段階で全てが中和されて何とも感想の述べようが ない。ただなんか不思議で奇妙な感じだけが残る。そういう話が書きたいな。 書けたかな。そんなところですね(笑)
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- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
226 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 02:08:19 ID:HuNc5Pck0 - >>225
> 言うならば、自分自身の過去とシンクロしちゃった。 > あの時、違う学校に入ってたらどうなったかなぁ・・とかw > 済んでしまった事だけど後に残った色々な思い・・・。 > 本当に奇妙で不思議な話でしたwお疲れ様です。 最高の褒め言葉です。ありがとうございました! すごい嬉しいです。これからも頑張るです! やった!見ろ!見てるか本田先生!こんなこと言って もらっちゃったぞ!今日は幸せに眠れる! ありがとうでした!^^
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- 【JJ】JJ真贋論争3【明菜】
494 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/10/02(月) 18:50:43 ID:HuNc5Pck0 - >>492
>JJやみらいが描いた日本の近未来像(=特亜崩壊w)は全部出鱈目=日本は大人しく >中韓連合に併呑されるべきってところまで持って行くんじゃなかったNO!? あぁ、age荒らしとEに粘着してんのって↑が理由だったんだw なんか、ホロンとかネットウヨクとかさぁ、飽き飽きなんだけど。 そう言うのは、オジャスレか本スレでやってくんない? あとさ、ここのリンク貼って「あいつらんとこ過疎だから必死に宣伝」とか 自演工作やめてくれよ。マジで過疎で不気味な、この雰囲気が好きなんだからさぁ。
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230 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 21:21:54 ID:HuNc5Pck0 - >>タイトルの中の人 さま
おつかれさまです^^ ありがとう。さてさてどんなタイトルをつけてくれる かいのと思えば『諧謔』ときましたか…さすがです。お見事。参りました(笑) コントなんかも一種の諧謔ととらうれば、正にその通りですね。あれはほとんど コントですよww ところで、『陽炎』の詩の読み人はどなたですか?大変素敵ですね。 空蝉の世は常ならむ…すぅと沁みます。色は匂えど散りぬるを。
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232 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 22:38:11 ID:HuNc5Pck0 - >>231
御見それ致しました。お見事です。有吉も報われたことと存じます。
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234 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 22:58:54 ID:HuNc5Pck0 - さてここらで怖い話でもするか。
彼女の肌は透き通るように白く、髪と瞳が赤茶けていた。 生まれつき、色素が薄いのだと言う。 つづく
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236 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 23:09:35 ID:HuNc5Pck0 - 吹奏楽部に途中から入ってきた雪野カエデ(第五十九夜 『付喪神』 参照)に
最初に話しかけてきてくれたのも、その女性だった。 軽子沢中学、東棟三階。音楽室の放課後である。西に向いた窓からは夕日が 鋭く差し込み、彼女の目に入ると、その瞳は燃えるように赤く輝くのである。 サヨリ。彼女はみんなからそう呼ばれていた。だからカエデも彼女をサヨリさん、 と呼んでいた。胸につけたクラス章から、二年B組の生徒であることは分かって いた。 霧原トオルと同じ学級である。 しかしそれ以上のことは何も分からなかった。彼女は自分のことを語ることを 避けているようだった。 ある日のこと、その赤い瞳がぐるぐると炎の車輪のように回転しているのをカエデは 見た。正直、何か空恐ろしい何かを感じたものである。 しばらく見ていると、炎の車輪がぴたりと止まって、カエデの顔を見据えた。見ては いけないものを見てしまったのではないかとカエデは目を伏せた。 間をおいて視線を上げるとそこには赤い瞳があった。近すぎる。尋常な距離ではない。 ほとんどキスの距離に近かった。 「…見た?」 つづく
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238 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 23:20:21 ID:HuNc5Pck0 - 椅子に腰掛けているカエデに対してサヨリは立ったまま腰を曲げ、
顔を近づけている。 「…ねぇ、今の見た?」 「…はい」 「…ふふ」 その距離で再び瞳がぐるぐると回転を始める。カエデは恐怖に包まれた。 目の前で、自分の顔が、赤い瞳に映りこんでいるのが見えるほどの距離で、 赤目が時計回りにぐるぐると物凄い速度で回転しているのだ。 何回転したか何秒経ったか、回転は止まった。 「…楽譜を見ながら演奏するでしょ。目が音符を追えるように眼球運動。ぐるぐるぐる」 「…あ、あぁ…そうなんですか…すごい、速いです…」 やっと顔が離れて、サヨリはやはり紅い唇を大きくゆがめて笑うと、椅子をひきずって 来て、カエデの隣に座った。 特に仲がいいわけでもなく、部活があっても毎回何か話すわけではない。むしろ、 話すことの方が少ないぐらいだ。隣に座られて、カエデは困惑した。 何か話すことはないか。 つづく
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239 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 23:26:27 ID:HuNc5Pck0 - 「あの、サヨリさんって、上の名前は何て言うんですか?」
「あなたは雪野カエデ?」 質問を質問で返してくる。それも当たり前すぎるほど当たり前の質問。 「…はい。雪野、カエデです…」 「『踊る大捜査線』って見たことある?」 「…え、あ、映画のなら…」 「水野美紀って知ってる?」 「出てましたよね。踊る大捜査線にも…」 「そう。柏木雪乃っていう名前でね。カエデちゃんの苗字が名前と一緒なの」 「…はい」 「見たことあるって言ったよね?映画で『ユキノ』って台詞が出たとき、ドキっと しなかった?ちょっとでもしなかった?少しだけでも?」 「…え、ちょっとだけ…あの、刺されて、ユキノさん!って叫ぶところとか…」 「そうだよねそうでしょう。そういうのってドキってするよね」 「…はぁ」 つづく
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241 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 23:34:10 ID:HuNc5Pck0 - 会話のテンポが速い、というか、サヨリの返答の速度がもう既に相手の
言葉を予測しているかのように飛び出してくる。カエデは何か嫌な感じが した。 「サヨリって本名じゃないの」 「…え?」 「山田サユリが本名なの。でも本名で呼ばないでね。あたしはサヨリなんだ」 「やま…」 「本名で呼ばないで。サヨリなの」 「サヨリ…」 「そう。山田サユリって名前も苗字もありきたりで、病院の待合室とかで山田さーんとか、 テレビ見てても山田優とか、吉永小百合とか名前出てくるたんびにドキっとするのよ。 あたし嫌なんだそーゆーの。だからとりあえずサヨリって名乗ってるけど、もし、サヨリって 名前の芸能人とかなんか出てきたら絶対名前変えると思うし。でもサヨリって結構気に 入ってるから変えたくないなぁなんて思ったり。もし今度入ってくる新入生にサヨリとかいたら どうしようとか考えるよ。殺すかも。とかいってとかいって。冗談だよ。でも今ウチの中学では サヨリって名前はいないんだ。だからあたしだけ。サヨリって言われれば間違いなくあたし。 間違いない。ドキってする必要もないわけ。とにかく呼ばれたらそれは自分ってことだからさ。 サヨリって呼ばれたらはーいって振り返ればいいんだよ」 つづく
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242 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 23:41:53 ID:HuNc5Pck0 - まくしたてて喋る。言葉が出るたびに紅い唇がしなやかに動いた。
それは何か紅い蟲が二匹、うねっている様にカエデには映った。 「ねぇ天気予報ってあるじゃん」 「…ありますね」 「あれで明日の雨の確率って言うよね?どういう意味なんだろう?」 「え?」 「アメノカクリツ」 「…そのまんまの意味じゃないですか?」 「天気がくもりってのをとりあえず外して、雨と晴れって考えたら、絶対 五十パーセントじゃない?二分の一じゃない?」 「…?そうなんですかね?」 「ずっと疑問なんだよね。どうでもいいことだけどさ。でも確率って面白いよね。 さまよえるユダヤ人の話って知ってる?」 そろそろカエデは話すのが苦痛になってきたが止まる様子がない。話は更に 膨らみそうだ。 「サマヨエルユダヤジン…?」 つづく
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243 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 23:51:10 ID:HuNc5Pck0 - 「さまよえるユダヤ人って話があってさ。キリストが死んだ時の話。
ゴルゴダの丘って所でキリストは殺されるんだけど、殺されるって 言ってもそのあと復活したりしてるから殺されるって表現が正しいか どうか分からないんだけど、その辺はまぁ置いといてさ、ゴルゴダに 連行されるときに、ある家の前でちょっと一息ついたんだよね。キリストが。 そしたらさ、その家の奴がさ『ウチの前で立ち止まるんじゃねぇ!』って 言ってブツクサ文句言ったわけ。そしたらキリストがさ、あのキリストがだよ? あのキリストが、『行けと言うなら、行かんでもないが、そのかわり、お前は私が 帰るまで、待って居ろよ』って呪いをかけちゃったんだ」 雪野カエデ、元はオカルト同好会である。宗教の勧誘だったらどうしようと 思いつつ、話しが呪いになるに至って話に興味を持った。 「キリストの呪い…?」 「そう。どうなったと思う?」 「死んじゃったとかですか?」 「逆。キリストがまた降臨するまで死ねないの。ずっと生きて、世界中さまよってるの。 だから『さまよえるユダヤ人』」 「…へぇ…」 変わったことを知ってるなとカエデは思った。そんな話し、聞いたこともない。ずっと 死なずに生きていると言えば、サンジェルマン伯爵とやらなら知ってはいるが。 つづく
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246 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/10/02(月) 23:56:26 ID:HuNc5Pck0 - 「キリストが降臨する時ってのは最後の審判の時ね。黙示録の」
「…はい。それならちょっと聞いたことあります」 「その、『さまよえるユダヤ人』アハスエルスっていうんだけど、実は それってあたしなんだ」 「え?」 「…って言ったら信じる?」 「ん〜…ちょっと信じられないです…」 「でも確率の上ではゼロじゃないよね?カエデちゃんがアハスエルス かもしれない」 少しややこしい話になってきて、何となくカエデには理解できなかった。 つづく
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