- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
34 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 00:02:42 ID:hLaz0ZSP0 - しかし股を洗う以上股を広げなくてはならない。恰好のいい股の開き方が
あるのだろうか。 もう十年以上研究を重ねているが、さすがのアカネも美しい股の洗い方を 知らない。一時期はそんなはしたない恰好で股を洗う自分が嫌で、ろくに 洗わなかった時期があったが、何やらかゆくなるわ、臭くなるわで結局 洗うことにした。 ところで作者はアカネに何か恨みでもあるのだろうか。久しぶりの登場、しかも せっかくの見せ所である入浴シーンで『股の洗い方』の話である。 でも気になったので仕方ない。 身体を磨き上げ、シャワーを浴びる。若い肌に水がほとばしった。ボディソープの 泡に隠れた見事な肢体が、シャワーによって少しずつあらわになる様は、妖艶と いうほかない。 濡れた顔が気になってかぶりを降ると、それだけで水滴が珠と散った。 何もせずとも充分に水分を含んだ若い肌が、外部からの水を受け付けない。 タオルで拭き取るまでもなく、軽く振り払うだけで済みそうな印象を受ける。 メイクを落とし、洗顔しているとまた何か気配を感じた。流す間もなくうっすらと 細目を開けるとガラス戸の向こうに誰かがいるのが見えた。 「…お兄ちゃん?」 と、音もなくその人影は、滑るように消えた。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
35 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 00:21:47 ID:hLaz0ZSP0 - 慌てて泡を流し落とし、戸を開けるが誰もいない。そのまま全裸で
脱衣所を出た。廊下が玄関まで続いている。 誰もいない。隠れるとすれば、トイレか、居間か、和室か、階段に潜むか。 玄関の鍵は締めてあったはずだ。アカネはしばらくそのままじっと耳に意識を 集中した。 したしたと黒髪から滴る水が床を打つ音以外は無音。 「…やはり…気のせいか…」 脱衣所に戻り、身体を拭き、服を着ると、髪をタオルでくるむ。頭が冷えないように ドライヤーですぐにでも髪を乾かしたかったが、ドライヤーの立てる音が侵入者の 気配を消してしまう恐れがある。 その辺り、用心深い山形家の女である。一通り家中見て回ってやっと安心する。 やはり誰もあらず、施錠もなされていた。 しかし人影が見えた気がする。一体何だったのだろう。 頭を乾かし、化粧水をはたく。気を紛らわせる為のローズティを飲む頃にはだいぶ 気分が落ち着いた。 少し神経質過ぎた自分を恥じて、夕刊を取り忘れていることを思い出し玄関を出た。 門柱に郵便受けが埋め込まれている。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
36 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 00:31:33 ID:hLaz0ZSP0 - ちょうど門柱の天辺と、視線が同じ高さにある。
何かがあった。 それは切手に似た、プラスチック製の何かだった。新聞と共に 持って家に入る。 金属の部分もあるぞ…。多分何か機械の部品だな。何だろう。 Sって書いてある。その隣に…何だ?CDの絵かな?半分のCDの 絵みたいのが描いてある。その下に256MB…。なんだこりゃ? いいやお兄ちゃんに聞いてみよう。 一時間もすると、兄、ユウジロウが帰宅した。 「いやすまん。遅くなった。いやあ腹が減ったな。『枡や』行くぞ」 「あ、お兄ちゃんこれって何?知ってる?」 「ん?」 「これ」 「あぁSDカードだな」 「SD…」 「書いてあるだろ。思いっ切り。SDって。ほら」 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
37 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 00:36:43 ID:hLaz0ZSP0 - 「あーこれって『D』ですか?」
「他に何に見えるんだ?」 「半分のCD…」 「…あーなるほど。見えんでもない。で、それどうしたんだ?」 アカネは経緯を話した。風呂で感じた違和感も含めて。 「へー…何だ気持ち悪ぃな…」 「そのSDカードって何するものなの?」 「メモリーカード…って言っても分かんないか…何でもいいんだけど、とにかく 写真とか、動画とか、そういうのを入れておくもの。デジカメとかで使うんだ」 「じゃそれにも写真とか入ってるの?」 「見てみなきゃ分かんないけど…でも覗かれてた感じがするっていうのを聞くと ちょっと気持ち悪いな…」 「ウチでも見られる?」 「あぁ。俺の部屋のパソコン使えば見れるぞ」 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
38 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 00:50:59 ID:hLaz0ZSP0 - 実は山形アカネ、いわゆる機械音痴である。特に最新家電については全く
分かっていない。パソコンは全く分からず、携帯電話ですら全ての機能を 使いこなせていない。電話するのと、メールだけだ。 色々とユウジロウに聞きはするのだが、ユウジロウが説明を面倒くさがって、 最終的にやってあげてしまうこと、またアカネもそっちの方が楽でいいやと 思っていることが大きな原因である。 そもそもアカネ、原理から知らないと駄目なタイプなのだ。何を説明しても、 『なんで?』『どうしてそうなるの?』と余計な疑問ばかりが出てくる。 一度パソコンを教えようとしたが、六時間かけてたどりついた先が、二進数の 話であった。 だからユウジロウは特に何を説明するわけでもなく、パソコンを立ち上げ、 メモリーカードのリーダーをUSB端子に差込んで、SDカードの中身を見た。 「256メガあればそこそこのものが入るわな…」 「256メガってなに?」 「256にゼロが六つ。容量だよ。大きければ大きいほどたくさんデータが入る」 「へー…」 よく分かっていない。とりあえず画面を見ている。 「mpegか…動画だよ。いくつか入ってる…」 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
39 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 01:01:44 ID:hLaz0ZSP0 - 「ビデオで撮ったやつ?」
「何で撮ったかまでは分からん。ただデジカメでも動画の撮れる機種は いくらでもあるそ。携帯でも撮れるしな」 「へー…」 全部で四つの動画が入っていた。 「…見てみるか?」 「やっぱり…覗かれてたのかな…」 「しかし覗いて動画まで撮ったのに、そのデータを置いていく奴がいるか?」 「自己顕示欲、みたいな…。『ちゃんと見てたんだぞ!』ってアピール…」 「…それはかなり悪趣味だぞ…」 ユウジロウは色々と考えていた。曲りなりにもパソコンの授業を担当する教師である。 デジカメで撮ったとして、本体のメモリに動画を残しつつSDカードにデータをコピーして…。 そうすればデータは手元に残るが、本体にそんなデカい容量持ってるデジカメあった かな…。しかしせっかく撮った動画ファイルを置いていくってのは考えにくいぞ…。 二台持ってた?その線はあるかもしれない…。まぁ見てみるしかないな。考えていても 仕方ない。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
40 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 01:10:03 ID:hLaz0ZSP0 - 一つ目の動画。
山形家の門が移っている。ひどくブレていて見ているだけで酔いそうになる。 動画は割りと鮮明で、一見した感じ携帯ではなくデジカメの動画モードで 撮影されたもののようだ。 「まぁ…携帯なら普通miniSDだわな…」 「あれ待ってお兄ちゃん。時間が変だよ」 「え?」 「あたし暗くなってからお風呂入ったけど、まだ明るいよ?」 確かに動画は明らかに日中撮られたものである。撮影者のものらしい興奮した ふぅふぅという息遣いが入っていて気味が悪い。 「ふう…はぁ…こ、こ、ここが…アカネちゃんチでーす…はぁ…はぁ…」 薄気味の悪い男の声が入っている。恐らく撮影者のものだ。周囲に人がいるのを 気遣っているのか微妙に小声なのが尚更不気味だった。 「やだ…気持ち悪い…」 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
41 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 01:23:07 ID:hLaz0ZSP0 - アカネはツネコの家から行政上の住所を移していない。近所だからいいだろうと
思っていたのだが、郵便物だけは困るので、郵便局にだけは転居届けを出し、 こちらへ回してもらっていた。 配達員が困らぬよう、『山形ユウジロウ』という表札の下に、『同 アカネ』という 手作りの表札を掲げている。だから、この動画を撮った人間がアカネの名を知る ことは簡単なことであろう。 動画は唐突に終わった。 「え?終り?」 「別の動画があと三つ…」 「…見せて」 二つ目の動画。 そこは既に山形家の屋内であった。廊下。玄関から撮ったアングルである。 「入られてるじゃないか!お前何やってたんだ!?」 「わかんないよ何時なのこれ?」 もっともな質問と言えた。そもそも今日撮られたものかどうかも分からないのである。 データは幾らでも改ざんできる。ただ、電灯がついていないのに廊下が明るいという ことは、やはり日中であることを示していた。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
43 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 01:31:08 ID:hLaz0ZSP0 - あいかわらず、吐息が激しい。しかも屋内に入り更に興奮の度合いを
増したのか、テンポが上がっている。 撮影しながら進んでいく。突き当たりはトイレだ。その左手が脱衣所。 歩きながら撮影者は、全ての歌詞が『アカネちゃん』の、自分で適当に 作った歌を歌っている。 また唐突に動画は終わった。 「吐きそう…」 「…三つ目は?」 「見るよ…」 三つ目の動画。 脱衣場内。そこには洗濯機も置かれている。相変わらず『アカネちゃん』の 歌を歌い続けながら、洗濯槽の中を覗いたり、洗濯かごを覗いたりしている。 何もわざわざ撮影する必要はないと思うのだが、とにかくカメラのレンズは イコール男の視線らしい。 また動画が終わる。 「…これやっぱり今日だよ…今日のお昼だ。あたしが買い物行ってる時…」 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
44 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 01:37:19 ID:hLaz0ZSP0 - 「なんで分かる?」
「洗面台にかけてあるタオル。あれ今日のだもん」 「あーそっか」 「あとバスタオルも一緒だし」 床に置かれたバスケットに今日使う分のバスタオルを入れておく。 それも一緒だという。基本的にタオルの類は自分で買わず、新聞屋や 中元、歳暮でもらった物を使用しているので二つとして同じ物はない。 特にローテーションが決まっているわけでもないから、洗面所のタオルと バスケットのバスタオルが一緒であるということは、今日と考えてよさそう だった。 最後の動画。ユウジロウは一番これが気になっていた。データサイズから すればこれが最大。要するに録画時間が最も長いと思われたからだ。ただ そのことは特にアカネに言わなかった。 「最後の動画だ」 「…うん」 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
45 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 01:47:22 ID:hLaz0ZSP0 - 四つ目の動画。
激しくブレでいる。相変わらずの歌。息遣いは更に荒い。しかも更に ブレも息も荒くなっていく。 「んぁっはあっはあっアッカネちゃんっ!はぁっふぅっはああっ」 画面はがくがくと揺れ、何が映っているかすらよく分からないが、 浴室内であることは確かだ。 と、急に男が大人しくなった。 突然下にアングルが下がる。そこには、勃起したイチモツが映っていた。 多少ブレはあるが先ほどよりだいぶましになっている。 イチモツはしごかれていた。男は山形家の風呂場で自慰行為にふけって いたのである。 次の瞬間、射精が果たされる。瞬間、イチモツが不自然な方向に曲げられた。 イチモツの先には、ポンプ部分が取り外されたボディソープのボトルがあった。 大量の精液がボトルに注ぎ込まれる。 動画は、終わった。 終
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
46 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 02:13:52 ID:hLaz0ZSP0 - ん?このスレって頭に『:』ついてる??つけた覚えないんだけどな…。
変なの。
|
- 宇宙vs深海
6 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/27(水) 18:53:06 ID:hLaz0ZSP0 - 深海と火星のコピペなかったっけ?あれ笑ったなぁ。
片方は深海調査の進み具合は、火星探査の進み具合と同じ程度しか 進んでいないってことを一生懸命言ってるのに、もう片方の香具師が 海底に火星人が住んでるって言い張るやつ。おれは笑った。
|
- 宇宙vs深海
10 :6[sage]:2006/09/27(水) 19:09:06 ID:hLaz0ZSP0 - >>7-8
そうそうそれそれ。わざとにしてもいいボケっぷりだよなぁ。 ネカフェとかで並んで二人がかりでやったのかな。面白い。
|
- 宇宙vs深海
15 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/27(水) 19:22:29 ID:hLaz0ZSP0 - コピペ大会みたいになってるな…。じゃ調子に乗るが、宇宙が
できてから今まで一日500円ずつ積み立てたのと、ビルゲイツの 資産と日本の借金比較して最後に『宇宙大したことない』ってやつ キボンヌ
|
- 宇宙vs深海
16 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/27(水) 19:24:57 ID:hLaz0ZSP0 - (自分で見つけた…結構あったり見つかった…)
宇宙さんが生まれたときから毎日500円貯金を続けたとしたら 2500250000000000円 2004年度の国債取引高 6000000000000000円 日本の借金 700000000000000円 ビルゲイツの総資産 6000000000000円 新説 宇宙、案外大した事無い
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
51 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 21:17:29 ID:hLaz0ZSP0 - さてここらで怖い話でもするか。
軽子沢中学新聞委員会委員長的場リュウジは、屈強な外人二名に肩を 預け、国内某所の山中にいた。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
53 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 21:28:31 ID:hLaz0ZSP0 - 向かって左側は白人、右側は黒人いずれも身長百九十を越す巨躯である。
間に挟まれたリュウジは目隠しをされ、イヤホンをつけられている。 かなりの音量なのだろう。ドラムとベースの音が漏れ聞こえていた。 以下の会話は全て英語である。 「よし、ここらでいいだろう」 「そうだな。俺達が戻れなくなっちまう」 二人は豪快に笑い、お互いでお互いの煙草に火を着け合った。彼らのオイルライターには USAFの文字があった。United States Air Force。アメリカ空軍である。 朽ちた枯木の大木の根元に、リュウジを座らせると、そのまま二人は談笑しながら、煙草の 煙と共に消えた。 的場リュウジは頭の中でゆっくりと、百を数えていた。 何も見えず、何も聞こえずの時間がどれ程経ったか。 時間の感覚さえない。 空腹。ひどい空腹だった。便意もひどいものだった。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
54 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 21:41:26 ID:hLaz0ZSP0 - 百をカウントし、まず目隠しを外す。全く見覚えのない山中。つづいてイヤホンを外した。
それでもイヤホンからは音楽が漏れ続けている。そのままカーゴパンツのポケットをさぐり、 MP3プレーヤーを取り出すと電源を落とした。 やっと静寂が訪れる。カーゴパンツにタンクトップ一枚。寒い。寒いが気温は東京とそれほど 変わらないように思えた。 「…いずれにせよ本州…中部以北と言ったところか…」 足元にはリュックサックが転がっている。食料と、ベレッタ9ミリピストル、予備の弾倉が二本、 発炎筒、サバイバルナイフ、それと小さな機械が入っていた。 機械にはスイッチだけがあり、それを入れると赤い発光ダイオードが光った。 食料を食べながら思い出す。あの米兵二人との会話。無論全て英語である。 「…分かったリュウジ。そこまで言うなら協力しよう」 「ただ安全だけは保障させてもらうぜ」 「どういう意味だ?」 「発信機をつけさせてもらう」 「発信機?」 「そうだ。万が一リュウジが遭難しても、すぐに居場所が分かるように」 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
55 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 21:49:30 ID:hLaz0ZSP0 - 「…わかった」
「日本の民間人、それも中学生を山に置き去りにしたことがバレたら俺達の 身分も危ういからな。下手すれば国際問題だ」 「うむ」 「制限時間は二十四時間。それでタイムアウトだ。二十四時間で下山できなければ 発信機の電波をたどりただちに救出する」 「…」 「それに、何か問題が発生したらすぐに発煙筒を焚け。必ず、だ。守らなければ、 以降リュウジとの接触は絶つ」 「了解した」 「やれやれ全く…お前には参るよ…」 リュウジが自分から提案した一種の訓練。自分が何処の山中にいるのか分からない 状態で無事下山できるかどうか、というゲームである。 東京から視覚、聴力を奪われた状態でクルマに揺られ、何処を走っているのかも 分からず、適当な所で下ろされ、更に山を登らされ、置き去りにされる。 せめてコンパスと時計だけは持って行けという米兵の支持をリュウジは無視した。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
56 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 22:03:50 ID:hLaz0ZSP0 - 「…やはりコンパスは必要だったか…」
時間も方向も分からないのである。ただ太陽は見える。 「…感覚からすれば午前中ではない。だとすればあちらが西だ…」 太陽の高さから見て、午後二時過ぎだとリュウジは判断した。それが正しければ ゲームオーバーは明日の午後二時ということになる。 五時頃には暗くなり、その辺りで足を止めざるを得なくなる。野営をして、明るくなり 行動ができるようになるのは明日の六時過ぎ。 二十四時間の内、十三時間は足止めを食う。要するに十一時間で下山せよ、という ことだ。 しかし、クルマを降りてから歩いたのはせいぜい六時間程度。それもリュウジの 方向感覚を麻痺させるためわざと迂回をしたり、通った場所を戻ったりしただろうから、 恐らく直線でいけば三時間から四時間。その程度で下山できる地点にいるはずだ。 「…夕暮れまでに下山してやる…」 とりあえずリュウジはベレッタ片手に勘だけで南へ歩き出した。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
57 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 22:16:34 ID:hLaz0ZSP0 - 暗くなってしまった。
「無謀だったか…」 山は深くなるばかりで、あちらこちらを見回しても街の灯りすら見えない。 上手い場所に置き去りにされたものだ。 気温が低いが、そのまま眠って死んでしまう程ではない。しかし、地面が 妙に湿っぽい。そのまま横たわれば大地に体温を奪われる可能性はあった。 「…待てよ。さっき歩いていた辺りは乾いた地面だったが…」 耳を澄ませば、ちょろちょろと川のせせらぎが聞こえてきた。 「…俺の勝ちだ…」 川さえ見つけてしまえばほぼ下山ができると考えてよさそうだった。高い所から 低い所へ流れ、やがては海へたどりつくわけであるから、川の流れに従って あるけば仮に遠回りになったとしてもいずれは山を出られる。 果たして川はあった。 川原にて、集めて来た薪と、ナイフで削ったおがくずで火を起こし、焚き火とする。 地面は細かい石が堆積していた。寝心地は悪いが湿った土の上よりましだろう。 石はいずれも小ぶりで、丸っこい。 「…かなり下流か…明日の午前には下山できるだろう…」 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
58 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 22:27:16 ID:hLaz0ZSP0 - ところで全く話は変わるが今日は平日である。軽子沢中学では日中授業が
行われている。彼が台湾や別府、人知れぬ山中にばかりいて、出席日数は 大丈夫なのかと思う向きもあるだろうが、全て委員会の仕事の一貫であり、 出席したことになっているのである。くれぐれも御理解頂きたい。 焚き火に当たりうとうととしていると、背後の森に気配があった。瞬間的に 伏せ、ベレッタを構える。 「誰か!」 問いかけるが答えはない。 「誰かっ!?」 返答はない。しかし、ちらちらと光るものが目に入った。かなり低い位置である。 何か懐中電灯のようなものをこちらに向けてゆっくりと振っているようだ。 「…?返事ができないなら光を消せ!」 光が消えた。 「よし、光を着けろ」 また、光る。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
59 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 22:36:38 ID:hLaz0ZSP0 - 油断なくベレッタを構えたまま、光の元へ。やはり懐中電灯だ。懐中電灯を
持った老人が突っ伏していた。 「おい!大丈夫か?」 「…イノシシに…足ぃやらちまってぇ…」 「…なんてこった…立てないのか?」 「へ…へぇ…」 やはり山男だけあってか、老人は都会の老人と比べたくましかった。肩を貸し、 立ち上がらせると、懐中電灯を老人に持たせる。 「家まで…連れて行ってもれぇねぇでしょうか…」 「…構わんが暗いぞ?」 「道は分かっとりますで」 「よし分かった。行こう」 頼りない灯りの中、老人はあっちこっちと道を指図する。熊除けの鈴の音が 静寂に響いた。 小高い丘を登り、頂上に何とかたどり着くと、急に視界が開けた。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
60 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 22:43:18 ID:hLaz0ZSP0 - 眼下に小さいながらも町の灯りがぽつりぽつりと見える。
その遥か手前、もうすぐ目の前といったところに、古い民家があった。 「あすこがウチですんで。はい…」 「そうか…よかった」 民家の窓は暗い。老人の話では妻がいるということだが、既に眠って いるのだろうか。ドアチャイムもないので、激しく戸を叩いた。 と、中で人の気配がして、玄関灯がついた。 「どなた様ですかぁ?」 「旦那を連れてきた!」 「…はぁ?」 「旦那を連れてきたんだ!」 がちゃがちゃと鍵を開ける音がして、立て付けの悪い引き戸が引っかかり ながらも開いた。 「見つかったんですかい?」 「川のそばでな」 と、老人が力なく倒れそうになった。家について安心し力が抜けたのだろう。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
61 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 22:51:53 ID:hLaz0ZSP0 - 抱き抱え、家に入るが妻である老婆が随分と困惑した様子だった。
「いや、あの…どうしたもんだか…」 「救急車を呼ぶんだ。足をひどくやられてる」 「んだども…」 リュウジはもたもたしている老婆に苛立ちながら、腕の中の老人に奇妙な 感じを覚えた。軽いのだ。 「もう死んでおりますに…」 「!」 確かに腕の中の老人は既に腐りかけた完全な死体だった。危うく投げ落とす ところだったが、老婆がとりあえずここへ寝かせてくれというので、今まで老婆が 自分で寝ていただろう布団に横たえさせた。 山菜取りに行ったきり戻らなかったと言う。山狩りをしたが出てこなかったそうだ。 場所はどこかと聞かれたので、リュウジはおぼろげな記憶をたどって何とか説明 したが、意外とその場所は山が浅く、灯台下暗しで逆に発見しずらかったのでは ないかという話だった。 諦めかけていたけれど、見つかってよかったと老婆は涙した。 つづく
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
62 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 23:06:42 ID:hLaz0ZSP0 - そんな話はどうでもよかった。的場リュウジ、アメリカ大統領でもぶん殴ってみせる
度胸の持ち主だが、幽霊だけは勘弁だった。 ぼろぼろ泣いているのは感涙ではない。幽霊を見てしまった恐怖の涙だ。 そんなこととはつゆしらず、若いのにこんな老人を憐れんでくれて、ありがたいと 布団を敷いて、是非泊まって行ってくれと言う。 化けてでた老人の死体と一つ屋根の下一晩明かせとは無理な話である。必死で 断るが、かといって自分はどうすればいいのだろうと思った。 確かに町まであとわずかだが、民宿の類はないという。無論二十四時間営業の コンビニエンスストアも、漫画喫茶もない。山間のうら寂しい集落である。 こんな時間に泊めてくれと飛び込んで、迷彩ズボンにタンクトップの薄汚れた 男を泊めてくれる家があるとも思えない。 野宿も絶対に今晩はお断りだった。だとすれば一人でも生きている人間のいる ここが一番よいではないか。 いや、ギブアップするか。ここなら電話もあるようだ。しかし、下山目前にして ギブアップもどうだろう。いや待て。そうだ。下山して、あの集落の公衆電話か ら連絡すればいいのだ。そうすれば俺の勝ちだ。 色々と考えていると老婆は今日はお通夜だから、どうか是非一緒にいてやって 下さいと告げてきた。親戚もなにもいないのだという。 いたたまれない気持ちもあって、リュウジは一晩泊まる事にした。
|
- : 【エロ】山形先生Part4【オカルト】
63 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/27(水) 23:24:41 ID:hLaz0ZSP0 - 風呂で軽く身体を流し、浴衣を一着貸してもらって布団に入ると、気分も
よくなってきた。 老婆は夫と同じ部屋で眠っている。隣の部屋ではリュウジが一人、電灯を 着けっ放しにして寝転がっていた。 疲れもあって、そのまま眠った。 朝。スズメの鳴く声に起きる何時だろうか。だいぶ明るい。しかし何か匂う。 老人の遺体の臭いだろうか。いや、自分の布団が臭いのだ。 妙に湿気っていて、気持ちの悪い布団である。家屋全体も昨夜より 埃っぽい印象を受けた。やはりほの暗い中で見るのと明るい中で 見るのとでは印象が変わるのだろうか。隣の部屋を覗く。 老人と老婆が眠っている。老人は腐っている。老婆も、腐っていた。 リュウジは家を飛び出すと泣きながら発煙筒を炊いた。 下山手前わずか四百メートルで、的場ギブアップ。 老婆の死因が衰弱死であったことから、夫が行方不明になり、捜索が打ち切られて からというもの、老婆を世話する者もおらず、失意の中で彼女は食べる物も食べずに 衰弱し、いつしか人知れず死んでしまったのだろう、ということだった。家からは 食べ物も見つかっており、一種の自殺だったのではないかと見られている。 以来、リュウジはちゃんと学校へ来て、家族の誰より早く寝ている。今のところは。
|