- 【エロ】山形先生Part3【オカルト】
270 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 00:08:18 ID:9mtCy+7q0 - 一人ジャージの生徒をユウジロウは見た。ああずっと休んでた子か。
出欠を取りながら確認する。 「松本タカシ」 「はーい」 「三上サユリ」 「はい」 「村田ダイスケ」 「ぅいっす」 「…む、村野…マユ…ミ…」 「…はい」 しばらく返事のなかった名。しかし何か引っかかる。話したこともない 生徒だ。見覚えも余りない…気がした。 動いている。そして呼吸をし、教師としての仕事をする。ゾンビなどでは ない。リアルな人間だった。しかし彼女にとってはリアルであっては困る 存在だった。 ユウジロウの死。天文部。『ゴーストさま』。ユウジロウは帰らず、淫らな 行為を要求した。しなければ犯すと脅した。 つづく
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271 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 00:20:55 ID:9mtCy+7q0 - あたしは乱れて、気を失って、夢を見た。山形先生に犯される夢。
そしてそれとは別に見た『黒ずくめの男』 なんだかわけわかんない。自分が信じられない。だって山形先生は 死んだんだ。死んだから、『ゴーストさま』で呼び出せた。 でも生きてる。不思議。どこかで何かがネジレたんだ。きっと。だから あたしは疑われたり。じゃアイツが死んだら元通りじゃない? 疑われて、警察からはしょっちゅう『お話を聞かせて下さい』とか電話が 来る。ママが『今娘は精神的に不安定なので』って言ってくれてるから 助かってるけど。 全部コイツ。コイツのせい。アイツが死ねば矛盾はなくなるよね?あたしの 元々いた世界へ戻れるんだ。あたしはもっとスマートで、唯一の生き残りで、 テレビにも出れるよ。インタビュー。あたしは泣きながら言うの。『あたしの大切な 友達がみんな消えちゃって…お願い!あたしの友達を返して!』全国から あたしを励ますお手紙が届くんだ。『可哀想!あたしが代わりに友達になって あげるから泣かないで!』 『僕も孤独です。孤独な者同士メル友になりませんか?」 そうそう。そうあるべき!校内でも歩くたんびに、『黒ずくめの男』の話聞かせて! とか言われて。女子テニス部とか全然カス!みたいな。運動部のかっこいい先輩 たちが守ってくれるんだ。毎日。一緒に家まで送ってくれる。 そうか。あたしは今、何か違う次元みたいな。パラレルワールドみたいな。そんな いちゃイケナイ所にいるんだ。アイツが死ねば、 …スベテ、モトドオリ…。 つづく
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272 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 00:34:29 ID:9mtCy+7q0 - 村野 マユミ(第四話 『天体観測』 参照)は、ペンケースの中から、
カッターナイフを取り出すと刃を目一杯に出して、ゆっくりユウジロウの 元へ向かった。 運のいいことにユウジロウは具合が悪いようで椅子の上で既にぐったりと している。 やっぱり…神様がチャンスくれてる。簡単そうじゃん。やっぱり歴史は正しい 方向に流れるんだよ… カッターナイフな気付いた女生徒が悲鳴を上げたが、他の者には何事か 分からない。と、マユミはそのナイフで叫ぶ女子を斬りつけた。振り上げた ナイフをみんなが見た。 教室中が騒いだ。しかし止める者はいない。いくら女子とは言え相手は刃物。 ましてや混乱の中冷静な判断を下せる十四歳はいなかった。 「おい、何してるんだよみんな…」 不用意に立ち上がったユウジロウへ、マユミが一気に迫った。カッターナイフの 刃は呆気ないほど簡単に、彼の腹へ刺し込まれた。 教室を静まり返る。何がどうなったのか。よく見えない。しかし腹からぼたぼたと 血を流し一度椅子の背もたれに掴まったものの、力なくそのまま仰向けに 倒れこんだユウジロウを見て更に大きな悲鳴が上がった。 たちまち朱に染まるユウジロウは声一つ上げない。一人我を取り戻したサッカー部 所属の男子生徒が部屋を飛び出し職員室へ向かった。 つづく
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273 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 00:46:28 ID:9mtCy+7q0 - 振り返るマユミの手元は真紅に染まり、カッターナイフにもべっとりと
血の塊が付着して何を持っているのか分からない状態。 倒れているユウジロウの腹からはだらだらと止め処なく大量の血が 流れ出ていた。 「ここがリアルな世界?」 マユミは血に染まったまま近くの生徒に尋ねたが、彼はただ震える ばかりだった。 これで悲劇のヒロイン。みんなが同情して、みんなが可哀想と思って、 みんながあたしを大事にしてくれる。 マユミの機嫌はよかった。これで全てリアルになったのだ。ユウジロウが 生きている世界ではなくなった。彼は死んでいなければならない。 それにしても人を一人殺すのって疲れるね。眠い。すごい眠い。 余りの出来事に叫ぶ者。しかし下手に騒げば次は自分が殺されるのではと 恐怖し、必死に息を殺す者、わけも分からずぼろぼろと涙を流す者。 そんな中。マユミは自分の席に着くと、そのまま眠った。 自分は痩せていて、みんなに守られ、唯一の生存者として証言することを 勇気ある行動だと讃えられ、普段の行いがよかったからきっと一人だけ 生き残れたんだなと尊敬される世界。 そんな夢の世界に彼女は浸り、眠り続けた。 終
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275 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 01:51:17 ID:9mtCy+7q0 - >>274
人それぞれ怖いツボがありますよね。心霊的なモノが怖いかた、 人間の異常性…今回のようなサイコつぽいのが怖いかた…。 一応様々なニーズに応えられるように色んな恐怖を提供している つもりですがいかがでしょうか。 さてユウジロウはどうなってしまうんですかね。実は私もまだ決めて ないんですよ。あくまで設定なし、準備なし。ゲリラ魂は今も健在です…。 百話を目指すと公言していますが、次回が最終回になる可能性もありますよね。 それは『明日の私』しか知りません…。 感想ありがとうございました。
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277 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 11:30:47 ID:9mtCy+7q0 - >>252-253
ふと思ったんだけど同一人物の読者さんのカキコってことは分かるんだけど、 日付はさんでるのになんでID一緒なの?00:00:00ジャストで更新されるんで ないの?なんかちょっと不思議だったんでつい書いてみました。
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279 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 13:29:27 ID:9mtCy+7q0 - >>278
まだ教頭にこだわってんのかよwwww しかも『非難スレ』っていつの間にアンチスレができたのか 一瞬驚いてしまった…orz 避難所のことね。 応援してくれてありがとう^^ 実はちゃんと徳島のも考えてます。 オカルトとからめるのが少し難しいかなぁというところで止まってる 段階。 ただ、その時果たしてユウジロウは生きているのか…。。
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280 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 13:37:09 ID:9mtCy+7q0 - さてここらで怖い話でもするか。
騒ぎでごった返す『電算室』。立ち尽くしたり、座り込んで泣いている生徒 を掻き分けて、一人の男子生徒が倒れる山形先生に駆け寄った。 つづく
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281 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 13:51:20 ID:9mtCy+7q0 - あらかじめ脱いであった制服のワイシャツを傷に押し付ける。
しばらく押し付け傷の様子を見て舌打ちをした。ただの刺し傷ではない。 カッターナイフ程度の刃物なら致命傷にはなるまいと踏んだが、村野マユミは どうもナイフを刺した後、傷を広げるようにえぐったようだ。傷は深く、広い。 強くワイシャツを押し付けるがみるみる血の赤に染まっていく。 「男全員ワイシャツ脱いでこっち持ってこい!早く!急げ!」 何人か冷静さを取り戻した男子生徒がワイシャツを脱ぎ始めた。 「いちいちボタンなんかはずさんでいい!早く脱げ!」 慌ててボタンを引きちぎってワイシャツを持っていく。彼にならってみんなそのように した。 とにかく大量のワイシャツを傷口に押し付けながら、携帯電話を取り出すと救急車を 要請した。 『…救急車到着まで平均六分…間に合うか…』 一方、『電算室』を飛び出したサッカー部員、尾藤ケンサクは職員室に飛び込むなり 「山形先生が刺された!」 と叫んだ。 つづく
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283 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 14:17:12 ID:9mtCy+7q0 - 校長、並びに徳島教頭、校医の松本ケイコが『電算室』へやってきた。
その頃には生徒は完全に落ち着きを取り戻し、血に染まったワイシャツを 次々にきれいなワイシャツに取り替える作業をしている男子生徒の様子 をじっと見ている。 「ちょっと見せて」 松本ケイコが言った。 「まだ脈は安定しています。圧迫止血をしているんですが…」 傷口を見て、医務室の設備ではどうしようもないことは一目が分かった。 「もう救急車は呼びました」 「…的場くんがこのクラスで助かったわ…」 とりあえず安堵する。教頭と校長も頷いていた。彼は校内でも有名な人物だった。 新聞委員委員長、的場リュウジ。その風貌らして只者ではない風格を漂わせて いた。 十四歳にして無精ひげ。火こそ着けていないが咥え煙草。精悍な顔立ちはどう 見ても二十台半ばという印象で、肌は黒く焼け、黒々とした髪をオールバックに 固めている。普段は眠そうな目をしているが、いざとなるとその目は険しく、爛々 と輝く。 つづく
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285 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 14:46:51 ID:9mtCy+7q0 - 『スネーク』と呼ばれる彼の容姿最大の特徴は、左耳の一部が欠けている
ことだ。 何故耳が欠けているのか。銃撃され弾丸が耳をかすめたのである。 彼の父親はプロの戦場カメラマンだった。そしてリュウジが小学二年生の時、 エチオピアとエリトリアの間で起きた紛争の取材中、流れ弾に当たり死亡した。 まだ二年生に上がったばかりで、そのお祝いに近々帰ると連絡があった直後。 そして紛争の休戦合意が成立するわずか二ヶ月前の出来事だった。 まだ幼いリュウジであったが、彼は父の死を理解し、感銘を受け、自らも ジャーナリストの道を歩き始める。 そして去年の夏休み、中学一年生にして南米の麻薬地帯を取材。抗争の銃撃戦 に巻き込まれ、その際左耳の一部を失った。 そしてその取材写真とレポートを自由研究として提出して以来、彼は校内一の 有名人となった。各新聞紙、週刊誌などにも写真や記事原稿を投稿することも あり採用されることも多く、既に新聞社とは太いパイプでつながっていて、噂に よれば中学卒業次第、各社が彼のスカウトに動き出すらしいと言われているが 本人はフリーでいたいようだ。『思想的に偏るのはジャーナリズムに反する』と いうことらしい。 国内でも大きな災害などがあれば取材に飛ぶ。勿論学校はサボる。しかし彼に とっては『新聞委員としての取材』であるようで、彼が帰宅した後の校内新聞には 通常の新聞よりも濃い内容の記事と写真が掲載される。 つづく
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286 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 15:04:25 ID:9mtCy+7q0 - 一応パスポート上では十四歳なのでなかなか紛争地域には潜入
しにくい部分があるが、各災害地などを取材するうちに救助活動 にも参加することもあって、応急処置的なこと、サバイバル技術などは 自然と身についていた。 ただし全てが良いわけではない。成績は英語と地理以外はすこぶる悪い。 歴史も近代には異常な強みを見せるが明治維新前のことは全く知らないに 等しい。国語も作文のようなことや漢字は得意だが文学的なことは全くだめ。 体育は得意そうだが、陸上や水泳だけで球技は全くできない。というか基本的な ルールすら余り知らない。 要するに自分で学んだこと以外は何も知らない。彼は言う。 「学校で教わったことは何もない。全ては俺が身体で学んだことだ」 非常にモテそうだが、ワイルド過ぎて長続きしない。ナイフとニコンのカメラ以外 一切の装備も持たずキャンプに行き、腹が減ったらヘビを食う。大体そこで 逃げられる。 入学早々新聞委員に入り、三年生の委員長のスキャンダルをいきなり暴いて会 から追い出し、そのまま自分が委員長の座について、会の連中には 『編集長と呼べ』と強要する。 校内新聞なのに何を勘違いしているのか校内の記事はほとんど見当たらない。 かなり偏った男ではあるのだが、頼り甲斐はあった。 つづく
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289 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 15:30:20 ID:9mtCy+7q0 - 救急車が来た。救急隊員の行動を逐一、リュウジはカメラに収めた。
そしてそのまま救急車に乗り込み同行した。 「ユウジロウ…死ぬな…」 意識を失っているユウジロウの手を取って彼は声をかけ続けた。実は 的場リュウジと山形ユウジロウ、生徒と教師の関係を超えて奇妙な 友情で結ばれている。 始めは単なる興味だった。突然の飛び降り自殺。そして復活。彼に 張り付いて彼の行動を見ているうちに惹かれてしまったのだ。 ユウジロウもいちいち尾行されて色々調べられるよりはと、洗いざらい 彼に自分の起こした様々な事件や出来事について話して聞かせていた。 隠しても隠しきれないことをユウジロウも知っている。 己だけを信じ己の思うままに行動する、といった点で二人は共通するの かもしれない。不思議と二人は気が合った。 無論ユウジロウが起こした数々の珍事件の中には、校内新聞に取り上げ られるべきモノもあったが、下品な事件ばかりで記事にしたくないと彼は語る。 つづく
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293 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 15:55:07 ID:9mtCy+7q0 - ユウジロウは一命を取り留め、凄まじい回復力を見せた。
実は一度心配停止状態に陥ったが、元オカルト同好会一年 雪野カエデが、『ヤオヨロズ』を使役。半ば強制的に心臓を 動かした。死にかけた心臓の『ヤオヨロズ』を活性化させたのだ。 しかし勿論これも内緒である。 活性化といっても、単に『ガンバレ』と応援しただけに過ぎない。 そんなことにも使えるのかとカエデは自分で驚いていた。 あれだけの傷を負いながらユウジロウは短期間で退院。 犯人村野マユミはそのまま逮捕されたが意味不明の供述を 続けていて精神鑑定の必要ありとの見方が強いらしい。 アカネ独自の判断によりそれだけの事件に関わらず報道は ごく控えめにされた。 ただユウジロウには何故自分が刺されたのか理由が分からなかった。 確かに何処で恨みを買うか分からない人生を歩んできた。 元オカルト同好会の連中に福岡先生などを交えて、『枡や』で快気祝いを しようという話がアカネから持ち上がったが、ユウジロウは丁重に断った。 つづく
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295 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 16:16:16 ID:9mtCy+7q0 - ただ一人直接、それぞれの自宅や『枡や』に出向いて、心配かけた旨を
詫び、感謝の言葉を述べた。 退院した翌々日には職場復帰。色々と騒がれたが朝礼で一言挨拶をして、 ごく普通に一日を過ごした。 放課後、2−C教室。的場リュウジはいつもここにいる。自分のノートパソコンで 何かしら書いていた。校内新聞用の記事か、投稿用の記事か。彼は窓辺の席 に陣取って窓を全開にして、ラッキーストライクの紫煙をくゆらせていた。 「的場…。助かった」 「朝礼で聞いた。礼はいらない」 「そうか。寒くないのか?」 生徒が教室でタバコを吸っている。生徒は少しでもバレないように便所の換気扇の 下とか、窓のすぐ近くとか、外で吸うのが常だ。それはさすがのリュウジと言えど 変わらない。ただユウジロウにとって生徒がタバコを吸うことなどどうでもよかった。 身体を壊すのは自分だ。人に迷惑をかけているわけでもない。好きにすればいい。 人ごみで歩きタバコしている大人の方がよっぽど迷惑だ。 「俺はなんで刺された?」 つづく
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296 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 16:40:36 ID:9mtCy+7q0 - ノートパソコンを閉じると、的場リュウジは自分なりに知っている
ことを言って聞かせた。 ユウジロウは自分が死んでいた間の記憶が全くない。その話は その辺りの話だった。 情報のソースとしてリュウジは警察関係の者とのつながりも持っていた。 『ゴーストさま』をやっていた天文部員が行方不明になった話。村野マユミの 『黒ずくめの男』に関する証言。 「『黒ずくめの男』…?」 「単なる噂だという話だが、福島トオルが自殺した後、奴が『黒ずくめの男』の 正体だったと噂が立った」 「…何か知ってるのか?」 「その手の事件に興味はない…」 「そうか」 「ただ警察は福島の自殺まで村野がやったと考えていた節がある」 「遺書まであったのにか!?」 「一度疑えば惰性で動く。警察の捜査にも『慣性の法則』はあるんだよ。 ユウジロウ」 つづく
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298 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 16:54:20 ID:9mtCy+7q0 - 「『黒ずくめの男』に連れ去られるともう二度と帰って来れない。
そして『黒ずくめの男』は実在し、それは福島トオルだった」 「…?」 「まだ興味は沸かないか?」 「…全て事実だとして、一番気になるのは二度と帰って来れない という点だ。どういう方法を使えば可能だ?クルマで運んで山に でも埋めるか、バラバラにして処理するか…」 「どっちにしてもクルマもなければ一人暮らしでもない中学生には ちょっと無理だろ?」 「確かに」 「じゃあ食っちまったら?」 「馬鹿馬鹿しい。生で食うのか?調理するにも一回バラさないと ならんだろう。それに一人で人間一人食いきれるものなのか?」 「奴が死んだ公園は何処だったか」 もう一度ノートパソコンを開いたリュウジは当時の事件記事を検索した。 「滝乃城跡公園…!そういうことか…」 つづく
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299 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 17:08:31 ID:9mtCy+7q0 - 滝乃城跡公園。地元の人間ならそれとすぐに結びつく言葉が
あった。ホームレス。行政も色々と手段を講じているが手が 出せない状況が続いている。 『黒ずくめの男』が死んだ今となっては遅いだろうが、彼は後日 取材に出かけた。状況はかなりひどかった。 昼間から酒を飲み、ベンチに寝転がり、エロ本をよみふける者、 遊んでいる子供を何か棒を片手に追い掛け回し、泣かして 楽しんでいる者もいた。少し頭がおかしいらしい。 公園で遊ぶ者も少なく完全にホームレスに占拠されている。 夕方になると公園に帰ってくるホームレスもいた。家はなくとも 何かしら働いているのだろう。にこにこと温厚そうな顔で、手には コンビニエンスストアの袋を提げてブルーシートで作られた 『自宅』に帰っていく。しばらくすると出てきて、ベンチで朝からゴロゴロ と寝ていた男に何やら言った。と男は立ち上がるなり老人を殴り蹴り、 死んでしまうのではないかと思うほどの暴力を振るった。 彼は父の忘れ形見のニコンでその様子を写真に撮ると、すぐに止めに 入った。 「すいません軽子沢新聞の者ですが」 「っんだよぉ!取材なんか受けねぇからな馬鹿野郎が」 つづく
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300 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 17:23:21 ID:9mtCy+7q0 - 息が酒臭いその男は『新聞』と聞いて暴力行為をやめた。
やはり何か後ろめたいところがあるのだろう。 倒れている老人を助け上げ、そのまま彼の『家』に運び入れた。 意外といい『家』でガスコンロもテレビもある。何かあったのかと 訊ねると温厚そうな老人は毎日盗難にあって困っていると語った。 彼は日中、空き缶を集めては売っているのだという。そこそこの 稼ぎにはなるそうだ。ところが帰ってくる度に家から色々な物が なくなる。ドアに鍵をつけてもドアそのものが頑丈なものではないから 簡単に蹴破られてしまう。犯人は分かっていて、さっきの男が そうらしい。 話を聞いてくれるのが嬉しいのか口の軽くなった老人は公園の 現状について語り出した。 基本的に勝手に公園を占拠しているわけだから、それ自体は悪い ことなのだろうが、それでも以前からいる連中は善良で一応近所の 者や公園遊びに来た者に対しても気を使い、公園のトイレを掃除 したり、落ち葉を拾ったりとそれなりの『恩返し』をしていたらしい。 ところが最近入ってきたグループはマナーがひどく、凶暴な犬を 公園内で放し飼いにしたり、公園に来る女性に悪戯をしたりと、 やりたい放題で、彼らのせいで近所の者からもすっかり冷たい目 で見られるようになってしまったと老人は悲しい目をした。 無論老人は前者。先ほど老人を殴っていた男は後者だ。 つづく
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301 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 17:39:59 ID:9mtCy+7q0 - 新しいグループは既にいい場所を確保していた古いグループに
嫌がらせをし、公園を追い出すなどして、今や古くからこの公園 にいる人間は自分一人になってしまったと言う。 「昔は食べるものも大変だろうとも近所の婆さんがオカズ持って来て くれたりしてねぇ。今じゃ誰も近寄りませんよ」 リュウジは一通り話を聞いて信用を築くと、『黒ずくめの男』についての 質問を切り出した。さすがに言いにくそうだったが老人は語り始めた。 そして言った。 「女を世話してもらう代わりに、その娘を殺して、バラして一日かけて 煮ちまうんです。とにかくトロトロになるまで。こんな生活寂しいから 動物飼ってる奴も多いんですよ。特にイヌだとかネコだとか。んで、 その人煮たやつをイヌやなんかに食わすんです…」 老人は少しえずいた。 「勿論わたしゃあしやしませんよ。まともに見たこともありません。ただ 夜になると犯される女の声が聞こえるんです…可哀想にねぇ…。それが パタッとおとなしくなる…その後にね、ゴーリゴーリってノコの音みてぇの が一晩続くんです…朝、わたしが仕事出るぐらいになると、何か煮てるん ですよ。普段料理なんかしねぇで、コンビニの、期限切れの弁当食ってる 奴がですよ。何度も警察に行こうと思ったんですが…わたしまで疑われる んじゃねぇかって恐ろしくて恐ろしくて…」 話を聞き、礼をいったリュウジは警察署へ向かい、顔見知りの刑事を尋ねた。 つづく
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302 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 18:13:38 ID:9mtCy+7q0 - 数日後、滝乃城跡公園のホームレス数人が逮捕された。
警察の追及にホームレス達は十六名の女性を処分したことを 認め、軽子沢中学の天文部部室から消えた三名の女子についても 記憶にあるとした。 その猟奇的な事件は大きく報道された。ホームレスはあくまで、 『黒ずくめの男』に依頼されて、という供述をしたが、全く受け入れられ なかった。福島トオルは既に死に、彼が依頼したという証拠は全くなく、 また被害者全員が死んでいるのでその裏を取ることもできなかった からだ。 村野マユミの容疑も晴れ、その強引な捜査がリュウジの取材によって 明らかになり、警察側の謝罪会見が開かれた。恐ろしい目に合い、 命からがら助かった少女に疑いの目を向け、話を聞くと言いながら その内容はほぼ取り調べと呼ぶに等しい内容だった。 ユウジロウを刺した件についても、そのようなストレス状態が引き起こした 事件だという世論が巻き起こった。 その上でユウジロウは起訴の取り下げを求めた。 村野マユミは今精神病院にいる。インターネット上でも彼女の回復を願う サイトや掲示板が数多く立ち上がっていた。治療は順調で、退院も間もない という。 終
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303 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 18:18:23 ID:9mtCy+7q0 - オカルト入れられなかった…ごめん…
合いの手くれた方々ありがとでした。長くてごめんね。どこで オカルトを入れようかと迷っているうちに話がアッチコッチに… >>287-288 つまらん疑問に答えてくれてありがとです^^よくわかりました。 今度自演する時は気をつけよう。(嘘)
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307 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 20:39:54 ID:9mtCy+7q0 - >>304
設定なしで書いてるから見逃してる悪人が結構いる気が するんですよね。まとめサイトもぼちぼち見てるんだけど、 改めて読むとすごいテキスト量の上、とりかえしのつかない 矛盾があったりして…。たくさん感想ありがとう。新聞委員の 夏の合宿って来年??本当は作中世界とリアル世界の時間 は同じはずだったけど。ユウジロウ骨折事件のせいで作中 世界はもう10月半ばですよー(笑) それに委員会の合宿ってあったか?そもそもリュウジが率いる 合宿って多分アフガニスタンとかイスラエルとか…絶対やだ(笑) >>305 え?どこまで読んだ?なんか色々最近はスピンオフやったり 遊んじゃったから次回は正統派のエロ怖路線に軌道修正 しようとは思ってるけど…。そういう意味でとっていいの? >>306 たくさんレスくれてありがとうです^^私も後先考えないで書いている のでマユミ助かってよかった〜(笑) たまたま『敏腕新聞委員のリュウジ』 というキャラクターがいなかったら助からなかったでしょう。不思議 ですよね。何も考えないのに必要なキャラクターが必要な時に、既に いるんですもん。自分でも驚きますww
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309 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 21:44:02 ID:9mtCy+7q0 - >>308
校長は校長です。前もって何か考えるということなく書いているので、 名前やそういったものを立ち上がってくる感じで、瞬間的に決まります。 校長は今のところ校長です。名前が出てこないということはまだ 『立ち上がってない=生まれてない』ってことですね。ただ学校には 必ずいるので『校長という立場の人がいる』というだけで、名前も容姿も ありません。いつか生まれるのかなぁ。 新聞委員がご覧になりたいと。リクとして受け付けます。ただ以前から、 徳島教頭スピンオフ要望があるのでそちらを優先します。 尾藤ケンサク。そうですね。彼はサッカー部所属ですが、サッカー部と 無関係の話としてなら可能だと思います。 >>読者の皆様へ 喜ばしいことにたくさんのリクが集まりましたのでリク募集はしばらく 休止します。御了承下さい。
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310 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 23:16:30 ID:9mtCy+7q0 - さてここらで怖い話でもするか。
徳島剛三、当年とって五十二歳。座右の銘は質実剛健。 軽子沢中学教頭である。 つづく
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- 【エロ】山形先生Part3【オカルト】
313 :作者 ◆xDdCPf7i9g [sage]:2006/09/08(金) 23:45:19 ID:9mtCy+7q0 - 最も早く通勤し、特別なことがなければ最も遅く帰宅する男。
誰も彼の自宅を知らない。 私生活を知る者もいない。 他の教師と酒を飲み交わすこともない。 誰も彼を知らなかった。 主に校長の補佐を生業とし、時として生徒の教育にも当たる。 しかし決して目立たず日陰に隠れ。地味と言われようとも、構わず。 若い頃からは違った陽の当たる場所を好み、熱く燃える熱血教師であった。 出世は早く、軽子沢中学に赴任する前には既に教頭職についていた。 その学校には暗い教師がいた。生徒に小馬鹿にされ、保護者からも 『頼りにならない』という声が上がっていた。 よりによってその教師、徳島と同期であった。いわゆる、『うだつの上がらない男』 だった。 しかしその教師のクラスには問題が多かった。全体的に勉強の成績も悪く、 札付きの不良生徒もいて、更にはイジメ問題も持ち上がっていた。 つづく
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314 :本当にあった怖い名無し[sage]:2006/09/08(金) 23:56:21 ID:9mtCy+7q0 - 同期ということで、徳島は彼を飲みに誘った。そして彼独自の
教育論を展開した。それは根性論であり熱血論で、性格の大人しい 彼に聞かせたところでどうしようもない話だった。 彼の受け持つクラスは更にひどい状態となり、事あるたびに徳島は 彼を酒場に連れて行っては同じ話を聞かせた。 根性、熱血、師弟愛。それで全ての問題が解決すると思っていたのだ。 彼も徳島の言うように何とか頑張ろうと試みた。しかしそれは全くの逆効果で、 鬱陶しいと生徒から総スカンを食らった上、暴力まで振るわれた。 イジメはなくなった。標的が教師である彼に向いたのだ。生徒から多少いびられる 程度ならばよかった。しかし次第に増長した不良たちは彼に暴力を振るうように なった。 頼りの徳島のアドバイスは『生徒と殴り合え』というものだった。 何とか一撃やり返した彼だったがそれは不良たちを挑発する結果となり、更に ひどい暴力を受けた。 結果、彼は自ら死を選んだ。 『僕はこの世の全てを恨む
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