- 【横浜】金妻倶楽部〜その27〜【ハレ系】
941 :ある人の体験談[]:2011/07/18(月) 00:22:08.35 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)昭和55年のこと。
小学生4年生。 クラスにいた女の子の話。 名前は忘れた。 みんな「イノウエ」と呼んでいた。 (´・ω・`)暗い子だった。 友達と遊べない子だった。 勉強も出来なかった。 目立たなかった。 スポーツもうまくなかった。 人と話さなかった。 字も汚かった。 黒板に字を書くと下手で読めなかった。 休み時間も一人でポツリといた。 (´・ω・`)髪の毛が脂ぎっていた。 顔は吹き出物だらけだった。 爪は黒かった。 だから男子は特に近寄らなかった。
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942 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 00:35:27.00 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)イノウエの体育着は黄ばんでいた。
おそらく臭っていたと思う。 彼女が着た給食着(割烹着)は、みんなマジックで書かれている番号を覚えていて、誰も着たがらなかった。 イノウエの上履きが、どぶねずみ色になっていて酷かった。 爪は黒ずんでいて、いつも爪をかじっていた。 脂ぎった髪の毛には、フケもくっついていた。 (´・ω・`)イノウエのイスには、誰も座りたがらなかった。 でも悪いヤツが他のイスと交換しておいて、間違えて座った瞬間に騒いだ。 廊下でイノウエが歩いてきた時、わざと押してイノウエに触れさせる悪戯もあった。
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943 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 00:47:06.91 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)何をされても、イノウエは黙っていた。
運動会で、フォークダンスのペアが廻ってきた時は最悪だった。 俺は渋々触れたが、腕を組んだり手を繋いだり、絶対しないヤツもいた。 (´・ω・`)俺はイノウエとは、ほとんど話す事はなかった。 席も近くにならなかったし、背の高さも俺は小さめで、イノウエは大きいほうから3番目だった。 クラスの男子は「イノウエ菌」とか言って、「エンガチョ」みたいな事をやっていた。 (´・ω・`)勿論俺も面白がってやっていた。 給食の時も、机の向きを変えて、向かい合わせにして食べるのだが、イノウエは他の2名の女子と食べていた。 子供だから、ただイノウエは「汚い子」なんだと思っていた。
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944 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 01:01:50.51 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)イノウエはいつも同じ洋服だった。
ブラウスは袖口が黒ずんでいて、襟元も、くたっとなっていた。 ブラウスでなければ、黄ばんだ体育着のシャツだった。 上はブラウスか体育着か、やはり黄色の洗いすぎて絵が見えないシャツのどれかだった。 (´・ω・`)下はジャージか、紺の吊りスカートか、ブルマだった。 あとは紺のズボンを持っていて、動物のアップリケが膝当てで付いていた。 ジャージの膝は、殆ど穴が開きそうだった。 周囲の女子が着ていた、花柄のシャツやトレーナーやジーンズは、見る事がなかった。 (´・ω・`)体育着は本当に黄ばんでいて、おしっこをかけたように汚かった。 男子でも汚れた体育着は着ていたけど、女子であんなのはいなかった。 よくあんなものを着ていたと思う。
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945 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 01:14:29.58 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)その頃、教室の席は、二人ずつ机をくっつけて並べていた。
イノウエの席にも男子がいるのだが、イノウエと席をくっつけるのが嫌だから、少し離してあった。 掃除の時に机を動かし、わざとそいつの机をくっつけたりするのだが、朝には大きく離れていた。 自分の筆箱が見当たらなくなり、何処にあるかと思ったら、イノウエの机の中にあるといった悪戯も流行った。 (´・ω・`)体育着がないと思ったら、袋ごとイノウエの机に掛かっていた事もあった。 イスにかけておいたジャンパーがないと思ったら、イノウエのイスにかけてあった。 俺達はイノウエをおもちゃに遊んでいた。 でもイノウエと直接話す事はなかった。
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946 :ある人の体験談[]:2011/07/18(月) 01:26:22.69 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)通常、このような子がクラスにいると、女子が「やめなさいよ」とか言ってくるもんだ。
あるいは学級会の場で、議題に上がる。 そして学級委員的な女子が、自分も仲良くないのに綺麗事を言って、仲良くしなさいと言うもんだ。 最後に先生が何らかの判断を下す。 しかしあの時のクラスは、それがなかった。 (´・ω・`)当時は、いわゆる『いじめ』という感覚はなくて、あくまでも遊びで、楽しんでいるだけ。 先生も「ふざけるのはやめなさい」とか、「静かにしなさい」と言う位で、喧嘩にも交渉しない。 おまけにイノウエは女子の中でも、完全に孤立していて、交流が殆どなかった。 いつも一人でポツリとしていた。
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947 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 01:38:43.62 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)2〜3人のクラスの中で、おとなしく地味なタイプの女の子が、遠足の時、同じ班に入れてあげていた程度。
女子の中でも嫌っていた人がいたから、男子が何をしようと口出ししなかった。 (´・ω・`)当時は小学生からして、家が貧乏とかって、考えた事がなかった。 ただ、イノウエは明らかに髪の毛や爪の先が不潔で、臭いと言われていた。 風呂に入らないんだろうな、位しか考えなかった。 自分の家は風呂があったけれど、当時は銭湯に通っている子も、少なくなかった。 銭湯に行くのを待ち合わせして、友達と楽しそうに遊んだ話を聞くと、羨ましかった事もあった。
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948 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 01:46:00.25 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)イノウエがどんな生活をしていても、どうでもよかった。
イノウエはただの不潔少女だと、皆が思っていた。 だからイノウエの着た給食着は、みんな着たがらず、番号は忘れたが彼女の着たものは、何時も誰にも着てもらうことなくぶら下がっていた。 (´・ω・`)しかしこの後で、だんだんと俺は、イノウエのことを興味を持つ事になる。
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949 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 02:08:38.57 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)秋の運動会があった。
親が自分の子供が、あまりにも汚い体育着を着ているのが恥ずかしいから、それなりに洗濯したものを着たものだ。 そんな中で今でも覚えているが、イノウエはボロ雑巾のような、黄ばんだ体育着を着ていた。 夏から全然洗っていないのではないかと思えた。 おそらく異臭を放っていただろう。 (´・ω・`)昼は親と一緒に、ビニールシートに集まって食べるのだが、イノウエの親は来ていなかったのか、一人でぽつんとパンをかじっていたのを覚えている。 日曜日だから、どちらかの親は都合をつけて来るし、お産とか親がどうしても来れない家も、おばあちゃん等が応援してくれたものだった。 (´・ω・`)それでも一人の時は、予め親同士でお願いしておいて、友達の家に混ぜてもらったものだった。 イノウエは一人、児童のイス席でパンをかじっていた。
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950 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 02:23:17.20 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)午後の種目で忘れもしない、フォークダンスがあった。
男女が2列、輪になって、ペアで手を叩きあったり、腕を組んで一回りして横にずれるといった、お決まりのパターンだった。 みんなイノウエと腕を組みたくないので、練習の時は組んだフリをして逃れていた。 (´・ω・`)最後の部分は、ちょっと時間が長く、音楽が終わる時に、二人で手を繋いで上に高く上げた形で終了しなければならない。 これが誰になるかが、男子の中で話題だった。 練習の際は、音楽無しで先生の笛で踊ったり、音を入れても、途中でやり直しや繰り返しでよくわからなかった。 (´・ω・`)男女共に、小さい順に並んで始めるので、最初は小さかった俺と、大きかったイノウエは、全然違う場所にいるが、一回りする間に近づいてくるのだ。
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951 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 02:41:28.35 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)本番の時、見事にラストを引き当てたのは俺だった。
音楽が終わっても、少しの間は手を繋ぎ高く空に向かって上げなければならない。 イノウエの手が不潔とかいうよりも、後で友達に冷やかされるのが嫌だった。 (´・ω・`)案の定みんな俺を見て、クスクス笑っていた。 イノウエは俺の手を絶対離さないとばかりに、強く握り締めていた。 退場門を出た後、俺は「おめでとう」とか「かっこよかったぞ」とか「結婚しちゃえば」とか言われた。 ワンパクな女子からも「よかったじゃない」とか「お似合いじゃない」とか冷やかされた。 「お前の手、きっとニオイが移って臭いぞ」と言われ臭ってみると、確かに変なにおいがして、次の瞬間、友達が手を顔に向けて押し込み、俺は自分の手で、顔をひっぱたく形になった。 イノウエを見ると、ずっとうつむいていた。
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952 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 02:56:57.15 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)秋の遠足は一時間位のハイキング登山だった。
遠足の班は男女バラバラだから、何の影響もない。 ところが現地に着いてから、先生がこれからゲームをやるぞと号令をかけた。 遠足の時は一人300円とか500円とか、決まった金額のおやつを持って行く事ができた。 これはどの学校も同じだと思う。 何でもいいから、おやつをひとつだけ持って集合しなさいと言う。 (´・ω・`)クラス対抗で、勝ったクラスが負けたクラスのおやつを賞品として貰えるゲームだった。 4クラスあったが、まずおやつをクラスごとに一ヶ所にまとめた。 チョコレートやキャラメルひとつを出した人、煎餅を出した人、カール等のスナック菓子の人、様々だった。 うちのクラスで一人出さない子がいた。 それはイノウエだった。
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953 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 03:14:01.18 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)聞くと、おやつを持って来なかったというのだ。
先生は「何も持って来なかったの?しょうがないわねえ。じゃあ先生のを出します」と言ったのだが、 皆は俺に「おやつも買えないんだってよ、お前が恵んでやれよ。ダンスの相棒ジャン」とか言ってきた。 イノウエは顔をじっと下に向けて、事態が鎮まるのを待っていた。 (´・ω・`)ゲームが始まった。 男女の班をひとつずつくっつけて、その中で男女のペアを作る。 そのペアで、スタート地点から折り返し地点までは、手押し車で行き、折り返し地点から元の場所までは、おんぶして戻ってきて、次のペアにバトンタッチする。 そしてクラスで速さを競うのだ。 (´・ω・`)たまたま俺の班とイノウエの班が同じになり、その中で俺とイノウエがペアを組まされる事になった。 本当は嫌で、ここから逃げ出したかったけれど仕方なかった。
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954 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 03:28:31.78 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)前半はイノウエの汚いソックス部分を持って、必死に手押し車をやった。
後半は、何故か体の大きなイノウエをおんぶして戻ってきた。 遠足の日もイノウエは、同じく黄ばんだ体育着にブルマ姿だった。 皆の野次が飛んだ。 「くさくないか」「においが移るぞ」 (´・ω・`)必死でおんぶしたので、次のチームにタッチした後、地面に倒れこんだ。 勿論、背中に乗っているイノウエも一緒に覆い被さるように倒れてしまい、皆は大笑いした。 でもその時初めて俺は、強烈なイノウエの口のにおいを嗅いでしまった。 息があがっているので、イノウエもハアハア大きな息をしている。 (´・ω・`)何とも言えない、酸っぱいごみの臭いで、気持ち悪くて吐きそうになった。 この話は皆にもできなかった。 それでも2学期中は、イノウエと俺は話をする事はなかった。
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955 :ある人の体験談[]:2011/07/18(月) 03:43:00.86 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)秋が深まってきて、皆はトレーナーやカーディガンを重ね着する。
俺だって「暑いからいらない」と言っても、母ちゃんが「着なさい」と言って無理に着せた。 しかしイノウエは夏服のままだった。 相変わらず同じブラウスか、体育着か、汚ならしい半袖シャツだった。 (´・ω・`)イノウエの持ち物を俺の机の中に入れる悪戯も流行った。 手を机の中に入れると、心当たりのない物があって出してみる。 イノウエの消しゴム、ノート、くちゃくちゃのハンカチ、縦笛等、様々だった。 一番酷いと思ったのは、縦笛のケースは俺のだけど、中身だけ替える悪戯をやられた事があった。 (´・ω・`)音楽の時間、縦笛を吹こうと思ったら、なんか違和感があった。 口を付ける部分にベタベタしたもの(唾液の塊?)がこびりついているし、穴の向きも微妙に違う。 よく見ると、イノウエ〇〇〇と名前が書いてあるではないか。
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956 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 04:03:01.05 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)後方に座っているイノウエを見ると、なんと俺の笛に口をつけてしまっている。
もうおしまいだ。あの笛は捨てようと思った。 先生にちゃんと吹きなさいと注意されたが、口を付けるのは絶対に嫌で吹くマネだけした。 (´・ω・`)そんな先生は、俺が吹いていないのをマークしていて、一人で吹いてみなさいと俺を指した。 咄嗟に黙って吹いちゃおうかなとも思ったが、絶対に出来なかった俺は叫んだ。 (´・ω・`)「この笛、俺の物じゃないんです。誰かが悪戯して交換したんです」 クラスは笑いと野次で騒然となり、先生が俺から笛を取り上げた。 「イノウエさんのを何であなたが持っているの」と言い、イノウエから笛を取り返してくれた。 そして、「誰ですか?こういう悪戯は駄目ですよ」と言ったかと思うと、 「じゃあ吹けるわね。吹いてみなさい」と再度言った。 (´・ω・`)悪戯やった奴を怒らないで、不公平だなと思いながら、吹かない理由がなくなった俺を注目している皆が怖かった。
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957 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 04:24:08.93 ID:M6UoHw/6O - 皆が、「吹け、吹け」と騒ぐ。
(´・ω・`)「だってイノウエさんがさっきくわえていたんだよ」と叫ぼうと思ったが、 ますます墓穴を掘るのは明らかだった。 先生も「自分の笛だからちゃんと吹けるでしょ。さあ、頑張って」と催促する。 (´・ω・`)仕方なく俺は、イノウエがさっきまで触っていた俺の縦笛を持った。 なんかイノウエが持っていたから、ネッチョリしている気がした。 そして俺は、イノウエがさっきまでくわえていた笛の先をとうとう口に入れてしまった。 間違いなく変な味がした。ベタベタしていた。 俺は一通り吹くと、唇のベタベタしたものを洋服の袖口で拭いた。 信じられなかったが、隣の女子が俺にハンカチを貸してくれた。 「これで口吹いていいよ。気持ち悪かったでしょ?」と彼女は言う。 (´・ω・`)「そんな事なら、彼女が止めてくれればいいのに。さっきは面白がって囃し立てていたのに」と思う。 休み時間になったら、悪友が俺の席に来て何だかんだ言う前に、走って廊下に出た。 俺は一目散に流しに行き、うがいをした。
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958 :ある人の体験談[]:2011/07/18(月) 04:45:33.79 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)真冬になってもイノウエは、コートやジャンパーのような防寒着を着ない。
汚れたジャージ上着に、ヨレヨレのブラウスか、プリントが剥げ落ちたシャツだった。 下は夏と同じく、紺の吊りスカートかエンジ色(エビ茶色)みたいな長ズボン又は、ジャージズボン姿だった。 (´・ω・`)3学期は俺の席から左斜め前にイノウエの席があり、よく観察できた。 決してイノウエに興味があるわけではなかったが、自然と目に入る。 鼻水垂らして洋服の袖口で擦る場面、鉛筆や爪をかじる場面は、もうお馴染みだった。 真っ黒の上履きは踵を踏んでいたが、もしかしたら小さくなっても、買ってもらえずなのかなとも思った。 (´・ω・`)髪の毛は脂ぎっていて、水色ジャージの襟部分は濃い目の青だったが、フケが沢山落ちていた。 筆箱の四隅のフチは破れ、アニメの絵も薄くなり何の絵かわからない。 机の横に下がっている、赤い手提げも黒ずんでいる。 とにかく当時の他の女子とは、持ち物も服装も違いすぎて、逆に目立つ。 皆にとっては空気のような存在だが、自分にとって、だんだん彼女が気になる存在になっていた。
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964 :ある人の体験談[]:2011/07/18(月) 23:15:04.30 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)俺は学校でイノウエに話しかける事はなかった。
彼女もクラスで寡黙だった。 授業中、指されるとハキハキと答えた。 でも休み時間に友達とだべることもなければ、追いかけっこをすることもない。 (´・ω・`)けれど、何故か俺に対する態度が、ちょっと違うなと思える事があった。 教室で鉛筆や消しゴムを落として、イノウエの側に転がる。 彼女は黙って拾い、机に置いてくれる。俺以外の人の物だったら無視。 (´・ω・`)体育授業中のドッジボール。 因みにイノウエは、黄ばんだ体育着だが、痩せていてスタイルが良く脚も長かった。 少なくても俺の方が背も低く短足だった。 運動神経も悪くなく、球技では大抵活躍した。 (´・ω・`)そのイノウエはドッジボールでも、普段の憂さ晴らしとばかり、男子にボールをぶつけアウトの山を築く。 以前は俺も思いっきりぶつけられたが、ある時から俺を全く狙わなくなったのだ。 皆からは、相変わらず嫌われていたイノウエだが、洋服さえ綺麗な物を着ればいいのに…と思えた。
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965 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 23:33:37.12 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)寒い朝、下駄箱の前で上履きに履き替えていると、イノウエが登校してきた。
寒いから俺もジャンパーを着込んでいるし、女子は分厚いコートや手袋をしているのに、イノウエはジャージにスカート姿。 ソックスも短めの物で脚は寒そう。手はアカギレだらけで見るからに貧乏そう。 (´・ω・`)イノウエは、屈んで真っ黒の上履きを取り上げる瞬間、俺と眼が合ってニヤリとした。 そんなイノウエの俺に対する態度をクラスメートは知るよしもなかった。 が、ただ一人気付いていたのは、以前、縦笛事件の時に、隣席に座っていた例の女子だけだった。 彼女=チカコは、盛んに「イノウエさん、あなたにきっと気があるんじゃない?」と俺に冷やかしを言ってきた。 (´・ω・`)仲の良かったチカコに、そんな事を言われるのはショックで、勿論「冗談じゃないよ」と否定した。 が、「なんだかそんな気がするよ。イノウエさんあなたのことばかり見ている」とチカコはからかう。 良く見ているなと感心の限りだった。 チカコは、「私、応援するよ」と訳のわからない事を言う。
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- 【横浜】金妻倶楽部〜その27〜【ハレ系】
966 :名無しさん@ピンキー[]:2011/07/18(月) 23:57:35.23 ID:M6UoHw/6O - (´・ω・`)3学期が始まり、朝の登校時は皆、白い息を出しながら登校する。
寒がりだった俺は、ジャンパーのファスナーを一番上まで閉めて、下半身も長ズボンだった。 クラスに一人、冬でも半袖シャツ、半ズボンで頑張っている友達がいたし、半ズボン姿の男子は、かなりいたものだ。 (´・ω・`)だから半袖シャツや半ズボンが、イコール冬服が無い、イコール貧乏という事は全くなかった。 女子もスカートにタイツや、ハイソックス姿が多く、当時の子供達は冬でも脚を平気で出していた。 そして、赤や茶色の可愛いコートやスタジャン、Gジャン等をそれぞれ自慢げに着ていたものだ。 (´・ω・`)しかしイノウエは、夏でも冬でも同じ物しか着ていなかった。 上半身はブラウスかTシャツ、襟の付いたポロシャツか、黄ばんだ体育着。 下半身は、赤か紺の吊りスカートか、刺繍入りの長ズボンか、ブルマかジャージズボン。 (´・ω・`)覚えている限り、夏も冬もそれだけで、他の女の子の様なファッショナブルな物は何も無い。 どれも洗い晒しでTシャツのプリントは剥げ落ち、ジャージもすっかりねずみ色。
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