- 【2012年大河ドラマ】平清盛 Part173©2ch.net
97 :日曜8時の名無しさん[]:2015/06/14(日) 00:37:05.08 ID:t1pjP2XH - これミスキャストじゃないのと心配したが(視聴者から憎まれたという新平家での「悪代官」小沢信西と
比べてちょっと軽すぎるのでは?)最終的に大納得したのが、阿部サダヲ信西。 愚管抄などにより伝わる人物像(朗々と〈甲高い声〉で算木を動かしながら徹夜で政務に精勤 〜ドラマでは目に隈をつくり遣唐(宋)使派遣の目途がついたと歓喜。 さらには、自分の学才は比類ないゆえ冷遇されただの〈自惚れ〉も強い自信家ぶりも披露) を実に的確に取り込んでいた。 また「誰でもよーい」と〈ユーモラス〉に清盛に呼びかけた初登場時からどんどん〈マキャベリスト〉化してゆき、 最後は「清盛殿助けてくれ」と悲痛な叫びをあげた姿との対比も鮮やかだった(出会いも最後も「穴」)。 野心満々も零落した下級貴族&大学者→出家して後白河即位をたくらみ実現→〈現実的かつ苛烈〉な保元の乱指揮、 戦後処理→得た権力を一心不乱に国事に捧げる〈無私〉の精神→周囲から憎まれ隙を突かれてあっという間に没落し 獄門にかけられる惨めな最後。 こうした波乱万丈の生涯を辿った信西に、阿部サダヲ氏はジャストフィットしていた。 保元新制における業績を紹介して、信西が〈大宰相〉であったことを現代日本人に知らしめたことは、 この大河がなし得た画期的な貢献の一つと言ってよい。 さらに、互いに尊敬しあうもう一人の天下の大学者頼長との対比(夜討ち等をめぐる現実主義vs理想主義) をもって保元の乱の勝敗の分水嶺としたことは、秀逸なドラマ解釈という他ない。 ラストで頼長の日記を読み涙する信西のシーンは、頼長とは立場は違えど私心を忘れて〈国を思う政治家〉である一点において 変わらぬ「同志」であることを強烈にアピールした(論語を仲良くハモった仲が次第に齟齬を生じていったが最後に再結合)。 激越、酷薄な人間性と現実適応能力を欠く政治性ゆえ否定的に総括されそうになった悪左府が、 信西が読む日記と涙に感動した現代の視聴者に最後見送られて冥途に旅立ったのは幸いだった。
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